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雪の低山は3シーズン靴で行ける?冬靴が要る境目と、選ぶときの3つ

雪の積もった樹林帯の登山道を歩くハイカーの足元。3シーズンの登山靴にチェーンスパイクを付けている
雪の低山を歩くのに、5万円の冬靴が要るとは限りません。樹林帯の低山や春の残雪期なら、3シーズンの登山靴にチェーンスパイクと厚手の靴下を足せば歩けます。逆に森林限界より上や前爪を使う斜面は、コバのある冬靴でないと危険です。その境目をはっきりさせたうえで、雪で使う靴に求める3つ(防水・ソールの硬さ・アッパーの素材)と、価格帯別の6足をまとめました。
目次
笑い猫

笑い猫

学生時代、「登山靴だけは良いものを買え」と先輩に教わり、当時の筆者にはかなり高額だった5万円の総レザーの冬用登山靴を買ったのを今でも覚えてます。しかし、そのおかげで初めての冬山(谷川岳)でも”足だけは”寒くなかったです。それ以来、靴選びだけは絶対に妥協しないようにしています。

雪の低山を歩いてみたいと思ったとき、最初に引っかかるのが靴なんですよね。「雪山=冬靴」というイメージがあって、5万円前後の値札を見て止まってしまう。

ただ、行き先によっては3シーズン用の登山靴のままで足ります。逆に、3シーズン靴では絶対に行ってはいけない雪もあります。まずはその線引きから見ていきます。

雪の積もった樹林帯に置かれたレザーの登山靴
樹林帯の低山なら、3シーズンのレザー靴で歩けます(画像はイメージです)

3シーズン靴で行ける雪・冬靴が要る雪

3シーズン靴で行ける雪と、冬靴が必要な雪の違いを示した図
同じ「雪山」でも、樹林帯の低山と森林限界より上ではまったく別物です

で、分かれ目は森林限界(樹林帯が途切れる高さ)と斜面の角度です。

3シーズン靴でいい範囲

  • 樹林帯の低山:木があるぶん風が弱く、雪も締まりにくいまま踏み跡が残ります
  • 踏み跡がある日帰りコース:入笠山や北横岳のように、ロープウェイやゴンドラで上がって歩く定番コース
  • 春の残雪期:気温が上がってから雪が消えるまでの間

この範囲なら、チェーンスパイクか6本爪の軽アイゼンを足せば歩けます。靴を買い替えなくても大丈夫です。

冬靴でないと危ない範囲

  • 森林限界より上:風を遮るものがなく、体感温度が一気に下がります
  • 急な斜面をアイゼンで登る場面:前爪を使う12本爪アイゼンは、ソールにコバ(金具を引っ掛ける溝)のある冬靴でないと確実に固定できません
  • 厳冬期の高山:保温材の入っていない靴では、止まっているだけで足先が冷えていきます

3シーズン靴にはコバがありません。ワンタッチ式・セミワンタッチ式のアイゼンは物理的に装着できず、無理に付けても外れます。3シーズン靴で使えるのは、ベルトで巻くタイプ(チェーンスパイク・6本爪の軽アイゼン)までです。

また、冬靴には靴自体に保温材が入っています。3シーズン靴にはそれがないので、厚手の靴下で補うことが前提になります。

で、ここで扱うのは前者、樹林帯の低山とスノーハイクの範囲です。ピッケルを使うような山は対象外なので、そちらへ行くなら保温材入りの冬靴を選んでください。

雪の低山で、靴に求める3つ

雪の低山で登山靴に求める3条件:防水、ソールの硬さ、アッパーの素材
雪で使えるかどうかは、この3つでほぼ決まります

①防水であること

雪は靴の上で溶けて水になります。夏より濡れやすいと考えたほうが正確なんですよね。

靴下が濡れると足が一気に冷えるので、ゴアテックスなどの防水フィルムが内側に入っているモデルを選んでください。ちなみに防水スプレーは表面の撥水を助けるだけで、フィルムの代わりにはなりません。

②ソールが硬いこと

夏靴と冬向きの靴でいちばん違うのが、ここかなと思います。

チェーンスパイクや軽アイゼンのベルトを締めると、柔らかいソールは靴ごとねじれます。歩いているうちに位置がずれますし、締め直すたびに足が圧迫されて痛くなります。

目安は手で持って曲げようとしても簡単には曲がらないくらいかなと思います。ローカットのハイキングシューズやスニーカーは、この時点で候補から外れますね。

③アッパーの素材

足の冷えは、実はここでかなり決まるんですよね。

  • メッシュ主体:軽くて安く、乾きも早い。ただし風を通すので冬は寒く感じます。厚手の靴下が必須です
  • レザー:重くて高い。そのかわり風を通さず、体感がはっきり暖かいです

寒がりな自覚があるなら、価格帯を上げるよりもレザーかどうかで選んだほうが差が出ます。私はここがいちばん体感に出るところだと思っています。

買い替える前に、足すもので届かないか

いま3シーズンの登山靴を持っているなら、先に足回りの小物をそろえたほうが安上がりで、体感の差も大きいことがあります。ただ、靴を買い替えるのはそのあとでも遅くないかなと思います。

厚手のウール靴下

いちばん費用対効果が高いのがこれなんですよね。靴の中の空気の層が増えるので、メッシュの靴でも体感が変わります。夏用の薄手のままだと、どんな靴を履いても冷えます。

チェーンスパイク(または6本爪の軽アイゼン)

雪の低山では、靴の性能より滑り止めの有無のほうが安全に直結します。踏み固められた雪や凍った路面は、登山靴のソールだけではまず止まりません。

ゲイター(スパッツ)

靴の履き口から入る雪を防ぎます。ここから雪が入ると靴下が濡れて、防水の靴でも意味がなくなります。

この3つを足しても足りないと感じるのは、ソールが柔らかすぎるそもそも防水でない場合です。そのときは靴を買い替える番になります。

雪の低山で使える6足

安い順に並べています。1〜2は靴下で保温を補う前提、3〜6はレザーで靴自体が冷えにくいという並びです。価格はAmazonの実売で、サイズや色によって動きます。

製品名 こんな人向け 価格 アッパー素材 ソールの硬さ おすすめ用途
キャラバン C1_02S
キャラバン C1_02S

最安で始める
★★★★☆
約13,300円〜 メッシュ+合成皮革 雪の低山の入門
シリオ P.F.302
シリオ P.F.302

幅広・甲高
★★★★☆
約18,800円〜 撥水マイクロファイバー合成皮革 幅広・甲高の人
キャラバン グランドキング GK85
キャラバン グランドキング GK85

長く使う入口
★★★★★
約29,900円〜 2.0mmヌバックレザー 硬め ステップアップ
スポルティバ TX5 GTX
スポルティバ TX5 GTX

滑りにくさ重視
★★★★☆
約30,300円〜 ヌバックレザー 適度 グリップ重視
ローバー タホープロ II GT
ローバー タホープロ II GT

アイゼンとの相性
★★★★★
約39,600円〜 フルレザー 非常に硬い 長く使う1足
ザンバラン ヴィオーズ LUX GT
ザンバラン ヴィオーズ LUX GT

寒がり・残雪期
★★★★★
約53,400円〜 一枚革フルレザー 硬い 寒がりな人・残雪期

1. キャラバン C1_02S|まず1足めを安くそろえる

キャラバン C1_02S

キャラバン C1_02Sの価格を比較する

アッパー素材
メッシュ+合成皮革
ソールの硬さ
防水
GORE-TEX
重量
約590g(26cm片足)
価格帯
約13,300円〜

雪の低山を一度試してみる、という段階ならこれで足ります。日本のブランドで、足首まわりが柔らかく靴擦れしにくいのが特徴です。ソールには滑り止めを付けても歪まない程度の硬さがあります。
ただしアッパーにメッシュを多く使っているので、冬は素直に寒いです。ここを厚手のウール靴下で埋める前提の1足だと考えてください。逆に言えば、靴下さえ用意すれば樹林帯の低山は問題なく歩けます。

こんな人に:雪の低山を一度試してみたい人

気になる点:メッシュが多く冬は寒い。厚手の靴下が前提です

2. シリオ P.F.302|厚手の靴下でも窮屈にならない

シリオ P.F.302

シリオ P.F.302の価格を比較する

アッパー素材
撥水マイクロファイバー合成皮革
ソールの硬さ
防水
GORE-TEX
ワイズ
3E+(幅広)
重量
約680g(26cm片足)
価格帯
約18,800円〜

幅で困っている人にはこれです。3E+という幅広の作りで、海外ブランドの細い靴が当たる人でも入ります。
雪の靴選びでは、この「幅」が保温に直結します。厚手の靴下を履くと1サイズぶんくらい中が狭くなるので、もともと細い靴だと締めつけて血流が落ち、かえって足先が冷えます。最初から余裕のある作りを選ぶほうが結果的に暖かいです。
素材はメッシュ系なので、保温は靴下で補います。

こんな人に:海外ブランドの靴が幅で合わない人

気になる点:こちらもメッシュ系。保温は靴下で補います

3. キャラバン グランドキング GK85|レザーで冷えにくく、張り替えもできる

キャラバン グランドキング GK85

キャラバン グランドキング GK85の価格を比較する

アッパー素材
2.0mmヌバックレザー
ソールの硬さ
硬め
防水
GORE-TEX
その他
ソール張り替え対応
価格帯
約29,900円〜

「来シーズンも行く」と決まったら、ここが分かれ目です。入門機の上位にあたるモデルで、アッパーの大部分が2mmのヌバックレザー。風を通さないぶん、メッシュの靴より体感がはっきり暖かいです。
ソールも硬く、軽アイゼンのベルトを締めても靴がねじれません。雪面に蹴り込んで足場を作るときも安定します。
ソールの張り替えに対応しているので、履きつぶしても直して使えます。重くはなりますが、雪に何度も行くならここから元が取れてきます。

こんな人に:来シーズンも雪に行くと決まっている人

気になる点:入門機より重くなります

4. スポルティバ TX5 GTX|凍った路面でのグリップが強い

スポルティバ TX5 GTX

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アッパー素材
ヌバックレザー
ソールの硬さ
適度
防水
GORE-TEX
ソール
ビブラム メガグリップ
価格帯
約30,300円〜

凍った路面や濡れた岩でのグリップが強い1足です。ビブラムのメガグリップというソールを使っていて、雪が溶けかけた岩の上でよく止まります。
アプローチシューズ寄りの作りで、この価格帯のなかでは軽快に歩けます。アッパーはヌバックレザーなので、見た目の軽さのわりに風を通しません。
やや細身です。幅広の人はワンサイズ上げるか、厚手の靴下と合わせて店で確かめてください。

こんな人に:岩や凍結路の多いコースを歩く人

気になる点:やや細身。幅広の人はサイズ調整が要ります

5. ローバー タホープロ II GT|締めつけても足が痛くならない

ローバー タホープロ II GT

ローバー タホープロ II GTの価格を比較する

アッパー素材
フルレザー
ソールの硬さ
非常に硬い
防水
GORE-TEX
その他
JAPAN FITラスト・ソール張り替え対応
価格帯
約39,600円〜

軽アイゼンを長くつけて歩くなら、これがいちばん楽です。厚いレザーとパッドがベルトの圧力を分散するので、締め込んでも足が痛くなりません。
ソールはこの中でもっとも硬い部類で、雪面でも足の裏がぶれません。日本人向けのJAPAN FITラストになってからは、幅で困る人も減りました。
重さは正直あります。ゆるい雪道を数時間歩くだけなら、ここまでは要りません。アイゼンをつけている時間が長い人ほど差が出る靴です。

こんな人に:軽アイゼンを長時間つけて歩く人

気になる点:重量があります。ゆるい雪道だけならもっと軽くて足ります

6. ザンバラン ヴィオーズ LUX GT|この中でいちばん暖かい

ザンバラン ヴィオーズ LUX GT

ザンバラン ヴィオーズ LUX GTの価格を比較する

アッパー素材
一枚革フルレザー
ソールの硬さ
硬い
防水
GORE-TEX
その他
ワックスで防水性を維持
価格帯
約53,400円〜

足先の冷えが苦手なら、この記事でいちばん差が出るのはこれです。継ぎ目の少ない一枚革で、冷たい風がほとんど入ってきません。メッシュの靴で我慢してきた人ほど違いが分かります。
ワックスを塗り込むことで革自体が水を弾くようになり、防水は使うほど育ちます。ソールの張り替えもできます。
この記事でいちばん高く、手入れも要ります。年に数回の雪山なら、ここまで出さずに靴下とゲイターで足りることも多いです。

こんな人に:足先の冷えがとにかく苦手な人

気になる点:この記事でいちばん高く、手入れも要ります

笑い猫

笑い猫

雪が多めの山行でメインにしているのがザンバランのヴィオーズです。持った瞬間は「硬っ!重っ!」となるのですが、その頑丈さが冬は何より頼りになります。厚手の登山用靴下と組み合わせると、足元の寒さはほとんど感じません。
一方で3シーズンの縦走にも使っているのがグランドキングGK85で、こちらは見た目に惚れて1ヶ月近く迷って買いました。ソールが硬めなので、雪面に蹴り込むときも安定します。

サイズは「厚手の靴下で」合わせる

冬の靴選びでいちばん失敗しやすいのが、サイズなんですよね。

夏用の薄い靴下でぴったり合わせた靴に、冬の厚手靴下を履いて足を入れると窮屈になります。締めつけて血流が悪くなると、かえって足先が冷えます。保温のために履いた靴下で冷えるという、逆の結果になりかねません。

試し履きのときに見るところ

  • 実際に履く厚手の靴下を持っていく。店で借りられることも多いですが、自分のもので合わせるのが確実です
  • かかとを合わせて紐を締めた状態で、つま先に指1本ぶんの余裕があるか
  • 下りを想定して前傾になってみる。つま先が当たるならサイズか紐の締め方が合っていません
  • 足がむくむ午後から夕方に合わせると、本番との差が小さくなります

幅で悩む場合は、無理に細い靴を選ばないことです。デザインより、厚手の靴下を履いても指が動くかどうかを優先してください。

登山用品店で厚手のウール靴下を履いて登山靴を試し履きする様子
試し履きは、本番で履く厚手の靴下で(画像はイメージです)

よくある質問

3シーズン靴でも雪山は歩けますか?

樹林帯の低山や春の残雪期なら歩けます。条件は防水であること、ソールが硬いこと、厚手の靴下を履くことの3つです。森林限界より上や、前爪を使うような急斜面には向きません。

スノーブーツや長靴ではだめですか?

平坦な雪道なら歩けますが、山では勧めません。ソールが柔らかくて滑り止めが安定して付かないうえ、足首を支える作りになっていないためです。逆に、雪の林道を歩くだけなら長靴のほうが快適な場面もあります。

12本爪アイゼンは3シーズン靴に付きますか?

ベルトで巻くタイプなら形の上では装着できますが、本来の使い方はできません。前爪を蹴り込む使い方はソールの硬い冬靴が前提で、柔らかい靴では爪が刺さる前に靴が曲がります。前爪が要る斜面に行く時点で、靴から見直す場面です。

レザーの靴は手入れが大変ですか?

下山後に泥を落として陰干しし、シーズンに数回ワックスを塗る程度です。手間はかかりますが、そのぶんソールの張り替えも含めて長く使えます。年に数回しか雪に行かないなら、メッシュの靴に厚手の靴下という組み合わせでも十分です。

靴の寿命はどのくらいですか?

履いた回数よりも年数で劣化します。ソールの接着や樹脂は、使っていなくても数年で硬くなって剥離することがあります。買ってから何年経ったかで見て、久しぶりに出すときはソールの側面にひび割れがないか確認してください。

まとめ

  • 樹林帯の低山・春の残雪期なら、3シーズン靴のままで行けます。滑り止めと厚手の靴下を足すのが先
  • 森林限界より上・前爪を使う斜面・厳冬期の高山は冬靴の領域。ここは靴を変えないと危険です
  • 買い替えるなら見るのは防水・ソールの硬さ・アッパーの素材の3つだけ
  • サイズは実際に履く厚手の靴下で合わせる。締めつけは冷えの原因になります

雪の低山は、虫もいなくて汗もかきにくく、空気が澄んでいます。足元さえ間違えなければ、夏より歩きやすい季節です。

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「自転車本体」「自転車旅行装備」「トレッキング装備」「キャンプ装備」は後日公開。