Home トレッキング トレッキング知識 【決定版】登山レインウェアの選び方|初心者セットから最強ジャケットまで失敗しない基準

【決定版】登山レインウェアの選び方|初心者セットから最強ジャケットまで失敗しない基準

【決定版】登山レインウェアの選び方|初心者セットから最強ジャケットまで失敗しない基準
登山用レインウェア、安い雨具と高い雨具の違いは?初心者におすすめの1万円台コスパセットから、アルプス対応の蒸れないハードシェルまで、目的別の選び方を完全ガイド。耐水圧・透湿性の目安やゴアテックスの違いも「10秒診断チャート」で解決。
目次

「山の天気は変わりやすい」という言葉通り、晴天の予報でも突然の雨に見舞われることは珍しくありません。登山においてレインウェアは、単に雨をしのぐだけでなく、低体温症などのリスクから命を守る最重要装備のひとつです。

しかし、ショップに行くと数千円のものから数万円する高価なものまで並んでおり、「どれを選べばいいのか分からない」「高いものじゃないとダメなの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。実は、登る山のレベルや目的に合わせてスペックを選ぶことで、予算を抑えつつ快適な一着を見つけることが可能です。

本記事では、初心者(低山ハイク中心)から中級者(ステップアップ・機能性重視)まで、レベル別におすすめのレインウェアの選び方を徹底解説します。耐水圧や透湿性といった専門用語も分かりやすく解説しますので、ぜひ自分にぴったりの一着を見つけてください。

【10秒診断】あなたはどっち? 目的別・最適解チャート

🅰️ コスパ重視ルート(初心者向け)

  • まずは高尾山や近場の低山から始めたい
  • 夏フェスやキャンプでも使いたい
  • 初期費用は抑えたい(予算1〜2万円)
  • とりあえず「上下セット」で揃えたい
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🅱️ 快適性・ガチルート(中級者〜向け)

  • 富士山、日本アルプス、八ヶ岳などに挑戦したい
  • 今のカッパは「蒸れて暑い」のが不満
  • 予算をかけてでも、快適で安全なものが欲しい(予算3万円〜)
  • レイヤリングしやすい「ジャケット単体」を探している
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レインウェアに必要な性能とは?

レインウェアの撥水・防水イメージ
水滴は弾き、汗の蒸気は外へ。この2つが揃って初めて「登山用」と呼べます。

登山用レインウェアには、一般的なビニール合羽とは異なる2つの重要な機能が求められます。それが「耐水圧(水の侵入を防ぐ力)」「透湿性(蒸れを逃がす力)」です。この2つの数値を理解することが、失敗しない選び方の第一歩です。

耐水圧の基礎知識

耐水圧とは、生地がどれくらいの水圧に耐えられるかを示す数値です。数値が高いほど防水性能が高くなります。一般的な傘の耐水圧が200〜500mm程度であるのに対し、登山では遥かに高い性能が求められます。

  • 低山ハイク・トレッキング:10,000mm以上(大雨に相当)
  • 本格的な登山・縦走:20,000mm以上(嵐に相当)

山では強風によって雨がウェアに叩きつけられるため、圧力が高まります。また、ザックのショルダーベルト部分や、濡れた場所に座った際のお尻部分には体重による圧力がかかるため、最低でも10,000mm、できれば20,000mm以上あると安心です。

透湿性の基礎知識

透湿性(とうしつせい)とは、ウェア内部の汗(水蒸気)を外に逃がす性能のことです。「g/m²/24h」という単位で表され、数値が高いほど蒸れにくくなります。登山は運動量が多く大量の汗をかくため、透湿性が低いと「汗冷え」を起こし、体力を消耗する原因になります。

レベル 透湿性の目安 適したシーン
最低ライン 10,000g/m²/24h 短時間のハイキング、涼しい時期
推奨ライン 20,000g/m²/24h以上 夏山登山、運動量が多い場合
高機能 30,000〜50,000g トレラン、激しい運動、蒸し暑い日

※数値はあくまで目安であり、個人の発汗量や気象条件により体感は異なります。

レベル別:あなたに最適なレインウェアの選び方

低山ハイクと本格登山の装備比較
左は低山ハイク、右は本格登山。装備の厚みも、財布の負担も違います。

レインウェアは「大は小を兼ねる」と言われますが、オーバースペックなものは価格も高くなります。ご自身の登山スタイルに合わせて、最適なバランスのモデルを選びましょう。

初心者レベル(低山ハイク中心・予算重視)

「まずは近場の低山から始めたい」「初期費用を抑えたい」という方には、コストパフォーマンスに優れたモデルがおすすめです。

  • 推奨スペック:耐水圧10,000mm以上 / 透湿性10,000g以上
  • 予算目安:5,000円〜20,000円程度
  • 選び方のポイント:上下セットで販売されているものや、メーカー独自の防水透湿素材を使ったモデルを選ぶと安く抑えられます。

最近ではワークマンなどの作業着ブランドや、アウトドアメーカーのエントリーモデルでも十分な性能を持つ製品が増えています。ただし、透湿性が10,000g未満のものは蒸れやすいため、夏場の使用には注意が必要です。※製品により性能が異なるため、購入前に必ずタグ等のスペック表記をご確認ください。

中級者レベル(本格登山・快適性重視)

「富士山に挑戦したい」「北アルプスに行きたい」「雨の日でも快適に歩きたい」という方は、過酷な環境にも耐えうる高機能モデルへの投資をおすすめします。

  • 推奨スペック:耐水圧20,000mm以上 / 透湿性20,000g以上
  • 予算目安:30,000円〜60,000円程度
  • 選び方のポイント:GORE-TEX(ゴアテックス)などの高性能素材を採用したモデルや、3層構造(3レイヤー)の耐久性が高いものを選びましょう。

高機能モデルは、ベンチレーション(換気機能)や立体裁断など、動きやすさと快適性を高める工夫が随所に施されています。初期投資は高くなりますが、適切にメンテナンスすれば5年程度は使用できるため、長期的に見れば満足度は高いと言えます。

素材別の特徴を理解する

GORE-TEXと他素材の比較イメージ
タグの名前より大事なのは、触って・着て・動いてみた時の感覚です。

レインウェアの性能を決める核心部分は、生地に使われている「メンブレン(防水透湿膜)」の種類です。大きく分けて、圧倒的シェアを誇るGORE-TEXと、各メーカーが独自開発した素材の2種類があります。

GORE-TEX(ゴアテックス)の特徴

防水透湿素材の代名詞とも言える素材です。耐水圧40,000mm以上、透湿性25,000g以上(※種類による)という極めて高い性能を持ち、耐久性も抜群です。「迷ったらゴアテックス」と言われるほどの信頼性がありますが、価格は高めになります。

最近では、薄くて軽い「GORE-TEX PACLITE」や、伸縮性のある「GORE-TEX C-KNIT」など、用途に合わせたバリエーションも増えています。

メーカー独自素材の特徴

モンベルの「ドライテック」やノースフェイスの「フューチャーライト」、ミレーの「ティフォン」などが代表的です。これらはGORE-TEXに匹敵する性能を持ちながら、価格が比較的安い、あるいは「ストレッチ性が高い」「肌触りが柔らかい」といった独自の特徴を持たせているのが魅力です。

特に透湿性に特化した独自素材(例:透湿性50,000gなど)は、蒸し暑い日本の夏山登山ではGORE-TEX以上に快適に感じる場合もあります。

レイヤー構造による違い

3層・2.5層・2層の構造図解
層が多いほど丈夫で快適。でもその分、重くて高い。これがレインウェアの悩ましさ。

同じ素材を使っていても、生地の貼り合わせ方(レイヤー構造)によってレインウェアの性格は変わります。主に以下の3タイプがあります。

構造 特徴 おすすめユーザー
3層(3レイヤー) 表地+防水膜+裏地の3枚貼り合わせ。耐久性が高く、裏地があり肌触りが良い。 本格登山、岩場、冬山
2.5層 裏地の代わりに特殊コーティングを施したもの。軽量でコンパクトだが、汗でペタつきやすい。 トレラン、ファストハイク、予備装備
2層(2レイヤー) 裏地がなく、メッシュ等を当てるタイプ。柔らかいが耐久性は低め。 タウンユース、軽いハイキング

初心者の方は、耐久性と着心地のバランスが良い3層構造か、軽さを重視した2.5層構造のどちらかを選ぶのが一般的です。

サイズ選びと試着のポイント

レインウェア試着時のチェックポイント
腕を上げて、しゃがんで、フリースの上から着て。恥ずかしがらずに動いてみましょう。

レインウェア選びで最も失敗しやすいのがサイズ感です。「普段MサイズだからMでいいや」と選ぶのは危険です。以下のポイントを必ず試着で確認してください。

  1. 重ね着を想定する:
    雨の日は気温が下がります。フリースやダウンなどの防寒着を着た上から羽織っても窮屈にならないか、実際に厚手の服を着て試着しましょう。
  2. 動きの妨げにならないか:
    腕を真上に上げたときにお腹や背中が出ないか、膝を深く曲げたときに突っ張らないかを確認します。
  3. フードのフィット感:
    フードを被って顔を左右に振ったとき、視界が遮られないか確認します。調整用のドローコードの使い勝手もチェックしましょう。

特に海外ブランド(アークテリクス、パタゴニアなど)は、日本サイズより一回り大きいことが多いため、必ずサイズ表を確認するか試着を行ってください。

長持ちさせるメンテナンス方法

レインウェアの洗濯・撥水処理の様子
「洗わない方が長持ち」は大間違い。汚れこそが性能を落とす最大の敵です。

「レインウェアは洗わない方がいい」というのは大きな間違いです。皮脂や汚れが付着すると、撥水性が落ちるだけでなく、透湿性の穴が塞がれて機能が低下します。長く使うために、使用後は適切にメンテナンスを行いましょう。

  • 洗濯表示を確認:必ずタグの洗濯表示に従ってください。基本的にはファスナーを全て閉め、洗濯ネットに入れて洗います。
  • 専用洗剤を使用:一般的な洗剤に含まれる柔軟剤や漂白剤は機能を損なう恐れがあります。アウトドアウェア専用洗剤(ニクワックスやグランジャーズなど)の使用を推奨します。
  • 熱処理で撥水を復活:撥水基は熱を加えることで立ち上がります。洗濯後、低温のアイロン(当て布必須)や乾燥機をかけることで、水弾きが劇的に回復します。

よくある質問(FAQ)

Q: 100円ショップのレインコートやポンチョではダメですか?

おすすめできません。簡易的なビニール合羽は透湿性がなく、すぐに蒸れて汗だくになります。また、ポンチョタイプは風で煽られると足元が見えなくなり、転倒のリスクが高まります。安全のため、上下セパレート型の登山用レインウェアをご用意ください。

Q: 普段着(街着)としても使えますか?

はい、防風性が高いためウィンドブレーカーとしても優秀です。ただし、街着として馴染むようなアースカラー(黒やカーキ)は、山では遭難時に発見されにくい色でもあります。兼用する場合は、ザックカバーを派手な色にするなどの工夫が必要です。

Q: レインウェアの寿命はどれくらいですか?

使用頻度や保管状況によりますが、一般的に5年程度と言われています。生地が加水分解して裏地がボロボロ剥がれたり、シームテープ(縫い目の防水テープ)が剥がれてきたら買い替えのサインです。

まとめ

登山用レインウェア選びは、自分の登山スタイルと予算のバランスを見つけることが重要です。

  • 低山・ハイキング中心なら、耐水圧10,000mm程度のエントリーモデル(5,000〜15,000円)でも十分対応可能。
  • 本格登山や長期使用を見据えるなら、耐水圧20,000mm以上の3層モデル(30,000円〜)への投資が安全と快適さを保証します。
  • 必ず「試着」をして、重ね着した際の動きやすさを確認すること。

お気に入りのレインウェアがあれば、雨の日もまた違った山の表情を楽しむことができます。ぜひあなたにぴったりの一着を見つけて、安全で快適な山歩きを楽しんでください。