週末にちょっと自転車に乗ってみたいけれど、どこを走ればいいかわからない。体力に自信がないから、あまり長い距離は不安。そんな初心者の方にこそ、関東には整備された走りやすいサイクリングコースが数多く存在します。交通量の少ない専用道や、信号が少なく景色を楽しみながら走れるルートなら、無理なく自転車の楽しさを体感できます。
今回ご紹介するのは、関東エリアで初心者でも安心して走れる5つのサイクリングコースです。いずれも都心や主要駅からアクセスしやすく、平坦で走りやすい環境が整っているため、運動不足の解消や気分転換にも最適です。各コースの距離や所要時間、見どころ、季節ごとの魅力を具体的に解説しますので、次の週末のサイクリング計画にぜひお役立てください。
余談ですが、私も初めてのサイクリングは荒川の土手沿いでした。風を感じながら何も考えずにペダルを漕ぐ時間が、こんなにも心地よいものだとは思いませんでした。自転車に乗るだけで、いつもの景色がまったく違って見えるんですよね。
荒川サイクリングロード(東京都)
出典:青空ライド
東京都北区の岩淵水門から江戸川区の葛西臨海公園付近まで続く荒川サイクリングロードは、都内随一の定番コースです。河川敷の専用道が河口から埼玉県方面まで続く長距離ルートですが、初心者の方には岩淵水門から葛西臨海公園まで片道約20km程度を目安にするとよいでしょう。ほぼ全線が平坦で信号もなく、交通量も少ないため、安心して走ることができます。
アクセスは、東京メトロ南北線「赤羽岩淵駅」から徒歩約5分で岩淵水門に到着します。ここをスタート地点として荒川左岸を南下すれば、途中で東京スカイツリーを眺めながら走ることができます。往復で約40kmとなりますが、体力に応じて10〜15km程度の区間で折り返すことも可能です。所要時間は、片道20kmをゆっくり走って1.5〜2時間程度が目安となります。
河川敷には公園やトイレ、自動販売機も点在しており、休憩スポットに困ることはありません。春には桜並木、秋にはコスモス畑が広がり、四季折々の景観を楽しめます。風が強い日は向かい風がやや厳しく感じられることもありますが、平坦な地形のため初心者でも無理なく走破できます。週末には多くのサイクリストが訪れる人気コースですが、マナーを守って走れば、とても気持ちの良い時間を過ごせるでしょう。
江の島・湘南海岸コース(神奈川県)
出典:藤沢市観光公式ホームページ
神奈川県藤沢市の江の島周辺から茅ヶ崎市にかけて続く湘南海岸サイクリングロードは、海沿いの景色を楽しみながら走れる爽快なコースです。江の島を起点に、片瀬海岸、鵠沼海岸、辻堂海岸を経て茅ヶ崎方面へ向かうルートは、片道約10〜15km程度で初心者にも適した距離感です。海岸線に沿って整備された専用道が続き、ほぼ平坦なため、体力に自信がない方でも無理なく走れます。
アクセスは、小田急江ノ島線「片瀬江ノ島駅」またはJR東海道線「藤沢駅」が便利です。駅周辺にはレンタサイクルショップも多く、手ぶらで訪れても気軽にサイクリングを楽しめます。江の島の弁天橋からスタートし、海沿いを西へ走れば、相模湾の広大な海と富士山(晴天時)の眺望を楽しむことができます。所要時間は、片道10kmを1時間程度、往復で2〜3時間を見込むとよいでしょう。
湘南海岸エリアには、海の家(夏季)やカフェ、公園の休憩スポットが点在しており、途中で立ち寄りながらのんびり走るのもおすすめです。春から秋にかけてはマリンスポーツを楽しむ人々の姿も多く、活気ある海辺の雰囲気を感じられます。ただし、夏の週末は歩行者や観光客で混雑するため、早朝や平日の利用がより快適です。湘南の風を感じながら、開放的な気分でペダルを漕ぐ時間は格別です。
つくば霞ヶ浦りんりんロード(茨城県)
出典:サイクリングいばらき
茨城県の筑波山麓から霞ヶ浦を一周するつくば霞ヶ浦りんりんロードは、全長約180kmにおよぶ日本有数の長距離サイクリングロードです。初心者の方には、JR土浦駅を起点とした霞ヶ浦湖畔の一部区間(片道10〜20km程度)をおすすめします。湖岸沿いの平坦な道が続き、交通量もほとんどないため、初めての長距離走行に適しています。
アクセスは、JR常磐線「土浦駅」が便利です。駅前にはサイクリング拠点施設「りんりんスクエア土浦」があり、レンタサイクルや休憩施設、観光情報の提供を受けられます。ここから湖岸沿いを北上または南下するルートを選べば、霞ヶ浦の広大な水面と筑波山の美しい山容を同時に眺めながら走ることができます。所要時間は、片道10kmを1時間前後、往復で2〜3時間程度が目安です。
廃線跡を活用した区間では、かつての駅舎がカフェや休憩所として再利用されており、レトロな雰囲気を楽しめます。春には桜や菜の花、秋にはコスモスが沿道を彩り、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。湖畔エリアは風が強い日もありますが、遮るものがないため見晴らしは抜群です。茨城ならではの広々とした田園風景の中を、のびのびと走る爽快感は、都心近郊のコースとはまた違った魅力があります。
渡良瀬遊水地周回コース(栃木県・群馬県・埼玉県・茨城県)
出典:わたらせサイクルパーク
栃木県、群馬県、埼玉県、茨城県の4県にまたがる渡良瀬遊水地は、日本最大級の遊水地であり、その周囲を走る周回コースは一周約20km程度です。ほぼ平坦で信号がなく、初心者でも安心して走れる環境が整っています。広大な湿地帯と空が織りなす開放的な景観は、都会では味わえない静けさと自然の豊かさを感じさせてくれます。
アクセスは、東武日光線「板倉東洋大前駅」または「藤岡駅」が便利です。駅から遊水地まで徒歩またはバスで数分の距離にあり、周辺には「道の駅かぞわたらせ」などの休憩施設もあります。レンタサイクルも利用できるため、手ぶらで訪れても気軽に走ることができます。一周20kmを、ゆっくりしたペースで1.5〜2時間程度で走破できます。
渡良瀬遊水地は、ラムサール条約登録湿地でもあり、春から秋にかけて多くの野鳥が飛来します。サイクリングをしながらバードウォッチングを楽しむこともでき、自然観察が好きな方には特におすすめです。春には菜の花やヨシ原の新緑、秋にはススキの穂が一面に広がり、季節ごとに表情を変える景色を堪能できます。風の影響を受けやすいエリアですが、遮るものがないため、空の広さと自然の雄大さを全身で感じられるコースです。
多摩川サイクリングロード(東京都・神奈川県)
出典:青空ライド
東京都と神奈川県の境を流れる多摩川沿いに整備された多摩川サイクリングロードは、都心からアクセスしやすい人気のコースです。羽村市の羽村堰付近から大田区の河口付近までの約50kmにわたり、河川敷の専用道が続きます。初心者の方には、二子玉川や府中周辺の10〜20km程度の区間走行をおすすめします。ほぼ平坦で交通量が少なく、信号もほとんどないため、走りやすさは抜群です。
アクセスは、東急田園都市線・大井町線「二子玉川駅」やJR南武線「府中本町駅」などが便利です。駅から河川敷まで徒歩数分で到着でき、すぐに走り始めることができます。多摩川サイクリングロードは左岸・右岸ともに整備されており、どちらを走っても景色や雰囲気を楽しめます。所要時間は、片道10kmを1時間程度、往復で2〜3時間が目安となります。
河川敷には野球場やサッカー場、公園が点在し、週末にはスポーツを楽しむ人々で賑わいます。春には桜並木が美しく、秋には紅葉が楽しめるスポットもあります。また、二子玉川周辺には商業施設やカフェも多く、サイクリングの前後に立ち寄ることもできます。都心近郊でありながら自然を感じられるこのコースは、気軽に日帰りサイクリングを楽しみたい方に最適です。途中で折り返し地点を自由に設定できるため、体調や時間に合わせて柔軟に距離を調整できるのも魅力です。
サイクリングを始める前の準備
初めてサイクリングに出かける際には、安全で快適な走行のためにいくつかの準備が必要です。まず、自転車の点検は欠かせません。タイヤの空気圧、ブレーキの効き具合、チェーンの状態を事前に確認しましょう。レンタサイクルを利用する場合も、借りる際にスタッフに確認してもらうことをおすすめします。
服装は、動きやすく吸汗速乾性のあるものが適しています。春秋は風を通しにくいウィンドブレーカー、夏は日焼け対策としてアームカバーや帽子があると便利です。冬は防寒対策として手袋やネックウォーマーを用意しましょう。また、ヘルメットの着用は、万が一の転倒時に頭部を守るために非常に重要です。
持ち物としては、水分補給用の飲料、軽食やエネルギー補給食、スマートフォン(地図アプリ利用)、簡易工具セット、パンク修理キットがあると安心です。長距離を走る場合は、途中で休憩を挟みながら無理のないペースで進むことを心がけましょう。
サイクリング前のチェックリスト
- 自転車の点検(空気圧・ブレーキ・チェーン)
- 動きやすい服装と季節に応じた防寒・日焼け対策
- ヘルメットの着用
- 飲料水と軽食の準備
- スマートフォン(地図アプリ)と充電器
- 簡易工具セットとパンク修理キット
よくある質問(FAQ)
初心者はどのくらいの距離から始めるべきですか?
初めてのサイクリングであれば、往復で10〜20km程度から始めるのが無理なく楽しめる距離です。体力や自転車に慣れてきたら、徐々に距離を伸ばしていくとよいでしょう。無理をせず、途中で休憩を挟みながら走ることが大切です。
レンタサイクルはどこで借りられますか?
今回ご紹介したコースの周辺駅や観光施設には、レンタサイクルショップが多く存在します。例えば、土浦駅の「りんりんスクエア土浦」や、道の駅かぞわたらせなどで借りることができます。事前にインターネットで予約できる施設もあるため、確認しておくと安心です。
どの季節がサイクリングに適していますか?
サイクリングに最も適しているのは、春(3〜5月)と秋(9〜11月)です。気温が穏やかで、景色も美しい季節です。夏は早朝や夕方の涼しい時間帯を選び、冬は防寒対策をしっかり行えば、一年中楽しむことができます。
サイクリング中のマナーで気をつけることは?
歩行者優先を心がけ、追い越す際には声をかけるか、ベルを鳴らして知らせましょう。また、並走せず一列で走る、ゴミは持ち帰る、指定された場所以外での駐輪をしないなど、基本的なマナーを守ることが大切です。
まとめ
今回ご紹介した関東のサイクリングコース5選は、いずれも初心者でも安心して走れる環境が整っており、景色や季節の移り変わりを楽しみながら気軽にサイクリングを体験できる場所ばかりです。都心からアクセスしやすく、平坦で走りやすい道が続くため、体力に自信がない方や、週末にリフレッシュしたい方にもおすすめです。
サイクリングは、自分のペースで自然や街並みを楽しめる、とても気持ちの良い活動です。まずは短い距離から始めて、徐々に距離を伸ばしていくことで、自転車の楽しさや爽快感をより深く味わえるようになります。安全に配慮し、マナーを守りながら、ぜひ次の週末に関東のサイクリングコースへ足を運んでみてください。新しい発見と、心地よい疲労感が、きっとあなたを待っています。
次の週末は、自転車に乗って関東の景色を楽しんでみませんか?
お気に入りのコースを見つけて、爽やかな風を感じる時間を過ごしましょう。