はじめに|絶景も楽しめる「低山トレッキング」の魅力
思った以上の絶景に出会える、低山トレッキングの魅力
関東には標高1,000m未満の「低山」が数多くあります。一見地味に思えるかもしれませんが、実はその多くが展望の良い山頂や開放感ある尾根道を備えた“絶景スポット”。都心からのアクセスが良く、短時間で登れるのに、山頂から海や街、遠く富士山まで望めることもあり、「思ったよりすごい」と感じる満足度の高いハイキングが楽しめます。
登山後にふもとの温泉やグルメも楽しめるなど、ちょっとした旅行気分を味わえるのも魅力です。
登山初心者にぴったりな“最初の一歩”に
低山は道標が整備されていることが多く、登山道の勾配も比較的なだらか。登山デビューを考えている人や、親子で楽しみたい人、忙しい日常の合間に自然を感じたい人にもぴったりです。
歩行時間が短いため、登山靴や服装、装備の練習にも最適で、本格的な登山へステップアップする前の準備にもなります。
伊予ヶ岳(千葉県)|房総のマッターホルンで岩稜トレッキング体験
千葉県南部・南房総市に位置する伊予ヶ岳は、標高こそ336.6mと低めながら、山頂部の鋭く尖った岩峰が特徴的で「房総のマッターホルン」とも呼ばれています。県内で唯一「岳」の名を冠するこの山は、コンパクトながら変化に富んだルートが魅力。後半には鎖場もあり、登山初心者の“鎖場デビュー”にもおすすめです。
山頂からは東京湾や館山方面の街並み、天気が良ければ富士山まで見渡せることも。房総の里山らしいのどかさと、本格的な登山の雰囲気を両方味わえる一座です。
― アクセス: JR内房線「岩井駅」からバスで「富山」バス停下車、登山口まで徒歩
― トレッキング難易度:★★★☆☆
― 所要時間の目安:1.5〜2時間(往復)
― おすすめポイント:
鎖場ありの変化に富んだ登山ルート
山頂から東京湾・富士山の眺望
短時間で登れるため、体力に自信のない人にも◎
鎖場デビューにもぴったりな低山

伊予ヶ岳の後半は、岩場に設けられた鎖を頼りに登る場面があります。高度感はそれほどなく、ステップも安定しているため、初心者でも比較的安心して登れます。とはいえ、滑りにくい靴を選ぶなど、安全対策はしっかりと。
海を見渡す絶景の山頂

標高は低いながらも、開けた山頂からは東京湾や伊豆大島、内房の海岸線まで一望。晴れた日には遠くに富士山が見えることもあり、眺望の良さは抜群。達成感のある“ご褒美展望”をぜひ体験してみてください。
日和田山(埼玉県)|花と展望を満喫できる初心者の聖地
西武池袋線・高麗駅から歩いてすぐの場所にある日和田山(305m)は、登山初心者やファミリー層に人気の低山です。登山口からわずか30分ほどで頂上に立てる手軽さがありながら、見晴らしの良さと季節の花々が楽しめることで、多くのハイカーに親しまれています。
春は新緑とヤマツツジ、秋には巾着田のヒガンバナが名物で、山麓から中腹までを彩ります。山頂からは関東平野を一望でき、運が良ければ富士山を望むことも。低山の良さをギュッと詰め込んだ、まさに“初心者の聖地”ともいえる存在です。
― アクセス: 西武池袋線「高麗駅」から徒歩約10分で登山口
― トレッキング難易度:★★☆☆☆
― 所要時間の目安:1〜1.5時間(往復)
― おすすめポイント:
駅から徒歩アクセス、登山口も近い
四季折々の花々(特に秋のヒガンバナ)
富士山も望める開けた山頂
親子ハイクにもおすすめ

標高300mちょっとの山ながら、道標が整備され、斜度も穏やか。ファミリーや初心者が自然に触れるのに最適なコースです。途中にある「男坂(岩場あり)」と「女坂(ゆるやか)」の分岐は、経験や体力に応じて選べるのも魅力です。
里山の花と展望を一緒に楽しむ

山頂からは飯能市街や関東平野が見渡せ、空気の澄んだ日には遠くに富士山も望めます。春や秋はとくに人気の季節で、花と展望の両方を堪能できるベストシーズン。のんびり歩いて写真を撮る楽しさもある、癒し系の山です。
鋸山(千葉県)|ロープウェイでアクセス可!地獄のぞきの絶景体験
東京湾フェリーの発着地・浜金谷に位置する鋸山(標高329m)は、登山・観光の両方が楽しめるユニークな低山です。ギザギザの山容と、断崖絶壁に設けられた展望台「地獄のぞき」が有名で、スリル満点の眺望体験が味わえます。
ロープウェイで山頂付近まで行けるため、体力に自信がない人でも気軽にアクセス可能。日本寺エリアでは、石仏や百尺観音、大仏など歴史的見どころも充実しています。登山・観光・絶景を一度に楽しみたい人にぴったりのスポットです。
― アクセス: JR内房線「浜金谷駅」から徒歩約10分でロープウェイ乗り場
― トレッキング難易度:★★☆☆☆(観光寄り)
― 所要時間の目安:1〜2時間(ロープウェイ利用時)/2.5〜3時間(登山口から往復)
― おすすめポイント:
ロープウェイで楽々アクセス可能
地獄のぞきの断崖から東京湾を一望
日本寺の石仏群・大仏・歴史スポットが豊富
登山と観光を両立できる珍スポット

鋸山の魅力はなんといっても「観光地としての充実度」。地獄のぞき以外にも、石切場跡の幻想的な雰囲気や、切り立った岩壁が「ラピュタの壁」としてSNS映えすると話題に。登山というよりも“探検”のような楽しみ方ができます。
東京湾と富士山を一望できる展望台

晴れた日の地獄のぞきからの眺めは圧巻。東京湾越しに三浦半島や伊豆大島、さらには富士山まで見えることも。標高は低めでも、展望のインパクトは関東トップクラス。海風を感じながらの爽快なひとときをどうぞ。
宝登山(埼玉県)|四季の花と秩父の展望を楽しむ
秩父・長瀞エリアに位置する宝登山(ほどさん/標高497m)は、ロープウェイで山頂近くまでアクセスでき、登山初心者や観光ついでに気軽に楽しめる低山です。山頂には「宝登山神社奥宮」があり、参拝登山としても人気。春の梅や桜、初夏のツツジ、秋の紅葉など、四季を通じて花や自然の変化を感じられるのが魅力です。
晴れた日には秩父連山の稜線が美しく見渡せ、展望台からは浅間連山方面まで視界が広がります。のんびり歩きたい人、家族連れ、花や風景を楽しみたい人にぴったりのハイキングコースです。
― アクセス: 秩父鉄道「長瀞駅」から徒歩15分でロープウェイ乗り場
― トレッキング難易度:★★☆☆☆
― 所要時間の目安:1.5〜2.5時間(ロープウェイ往復利用時)/徒歩登山は3時間前後
― おすすめポイント:
長瀞観光と組み合わせられる好立地
梅百花園や桜の名所としても有名
山頂からの秩父・浅間方面の展望が◎
花の名所として知られる低山

宝登山は「梅百花園」をはじめ、桜やツツジなど季節の花が楽しめることで知られています。特に2月下旬〜3月中旬の梅まつりや、春の桜シーズンは多くの人でにぎわいます。花を目的に訪れる“観賞ハイク”としても満足度が高いコースです。
長瀞観光とセットで楽しむプチハイク

長瀞といえばライン下りや岩畳など観光スポットも豊富。宝登山ロープウェイとあわせて楽しめば、観光とトレッキングのいいとこどり。下山後には名物の「みそポテト」などご当地グルメも味わえるので、観光つきハイキングにぴったりです。
陣馬山(東京・神奈川)|富士山を望む展望台と高尾縦走の起点
陣馬山(じんばさん/標高約855m)は、東京都と神奈川県の県境にある展望の名峰。山頂には白馬の像が立つ広々とした草原が広がり、天気の良い日は富士山や丹沢山系、東京の高層ビル群まで一望できます。初心者でも登りやすいルートが複数整備されており、高尾山〜景信山〜陣馬山へと縦走する「奥高尾縦走路」の西端としても知られています。
特に春や秋は気候も良く、関東近郊で絶景を味わいながら登山気分をしっかり楽しめるコースとして人気。登山後には温泉やグルメを楽しめる周辺環境も魅力です。
― アクセス: JR中央本線「藤野駅」または「高尾駅」からバス/登山口までアクセス良好
― トレッキング難易度:★★★☆☆
― 所要時間の目安:2.5〜3時間(単独登山)/5〜6時間(高尾縦走時)
― おすすめポイント:
広い山頂からの360度パノラマビュー
富士山や丹沢連峰、都心方面の絶景
高尾山〜陣馬山までの縦走が可能
白馬の像が目印の広い山頂

陣馬山の山頂には、戦国時代の陣をイメージした白馬のモニュメントが立ち、ランドマーク的な存在になっています。周囲は草原のように開けており、お弁当を広げてのんびり過ごすのにもぴったり。風が心地よく、晴れた日はつい長居してしまう気持ちよさです。
体力に合わせてルート選択が可能

陣馬山は複数の登山口があり、「藤野駅」から登るコース、「陣馬高原下」バス停から登る定番ルート、高尾山からの縦走路など、体力や時間に応じてアレンジが可能。縦走に挑戦すれば、本格的な登山体験も楽しめます。
初めての低山ハイクで気になることQ&A
Q. 登山初心者でも迷わず登れますか?
はい。今回紹介した山はいずれも登山道がよく整備されており、案内板や分岐の標識も明確です。事前に地図や登山アプリ(YAMAPなど)を確認しておけば、初心者でも安心して歩けます。人が多い山ではすれ違う登山者からの情報も頼りになります。
Q. 低山でも登山靴は必要ですか?
必ずしも本格的な登山靴は必要ありませんが、滑りにくい靴底のトレッキングシューズや運動靴を選ぶのがおすすめです。とくに雨上がりや岩場があるコースでは、滑りやすくなるため注意が必要です。靴擦れ防止のためにも、履き慣れた靴で行きましょう。
Q. 必須の持ち物はありますか?
日帰りであっても、以下のような基本装備は必須です。
水(500ml〜1L程度)と軽食・行動食
雨具(レインウェアなど)
防寒着(春秋は特に)
ヘッドライト(万が一に備えて)
地図・スマホ(充電残量に注意)
夏は帽子と日焼け止め、冬は防寒対策も忘れずに。
Q. どの季節がベストシーズンですか?
関東の低山は春と秋がベストシーズンです。春は花や新緑、秋は紅葉と澄んだ空気で展望も良くなります。夏は暑さと虫が気になる季節、冬は積雪の心配は少ないですが、凍結や冷えに注意しましょう。
Q. 山の天気はどう確認すればよいですか?
山の天気は変わりやすいため、事前のチェックが重要です。
「てんきとくらす(山の天気)」や「YAMAP天気」など、登山者向けの予報サービスが便利です。特に風速や降水確率に注目し、無理のない判断を心がけましょう。
まとめ|関東の低山で、気軽に自然と絶景を味わおう
※本記事の情報は執筆時点のものです。登山前は最新の登山道情報、気象条件を公式サイトや管轄機関でご確認ください。
※所要時間は個人差があります。体力や経験に応じて余裕を持った計画を立ててください。