「冬の低山ハイクに挑戦したいけれど、足元が濡れるのが心配」「夏山用の装備だけで大丈夫かな?」そんな不安をお持ちではないでしょうか。
標高1000m〜2000m級の冬の低山は、真っ白な雪原だけでなく、雪解けの泥道や凍結箇所が入り混じる過酷な環境です。ここで最も厄介なのが「足元の濡れ」。靴の中に雪や泥水が侵入すると、不快なだけでなく、最悪の場合は凍傷のリスクにもつながります。
そこで必須となるのが「ゲイター(スパッツ)」です。本記事では、高山用とは異なる「低山ハイク」に最適なゲイターの選び方と、信頼できるアウトドアブランドの現行モデルから厳選したおすすめ7選をご紹介します。
冬の低山用ゲイターとは?夏山との違い
低山でも必要な理由(泥汚れ・雪の浸入・体温調節)
冬の低山では、日当たりの良い場所では雪が溶けて泥状になり、日陰では雪が残っているという状況が頻繁に現れます。ゲイターがないと、跳ね上げた泥がパンツの裾を汚し、深い雪に足を踏み入れた瞬間に靴の中に雪が入り込んでしまいます。
一度靴の中が濡れてしまうと、冬の低温下ではなかなか乾きません。濡れた足先から体温が奪われ、体力を消耗する原因になります。ゲイターは単なる汚れ防止ではなく、足をドライに保ち、体温を守るための「防護壁」なのです。
高山用との違い(丈の長さ・重量・価格)
本格的な雪山(アルプスなどの高山)で使用する「アルパインゲイター」は、厚手の生地でアイゼンの爪から足を守る強度があり、価格も1万円〜2万円と高額です。一方、低山用や夏山用は薄手で軽量なものが多く、数千円で購入できます。
冬の低山ハイクでは、アルパイン用ほどの強度は必ずしも必要ありませんが、夏用の薄すぎるショートスパッツでは雪の侵入を防げません。そのため、「アルパイン用と夏用の中間」に位置する、防水透湿素材を使用したセミロング〜ロング丈のモデルが最適解となります。

最初は「低山だしゲイターなんて要らないでしょ」と思っていましたが、一度雪の侵入を経験すると考えが変わりますね。標高1000m級でも日陰は完全に雪道ですし、泥と雪が混在するとパンツの裾が悲惨なことに。ゲイターは「必須」というより「あると格段に快適」という位置づけです。
失敗しない選び方3つのポイント
ポイント①丈の長さ(ショート/ミッド/ロング)
最も重要なのは「高さ(丈)」です。くるぶし程度の「ショート丈」は、小石や砂の侵入は防げますが、積雪には無力です。雪道を歩くなら、ふくらはぎの中間〜膝下までを覆う「セミロング」または「ロング丈(35〜40cm程度)」を選びましょう。これにより、ラッセル(雪をかき分けて進むこと)が必要な場面でも、靴内への雪の侵入を確実に防げます。
ポイント②素材と透湿性(ゴアテックス/ハイベント/防水ナイロン)
足元は想像以上に汗をかきます。完全防水でも透湿性(湿気を逃す機能)がない安価なナイロン素材だと、自分の汗でゲイターの内側が結露し、結局パンツや靴下が濡れてしまいます。
冬でも快適に歩くためには、「GORE-TEX(ゴアテックス)」や「HYVENT(ハイベント)」、「eVent(イーベント)」などの防水透湿素材を使用したモデルを強くおすすめします。初期投資は少し高くなりますが、快適性と耐久性が段違いです。
ポイント③着脱のしやすさ(フロントジッパー/ベルクロ)
寒い中で手袋をしたまま着脱するため、操作性は重要です。主流は以下の2タイプです。
- フロントジッパー式:イスカなどが採用。噛み合わせが確実で、一度閉めれば外れにくい安心感があります。
- フロントベルクロ(マジックテープ)式:ノースフェイスやORなどが採用。バリバリと剥がして留めるだけなので、着脱が圧倒的に素早く簡単です。凍結しても操作しやすいのがメリットです。
【初心者が見落としがちな重要ポイント】
装着時は、前側のフック(靴の甲側)を靴紐の一番手前(つま先に近い下側)に必ずかけてください。これを怠るとゲイターが上にずり上がってきて、雪の侵入を防げません。後ろ側のベルトはかかとの下を通してしっかり固定しましょう。
ポイント④サイズ選びのコツ(ふくらはぎの太さ+パンツの厚みで判断)
ゲイターのサイズ表記は「S/M/L」が一般的ですが、これは足のサイズ(靴のサイズ)だけでなく、「ふくらはぎの太さ」と「冬用パンツの厚み」で決まります。
特に冬場は厚手のトレッキングパンツやソフトシェルを着用するため、普段のサイズ感よりもワンサイズ上を選ぶ方が着脱がスムーズです。迷ったらワンサイズ上を選ぶと、ストレスなく使えます。
また、ふくらはぎが細い方や女性の場合、メンズのMサイズだと隙間ができて雪が入りやすくなるため、ミッド丈やレディースモデルを検討するのも一つの方法です。
【比較表】冬の低山用ゲイター7選を一覧で比較
各モデルの特徴と価格帯を一目で比較できます。購入の際の参考にしてください。
| 製品名 | 特徴・評価 | 価格 | 高さ | 素材 | 装着方式 | 重量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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イスカ ゴアテックス ライトスパッツ レギュラー 2461
| 定番の日本製ゲイター ★★★★★ | 約6,000円〜7,000円 | 40cm(ロング) | ゴアテックス 3L | フロントジッパー | 約160g |
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アウトドアリサーチ ミッドレングス クロックゲイター 19846275
| 動きやすさと耐久性の両立 ★★★★★ | 約10,000円〜13,000円 | セミロング〜ロング | GORE-TEX 3L・1000D Cordura | フロントベルクロ | - |
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アウトドアリサーチ メンズ クロックゲイター 19846366
| 通称「ワニ」最強の耐久性 ★★★★★ | 約13,000円〜15,000円 | ロング | GORE-TEX 3L・1000D Cordura | フロントベルクロ | - |
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ザ・ノース・フェイス トレッカーズゲイター NN72502
| 柔らかく着脱が楽 ★★★★☆ | 約6,000円〜7,000円 | ロング | HYVENT・40D/150D Nylon | フロントベルクロ | - |
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シートゥサミット アルパインゲイター ST82621
| 高透湿で蒸れにくい ★★★★☆ | 約8,000円〜9,000円 | ロング | eVent・1000D Nylon | フロントベルクロ(幅広38mm) | - |
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オクトス 透湿防水 ライトスパッツ
| 国内縫製でコスパ最強 ★★★★☆ | 約4,000円〜5,000円 | セミロング | 3層透湿防水(エントラント等) | ジッパー+ベルクロ | 約140g |
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イスカ ゴアテックス ライトスパッツ ミッド 2462
| 小柄な方・女性向け ★★★★☆ | 約5,000円〜6,000円 | 32cm(ミドル) | ゴアテックス 3L | フロントジッパー | 約140g |
冬の低山用ゲイターおすすめ7選
ここからは、機能性・信頼性・入手しやすさを基準に厳選した、冬の低山ハイクに最適なゲイター7選をご紹介します。
1. イスカ ゴアテックス ライトスパッツ レギュラー|定番の日本製ゲイター

イスカ ゴアテックス ライトスパッツ レギュラー 2461 の価格を比較する
| 型番 | 2461 |
|---|---|
| 価格帯 | 約6,000円〜7,000円 |
| 高さ | 40cm(ロング丈) |
| 重量 | 約160g(ペア) |
| 素材 | ナイロン100%(ゴアテックス 3レイヤー) |
| 装着 | フロントジッパー |
日本の寝袋・登山用品メーカー「イスカ」が誇る、雪山用ゲイターのド定番モデルです。高さ40cmとしっかり長さがあり、ふくらはぎ全体をカバーできるため、多少の深雪でも安心感があります。
素材には信頼のゴアテックス(3レイヤー)を使用しており、防水性と透湿性は折り紙付き。フロントジッパーにはフラップが付いており、雪の侵入を防ぐだけでなく、アイゼンの爪を引っ掛けてもジッパー本体が破損しにくい設計になっています。ベルクロ式に比べて「バリバリ」という音がしないため、静かな山歩きを好む人にも選ばれています。「迷ったらこれ」と言える、最初の一本に最適なスタンダードモデルです。
2. アウトドアリサーチ ミッドレングス クロックゲイター|動きやすさと耐久性の両立

アウトドアリサーチ ミッドレングス クロックゲイター 19846275 の価格を比較する
| 型番 | 19846275 |
|---|---|
| 価格帯 | 約10,000円〜13,000円 |
| 高さ | セミロング〜ロング |
| 素材 | GORE-TEX 3レイヤー / 脚部内側 1000D Cordura |
| 装着 | フロントベルクロ |
アウトドアリサーチ(OR)の名品「クロコダイルゲイター」の堅牢さを持ちつつ、少し長さを調整して扱いやすくしたモデルです。従来のロング丈だと「膝裏に当たって歩きにくい」と感じていた人や、低山ハイクで「動きやすさ」を重視する人に最適です。
脚の内側(アイゼンガード)には、1000デニールという極厚のコーデュラナイロンを使用。誤ってアイゼンの刃を引っ掛けても簡単には破れない耐久性が魅力です。装着は幅広のベルクロ式で、手袋をしたままでも一瞬で着脱できます。

今筆者がメインで使っているのがこちら。ロングだと長すぎるけど、ショートだと心もとない…と思っていた筆者にはピッタリの長さでした。頑丈なナイロン生地なので、軽アイゼンやチェーンスパイクの取り扱いに慎重にならなくていいのも、大雑把な筆者には向いています(笑)。ベルクロ式は手袋したまま着脱できるのも地味に助かりますね。
Outdoor Research クロックゲイター 公式ページ
3. アウトドアリサーチ メンズ クロックゲイター|通称「ワニ」最強の耐久性

アウトドアリサーチ メンズ クロックゲイター 19846366 の価格を比較する
| 型番 | 19846366 |
|---|---|
| 価格帯 | 約13,000円〜15,000円 |
| 高さ | ロング |
| 素材 | GORE-TEX 3レイヤー / 脚部 1000D Cordura |
| 装着 | フロントベルクロ |
通称「ワニ(クロコダイル)」と呼ばれる、ゲイター界で最も頑丈と言われる伝説的なモデルです。生地の厚みと硬さがあり、直立するほどしっかりしています。アイゼンの爪が刺さっても破れにくい圧倒的な防御力が最大の特徴です。
低山ハイクには少々オーバースペック気味ですが、「道具は良いものを長く使いたい」「将来は北アルプスの雪山にも挑戦したい」と考えている方には最高の投資になります。一度買えば数年は買い替え不要と言われるほどのタフさを誇ります。
Outdoor Research クロックゲイター 公式ページ
4. ザ・ノース・フェイス トレッカーズゲイター|柔らかく着脱が楽

ノースフェイス トレッカーズゲイター NN72502 の価格を比較する
| 型番 | NN72502 |
|---|---|
| 価格帯 | 約6,000円〜7,000円 |
| 高さ | ロング |
| 素材 | HYVENT(防水透湿素材) / 40D・150D Nylon |
| 装着 | フロントベルクロ |
人気ブランド「ザ・ノース・フェイス」の定番ゲイターです。特徴は、柔らかい素材感による足馴染みの良さ。ゴアテックスのようなパリパリとした硬さがなく、歩行時のストレスが少ないのが魅力です。
素材には独自の防水透湿素材「ハイベント」を使用しており、低山ハイクには十分な性能を持っています。フロントベルクロ式で着脱が圧倒的に楽なため、ゲイターの扱いに慣れていない初心者の方にも特におすすめです。また、立体裁断が優秀で、細身のトレッキングパンツでもダボつかず、シルエットが綺麗に見えるのも人気の理由です。
THE NORTH FACE トレッカーズゲイター 公式ページ
5. シートゥサミット アルパインゲイター|高透湿で蒸れにくい

シートゥサミット アルパインゲイター ST82621 の価格を比較する
| 型番 | ST82621 |
|---|---|
| 価格帯 | 約8,000円〜9,000円 |
| 高さ | ロング |
| 素材 | 上部 eVent(高透湿素材) / 下部 1000D Nylon |
| 装着 | フロントベルクロ(幅広38mm) |
上部に「eVent(イーベント)」という高透湿素材を採用したモデルです。ゴアテックス以上に「蒸れ」を逃がす性能が高いとされており、汗かきの方や、運動量の多いハイクスタイルの方に適しています。
シルエットが細身でスッキリしているため、歩行中に反対の足のアイゼンを引っ掛けにくい設計になっています。また、ベルクロの幅が38mmと非常に広いため、激しい動きでも剥がれにくく、雪の侵入を強力にブロックしてくれます。
SEA TO SUMMIT アルパインゲイター 公式ページ(正規代理店)
6. オクトス 透湿防水 ライトスパッツ|国内縫製でコスパ最強

オクトス 透湿防水 ライトスパッツ の価格を比較する
| 価格帯 | 約4,000円〜5,000円 |
|---|---|
| 高さ | セミロング |
| 重量 | 約140g(平均) |
| 素材 | 3層透湿防水素材(東レ エントラント等) |
| 装着 | フロントジッパー + ベルクロ |
石川県の登山用品メーカー「オクトス」のオリジナル製品です。有名ブランドの下請けも行う高い技術力を活かし、ゴアテックス同等の3層構造生地を使用しながら、価格を大幅に抑えたコストパフォーマンス最強のモデルです。
「年に数回しか雪山に行かないから、装備費は抑えたい」という層にはベストアンサーと言えます。パッケージなどを簡素化してコストを下げていますが、縫製は国内工場。品質には妥協がありません。フロントはジッパーとベルクロの二重構造になっており、防水性も十分。シンプルながら基本をしっかり押さえた実力派です。
7. イスカ ゴアテックス ライトスパッツ ミッド|小柄な方・女性向け

イスカ ゴアテックス ライトスパッツ ミッド 2462 の価格を比較する
| 型番 | 2462 |
|---|---|
| 価格帯 | 約5,000円〜6,000円 |
| 高さ | 32cm(ミドル丈) |
| 重量 | 約140g |
| 素材 | ナイロン100%(ゴアテックス 3レイヤー) |
| 装着 | フロントジッパー |
1番で紹介したレギュラーモデル(40cm)だと、「膝裏に当たって痛い」「長すぎて歩きにくい」と感じる小柄な方や女性向けのミドル丈(32cm)モデルです。
高さが低い分、軽量で足さばきが良く、圧迫感も少なくなります。積雪がそれほど深くない低山ハイクであれば、この「ミッド丈」が一番快適というベテランハイカーも多いです。もちろん素材は安心のゴアテックスを使用しています。
ゲイター選びで迷ったら?タイプ別おすすめ
ここまで7つの商品を紹介しましたが、「結局どれを選べばいいの?」と迷ってしまう方もいるかもしれません。重視するポイント別に、おすすめのモデルを整理しました。
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【初心者・迷ったらこれ】:イスカ|ライトスパッツ レギュラー
実績No.1のド定番。どんな靴やウェアにも合わせやすく、基本性能が高いので失敗がありません。 -
【着脱の楽さ重視】:ザ・ノース・フェイス|トレッカーズゲイター
ベルクロ式でストレスフリー。柔らかい履き心地を求める方に最適です。 -
【頑丈さ・本格派】:アウトドアリサーチ|クロックゲイター
多少高くても良いものを長く使いたい、将来はより高い山を目指したい方への投資として間違いありません。 -
【コスパ重視】:オクトス|透湿防水 ライトスパッツ
性能と価格のバランスが優秀。使用頻度がまだ分からない雪山デビューの方におすすめです。

正直、最初は「どれも同じでしょ」と思っていましたが、使ってみると違いが分かります。着脱の頻度が高い人はベルクロ式、静かな山歩きを好む人はジッパー式という選び方もアリですね。私はベルクロ派ですが、友人はジッパー派が多いです。用途と好みで決めれば間違いないかなと。
まとめ|低山ハイクでも足元の濡れ対策が最優先
冬の低山ハイクを楽しむためには、寒さ対策だけでなく「濡れ対策」が何よりも重要です。高性能なゲイターが一つあれば、泥で汚れる不快感や、靴の中に雪が入る冷たさから解放され、快適に山歩きを楽しめます。
【アイゼン使用時の注意点】
軽アイゼンやチェーンスパイクを使用する場合、歩行中に反対足のアイゼンの爪でゲイターの内側を破いてしまうケースが非常に多いです。特に冬山に慣れていない初心者の方は、歩き方が定まらず引っ掛けやすい傾向にあります。
万が一破損しても応急処置ができるよう、ナイロン補修テープ(リペアシート)をザックに忍ばせておくと安心です。テント泊用の装備補修にも使えるため、山行の必需品として持っておくことをおすすめします。
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ぜひ自分のスタイルや体型に合った一本を見つけて、冬の澄んだ空気と景色を存分に味わってください。※価格や仕様は変更される場合がありますので、購入前に必ず各販売サイトで最新情報をご確認ください。







冬の低山ハイクを始めた頃、ゲイター(スパッツ)の存在を知らず、靴の中がびちゃびちゃになった経験があります。雪が溶けて靴の中でグチャグチャになるんですよね。ゲイターを使うようになってからはそんな心配もなく、快適に歩けています。余談ですが、夏の富士登山でも大活躍でした。特に下りの砂走りで小石が靴の中に入らなくなるのが最高です。