はじめに|登山でレインウェアが「必携」な理由
レインウェアはいらない? ――いえ、“使わなくても持っていく”装備です

登山やトレッキングでのレインウェアは、「実際に着るかどうか」にかかわらず、必ず携行すべき装備です。
晴天予報の日でも、山では急な天候の変化や、稜線での風・冷えにさらされることがあり、「あってよかった」と思える場面が想像以上に多くあります。
特に夏の登山では「結局使わなかった」という日もある一方で、「使わなかったけど、なかったら不安だった」と感じる装備でもあります。そういう意味では、防寒着やヘッドライトと同じ、“安心を買う”タイプの必携アイテムと言えるでしょう。
「どれを選べばいいかわからない」からの卒業

レインウェアは素材・スペック・価格帯が幅広く、「結局どれを選べばいいの?」と悩みやすいアイテムの代表格です。
高性能なGORE-TEX製品から、手頃な価格の上下セット、ストレッチ素材や超軽量モデルまで、選択肢は豊富。そのぶん、登山初心者や買い替え検討中の方にとっては“沼”にもなりかねません。
そこで本記事では、私が実際に使っているモデルや、周囲の信頼できる登山仲間の使用感をもとに、自信を持っておすすめできる5着を厳選して紹介します。
筆者の使っているモデルを含めた、リアルで実用的なラインナップ
今回紹介する5つのレインウェアは、いずれも実際に山で使用された実績があり、信頼できるモデルばかりです。
筆者自身がファイントラックやノースフェイスのモデルを日常的に使用しており、その他も登山仲間から実体験としてのフィードバックをもらっています。
「とにかくコスパ重視」「とりあえず安心できる定番が欲しい」「もうワンランク上の快適さを求めたい」など、読者のニーズに合わせて選びやすいように分類して紹介していきますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
登山レインウェアの選び方|最低限押さえたい3つの視点
防水性と透湿性 ――「水を防ぎ、ムレを逃がす」が基本

レインウェアの性能を語るうえで、まず押さえておきたいのが「防水性」と「透湿性」のバランスです。
防水性(耐水圧)は雨の侵入を防ぐ性能。20,000mm以上あれば、登山では十分。
透湿性は汗などの湿気を外に逃がす性能。高いほどムレにくく快適。
たとえば、モンベルのストームクルーザーやファイントラックのエバーブレスフォトンは、この両立が非常に高い次元でまとまっており、長時間の雨でも快適に行動できる設計になっています。
また、ミレーのティフォン ストレッチは透湿性が50,000g/m²を誇り、「まったくムレを感じなかった」という声もあるほどです。
動きやすさとストレッチ性 ――「着たまま登れる」が重要

登山中は、レインウェアを着たまま長時間行動することも少なくありません。だからこそ、ストレッチ性や立体裁断といった「動きやすさ」は、快適さを大きく左右します。
特に、ファイントラックのようなストレッチ素材を使ったモデルは、レインウェア特有のツッパリ感がなく、「着ていることを忘れる」ほどの軽快な着心地があります。
一方、動きにくい・ゴワつくモデルだと、小雨のときなどに「ちょっと面倒だけど着るか…」という気分になってしまうことも。
レインウェアって、“快適だからつい着ちゃう。ウィンドブレーカー代わりにも使っちゃう”っていうのが理想なんじゃないかな、と最近思っています。
軽さと携帯性 ――結局「持ち歩けるか」がすべて

登山装備はすべてが軽量化との勝負です。レインウェアも例外ではなく、持ち歩いて苦にならない軽さ・パッキングのしやすさが重要になります。
筆者が使っているノースフェイスのフューチャーライト トレイルピークジャケットは、まさにその代表例。ウィンドブレーカー並みの軽さで、常にザックに忍ばせておける安心感があります。
「今日は降らないかも…」というときでも、“とりあえず持っていける”軽さ、小ささは大きな価値です。
登山レインウェアおすすめ5選【筆者・友人の実体験ベース】
ここからは、私自身が実際に使っているモデルや、登山仲間のリアルな使用感をもとに、信頼できる5つのレインウェアを紹介します。
「定番として安心できるもの」「コスパに優れたモデル」「思わず着たくなる快適モデル」など、選びやすさを重視してピックアップしています。
それぞれの特徴や使いどころに触れながら、「自分に合う1着」を見つけてみてください。
モンベル|ストームクルーザー ジャケット Men's
モンベルのフラッグシップモデル、登山者の“基準点”とも言える、まさに定番中の定番モデル。
今まではゴアテックスを使っていたが、今回の第10世代からは独自開発の防水透湿性素材「スーパードライテック®」を使用している。
価格は比較的手頃で、性能と信頼性のバランスが非常に優秀です。
実際、山でこのジャケットを見かけない日はないと言ってもいいほど。はじめての1着にも、買い替えにもおすすめできる、「迷ったらこれ」な王道アイテムです。
同シリーズの「スーパードライテック レインパンツ」との上下セットで揃えると、防水性・軽量性のバランスがさらに高まり、より安心して山行に臨めます。ジャケット同様、パンツも長年の定番アイテムです。
ファイントラック|エバーブレス フォトンジャケット
私が実際に使っている愛用品。
とにかくストレッチ性が高く、着たままでもストレスなく動けるのが最大の魅力です。ファスナーの噛み込みもなく、細部の使い勝手も秀逸。
登山中に長時間着続けることが前提の縦走や悪天候時にも、“着ていて疲れないレインウェア”として信頼できる一着です。
「エバーブレス フォトンパンツ」とセットで使えば、レインウェアとは思えない動きやすさを上下で体感できます。特に縦走やテント泊では、上下ともストレスフリーな着心地が頼りになります。
- エバーブレスフォトンジャケット
- エバーブレスフォトンパンツ
ミズノ|ベルグテックEX ストームセイバーVI
上下セットで2万円以下という価格ながら、耐水圧30,000mm/透湿性16,000gという本格スペック。
“登山ブランドじゃないから…”と侮るなかれ、必要な性能はしっかり押さえているやばいアイテムです。
とにかくコスパ重視で「まず1着揃えたい」という方や、巷で人気のワークマンと迷っている人には、間違いなくこっちが安心です。(もちろんワークマンも最強コスパで全然悪くないんですが、何回かトレッキングとか山登りする予定っていう人は絶対こっち)
私も「レインウェアって何がおすすめ?」という友人には、コスパ枠でこのモデルを必ず選択肢にいれています。
- ベルグテックEX ストームセイバーVI
ノースフェイス|フューチャーライト トレイルピークジャケット
私がサブウェアとして常にザックに入れている超軽量&コンパクトなレインジャケット。日常使いもできるので、持ち歩き回数では一番多いと思います。
ウィンドブレーカー並の軽さとコンパクトさでありながら、しっかり防水。特に「レインウェアを持っていくか迷う日」にこそ頼れる存在です。
日帰り低山や軽装ハイクで「とりあえず必ずザックに忍ばせておく1着」として活躍しています。
「フューチャーライト パラボラパンツ」と合わせれば、超軽量な上下セットが完成。日帰りや夏の低山など、レインウェアを“念のため”携行したいシーンにぴったりなコンビです。
- フューチャーライトトレイルピークジャケット
- フューチャーライトパラボラパンツ
ミレー|ティフォン ストレッチ ジャケット
友人が愛用しているモデルで、実際に見せてもらって驚いた一着。
透湿性50,000という驚異的な数値に加え、ストレッチ素材の快適さと、滑らかな肌触りがとにかく印象的でした。
従来の「レインウェア=ゴワつく、蒸れる」というイメージを覆す快適さで、“雨が降っていないときにも着たくなるレインウェア”として強く記憶に残っています。
同素材の「ティフォン ストレッチパンツ」との組み合わせは、まさに“全天候型”。着心地の良さと蒸れにくさを上下で体感できるので、長時間の山行や雨天時の安心感が違います。
- ティフォン ストレッチ ジャケット
目的・スタイル別に選ぶおすすめモデル
どれも信頼できるモデルですが、実際に選ぶときは「自分の登山スタイル」や「どんな場面で使いたいか」をイメージしておくと、グッと選びやすくなります。
ここでは、筆者や周囲の体験をもとに、用途・重視ポイント別のおすすめモデルを整理しました。
こんな人におすすめ | モデル名(ブランド) | 特長とひとこと |
---|---|---|
初めてのレインウェア、コスパ重視で揃えたい | ベルグテックEX ストームセイバーVI(ミズノ) | 上下セットで2万円以下。登山スペックも十分。コスパ重視の鉄板 |
蒸れにくさ・動きやすさを最重視したい | エバーブレスフォトン(ファイントラック)/ティフォン(ミレー) | ストレッチ素材&高透湿。着ていて快適、“レインウェア感”がほぼない |
定番で安心、長く使えるモデルが欲しい | ストームクルーザー(モンベル) | 王道モデル。登山者の基準点。困ったらこれで間違いない |
軽量・携帯性を優先。持ち歩きやすさ重視 | フューチャーライト トレイルピーク(ノースフェイス) | ウィンドブレーカー感覚で持てる軽さで、日常も◎。日帰り登山や晴れ予報の日に最適 |
よくある質問(FAQ)
Q. レインウェアって、上下セットじゃないとダメですか?
基本的には上下セットで考えるのがベストです。
山では雨だけでなく、濡れた草や泥、岩場などからの“下からの水濡れ”も多く、パンツがないと意外と濡れてしまいます。
ただ、予算や用途によっては「まずはジャケットだけ」という選択もOK。その場合でも、雨具としての役割は最低限果たしてくれます。パンツはあとから買い足しても大丈夫ですよ。
Q. 街でも使えますか?兼用できるレインウェアはどれ?
使えます!
今回紹介したモデルの中では、ノースフェイスのフューチャーライトやミレーのティフォンあたりは、街でも違和感なく使えるデザインとカラー展開があります。
私自身も、「通勤用の雨具がわりに着ることもある」くらいなので、色味とシルエットを選べば、十分兼用可能です。
Q. 夏の登山でもレインウェアって必要ですか?
必要です。むしろ夏こそ油断禁物です。
確かに使わない日もありますが、午後からの急な雷雨や稜線での風冷えなど、夏山ならではのリスクも多いです。
私はこれまで何度も「晴れ予報だったけど、持ってきてよかった」と思ったことがあります。使わなかったとしても、安心感がまったく違います。
Q. レインウェアって洗濯してもいいんですか?
はい、定期的な洗濯とメンテナンスはむしろ必要です。
泥や汗、皮脂が溜まると撥水性や透湿性が落ちるので、専用の洗剤(NIKWAXなど)を使って優しく洗うのがおすすめ。
「撥水が効かなくなってきたな」と感じたら、洗濯後に撥水処理スプレーをかけておくと、性能がグッと復活しますよ。
まとめ|“あえて着たくなる”レインウェアを選ぼう
レインウェアは「使うかどうか」ではなく、「持っているかどうか」が安心感を大きく左右する登山装備です。
特に山の天気は変わりやすく、晴れ予報の日でも「持ってきてよかった」と思う場面は何度もあります。
今回紹介した5つのモデルは、筆者や身近な登山仲間の実体験をもとに選んだ“信頼できる装備”ばかり。
高機能モデルからコスパ重視のセットアップまで、選びやすさとリアルな使い心地を軸にセレクトしました。
どれを選ぶかは、登山スタイルや使う頻度によって変わってきます。
でも、「ちゃんと選んだ1着」があるだけで、山での安心感はぐっと増します。
お気に入りのレインウェアを見つけて、「使わない日でも持っていくのが当たり前」な、そんな登山スタイルを育てていきましょう。