なぜ上下セットが基本?レインウェアの役割と選び方
トレッキング中の突然の雨――山ではよくあることです。
そんなときに頼りになるのがレインウェアですが、実は「ジャケットだけ」でなく「パンツも含めた上下セット」が基本装備であることをご存じでしょうか?
なぜ上下セットが必要なの?
レインウェアというと、ついジャケットばかりに目が行きがちですが、パンツの存在は地味に見えてとても重要です。
下半身も確実に濡れる:草や岩に触れるだけで濡れますし、風が強い日や横殴りの雨ではジャケットだけでは不十分。
体温低下の原因になる:濡れたズボンは風を通して体温を奪います。特に気温が低い山中では大きなリスクに。
泥はね・汚れ防止にも◎:特に足元の泥や砂が跳ねやすい下半身は、パンツでしっかりガードすることでズボンが汚れにくくなります。
選ぶべきは「防水+透湿+携帯性」
上下セットで選ぶ場合も、基本のチェックポイントは変わりません。
防水性:耐水圧10,000mm以上が目安。ゴアテックスなら安心。
透湿性:雨だけでなく「汗蒸れ」を外に逃がせるかどうかが重要。
軽量・コンパクト:使用しないときはザックに収納。携帯性は大きなポイント。
また、パンツには「フルジップ」「ハーフジップ」などの仕様があり、靴を履いたまま着脱できるかどうかも重要なポイントです。
上下で買うのがベスト?それとも別売りでもOK?
初心者のうちは、同じブランド・同シリーズの上下を揃えるのがおすすめです。素材や防水性能が統一されており、着心地や動きやすさにもバランスがあります。
一方で、上だけ買って、パンツは別のタイミングで揃えるのもOK。
ただし、その場合はパンツ選びで素材や防水レベルに注意を。上半身だけ完璧でも、下が濡れたら意味がありません。
まずは「上下セット」が基本と覚えておこう!
山のレインウェアは、街用のカッパとは違います。
快適さや安全性を確保するためにも、最初から「上下セットで使う前提」で選ぶことが、トレッキングを快適に楽しむコツです!

初心者におすすめの定番ブランド【上下対応】
トレッキング初心者がまずチェックすべきなのが、信頼性とコスパのバランスが良い定番ブランド。
ここでは、上下セットで揃えやすく、全国のショップでも手に入りやすい3ブランドを紹介します。
Mont-bell(モンベル)|日本が誇る定番中の定番
コスパに優れたレインウェアの代表格がモンベルの「ストームクルーザー」シリーズ。
ジャケットはゴアテックスパックライトプラスを使用しており、耐水圧50,000mm/透湿性43,000g/m²/24hrsという高性能。しかも軽量で収納性も抜群。
【セット例】
ストームクルーザージャケット(メンズ/レディース)
ストームクルーザーパンツ(フルジップ or ハーフジップ)
どちらも単品購入可能ですが、上下で揃えても合計約4万円台と、ゴアテックス上下では圧倒的なコスパ。
パンツは靴を履いたまま着脱できるフルジップ仕様も選べるのが嬉しいポイントです。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)|スタイルと機能性を両立
おしゃれな印象が強いノースフェイスですが、山岳用モデルは本格派。
「クラウドジャケット」は軽量かつスタイリッシュなゴアテックスモデルで、初心者にも扱いやすい一着です。
【セット例】
クラウドジャケット(メンズ/ウィメンズ)
バーサタイルレインパンツまたはドットショットパンツ
上記パンツはややカジュアル寄りですが、ゴアテックス素材を採用したモデルもあり。
登山からタウンユースまで使いたい方にぴったりです。上下で4〜5万円前後が目安。
Columbia(コロンビア)|コスパ重視ならココ!
独自の防水透湿素材「オムニテック」を採用しているコロンビアは、手頃な価格で本格仕様のレインウェアが手に入るブランド。
日帰り登山が中心の初心者に最適です。
【セット例】
ワバシュジャケット(約18,000円)
レインズカレッジパンツ(約10,000円)
上下で揃えても3万円以下という手頃さが魅力。性能的にも雨天の日帰りトレッキングには十分対応できます。
ゴアテックスにこだわらない方にとっては、最強のコスパブランドといえるでしょう。
【まとめ】定番ブランドは「安心・揃いやすい・使いやすい」
これらのブランドは、上下で揃えたときのバランスが良く、サイズ感や機能も統一されているため、失敗しにくいのが特長です。
「まず何を買うか迷ったらこの3つから選べばOK!」というくらい、初心者にとっての鉄板ラインナップです。
知る人ぞ知る!掘り出しブランドで差をつけよう
「人とかぶらないレインウェアがほしい」「もっと動きやすさにこだわりたい」――
そんな方におすすめなのが、知る人ぞ知る掘り出し系ブランドです。
ここでは、上下セットまたは揃えやすいモデル展開がある注目のブランドをご紹介します。
Teton Bros.(ティートンブロス)|機能美と日本人設計の融合
日本生まれのアウトドアブランドティートンブロスは、デザインと機能性の高さで年々人気が急上昇中。
オリジナルの防水透湿素材「Täsmä(タズマ)」を使い、しなやかで動きやすく、蒸れにくいのが特徴です。
【セット例】
TBジャケット
TBパンツ(またはTBパンツフルジップ)
特にフルジップパンツは、靴を履いたままの着脱も楽ちん。山岳アスリートの声を反映した仕様で、見た目以上に本格派。
上下で約5〜6万円前後になりますが、性能と快適性を求めるなら納得の価格です。
Rab(ラブ)|ソフトシェルのような着心地を防水で
イギリスのアルパインブランドRabは、耐候性と動きやすさを両立させた製品作りが特徴。
「Kinetic 2.0 Jacket」シリーズは、防水でありながらストレッチ性が高く、ソフトシェルのような快適な着心地が魅力です。
【セット例】
Kinetic 2.0 Jacket
Kinetic 2.0 Pants(フルジップ対応)
上下で約5万円台。ジャケットとパンツが同素材・同デザインで揃えられるため、統一感ある着こなしが可能。
人とは違う快適な一着を探している方におすすめです。
MILLET(ミレー)|フランスの老舗が誇る高性能素材
フランスの老舗ブランドMILLET(ミレー)は、ハードユースにも耐える信頼のレインウェアを展開。
特に「ティフォン50000」シリーズは、**圧倒的な透湿性(50,000g/m²/24h)**を誇り、夏場の蒸れ対策にも強い味方。
【セット例】
ティフォン50000 ストレッチジャケット
ティフォン50000 ストレッチパンツ
素材・カラーがセットで展開されているため、見た目にも統一感があります。上下で5万円前後と中価格帯ですが、悪天候下でも信頼できるアイテムです。
【まとめ】こだわり派には“知られざる名品”が光る
有名ブランドに比べて取り扱い店舗が少ない場合もありますが、性能・快適性・デザイン性すべてにおいて満足度の高いアイテムが揃っています。
「山でもおしゃれを楽しみたい」「より本格的なモデルがほしい」という方は、これらの掘り出しブランドを要チェックです!
ゴアテックスと代替素材、何が違う?
レインウェアを選ぶ際によく耳にするのが「ゴアテックス」。
でも実際には、各ブランドが開発したオリジナル素材(代替素材)も多く存在します。
ここでは、上下セットで使うことを前提に、素材選びの違いやポイントをわかりやすく解説します。
ゴアテックスの特徴|上下で揃えれば安心感MAX
ゴアテックス(GORE-TEX)は、防水透湿素材の代表格。
耐水圧20,000mm以上・透湿性20,000g/m²/24h以上が一般的で、長時間の雨にも耐え、蒸れを逃がす性能が非常に高いです。
上下ともにゴアテックス素材で揃えることで、全身を完全に防水透湿仕様で包めるのが最大の強み。
たとえば、モンベルの「ストームクルーザー」やノースフェイスの「クラウドジャケット+パンツ」などが代表例です。
【こんな人におすすめ】
雨の中でも長時間歩く予定がある
縦走やテント泊を視野に入れている
一着を長く大切に使いたい
代替素材の特徴|価格を抑えつつ、実用性も十分
近年は、ゴアテックスに頼らずとも十分な性能を持つ防水透湿素材が各ブランドから登場しています。
例としては…
コロンビア:オムニテック
ティートンブロス:Täsmä(タズマ)
モンベル:スーパーハイドロブリーズ
ミレー:ドライエッジ など
代替素材の多くは、耐水性・透湿性ともにやや控えめな数値ですが、日帰り登山や小雨程度なら十分に対応可能。
上下セットで揃えられる製品も増えており、コストを抑えつつ機能性をキープしたい人には最適です。
素材が上下で“チグハグ”だとどうなる?
「上だけゴアテックス」「下は簡易なナイロン素材」――
このような組み合わせだと、下半身が先に蒸れて不快になったり、水がしみやすくなったりするリスクがあります。
理想は、上下で同じレベルの素材を選ぶこと。
同シリーズで揃えるか、最低でも防水性と透湿性の数値が近いものを選ぶと安心です。
【まとめ】性能で選ぶか、価格で選ぶか
性能重視ならゴアテックスの上下セット
コスパ重視なら代替素材の上下セット
どちらにもメリットはありますが、**「素材のバランスが取れていること」**が最も重要。
上半身だけハイスペックでも、パンツが頼りなければ快適さは損なわれます。
初めてのレインウェア選びなら、素材の統一感も意識して選んでみましょう!
上下で揃えたい!おすすめセットアップ5選
ここでは、初心者にも安心しておすすめできる「ジャケット+パンツ」のセットアップモデルを5組厳選して紹介します。
ゴアテックス採用の本格派から、コスパ抜群の代替素材モデルまでバランスよくセレクトしました。
Mont-bell|ストームクルーザー セットアップ
ジャケット:ストームクルーザージャケット
パンツ:ストームクルーザーパンツ(フルジップ/ハーフジップ)
素材:ゴアテックス パックライトプラス
価格帯:上下で約42,000円(税込)〜
圧倒的なコスパと信頼性を誇る国産レインウェアの王道。
軽量・コンパクトで収納しやすく、登山初心者から上級者まで幅広く支持されています。
パンツはフルジップ版も選べ、靴を履いたまま着脱可能。最初の一着に迷ったらコレ!
THE NORTH FACE|クラウドジャケット+マウンテンラウンダーパンツ
ジャケット:クラウドジャケット(NP12405)
パンツ:マウンテンラウンダーパンツ(NP12504)
素材:GORE-TEX Paclite(2.5層構造)
価格帯:上下セットで約54,000円(税込)前後
このセットアップは、軽量性と高い防水透湿性を兼ね備えたGORE-TEX Paclite素材を採用しています。クラウドジャケットは、トレッキングやキャンプなどのアウトドア活動に適したデザインで、携行に便利なスタッフサック付きです。マウンテンラウンダーパンツは、脚上げがしやすく、裾が上がりにくい設計で、フィット感の調節が簡単なスピンドル仕様となっています。
上下合わせて約54,000円という価格帯でありながら、トレッキングに必要な機能を備えているため、コストパフォーマンスに優れたセットアップと言えるでしょう。
Columbia|セントリリアムジャケット+マゲイクハイクレインパンツ
ジャケット:セントリリアムジャケット(XE5850)
パンツ:マゲイクハイクレインパンツ(PM0687)
素材:Omni-Tech(オムニテック)防水透湿素材
価格帯:上下セットで約39,600円(税込)前後
このセットアップは、コロンビア独自の防水透湿素材「Omni-Tech」を採用し、雨天時のトレッキングでも快適な着心地を提供します。セントリリアムジャケットは、軽量でしなやかな質感を持つ20Dナイロンリップストップ素材の2.5レイヤー構造で、夏のハイキングに適したモデルです。マゲイクハイクレインパンツは、サイドジッパー付きで着脱が容易であり、立体裁断により動きやすさも確保されています。
上下合わせて約4万円という価格帯でありながら、トレッキングに必要な機能を備えているため、コストパフォーマンスに優れたセットアップと言えるでしょう。
Teton Bros.|TBジャケット+TBパンツ
ジャケット:TBジャケット(メンズ)
パンツ:TBパンツ(メンズ)
素材:Täsmä(タズマ)防水通気素材
価格帯:上下セットで約125,000円(税込)前後
このセットアップは、Teton Bros.のフラッグシップモデルであり、バックカントリーや厳しい環境下での使用を想定して設計されています。ジャケットとパンツの両方に採用されている「Täsmä」素材は、高い防水性と通気性を兼ね備え、快適な着心地を提供します。
Rab|Kinetic 2.0 Jacket + Pants
ジャケット:Kinetic 2.0 Jacket(メンズ)
パンツ:Kinetic 2.0 Pants(メンズ)
素材:Proflex™(防水透湿性に優れた3層構造)
価格帯:上下セットで約70,000円(税込)前後
このセットアップは、Rab独自のProflex™素材を採用し、ハードシェルの防水性とソフトシェルの伸縮性・通気性を兼ね備えています。Kinetic 2.0 Jacketは、軽量でありながら高い防水性を持ち、トレッキングやクライミングなどのアクティブなアウトドア活動に適しています。Kinetic 2.0 Pantsも同様に、動きやすさと快適性を追求したデザインで、長時間の着用でもストレスを感じにくい仕様となっています。
上下合わせて約70,000円という価格帯でありながら、高い機能性と快適性を備えているため、コストパフォーマンスに優れたセットアップと言えるでしょう。
雨の日でも快適に歩ける!パンツ選びのポイント
トレッキング用レインウェアの「パンツ」は、ジャケットに比べてやや軽視されがちですが、
実は行動中の快適性を大きく左右する重要アイテムです。
ここでは、初心者が特に知っておきたい「パンツ選びのコツ」を解説します。
① フルジップ or ハーフジップ?着脱性が超重要!
登山靴を履いたまま脱ぎ履きできるかどうかで、実用性は大きく変わります。
フルジップタイプ:サイドがすべて開くので、靴を脱がずに着脱可能。突然の雨にもサッと対応できる。
ハーフジップタイプ:軽量・安価で、収納性が高い。履くときは靴を脱ぐ必要がある場合が多い。
雨が降ってから履くことが多い初心者には、フルジップがおすすめ。
ただし軽量性を重視したい人は、ハーフジップ+事前に履いておくという使い方もアリです。
② 裾の絞り調整ができるか?
ズボンの裾がバタつくと、泥はねや草木への引っかかりの原因に。
ドローコードや面ファスナーで裾幅を調整できるモデルなら、シューズや体格に合わせてフィットさせやすくなります。
また、裾が絞れると熱がこもりにくくなる=蒸れ対策にも◎です。
③ シルエット・サイズ感にも注意
レインパンツは「太め」「ゆったり目」の設計が多く、
足さばきのしやすさ
下にタイツや登山パンツを履いた上からの重ね履き
を想定しています。
購入時は、普段着と同じサイズではなく、登山装備込みでのサイズ選びを心がけましょう。
特にネット通販では「ワンサイズ上を選ぶとちょうど良い」場合も多いです。
④ 蒸れやすさは素材とフィット感で決まる
パンツは体との接触面積が広いため、蒸れやすさが気になるポイント。
透湿性の高い素材(ゴアテックス・Täsmäなど)を使ったモデルや、
**裏地に凹凸感がある生地(ドライタッチ素材)**を選ぶと、快適さが段違いです。
また、通気性を確保するためにベンチレーション(通気ジッパー)付きのモデルも要チェック。
【まとめ】パンツにもこだわれば、雨の日の不快感が激減する!
「パンツは安物でいいや…」と妥協してしまうと、
雨の中で足が濡れて冷える
裾から泥や水が入り込む
着脱に時間がかかってストレスに…
といった不快な状況に直結します。
快適に歩き続けたいなら、パンツも「装備」としてしっかり選ぶべき。
上下バランスのとれたセットアップが、あなたの山歩きを一段と快適にしてくれます!
よくある質問(FAQ)
Q1. レインウェアは上下セットでないとだめ?
A.
初心者におすすめなのは、平坦で走りやすい「つくばりんりんロード」や、海沿いの絶景を楽しめる「南房総フラワーライン」です。アクセスも良く、レンタサイクルも充実しているので、初めてのサイクリング旅にもぴったりです。
Q2. 上下バラバラのブランドでもOK?
A. 組み合わせは可能ですが、素材の性能バランスに注意が必要です。
たとえばジャケットが高性能でも、パンツが透湿性の低い素材だと、下半身だけ蒸れてしまうことも。
できれば同じブランド・シリーズで揃えるのがおすすめですが、同等性能の素材なら問題なく使えます。
Q3. パンツはどれくらいの頻度で使う?
A. 実際には「ほぼ毎回持っていく」けれど、「履くのは雨が降ったとき」という使い方が一般的です。
天気が読めない登山では常に携帯しておくべき装備。突然の雨でも慌てず対応できるよう、ザックに収納しておくのが安心です。
Q4. レインウェアは防寒着としても使える?
A. はい、防風性が高いため、風が強い稜線では防寒着代わりにも使えます。
ただし、保温性はあまりないため、寒冷地ではフリースやインサレーションとの併用が必要です。
「風を防ぐシェル」としての役割に期待しましょう。
Q5. レインウェアの寿命はどれくらい?
A. 使用頻度や手入れによりますが、2〜5年が目安です。
使った後はしっかり乾かし、時々専用の洗剤で洗って撥水加工を復活させることで、長持ちさせることができます。
劣化が進むと防水性が落ちるため、定期的なチェックも大切です。