この記事でわかること|紅葉と静けさに包まれる高原ライド
紅葉に染まる湖畔の森と戦場ヶ原の湿原をめぐる、静けさと絶景の高原ライド。
奥日光・中禅寺湖エリアには、そんな贅沢なサイクリングルートが整備されています。
中禅寺湖は地図上では「一周できそう」に見えますが、実は湖の南岸に道がなく、自転車では完全な一周は不可。
そのかわり、湖畔の紅葉区間と戦場ヶ原を組み合わせた“半周+高原ループ”コースが実走ルートとして定番です。
走行距離は約20km。適度なアップダウンがありながらも、舗装路中心で走りやすく、クロスバイクやEバイクでも快適。
交通量の少ない林道区間も多く、「自然の中をマイペースで走る気持ちよさ」を存分に味わえます。
東京から電車とバスを乗り継いでの日帰りプランも可能。現地にはレンタサイクル(Eバイクあり)もあるため、輪行が不安な方でも安心して楽しめます。
こんな方におすすめです!
紅葉の絶景をサイクリングで楽しみたい
静かな自然の中でリフレッシュしたい
中距離(20km前後)の気持ちいいコースを探している
電車やバスでも気軽に行ける週末旅がしたい
モデルルート紹介|紅葉の湖畔道を走って戦場ヶ原へ、往復20kmの秋旅
今回紹介するモデルコースは、歌ヶ浜駐車場を起点に、湖畔の紅葉ゾーンを抜けて戦場ヶ原の展望台までを往復する約20km。
スタートとゴールは同じ場所ですが、片道10kmの道中には、湖・滝・湿原という変化に富んだ風景が待っています。

実際のルート構成(往復モデル)
ピン | 地点名 | 概要 |
---|---|---|
A(=H) | 歌ヶ浜駐車場(スタート) | トイレ・案内所あり。有料駐車場だが拠点に最適 |
B | イタリア大使館別荘記念公園 | 寄り道スポット。湖面に映る男体山が美しい |
C | 菖蒲ヶ浜レストハウス | 紅葉林道の中間地点。軽食・トイレあり |
D | 竜頭の滝 | 紅葉の名所。自転車を降りて見学ができる立ち寄りポイント |
E | 日本ロマンチック街道合流点 | 湿原エリアへ入る分岐 |
F | 赤沼茶屋・自然情報センター | トイレ・ベンチ完備。休憩に最適 |
G | 戦場ヶ原展望台(折り返し) | 湿原と男体山を見渡す展望スポット |
H | 歌ヶ浜駐車場(ゴール) | 来た道を戻って再びゴール地点へ |
※ルート全体は舗装路中心。交通量の少ない区間も多く、景色を楽しみながら走るのに最適です。
絶景ビュースポット|紅葉トンネルと展望ポイント
出発直後の寄り道|イタリア大使館別荘記念公園で湖ビューを楽しむ

スタートの歌ヶ浜駐車場(A)から、まずは中禅寺湖の東側へ少し逆走して、イタリア大使館別荘記念公園(B)に立ち寄るのがおすすめ。
ここは湖面にせり出したデッキと芝生広場が整備されており、水面越しに男体山を望む絶景スポットとして知られています。
園内は自転車を押しての入場になりますが、ベンチやトイレもあり、紅葉を眺めながらひと息入れるのに最適。
朝の時間帯は観光客も少なく、静かな空間に秋の光が差し込む美しい風景が広がります。
湖畔の紅葉ロード|静けさに包まれる林間サイクリング

歌ヶ浜を通過して本線に合流し、菖蒲ヶ浜レストハウス(C)方面へ進むと、紅葉の見どころが本格化。
湖畔沿いの道にはカラマツやモミジが並び、赤や黄色に染まった“紅葉のトンネル”がしばらく続きます。
このあたりは交通量が少なく、落ち葉が積もる静かな舗装路。
湖面に映る紅葉と男体山の景色が幻想的で、自然にペダルを緩めたくなるような区間です。
竜頭の滝|水音と紅葉に癒される立ち寄りスポット

菖蒲ヶ浜を過ぎた先に現れるのが、紅葉の名所として知られる竜頭の滝(D)。
滝のすぐ横を通る遊歩道に自転車を置いて立ち寄れば、紅葉に彩られた滝と渓流が間近で楽しめます。
滝見茶屋や売店もあるため、ちょっとしたコーヒーブレイクにもぴったり。
紅葉シーズンは混み合う場所なので、早めの時間帯に訪れるのが◎。
湿原と紅葉が交差する|戦場ヶ原展望台で折り返し

赤沼周辺を過ぎ、戦場ヶ原展望台(G)まで進むと、景色は一変。
視界の先にはススキや湿原が広がり、その向こうには紅葉に染まった山々と男体山の姿。
ここが今回の折り返しポイント。
天気の良い日には、空と草原と紅葉の三層が重なった、秋だけの絶景コントラストを堪能できます。
ご褒美スポット|食事・温泉・観光も楽しめる
紅葉の絶景と高原の空気を堪能したあとは、身体と心をゆるめるご褒美タイムを。
中禅寺湖エリアには、ボリューム満点のグルメや、気軽に入れる温泉施設、風情ある観光スポットがコンパクトにまとまっています。
トンカツ浅井|ボリューム満点の老舗とんかつ定食

がっつり食べてエネルギーを補給したいなら、中禅寺温泉街にある「トンカツ浅井」がおすすめ。
精肉店直営のこのお店では、揚げたてジューシーなロースかつ定食や、地元産の豚を使ったメニューが人気です。
自転車で消費したカロリーを美味しく取り戻せるうえ、店の前には簡易的な駐輪スペースあり(サイクルラックは未確認)。
混雑するお昼どきを避けて、11時台や14時以降の訪問が狙い目です。
日帰り温泉|気軽に立ち寄れる立地&本格泉質

サイクリング後に冷えた身体をほぐすなら、温泉街にある日帰り入浴OKの宿泊施設を活用しましょう。おすすめは以下の2つ。
中禅寺金谷ホテル「空ぶろ」
13:00〜15:00の間で日帰り入浴可(1,800円)
湯元温泉からの引湯で、乳白色の硫黄泉&露天風呂付き奥日光ホテル四季彩
15:00〜18:00で受付(1,500円)
森の中に溶け込むような露天風呂が魅力。紅葉露天の名所
どちらもサイクリングの終盤に自転車で立ち寄りやすい距離にあるため、温泉で締めくくるプランにもぴったりです。
イタリア大使館別荘記念公園|帰り道に再訪しても◎

ライドの序盤で立ち寄った人も、時間があれば旅の終わりにもう一度訪れてみるのもおすすめです。
湖の表情は朝と夕方でがらりと変わり、午後の光に照らされた男体山のシルエットは格別。
ベンチに腰掛けて、コーヒー片手に余韻を楽しむにはぴったりの場所です。
アクセス・レンタサイクル・日帰りプランの組み立て方
東京から日帰り可能?モデルスケジュールで比較

中禅寺湖・戦場ヶ原サイクリングは、東京から公共交通で日帰り可能な高原ライドとして貴重な存在です。
以下に、日帰りと1泊2日、それぞれのモデルスケジュールをまとめました。
時間帯 | 日帰りプラン(公共交通) | 1泊2日プラン(公共交通+宿泊) |
---|---|---|
7:00頃 | 浅草駅発(東武特急リバティ) | 同左 |
9:30頃 | 東武日光駅着 → バスに乗換 | 同左 |
10:30頃 | 中禅寺温泉着・ライド開始 | 中禅寺温泉着・観光または前泊 |
10:30〜14:30 | サイクリング(往復20km) | 朝食後〜サイクリング開始 |
15:00〜16:00 | 足湯・昼食など | 昼食・お土産タイム |
16:30頃 | 中禅寺温泉発 → 日光駅へ | 同左 or 夕方まで滞在 |
19:00頃 | 東京方面に帰着 | 夜ゆっくり帰路へ/もう1泊も◎ |
※バスは混雑するため、朝早い便 or 平日利用がおすすめ。
※自転車を持ち込む場合は、輪行袋の使用が必須です。
輪行 or レンタル?初心者にはレンタサイクルもおすすめ

現地には、クロスバイクやEバイクを借りられるレンタサイクル店が複数あります。
輪行がハードルに感じる方でも、手ぶらで高原ライドを楽しめるのが魅力です。
(※ちなみに私は、返却時間を気にしなくていい輪行派。のんびり立ち寄りを楽しみたい派には、マイバイク+輪行が気楽だったりもします)
レンタサイクルの特徴まとめ
中禅寺温泉バス停周辺に複数あり(観光案内所で紹介してもらえる)
クロスバイク、Eバイク、ジュニアバイクなど車種は意外と豊富
アップダウン対策にはEバイクが最適(多くの店がEバイク推し)
紅葉シーズンなど混雑期は事前予約がベター
観光のついでに軽く走るならレンタル、がっつり紅葉サイクリングを堪能したいなら輪行もアリ。
自分のスタイルに合った選択肢を選べるのが、このエリアのいいところです。
マイカー派にも便利な駐車場あり

車で訪れる場合は、スタート地点となる歌ヶ浜駐車場(有料)が便利。
トイレ・案内所も併設されており、レンタルや観光情報の入手にも使えます。
※紅葉シーズンの週末は早朝(8時前)到着がベター。
周辺に有料駐車場も複数あり(300〜500円/日程度)。
秋の高原ライドで気をつけたいこと|寒暖差・補給・熊対策
中禅寺湖〜戦場ヶ原エリアは、標高約1300〜1400mの高原地帯。
秋は紅葉が美しい反面、想像以上に冷え込むことがあるので、事前の備えが安心ライドのカギになります。
① 朝晩は冷える!防風・防寒対策を忘れずに
紅葉シーズンの奥日光は、朝晩10℃を下回ることもある寒冷地帯。
特にサイクリング中は体感温度が下がるため、以下の装備があると安心です。
ウィンドブレーカーやソフトシェルなどの防風ウェア
指ありグローブ(冷えやすい手先をカバー)
ネックゲイターや薄手のキャップ(冷気から顔まわりを守る)
「日中は暑くなって脱ぐ」前提で、重ね着&調整しやすい装備がおすすめです。
- フューチャーライトトレイルピークジャケット
② 補給・トイレは計画的に
湖畔から戦場ヶ原へ向かう道中は、売店や自販機の数が限られます。
特に赤沼以北はトイレや補給ポイントがほとんどないため、早めに準備を済ませておくのが◎。
おにぎり・補給食・水分は出発前に確保
トイレは赤沼茶屋や自然情報センターで済ませる
菖蒲ヶ浜や竜頭の滝にある売店は営業時間を確認しておくと安心
③ 熊鈴・ラジオなど音が出るものがあると安心
奥日光エリアは、クマの生息域でもあります。
日中の観光地では遭遇リスクは低いですが、人通りの少ない林道や早朝の走行時は注意が必要です。
熊鈴や小型ラジオをつけて走る
見通しの悪いカーブでは声を出したり音を鳴らす
クマのフンや掘り跡などに気づいたら、その場で引き返す判断も
「気をつけすぎるくらいでちょうどいい」くらいの心づもりでOKです。
中禅寺湖サイクリングQ&A|行く前に知っておきたい疑問4選
Q. 紅葉の見頃はいつ頃ですか?
例年の見頃は10月中旬〜下旬です。
中禅寺湖畔や竜頭の滝周辺は標高が高く、日光市街より1〜2週間ほど早く色づき始めます。週末は混雑しやすいため、平日や早朝スタートがベターです。
Q. 中禅寺湖って一周できないんですか?
はい。湖の南岸には車道・遊歩道が整備されておらず、自転車での一周はできません。
今回紹介した「半周+戦場ヶ原ループ」が、実際に走行可能なおすすめコースです。
Q. レンタサイクルはどこで借りられますか?
中禅寺温泉バス停周辺にレンタサイクル店が複数あります。観光案内所で紹介してもらえるほか、クロスバイクやEバイクのレンタルが中心です。紅葉シーズンは事前予約が確実です。
Q. ライド後に立ち寄れる温泉はありますか?
中禅寺温泉エリアには、無料の足湯「あんよの湯」や日帰り入浴可能な宿泊施設があります。さらに本格的な温泉に入りたい場合は、バスで日光湯元温泉まで足を延ばすのもおすすめです。
まとめ|静けさの中にこそ、贅沢がある
紅葉に染まる湖と、草紅葉が揺れる湿原。
奥日光・中禅寺湖のサイクリングは、派手な絶景ではなく、じんわりと心に染み入るような風景と時間を届けてくれます。
アップダウンがあってもEバイクで快適に走れ、クロスバイクでも無理なく楽しめる20km前後のコース。
東京からもアクセスしやすく、日帰り旅にも、1泊してのんびり回るスタイルにも対応できる、まさに“週末ベストルート”のひとつです。
紅葉の名所として知られる奥日光ですが、自転車で走ることで見えてくる景色や風の心地よさは、また格別。
静けさの中で、ふと立ち止まりたくなるような贅沢な時間を、ぜひ体験してみてください。