登山靴は、最初の1足でつまずきやすい買い物なんですよね。値段の幅が広くて、専門用語も多い。
ただ、初めての1足で見るところは3つしかありません。しかも、行き先によってはまだ買わなくていい場合もあります。
登山靴全体の種類やブランドの話は登山靴の選び方 完全ガイドにまとめてあるので、ここでは初めての1足に絞ります。
その山、まだスニーカーで足ります

で、先に「買わなくていい場合」から書きます。
スニーカーで行ける山
- 石段や木道が整備されている:高尾山の1号路や、ケーブルカー・ロープウェイで上がってからの散策路
- 歩く時間が2時間以内:疲れる前に降りてこられる
- 雨の予報がない
この範囲なら、普段履いているスニーカーで十分かなと思います。むしろ硬い登山靴のほうが歩きにくいこともあるんですよね。
登山靴を買ったほうがいい山
- 土や岩の道になる:濡れた木の根や小石で足を取られます。ソールの溝の深さが、滑りにくさにそのまま出ます
- 下りが長い:登りより下りで足を痛めます。つま先が靴に当たり続けると爪が黒くなります
- 3時間以上歩く:靴底が柔らかいと、後半で足裏が痛くなってきます
境目はだいたい「舗装や木道が終わって、土の道になるかどうか」かなと思います。高尾山でも6号路や稲荷山コースまで行くなら、登山靴のほうが安心して歩けますね。
最初の1足で見るのは3つ

①足の幅が合うか
ここがいちばん大事です。サイズ(長さ)は数字で選べますが、幅は履かないと分からないんですよね。
海外ブランドの靴は細めの作りのものが多くて、日本人の足には当たることがあるんですよね。足の甲が高い人、小指の付け根が張っている人は特にそうです。
幅の表記は「2E」「3E」「3E+」のように書かれます。数字が大きいほど幅広です。合わない靴を我慢して履くと、まず靴擦れします。
②防水かどうか
ゴアテックスなどの防水フィルムが入っているかどうかです。
雨の日に登らないとしても、朝露に濡れた草や、ぬかるみは避けられません。靴下が濡れると足がふやけて、靴擦れしやすくなります。値段は上がりますが、私は最初の1足なら入っているものを選んだほうが後悔が少ないと思います。
③くるぶしの高さ
くるぶしまで覆うミッドカットが、最初の1足では扱いやすいかなと思います。足首が振られにくいですし、砂利や小石も入りにくくなります。
ハイカットは重い荷物を背負うとき、ローカットは軽快に歩きたいとき。この違いはミッドカット登山靴の選び方で詳しく書いています。
試し履きのときに見るところ
- 登山用の厚めの靴下で合わせる。普段の靴下だと本番で窮屈になります
- つま先を靴の先端に当てた状態で、かかとに指1本が入るくらい
- そのうえで紐を締め、つま先に1cmほどの余裕(捨て寸)があるか
- 下りを想定して前傾になる。つま先が当たるなら合っていません
- 足がむくむ午後から夕方に合わせる
初めての1足に向く8モデル
安い順に並べています。比べるところはワイズ(幅)と防水の2つに絞りました。この2つが合っていれば、初心者が歩く範囲では困りません。価格はAmazonの実売で、サイズや色によって動きます。
| 製品名 | こんな人向け | 価格 | ワイズ(幅) | 防水 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|---|
|
アルバートル AL-TS1120
|
価格が最優先 ★★★☆☆ |
約5,300円〜 | 表記なし | 撥水(完全防水ではない) | とにかく安く |
|
キャラバン C1_LIGHT MID
|
最初の1足 ★★★★★ |
約10,900円〜 | 3E相当(日本人向け) | あり | 1万円台の入門 |
|
コロンビア セイバー5 ミッド アウトドライ
|
型落ちで得する ★★★★☆ |
約11,100円〜 | 通常/ワイド(YI8135)あり | アウトドライ | 安く済ませる |
|
コロンビア セイバー6 ミッド アウトドライ YM8972
|
長く買い足せる ★★★★★ |
約12,900円〜 | 通常/ワイド(YI8972)あり | アウトドライ | 街履きも兼ねる |
|
ノースフェイス クレストン ハイク ミッド WP
|
ブランド指名 ★★★★☆ |
約15,300円〜 | 通常 | HydroSeal(ゴアテックスではない) | ブランドで選ぶ |
|
サロモン X ULTRA 360 MID GTX
|
歩きやすさ ★★★★☆ |
約17,500円〜 | やや細身 | GORE-TEX | 歩きやすさ重視 |
|
シリオ P.F.156-3
|
幅広・甲高 ★★★★★ |
約18,300円〜 | 3E+(幅広) | GORE-TEX | 幅広・甲高 |
|
メレル モアブ3 シンセティック ミッド GTX
|
硬いのが苦手 ★★★★☆ |
約20,700円〜 | ワイド展開あり | GORE-TEX | スニーカー感覚 |
1. アルバートル AL-TS1120|いちばん安い選択肢

アルバートル AL-TS1120の価格を比較する
- ワイズ(幅)
- 表記なし
- 防水
- 撥水(完全防水ではない)
- カット
- ミッドカット
- 注意
- メーカー公式サイトが確認できません
- 価格帯
- 約5,300円〜
この記事でいちばん安い1足です。「登山を続けるか分からないので、まず1回試したい」という段階なら選択肢になります。
ただし正直に書いておくと、販売ページの表記は「※完全防水ではありません」です。撥水はしますが、本降りの雨やぬかるみを長く歩くと中に入ってきます。晴れの日の低山、と割り切って使ってください。
メーカーの公式サイトが確認できないので、仕様の裏取りができるのが販売ページだけ、という点も踏まえて選んでください。
こんな人に:年1回行くかどうか、まず試したい人
気になる点:完全防水ではありません。本降りの日は避けてください
2. キャラバン C1_LIGHT MID|日本ブランドの1万円台

キャラバン C1_LIGHT MIDの価格を比較する
- ワイズ(幅)
- 3E相当(日本人向け)
- 防水
- あり
- カット
- ミッドカット
- ブランド
- 日本(キャラバン)
- 価格帯
- 約10,900円〜
迷ったらこれ、と言える1足です。日本のブランドなので、幅が日本人の足に合わせて作られています。海外ブランドが当たった経験がある人でも入りやすいです。
1万円台前半から選べて、防水も入っています。最初の1足に必要なものが全部そろっていて、余計なものが無いという位置づけです。
軽さ寄りの作りなので、テント泊のような重い荷物を背負うようになったら次の靴を考えることになります。逆に言えば、そこまでは十分に使えます。
こんな人に:迷っていて、失敗したくない人
気になる点:軽さ寄りなので、重い荷物には向きません
3. コロンビア セイバー5 ミッド アウトドライ|旧型が残っている間は割安

コロンビア セイバー5 ミッド アウトドライの価格を比較する
- ワイズ(幅)
- 通常/ワイド(YI8135)あり
- 防水
- アウトドライ
- カット
- ミッドカット
- 世代
- 旧型(在庫がある間は割安)
- 価格帯
- 約11,100円〜
ひとつ前の世代が、まだ買えます。現行の6と比べて数千円安く、防水(アウトドライ)もミッドカットも同じように備えています。
初心者が歩く範囲では、5と6で困る差はありません。安く済ませたいなら、在庫がある今のうちが狙い目です。
引き換えに、サイズと色の選択肢はこれから減っていきます。自分のサイズが残っているかどうかが分かれ目です。
こんな人に:同じ性能を安く買いたい人
気になる点:サイズ・色の在庫が減っていきます
4. コロンビア セイバー6 ミッド アウトドライ YM8972|山でも街でも履ける現行型

コロンビア セイバー6 ミッド アウトドライ YM8972の価格を比較する
- ワイズ(幅)
- 通常/ワイド(YI8972)あり
- 防水
- アウトドライ
- カット
- ミッドカット
- 世代
- 現行(サイズ・色が選べる)
- 価格帯
- 約12,900円〜
現行世代のセイバーです。山でも街でも浮かない見た目で、普段履きと兼ねたい人に向きます。
コロンビアの防水はアウトドライという自社の技術で、生地の表側で水を止める作りです。
この靴を選ぶなら、通常幅かワイド(YI8972)かを先に決めてください。世代の違いより、こちらのほうが履き心地の差は大きいです。
こんな人に:普段履きと兼ねたい人
気になる点:5より数千円高くなります
5. ノースフェイス クレストン ハイク ミッド WP|見た目で選んでも失敗しない

ノースフェイス クレストン ハイク ミッド WPの価格を比較する
- ワイズ(幅)
- 通常
- 防水
- HydroSeal(ゴアテックスではない)
- カット
- ミッドカット
- 型番
- メンズNF52321/レディースNFW52321
- 価格帯
- 約15,300円〜
デザインから入っても失敗しにくい1足です。街で履いていても山っぽくなりすぎません。
防水はHydroSealというノースフェイス独自のもので、ゴアテックスではありません。日帰りの低山で困る性能ではありませんが、「ゴアテックスだと思って買う」とズレるので書いておきます。
型番でメンズ(NF52321)とレディース(NFW52321)が分かれています。通販だと写真が同じことがあるので、W が付いているかを確かめてください。
こんな人に:デザインから入りたい人
気になる点:防水はゴアテックスではありません
6. サロモン X ULTRA 360 MID GTX|足首がぶれにくい

サロモン X ULTRA 360 MID GTXの価格を比較する
- ワイズ(幅)
- やや細身
- 防水
- GORE-TEX
- カット
- ミッドカット
- 特徴
- 足首の支えが強い
- 価格帯
- 約17,500円〜
足首の支えがしっかりしていて、長い下りで楽です。サロモンは足を包み込むような作りで、歩いていて靴の中で足が動きにくいのが特徴です。
登山靴としては軽めで、歩き出しの違和感が少ないほうだと思います。
やや細身です。幅で困ったことがある人は、店で履いてから決めてください。ここを外すと、性能のいい靴でも痛くて履かなくなります。
こんな人に:長い下りを歩く予定がある人
気になる点:やや細身。幅広の人は店で確かめて
7. シリオ P.F.156-3|幅で困ってきた人の答え

シリオ P.F.156-3の価格を比較する
- ワイズ(幅)
- 3E+(幅広)
- 防水
- GORE-TEX
- カット
- ミッドカット
- ソール
- ビブラム メガグリップ
- 価格帯
- 約18,300円〜
幅で困ってきた人の答えがこれです。3E+という幅広の作りで、海外ブランドが当たる人、外反母趾が気になる人でも入ります。
日本のブランドで、木型から日本人の足に合わせて作られています。ソールはビブラムのメガグリップなので、濡れた岩でもよく止まります。
この中では高いほうです。ただ、幅が合わない靴を買い直すことを考えれば、最初からここに来るほうが安く付くこともあります。
こんな人に:海外ブランドが当たる人、外反母趾が気になる人
気になる点:この中では高いほうです
8. メレル モアブ3 シンセティック ミッド GTX|スニーカーに近い履き心地

メレル モアブ3 シンセティック ミッド GTXの価格を比較する
- ワイズ(幅)
- ワイド展開あり
- 防水
- GORE-TEX
- カット
- ミッドカット
- 重量
- 約470g(27cm片足)
- 価格帯
- 約20,700円〜
硬い靴が苦手な人向けです。モアブはスニーカーに近い柔らかさで、履き始めの違和感がほとんどありません。
ゴアテックスで防水、ワイド展開もあるので、幅で困っている人にも選択肢になります。約470g(27cm片足)と、この価格帯では軽いほうです。
柔らかいぶん、岩がゴロゴロした道では足裏に伝わってきます。整備された登山道を歩くうちは快適です。
こんな人に:硬い靴が苦手・まず慣れたい人
気になる点:岩場の多い山には物足りません
コロンビア セイバー5と6は何が違う?どっちを買う?
初心者向けの価格帯で人気があるのが、コロンビアのセイバーシリーズです。世代が5と6で分かれていて、店頭でもネットでも両方が並んでいるんですよね。
結論から
- 安く済ませたいなら5:旧世代ですが在庫がまだあり、6より数千円安く買えます。防水(アウトドライ)もソールの基本構造も入っています
- これから長く使うなら6:現行世代なので、サイズや色の選択肢が多く残ります。数年後に買い足すときも同じ型で揃えやすいです
世代より「ワイド」かどうかで決まる
実は5と6の差より、通常幅かワイドかのほうが履き心地の差は大きいんですよね。セイバーは5にも6にもワイド版があります。
- セイバー5:通常が YM8135 系、ワイドが YI8135(レディースは YL2365 / YK2365)
- セイバー6:通常が YM8972、ワイドが YI8972(レディースは YL9060 / YK9060)
型番の頭2文字で見分けられます。足の幅で迷ったことがある人は、世代より先にワイドを探すのがいいと思います。
5と6のどちらを買っても、初心者が歩く山の範囲では困りません。在庫があって、自分の足幅に合うほうを選ぶのがいちばん失敗しません。
レディースはどう選ぶ?
登山靴は、多くのブランドでメンズとレディースが別の型として作られています。単に小さいサイズというわけではないんですよね。
作りが違うところ
- かかとが細い:女性の足はかかとが小さい傾向があるので、そこに合わせて作られています。メンズの小さいサイズを履くと、かかとが浮いて靴擦れの原因になります
- 甲が低め:足の甲の高さも違います
- 幅の展開:ワイドがあるモデルも多く、外反母趾が気になる人はそちらを見てください
型番で見分ける
同じモデル名でも、型番の頭でメンズ/レディースが分かれます。
- ノースフェイス クレストン:メンズが NF52321、レディースが NFW52321(W が付く)
- コロンビア セイバー6:メンズが YM8972、レディースが YL9060(ワイドは YK9060)
- メレル モアブ3:ウィメンズの表記があるもの
ネット通販だと、写真が同じで型番だけ違うことがあるんですよね。買う前に商品名の中の「レディース」「W」の表記を確かめてください。
サイズ感で迷うなら、いちど店で履いてから通販で色を選ぶ、という順番が確実です。足の形は左右でも違うので、必ず両足とも履いてみてください。
よくある質問
サイズは何cm上げればいいですか?
「普段より0.5〜1.0cm上」とよく言われますが、ブランドによって基準が違うので数字だけで決めないでください。正しくは、つま先を靴の先端に当てた状態でかかとに指1本が入り、紐を締めたときにつま先に1cmほどの余裕がある状態です。厚めの靴下で確かめてください。
1万円台の靴でも大丈夫ですか?
大丈夫です。初心者が歩く範囲なら、1万円台で防水・ミッドカットの靴が選べます。値段で変わるのは主にソールの硬さと耐久性で、岩場や重い荷物を背負うようになってから差が出てきます。それより足に合っているかのほうが大事です。
通販で買っても平気ですか?
初めての1足は、できれば店で履いてから買うのをおすすめします。幅とかかとの収まりは、履かないと分からないためです。
どうしても通販になるなら、返品条件を先に確認してからにしてください。なお、Amazonの「試してから買う(Prime Try Before You Buy)」は2025年1月末で終了していますので、その前提で見た情報は古いです。
買ったらすぐ山に行っていいですか?
先に近所を1〜2回歩いてください。新しい靴はどこが当たるか分かりません。当たる場所が本番前に分かれば、紐の締め方やインソールで対処できます。詳しくは登山靴の履き慣らし方にまとめています。
雪の低山にも使えますか?
樹林帯の低山なら、防水でソールが硬めの靴+チェーンスパイク+厚手の靴下で歩けます。ただし森林限界を越える山は別物です。線引きは雪の低山は3シーズン靴で行ける?に書いています。
まとめ
- 整備された道を2時間ほど歩くだけなら、まだスニーカーで足ります
- 買うときに見るのは足の幅・防水・くるぶしの高さの3つ
- いちばん失敗しやすいのは幅。細い靴を我慢して履かないこと
- セイバーは5と6の差より、通常幅かワイドかのほうが大事です
- レディースは小さいサイズではなく別の作り。型番のW・YLで見分けます
1足めは、高いものを買うより自分の足に合うものを買うほうがずっと長持ちするかなと思います。合わない靴は、結局履かなくなるので。



