登山用のザックを30L前後で探していると、だいたいミレー・カリマー・グレゴリーの3つに行き着きます。で、そこから先が決まらないんですよね。
どれも評判はいいし、値段もそこまで変わらない。スペック表を見比べても、決め手になるような差が見つからないという感じかなと思います。
なので、この記事では「どっちを選べばいいか」を先に書きます。3ブランドの性格の違いから入って、迷いどころを1つずつ潰していきます。
先に結論:3ブランドの違いは「背中の作り」です
細かい話はいろいろあるのですが、いちばん大きく違うのは背中の作りです。ここが各社の一番の売りになっていて、背負い心地の差もほぼここから来ています。
| ブランド | 背中の作り | 得意なこと | この記事の価格帯 |
|---|---|---|---|
| ミレー (フランス) |
背中にぴったり密着させる | 荷物が重くてもブレない。雨に強い | ¥12,296〜¥21,998 |
| カリマー (イギリス) |
体の動きに合わせて動く | 長時間歩いても疲れにくい | ¥23,238〜¥25,778 |
| グレゴリー (アメリカ) |
背中から浮かせる(メッシュを張る) | 背中が蒸れない | ¥23,760 |
※価格は2026年7月時点のAmazon実売(各モデルの最安)。メーカー希望小売価格は下の各モデル欄に載せています。
「背面」という言葉について
ザックの話に「背面(はいめん)」という言葉がよく出てきます。背中に当たる部分のことです。ここにどんな仕組みを入れるかで、各社の性格が分かれています。
- ミレー…背中にクッションを当てて、ザックを体に引き寄せます。荷物が揺れにくいです
- カリマー…肩と腰のベルトが体の動きに追従します。歩くリズムを邪魔しません
- グレゴリー…背中とザックの間にメッシュを張って、すき間を作ります。空気が通るので汗が乾きます
どれが優れているという話ではなく、狙っているものが違います。なのでこの後は「あなたがどれを気にするか」で分けていきます。

カリマーとミレー、どっちを選ぶか
どっちが向いているか
| こういう人は | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 予算を抑えたい | ミレー | この価格帯で1万円台前半から選べるのはミレーだけです |
| 雨の日も歩く | ミレー | サースフェーNXは生地に撥水加工がしてあります |
| とにかく歩く距離が長い | カリマー | 体の動きに合わせて動く背面。疲れにくさに全振りしています |
| できるだけ軽くしたい | カリマー | cleave 30 は同じ30Lでサースフェーより約400g軽いです |
| 小屋泊まで見据えている | ミレー | サースフェーNXは30L+5Lまで伸びます |
まず、値段がけっこう違います
正直、迷ったときに最初に見るべきはここかなと思います。
カリマーはこの3社の中でいちばん高いです。メーカー希望小売価格でいうと、リッジ30+が3万1,900円、クリーブ30が3万1,350円。ミレーのウェルキン25は1万6,500円なので、倍近い差があります。
で、これは品質の差というより作りの差です。カリマーは背面の構造にコストをかけているので、その分が価格に出ています。
初めての1個で、まだ登山を続けるか分からない段階なら、ミレーから入るのは合理的な選択かなと思います。逆に「もう続けると決めている」「毎週のように歩く」ということなら、カリマーの背面はその価格差に見合ってくると思います。
雨の日をどうするか
ミレーのサースフェーNXは、生地そのものに撥水加工がしてあります(耐水圧1,500mm以上)。多少の雨なら中まで染みてきません。
カリマーとグレゴリーはレインカバー(ザックにかぶせる雨よけ)で対応するのが基本です。付属しているモデルもありますが、していないこともあるので購入時に確認してください。
どちらが正しいという話でもないです。本降りになればどのみちレインカバーは要りますし、生地の撥水も永久には続きません。ただ小雨や霧のときに、いちいちカバーを出さなくていいのはラクだなと思います。
400gの差
サースフェーNX 30+5 は1,500gです。クリーブ30 は約1,100gなので、400gの差があります。
400gというと、水を1本弱といったところです。数字で見ると小さいのですが、これは「空の状態」の差なので、荷物を入れた後もずっと付いてまわります。
とはいえ、サースフェーが重いのは雨に強い生地としっかりした背面を積んでいるからでもあります。軽さを取るか、丈夫さを取るかということですね。

グレゴリーはどういうときに選ぶか
3社目のグレゴリーはどこに入るのか、という話もしておきます。
グレゴリーを選ぶ理由は、ほぼ1つに絞れます。背中が蒸れないことです。
ズール30の背面は、背中とザックの間にメッシュを張って、すき間を作る作りになっています。ザック本体が背中に触れないので、空気が通ります。
夏の低山だと差が出ます
背中がびっしょり濡れると、休憩したときに一気に冷えます。汗冷えは夏でも起きます。
なので「夏によく歩く」「汗をかきやすい」という自覚があるなら、グレゴリーは有力な選択肢です。
引き換えになるもの
- 荷物が背中から少し離れます。すき間を作っている以上、重心が体から遠くなります。重い荷物だと後ろに引っぱられる感じが出ます
- その分、容量が食われます。同じ30Lでも、背面が湾曲しているぶん荷物の入れ方に少しコツが要ります
つまり「軽めの荷物で、夏に歩く」ならグレゴリー、「重い荷物を背負う」ならミレーかカリマーという分かれ方になります。
ミコ25はズールの弟分にあたるモデルで、同じ背面の作りをそのまま25Lに縮めたものです。日帰りだけと決まっているなら、こちらのほうが扱いやすいと思います。
6モデルを並べて比べます
安い順に並べています。価格はAmazonの実売です。メーカー希望小売価格は各モデルのスペック欄に入れています。
| 製品名 | こんな人向け | 価格 | 容量 | 重量 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|---|
|
ミレー ウェルキン 25 MIS0758
|
最安で始める ★★★★☆ |
約12,200円〜 | 25L | 810g | いちばん安く始めたい人。日帰り専用 |
|
ミレー サースフェー NX 30+5 MIS0756
|
日帰り〜小屋泊 ★★★★★ |
約21,900円〜 | 30+5L | 1500g | 日帰り〜小屋泊。雨に強い定番 |
|
カリマー cleave 30
|
軽さ優先 ★★★★☆ |
約23,200円〜 | 30L | 約1100g | 軽さと今っぽい見た目の両立 |
|
グレゴリー ズール 30
|
蒸れ対策 ★★★★★ |
約23,700円〜 | 30L | 約1300g | 背中の蒸れが気になる人 |
|
グレゴリー ミコ 25
|
日帰り特化 ★★★★☆ |
約23,700円〜 | 25L | 約1100g | 日帰りを軽快に。ズールの弟分 |
|
カリマー ridge 30+
|
長い距離を歩く ★★★★★ |
約25,700円〜 | 30+L | 約1400g | 背負い心地を最優先する人 |
1. ミレー ウェルキン 25 MIS0758|いちばん安く始めたい人へ

ミレー ウェルキン 25 MIS0758の価格を比較する
- 容量
- 25L
- 重量
- 810g
- 背面
- 通気パネル
- メーカー希望小売価格
- ¥16,500
- 価格帯
- 約12,200円〜
この記事でいちばん安い1本です。Amazonで1万2千円台なので、登山を続けるか分からない段階でも手が出しやすいです。
25Lなので日帰り専用と割り切ってください。810gと軽いので、低山を歩くぶんには十分です。ミレーの背面は背中に密着させる作りなので、荷物が揺れにくいのもいいところかなと。
こんな人に:まず山に行くための1個がほしい人
気になる点:日帰り専用。小屋泊には足りません
2. ミレー サースフェー NX 30+5 MIS0756|迷ったらこれ、の定番

ミレー サースフェー NX 30+5 MIS0756の価格を比較する
- 容量
- 30+5L
- 重量
- 1500g
- 背面
- SAAS FEE BACK
- メーカー希望小売価格
- ¥28,050
- 価格帯
- 約21,900円〜
迷ったらこれ、と言えるモデルです。生地に撥水加工がしてあって(耐水圧1,500mm以上)、小雨くらいならレインカバーを出さずに歩けます。
30Lに加えて雨蓋を持ち上げると5L増やせるので、日帰りから山小屋1泊まで1個でいけます。
ただ1,500gと重めです。雨に強い生地としっかりした背面を積んでいるぶんの重さなので、そこは引き換えですね。
こんな人に:1個で日帰りから小屋泊までカバーしたい人
気になる点:1,500gと重め。軽さ重視なら他へ
3. カリマー cleave 30|同じ30Lで約400g軽い

カリマー cleave 30の価格を比較する
- 容量
- 30L
- 重量
- 約1100g
- 背面
- 軽量フレーム
- メーカー希望小売価格
- ¥31,350
- 価格帯
- 約23,200円〜
同じ30Lで、サースフェーより約400g軽いです。400gというと水1本弱ですが、空の状態でこの差なので荷物を入れた後もずっと付いてまわります。
カリマーの背面は体の動きに合わせて動く作りなので、歩くリズムを邪魔しません。見た目も今っぽくて、街で使っても違和感が少ないです。
値段はこの中では高いほうです。
こんな人に:荷物を軽くまとめたい人
気になる点:値段はこの中で高いほう
4. グレゴリー ズール 30|背中とザックの間にすき間

グレゴリー ズール 30の価格を比較する
- 容量
- 30L
- 重量
- 約1300g
- 背面
- フリーフロート(吊り下げメッシュ)
- メーカー希望小売価格
- ¥29,700
- 価格帯
- 約23,700円〜
背中とザックの間にメッシュを張って、すき間を作る作りです。ザック本体が背中に触れないので、空気が通って汗が乾きます。
夏の低山だとこの差はかなり大きいです。背中がびっしょり濡れると、休憩したときに一気に冷えるので。
引き換えに荷物が背中から少し離れます。重い荷物だと後ろに引っぱられる感じが出ます。
こんな人に:夏によく歩く・汗をかきやすい人
気になる点:荷物が背中から少し離れます
5. グレゴリー ミコ 25|ズールの背面を25Lに

グレゴリー ミコ 25の価格を比較する
- 容量
- 25L
- 重量
- 約1100g
- 背面
- フリーフロート
- メーカー希望小売価格
- ¥26,400
- 価格帯
- 約23,700円〜
ズールの背面をそのまま25Lに縮めたモデルです。蒸れにくさはそのままに、日帰り向けのサイズになっています。
日帰りだけと決まっているなら、30Lよりこちらのほうが扱いやすいと思います。荷物が少ないときに中で泳がないので。
こんな人に:日帰りだけと決まっている人
気になる点:小屋泊には容量が足りません
6. カリマー ridge 30+|疲れにくさに全振り

カリマー ridge 30+の価格を比較する
- 容量
- 30+L
- 重量
- 約1400g
- 背面
- SAバックシステム
- メーカー希望小売価格
- ¥31,900
- 価格帯
- 約25,700円〜
疲れにくさに全振りしたモデルです。カリマーの背面システムは、肩と腰のベルトが体の動きに追従します。長い距離を歩くほど差が出てきます。
この記事でいちばん高い1本ですが、毎週のように歩くということなら、その価格差に見合ってくると思います。
Small サイズの展開があるので、身長が低めの方でも合わせやすいです。
こんな人に:毎週のように長く歩く人
気になる点:この記事でいちばん高いです
ブランドより先に、確かめてほしいことがあります
ここまでブランドの話をしておいてなんですけど、実際に背負い心地を決めているのはブランドより背面長です。
背面長というのは、首の付け根の出っぱった骨から、腰骨の高さまでの長さのことです。この長さが自分に合っていないと、どのブランドを選んでも肩が痛くなります。
合っていないと肩が痛くなります
ザックの重さは腰で受けるのが正解です。肩ベルトは「ザックを体に添わせておく」ためのもので、重さを支えるためのものではないんですね。
背面長が合っていないと腰のベルトが正しい位置に来ないので、重さが全部肩に乗ります。これが「高いザックを買ったのに肩が痛い」の正体です。
測り方
自分では測りにくいので、誰かに測ってもらうか、店で測ってもらってください。3社の対応はこうなっています。
- ミレー…背面長を数値で公開しています(M=48cm/L=51cm)。そのまま照合できます
- カリマー…リッジ30+ には Small サイズの展開があります
- グレゴリー…ズール30は SM/MD と MD/LG の2サイズ展開。さらに背面長を調整できます
身長が低めの方や、逆に高めの方は、ここでブランドが絞られることがあります。気に入ったモデルにサイズが無い、ということが実際に起きるので、先に確認しておくとムダがないです。
もう少し詳しい話は登山ザックの容量の選び方と登山ザックのブランド9社を比較に書きました。
結局どれを選ぶか、タイプ別にまとめます
| こういう人 | これ | ひとこと |
|---|---|---|
| とにかく安く始めたい | ミレー ウェルキン25 | 1万2千円台。まず山に行くための1個 |
| 日帰りから小屋泊まで1個で | ミレー サースフェー NX 30+5 | 迷ったらこれ。雨にも強い |
| 長い距離を歩く | カリマー ridge 30+ | 疲れにくさに全振り。値段は張ります |
| 軽さを優先したい | カリマー cleave 30 | 同じ30Lで約400g軽い |
| 背中の蒸れが気になる | グレゴリー ズール30 | 背中とザックの間にすき間を作る作り |
| 日帰りだけと決まっている | グレゴリー ミコ25 | ズールの背面をそのまま25Lに |
どれを選んでも大きく外すことはない価格帯です。それより背面長が合っているかのほうを気にしてもらったほうが、結果的に満足度は高いかなと思います。
よくある質問
カリマーとミレー、初心者にはどっちがおすすめですか?
最初の1個なら、私はミレーをおすすめすることが多いです。理由は単純で、価格の選択肢が広いからです。1万2千円台から選べるので、登山が続くか分からない段階でも手を出しやすいです。
ただ「もう続けると決めている」「毎週のように歩く」ということなら、カリマーの背面はその価格差に見合ってくると思います。
30Lと25L、どっちを買えばいいですか?
日帰りしかしないと決まっているなら25Lで足ります。迷っているなら30Lにしておくと、あとで小屋泊に興味が出たときに買い直さずに済みます。
「30+5」という表記のモデルは、雨蓋を持ち上げて5L増やせるという意味です。ふだんは30Lで使って、荷物が多い日だけ広げる、という使い方ができます。
背面長が分からないのですが、通販で買っても大丈夫ですか?
できれば一度、店で背負ってみてほしいです。背面長は身長だけでは決まらないですし、同じ「Mサイズ」でもメーカーごとに寸法が違います。
どうしても通販で、という場合は背面調整ができるモデル(グレゴリーのズールなど)を選ぶと、多少ズレても吸収できます。
雨対策はどうすればいいですか?
レインカバー(ザックにかぶせる雨よけ)を1枚用意しておけば足ります。付属しているモデルもありますが、していないこともあるので確認してください。
それとは別に、中身をビニール袋やスタッフバッグに小分けしておくと安心です。カバーをしていても、背中側や口から染みてくることはあるので。
同じモデルでも値段がバラバラなのはなぜですか?
年式とカラーで違うからです。ザックは毎年カラーが入れ替わるので、前年のカラーが値引きされて残っていることがよくあります。
実際、この記事の6モデルは全部メーカー希望小売価格より安く買えます(2026年7月時点)。中身が同じなら、旧カラーを狙うのは十分ありな選択です。
3ブランド以外だと何がありますか?
オスプレー、ドイター、モンベル、ノースフェイスあたりが同じ価格帯にいます。とくにオスプレーとドイターは背面調整の幅が広いので、背面長が合わせにくい人には候補になります。
9ブランドを横に並べて比べたものを登山ザックのブランド9社を比較にまとめました。
まとめ
- 3ブランドの違いは背中の作り。ミレーは密着、カリマーは追従、グレゴリーは浮かせる
- カリマーがいちばん高く、ミレーにいちばん安い選択肢があります。迷ったらまずここを見る
- 雨の日も歩くならミレー(生地に撥水加工)、長い距離ならカリマー、蒸れが気になるならグレゴリー
- ただしブランドより背面長のほうが大事です。ここが合っていないとどれを買っても肩が痛くなります
- 6モデルともメーカー希望小売価格より安く買えます(2026年7月時点)
最後に1つだけ。ザック選びで悩んでいる時間は、正直もったいないです。
この価格帯はどれを選んでも大きく外れません。それより背面長だけ店で測ってもらって、あとは背負ってみて「これだな」と思ったものを買うほうが早いです。使ってみないと自分に何が合うかは分からないので。




私も最初のザックはブランドで選びました。見た目が好きだったので。
で、実際に歩いてみたら肩が痛くて、原因は背面長が合っていなかったからでした。ブランドの差より、自分の背中に合っているかのほうがずっと大きかったんですよね。
なのでこの記事も、ブランドの話をひととおり書いたあとに背面長の話を入れています。そこだけは店で測ってもらってほしいなと思います。