天城山ハイキングの魅力|苔とブナの原生林、涼しい尾根歩き
「天城越え」でも知られる天城山(あまぎさん)は、伊豆半島のほぼ中央にそびえる連山の総称。その最高峰が万三郎岳(ばんざぶろうだけ/標高1,406m)で、日本百名山にも数えられる伊豆のシンボルです。ブナやヒメシャラの原生林、苔むした森が広がり、標高1,400mの尾根は夏でも比較的涼しく、木々の緑に包まれて歩ける“癒しの森歩き”が楽しめます。この記事では、関東近郊|夏に涼しい沢沿い登山コース6選の番外編として、天城山の周回モデルルート・見どころ・アクセス・注意点をまとめて紹介します。
沢沿いというより「苔と原生林の涼」を味わうコースですが、真夏の低山歩きに疲れたら、少し足を延ばして標高のある森でクールダウン——そんな一日にぴったり。5月中旬〜6月上旬には固有種のアマギシャクナゲが咲き、新緑・紅葉と季節ごとの表情も豊かです。
ルート概要|天城縦走登山口発着・約8kmの周回
| 距離 | 約8km(天城縦走登山口発着・周回) |
| 累積標高差 | 上り約650m |
| 最高地点 | 万三郎岳(標高1,406m/伊豆最高峰) |
| 所要時間 | 約4〜5時間(休憩・展望を含む) |
| 難易度 | 中級(アップダウンと木の根・岩の道。下山路に荒れた区間あり) |
| スタート/ゴール | 天城縦走登山口(天城高原ハイカー駐車場)※周回 |
| アクセス | JR伊東駅から東海バス「天城高原ゴルフ場」行 約55分・天城縦走登山口下車(本数が少ないので要時刻確認)。車は伊豆スカイライン天城高原ICから県道111号、ハイカー専用の無料駐車場(後述) |
| ベストシーズン | 新緑〜初夏(5月中旬〜6月上旬アマギシャクナゲ)・秋の紅葉。夏も標高1,400mで比較的涼しい |
⚠️ 足もと・気象に注意。万三郎岳から下るシャクナゲコース(巻き道)の一部は、大雨のあとに登山道が荒れたり、木の階段が崩れている箇所が報告されています。雨後はとくに滑りやすいので慎重に。伊豆の山は梅雨〜夏にヤマビルが出ることがあり、標高が上がると天気が変わりやすいので雨具は必携。出発前に伊豆市の観光情報やYAMAPなどで最新の登山道状況を確認してください。
見どころガイド|天城縦走登山口から周回、番号順にめぐる
1天城縦走登山口|苔の森へ、四辻から周回スタート

スタートは天城縦走登山口。天城高原のハイカー専用駐車場のそばに登山口があり、駐車場にトイレがあります(冬季閉鎖)。この先にトイレはないので、ここで済ませておきましょう。歩き出してすぐの四辻(よつつじ)が周回の分岐点。ここでは万二郎岳方面(左)へ進み、反時計回りで周回します。さっそく苔むしたブナの森が出迎えてくれます。
2万二郎岳・馬の背|最初のピークと展望


木の根の張った道を登ると、最初のピーク万二郎岳(標高1,299m)。ここから馬の背(うまのせ)と呼ばれる痩せ尾根に出ると、晴れた日には天城の山並みや相模灘、富士山が望めることも。ヒメシャラのつるりとした赤い幹と、足もとの苔のコントラストが美しい区間です。
3アセビのトンネル・石楠立|シャクナゲと原生林


馬の背の先は、アセビ(馬酔木)が頭上を覆う「アセビのトンネル」。さらに進むと石楠立(はなたて)——その名のとおりアマギシャクナゲの群生地で、5月中旬〜6月上旬には淡いピンクの花が原生林を彩ります。天城山を代表する、しっとりと落ち着いた森の道です。
4万三郎岳|伊豆最高峰の山頂

ひと登りで、コース最高地点の万三郎岳(標高1,406m/伊豆半島最高峰)に到着。まわりを木々に囲まれた落ち着いた山頂で、木陰でゆっくり休憩できます。ここまでが登りの核心。ここからは巻き道で下山します。
5シャクナゲコース(巻き道)|苔の森を下って周回


万三郎岳の少し先からシャクナゲコースの巻き道に入り、尾根の北側を巻きながら下ります。苔むした岩とブナの森が続く、天城らしいしっとりした下山路。前述のとおり雨後は荒れて滑りやすい区間があるので慎重に。四辻まで戻れば、ゴールの登山口はもうすぐです。
アクセス・駐車場
公共交通:JR伊東線・伊豆急「伊東駅」から東海バス「天城高原ゴルフ場」行に乗り、天城縦走登山口で下車(約55分)。本数が少ないので、往復とも時刻を必ず事前確認しましょう。
車:伊豆スカイライン天城高原ICから県道111号(遠笠山道路)を天城高原方面へ。ゴルフ場入口手前にハイカー専用の無料駐車場があり、トイレも併設(冬季は閉鎖)。人気コースで休日は満車になりやすく、その場合は少し手前の駐車スペースを利用します。
注意点|安全に楽しむために
- 下山のシャクナゲコース(巻き道)は、雨後に荒れて滑りやすい区間・崩れた木階段が報告されています。時間に余裕をもって慎重に。
- 梅雨〜夏はヤマビルに注意(伊豆の低〜中山域で発生)。塩・忌避剤やスパッツがあると安心です。
- 標高1,400mの尾根は天気が変わりやすい。レインウェア・防寒着を用意し、ガスで展望がきかない日もあると心得ておきましょう。
- 水場・売店はコース上にありません。飲み物・行動食は登山口までに準備を。トイレは駐車場のみ(冬季閉鎖)。
- 周回は反時計回り(万二郎岳先行)が一般的。標識に従い、天城縦走路(縦走の長距離コース)へ入り込まないよう注意。
天城山ハイキングを快適にする装備
木の根や苔の道、雨後に荒れやすい下山路——グリップの良い登山靴と、下りで膝を守るトレッキングポールがあると安心です。標高が上がると天気も変わりやすいので、レインウェアも忘れずに。歩き出す前に、こちらの装備ガイドもチェックしておきましょう。
周辺の見どころ|下山後は「天城越え」の名所へ
天城山の登山口から車で谷へ下ると、文学と歌で知られる名所が点在します。いずれも登山ルート上ではなく、車での移動が必要ですが、下山後の寄り道にぴったりです。
浄蓮の滝

浄蓮の滝(じょうれんのたき)は、落差25m・幅7mの名瀑で「日本の滝百選」のひとつ。玄武岩の岩肌を流れ落ち、川端康成『伊豆の踊子』ゆかりの地としても知られます。滝のそばには石川さゆりの名曲「天城越え」の歌碑が立ち、周囲のわさび田とともに涼を誘います(駐車場から滝つぼへは約200段の階段)。
旧天城トンネル(天城山隧道)

旧天城トンネル(天城山隧道)は、1905年(明治38年)に開通した全長445.5mの総切石造りの道路トンネル。現存する石造の道路トンネルとしては国内最長で、2001年に国の重要文化財に指定されました。苔むした坑口はまさに「天城越え」の世界。内部はひんやりと涼しく、文学散歩の締めくくりにおすすめです。
まとめ|苔と原生林の涼、伊豆最高峰へ
天城山は、苔むしたブナ・ヒメシャラの原生林と、6月のアマギシャクナゲが魅力の周回コース。沢歩きとはひと味違う“森の涼”を味わえる、夏にもうれしい一本です。足もとと天気に気をつけて、伊豆半島の最高峰へ登ってみてください。
ほかの涼しいコースもあわせてチェックするなら、関東近郊|夏に涼しい沢沿い登山コース6選へ。川苔山・ユーシン渓谷・武甲山など、涼を求める夏のルートをまとめています。


