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登山靴の履き慣らしは坂と階段|必要なのは合計5〜6時間
更新日: 2026年10月1日

登山靴の履き慣らしは「靴を柔らかくする作業」だと思われがちですが、今の靴はそこまで柔らかくなりません。本当の目的は、山で初めて痛くなるのを避けるために、当たる場所を先に見つけることです。だから歩くのは平地ではなく坂と階段で、登りのかかとの浮きと、下りのつま先の当たりを見ます。目安は3〜4回・合計5〜6時間・期間は2週間から1ヶ月。よく心配されるアスファルトでのソールの減りは、慣らしの数時間なら問題になりません。気になるなら河川敷や公園の土の道でも同じことができます。足の甲の痛みは、たいてい靴ひもで直ります。
新しい登山靴を買うと、たいてい「山に行く前に慣らしてください」と言われます。
それはそのとおりなのですが、何をどこまでやれば慣らしたことになるのかは、あまり書かれていないんですよね。近所を1時間歩いて「これでいいのかな」と迷っている人も多いと思います。
この記事では慣らしの目的をはっきりさせたうえで、期間の目安と、痛くなったときの対処をご紹介します。あわせて、「アスファルトを歩くとソールが削れるのでは」という心配にもお答えしますね。実はこれ、半分は当たっていたりします。
慣らしの目的は、柔らかくすることではない
まずここを間違えると、時間の使い方がもったいなくなってしまいます。
靴は、そんなに柔らかくならない
昔の総革の登山靴なら、履き込むうちに革が足の形に馴染んでいく、ということがありました。ただ、今よく売られている化繊とゴアテックスの靴は、そこまで大きくは変わらないんです。
変わるのは、アッパーの折れる場所が決まってくることと、中敷きが足裏の形に沈むことくらいかなと思います。「歩いていればそのうち馴染むだろう」と期待して山に行くと、痛いのを我慢しながら下りてくる、ということになりかねません。
本当の目的は、当たる場所を先に見つけること
では何のために慣らすのかというと、山に入ってから初めて痛くなる、というのを避けるためなんです。
靴が足に合っているかどうかって、お店で5分履いただけではなかなか分からないんですよね。1時間くらい歩いて、やっと出てくる当たりもあります。それを、すぐ家に帰れる場所で先に見つけておけると安心です。
なので慣らしは、たくさん歩くことよりも「点検」に近いものだと思っています。そう考えると、次のアスファルトの話も、少し気が楽になるかもしれません。
アスファルトで慣らすと、削れるのか
買ったばかりの靴だと、なおさら気になりますよね。
削れるのは本当、でも数時間なら心配いらない程度
登山靴のソールは、舗装路を歩くと減ります。山の岩や木の根をしっかりつかめるように、ゴムがやわらかめに作られているので、硬い路面ではそのぶん削れてしまいます。
ただ、慣らしに必要なのは数時間です。数時間くらい舗装路を歩いたところで、ソールがだめになることはまずありません。私も慣らしのときは、毎回ふつうに舗装路を歩いています。なので、慣らしで歩くくらいなら、気にしなくていいかなと思います。
気をつけたいのは、山用の靴を通勤や普段履きにしてしまうほうです。毎日アスファルトを何キロも歩いていると、山に行く前にソールがどんどん減っていってしまいます。
ソールが減ると、何が困るか
ここは安全に関わるところなので、メーカーの案内をそのまま載せておきます。モンベルは登山靴の点検について、「かかとやつま先部の減りが目立ってきてはいませんか?」「摩耗が目立つ場合は、張り替えや買い替えを検討しましょう」と案内しています。
すり減ったソールは、どうしてもグリップが落ちてきます。とくに怖いのが濡れた岩と下りの土で、どちらも転ぶと大きなけがにつながりやすいところですよね。
気になるなら、土の道でも大丈夫
ソールの減りが気になるなら、無理にアスファルトで慣らす必要はありません。
慣らしの目的は「当たる場所を見つけること」なので、歩く場所はどこでもいいんです。河川敷や公園の土の道、近所の神社の階段なんかもいいですね。むしろ、こちらのほうが山の道に近いくらいです。
ちなみに雨の日は、無理に慣らし歩きをしなくても大丈夫です。私も、雨の日は慣らし歩きはしません。
やっておきたいのは、平地より坂と階段
平らな道をまっすぐ歩くだけだと、当たりはなかなか出てきません。出やすいのは坂と階段です。
登りではかかとが浮かないか、下りではつま先が前に当たらないか。この2つは、山で痛くなりやすい場所そのものです。歩道橋や立体駐車場のスロープでもいいので、慣らしのときにぜひ入れてみてください。

期間と回数の目安
「結局、何回くらい履けばいいの?」というのが、いちばん知りたいところだと思います。目安は、だいたいこんな感じです。
| 段階 | やること | 見るところ |
|---|---|---|
| 1回目 | 家の中で30分〜1時間 | 指が当たる/甲がきつい |
| 2〜3回目 | 外を1時間、坂と階段を入れて | かかとの浮き/下りのつま先 |
| 4回目 | 2〜3時間の低山ハイク | 後半に出てくる当たり |
| そのあと | 本番へ | — |
合計で3〜4回、時間にして5〜6時間くらい。期間としては2週間から1ヶ月みておくと余裕があります。
あとは回数より、1回ごとに脱いで足を見ることのほうが大事かなと思います。赤くなっている場所があれば、それが山でマメになる場所ですね。次からそこにテーピングを貼っておくと、だいぶ違います。
間に合わないときの順番
山行が来週に迫っていて、慣らす時間があまりない、という方もいらっしゃると思います。そんなときは、次の順番で進めてみてください。
まずは家の中で1時間。これなら今日からでもできますよね。次に階段の上り下りを30分。この2つだけでも、当たる場所はけっこう見つかります。
ただ、一度も履かずに本番へというのだけは、できれば避けたいところです。どうしても間に合わなかったときは、テーピングと絆創膏を多めに持っていって、痛くなったら早めに止まって手当てしてくださいね。

痛くなる場所ごとの対処
慣らしをしていると、たいていどこかが痛くなってきます。痛む場所によって原因が違うので、場所ごとに見ていきますね。
足の甲が痛い
これはとても多いのですが、靴ひもの締めすぎであることがほとんどです。靴そのものが合っていないとは限らないんですよね。
登山靴のひもは上と下で締め分けられます。足首側はしっかり締めて、甲のところは少し緩めてみてください。フックの手前で一度ひもを交差させて止めると、上と下で締め具合を分けられます。
それでも当たるなら、甲の上に来ているひもの位置を1段ずらしてみてください。骨の出っ張りを避けるだけで、痛みがすっと消えることもあります。
下りでつま先が当たる
これはかかとが浮いて、足が前に滑っている状態です。原因は靴ひもか、サイズが大きいかのどちらかですね。
まずは足首側をしっかり締め直してみてください。それで止まるなら、ひもの問題です。締めても滑るようなら、インソールを1枚入れて、靴の中のすき間を減らすのが確実かなと思います。厚い靴下で埋める方法もありますが、下りで靴下がつぶれてしまうので、思ったほどうまくいかないことが多いです。
かかとが擦れる
かかとの上のほうが赤くなるのは、歩くたびにかかとが上下に動いているサインです。
ここも、足首側の締め方で変わることが多いです。締め直してもおさまらないなら、かかとの形が合っていないのかもしれません。山に行く前に分かってよかった、と前向きに考えて、買ったお店に相談してみてください。
小指の付け根が痛い
これは、靴の横幅が合っていないことが多いです。日本人は幅の広い足の方が多いので、幅の広いモデル(3Eなど)があるブランドを選ぶと、解決することがあります。
いま履いている靴でどうにかするなら、その部分だけ靴の中から押し広げてもらう(ストレッチ)という手があります。登山用品店でやってくれるところが多いです。
慣らす前に、見ておくところ
最後に、安全に関わることなので、ここは分けてお話ししておきますね。
しばらく履いていない靴は、まずソールを見る
登山靴の底にはポリウレタンという素材が使われていることが多く、これは履いていなくても年月で分解します。いわゆる加水分解ですね。
怖いのは、前触れがなく、歩いている途中でソールがべろりと剥がれてしまうところです。山の中でこうなると、下りてくるのもひと苦労なんですよね。
数年ぶりに出してきた靴は、履く前にソールの側面を指でぐっと押して、ひび割れや、境目の浮きがないかを見てください。少しでも怪しければ、山では履かないでください。
保管の仕方で、寿命が変わる
モンベルは保管について「風通しが良く、湿度が高くならない場所で、直射日光を避けて保管してください」と案内しています。避けたいのは購入時の靴箱や収納袋など風通しの悪い入れ物と、車の中や野外の物置など高温になる場所です。
乾燥剤の入った袋に入れておくと「加水分解などの劣化を和らげることができる」ともあります。ただし完全に乾かしてからしまうことが前提です。
買ったときの箱に入れて押し入れ、というのがいちばんやりがちで、いちばん良くないんですよね。私も昔、しまったままにしていた靴を1足だめにしました。
よくある質問
登山靴の慣らしは何回くらい必要ですか?
3〜4回、合計5〜6時間が目安です。期間としては2週間から1ヶ月みておくと余裕があります。
ただし回数より大事なのは、1回ごとに脱いで足を見ることです。赤くなっている場所が、山でマメになる場所ですね。
アスファルトで慣らすとソールが削れませんか?
削れますが、慣らしの数時間なら問題になりません。登山靴のゴムは岩をつかむためにやわらかめなので、硬い路面では確かに減ります。
気をつけたいのは、山用の靴を通勤や普段履きにしてしまうほうです。気になるなら河川敷や公園の土の道でもまったく同じことができるので、そちらで大丈夫です。
慣らしはどこを歩けばいいですか?
坂と階段です。平らな道をまっすぐ歩いても当たりはあまり出ません。
登りでかかとが浮かないか、下りでつま先が当たらないか。この2つは山で痛くなりやすい場所なので、歩道橋や駐車場のスロープでもいいので、ぜひ入れてみてください。
足の甲が痛いのですが、靴が合っていないのでしょうか?
たいていは靴ひもの締めすぎです。登山靴のひもは上下で締め分けられるので、足首側をしっかり、甲は緩めにしてみてください。フックの手前で一度交差させて止めると、力が分かれます。
それでも当たるなら、甲に来ているひもの位置を1段ずらすと消えることがあります。
慣らさずに山へ行ったらどうなりますか?
山に入ってから初めて痛みが出ることが多いです。山の中だと、できる手当てがどうしても限られてしまいます。
どうしても時間がないときは、家の中で1時間と階段30分だけでもやっておくと安心です。この2つで、当たる場所はけっこう見つかります。テーピングと絆創膏も多めに持っていってくださいね。
何年も履いていない登山靴は、そのまま使えますか?
まずソールを確認してください。登山靴の底に使われるポリウレタンは、履いていなくても年月で分解します。前触れなく歩行中にソールが剥がれることがあります。
側面を指で押して、ひび割れや境目の浮きがないか見てください。怪しければ山では履かないでください。
新品の登山靴は、どう保管すればいいですか?
モンベルの案内では「風通しが良く、湿度が高くならない場所で、直射日光を避けて」とされています。
やりがちなのが買ったときの箱に入れて押し入れで、これがいちばん良くありません。車の中や野外の物置も高温になるので避けてください。
まとめ
- 慣らしの目的は柔らかくすることではなく、当たる場所を先に見つけることです
- 目安は3〜4回・合計5〜6時間・期間は2週間から1ヶ月
- 歩くのは平地より坂と階段。登りのかかと、下りのつま先を見ます
- アスファルトでソールは削れますが、慣らしの数時間なら問題になりません
- 気になるなら河川敷や公園の土の道でまったく同じことができます
- 足の甲の痛みは、たいてい靴ひも。足首側をしっかり、甲は緩めに
- 下りでつま先が当たるなら、インソールで靴の中のすき間を減らすのが確実です
- 何年も履いていない靴はソールの加水分解を先に確認してください






私の最初のミッドカットの登山靴はキャラバンでした。足に合っていて、長く歩いてもつらくなかったんですが、それでも下りではつま先が痛くなりました。
しかも、階段を下りるくらいでは何ともなくて、ある程度長い時間、下り坂を下ってはじめて痛くなったんですよね。なので、履き慣らしの時点では分からないこともあります。
私の場合は、インソールを入れたら下りの痛みが軽くなりました。慣らしで何も出なかった靴でも、長い下りでは痛くなることがあるので、そのつもりでいると慌てずに済むかなと思います。