「東京 低山」で探している方が本当に知りたいのは、たぶん標高の数字ではないと思っています。
電車で行けて、日帰りで、危なくない山はどこか。これですよね。
そこで今回は、東京の山を「駅から歩けるか」と「標高」の2つで並べ直しました。この2つが分かると、自分に合う山がはっきりします。
先に大事なことをひとつ。奥多摩のバスは1〜2時間に1本です。バスが要る山は、歩く時間より待つ時間で計画が決まります。だから最初の1座は、駅から歩ける山がいいかなと。
駅から歩けるかで、計画が変わる
東京の低山はほとんどが奥多摩と高尾のあたりにあります。どちらもJRや京王線で行けるのですが、問題は駅から登山口までです。
バスが要ると、時間割がバスに決まる
奥多摩のバスは、路線にもよりますが1〜2時間に1本という間隔です。
これがどう影響するかというと、こうなります。
- 朝…電車を降りてから、次のバスまで40分待つことがあります
- 帰り…最終バスに間に合わないと、そこから何kmも歩くことになります
- 結果…「何時に下山するか」ではなく「何時のバスに乗るか」で計画を組むことになります
慣れてくると平気なのですが、最初の1〜2回は、これがけっこうな負担なんですよね。
駅から歩ける山なら、自分のペースで決められる
いっぽう、駅を出てそのまま登山口まで歩ける山もあります。この場合、電車は本数が多いので、時間をあまり気にしなくて済みます。
疲れたら早く帰ってもいいし、余裕があればもう少し歩いてもいい。この自由度が、初めのうちは大きいかなと思います。
駅から歩ける山、バスが要る山
| 山 | 最寄り駅から | 標高 |
|---|---|---|
| 網代弁天山(あきる野) | 武蔵増戸駅から徒歩約40分 | 292m |
| 草戸山(八王子・町田) | 高尾山口駅から徒歩5分 | 364m |
| 高水三山(青梅) | 軍畑駅から。下山は御嶽駅 | 759〜793m |
| 陣馬山(八王子) | バスまたは長い林道歩き | 855m |
| 御岳山(青梅) | 御嶽駅からバス+ケーブルカー | 929m |
| 大岳山(奥多摩) | 御岳山から先へ | 1,266m |
| 川苔山(奥多摩) | 奥多摩駅からバス | 1,363m |
上の3つが「駅から歩ける」組です。初めての1座なら、ここから選ぶのがいちばん楽かなと思います。

正直に書くと、下の2つは低山ではない
ここは書いておきたかったところです。
「低山」は、だいたい標高1,000m未満の山を指します。この基準で見ると、よく「東京の低山」として紹介される山の中に、当てはまらないものが混ざっています。
- 大岳山…1,266m
- 川苔山…1,363m
どちらも良い山ですが、「低山だから初心者でも大丈夫」と思って行くと、しんどい思いをします。大岳山は山頂直下に岩場がありますし、川苔山は歩く距離が長いです。
数字より、歩く時間で考える
とはいえ標高だけで決まる話でもないんですよね。実際にきついかどうかは、標高差と歩く時間で決まります。
| 山 | 歩く時間の目安 | 初めての人に |
|---|---|---|
| 網代弁天山 | 2〜3時間 | いちばん軽い |
| 草戸山 | 3〜4時間 | 向いています |
| 御岳山 | 2〜3時間(ケーブル利用) | 向いています |
| 高水三山 | 5〜6時間 | 2〜3座目に |
| 陣馬山 | 4〜5時間 | 2〜3座目に |
| 大岳山 | 5〜6時間 | 慣れてから |
| 川苔山 | 6〜7時間 | 慣れてから |
目安として、最初は3〜4時間までにしておくと、下山してもまだ元気が残ります。ここで「楽しかった」と思えるかどうかで、次があるかが決まる気がします。

東京の山、7つ
標高の低いほうから順に書いていきます。まず、位置関係から。
南の2つ(草戸山・陣馬山)と、西から北西の5つに分かれます。同じ「東京の山」でも、電車の行き先はまったく別方向なんですよね。地図の番号をタップすると、その山の説明に飛びます。
網代弁天山(292m)|1時間で山頂に立てる
あきる野市にある、本当に低い山です。武蔵増戸駅から徒歩40分ほどで登山口に着きます。
山頂は岩の上で、思いのほか景色が開けます。登り始めてから30分ほどで山頂なので、午後から出かけても間に合いますね。
そのまま網代城山まで足を伸ばして、秋川丘陵を歩くのが定番です。それでも2〜3時間くらいです。
「登山」というより「山を歩く散歩」に近い感じですが、最初の1回としてはちょうどいいかなと思います。
草戸山(364m)|高尾山口駅から5分
町田市の最高峰です。八王子市・町田市・神奈川県相模原市の境にあります。
いちばんの強みは高尾山口駅から登山口まで徒歩5分ということですね。バスも要りません。
そして、高尾山のすぐ隣なのに驚くほど静かです。高尾山が人であふれている日でも、こちらは数人とすれ違うくらい。「穴場」という言葉がいちばん当てはまるのはここかもしれません。
城山湖を見下ろす場所があって、丹沢の山並みも見えます。南高尾山稜をつなげて周回すると3〜4時間くらいです。

高水三山(759〜793m)|駅から駅へ歩ける
高水山759m・岩茸石山793m・惣岳山756mの3つをつなぐコースです。奥多摩の入門としてよく名前が挙がります。
いいところは軍畑駅から歩き始めて、御嶽駅に下りられること。バスを一度も使いません。
数字を出すと、歩行距離は約9km、累積標高差は約800m、5〜6時間。奥多摩の中では短いほうですが、初めてだと十分に歩きごたえがあります。
3つの中では岩茸石山からの眺めがいちばん良いです。北側が開けていて、奥多摩の山が並んで見えます。
道はよく整備されていて、小学生の遠足でも使われるコースです。2〜3座目にちょうどいいかなと思います。

陣馬山(855m)|山頂の白い馬と360度の眺め
八王子市と神奈川県相模原市の境にある山です。山頂に白い馬の像が立っていて、そこだけ木がないので360度見渡せます。
高尾山から縦走してくる人が多い山ですが、陣馬山だけを登るなら4〜5時間くらい。山頂に茶屋があるので、そこで一息つけます。
注意点はアクセスですね。バスを使うか、林道を長く歩くかになります。時刻表を先に見ておいてください。

御岳山(929m)|ケーブルカーで一気に上がれる
ケーブルカーがあるので、体力に自信がなくても山の上まで行けます。山上には集落と神社があって、宿坊も並んでいます。
運賃は大人が片道600円、往復1,200円(小児は片道300円・往復600円)。ここでひとつ知っておいてほしいのが、2024年4月の改定で往復割引がなくなったことです。往復1,200円は、片道600円のちょうど2倍ですね。
リフトもあって、こちらは片道100円・往復190円です。
御岳山から日の出山まで往復すると、2〜3時間くらい。ここまでなら、山歩きが初めてでも大丈夫かなと思います。
ロックガーデンという沢沿いの道もありますが、石が濡れていて滑ります。ここだけは靴を選んだほうがいいです。

大岳山(1,266m)|低山ではないけれど、いい山
奥多摩三山のひとつで、ここからは低山ではありません。御岳山から先へ進む形で登るのが一般的です。
山頂の直下に岩場があります。鎖があるほどではありませんが、手を使う場面が出てきます。初めての山にはしないほうがいいですね。
それと、行く前に確かめてほしいことがあります。鋸山林道は工事のため通行止めで、2026年秋頃までとされています(奥多摩ビジターセンター)。鋸山経由で考えている方は、別のルートを見てください。
山頂からの富士山は、この記事の中でいちばんきれいです。2〜3座こなしてからどうぞ。

川苔山(1,363m)|百尋ノ滝と、長い道
この記事でいちばん高く、いちばん長い山です。6〜7時間を見ておいてください。
途中にある百尋ノ滝が有名で、落差40m近くあります。ここを目当てに来る人も多いですね。
アクセスは奥多摩駅からバスです。川乗林道は2026年7月2日から通行可になりました(奥多摩ビジターセンター)。ただし令和8年6月から令和11年8月まで伐採作業の予定があり、作業車が通るとのことです。
滝の周りは道が細く、濡れていることが多いです。慣れてから行く山かなと思います。

東京の低山で、持っていくもの
標高が低くても、山であることは変わりません。ただ、必要なものは思ったより少ないです。
最初に要るのは3つだけ
- 滑りにくい靴…いちばん大事です。スニーカーでも歩けますが、濡れた石と落ち葉で滑ります
- 水…1リットル。山上に売店がある山(御岳山など)なら500mlでも足ります
- 雨具…折りたたみ傘ではなく、上下に分かれたもの。奥多摩は天気が変わりやすいです
ザックは普段使いのリュックで大丈夫です。20リットルくらいあれば足ります。
ヘッドライトは、季節で判断する
夏なら19時近くまで明るいので、日帰りの低山では使いません。ただ11月から1月は、16時30分ごろに暗くなります。
この時期に5〜6時間のコースを歩くなら、入れておいたほうが安心かなと。使わないで終わるのが正解です。
低山でいちばん多いのは、道迷い
意外かもしれませんが、低い山のほうが道に迷いやすいです。理由は2つあって、枝道が多いことと、標識が古いことですね。
対策は簡単で、地図アプリを入れて、事前に地図を読み込んでおくだけです。電波が届かないところでも現在地は出ます。
これだけで、東京の低山で困ることはほぼなくなるかなと思います。
よくある質問
東京の低山で、初心者におすすめはどこですか?
駅から歩ける山から選ぶのがいちばん楽です。奥多摩のバスは1〜2時間に1本なので、バスが要る山は「歩く時間」より「待つ時間」で計画が決まってしまうんですよね。
おすすめは草戸山(364m)です。高尾山口駅から登山口まで徒歩5分で、しかも高尾山のすぐ隣なのに驚くほど静かです。歩く時間は3〜4時間。
もっと軽くしたいなら網代弁天山(292m)。武蔵増戸駅から歩けて、登り始めて30分ほどで山頂に立てます。
「東京の低山」に大岳山や川苔山が入っているのはなぜですか?
正直に言うと、この2つは低山ではありません。低山はだいたい標高1,000m未満を指しますが、大岳山は1,266m、川苔山は1,363mあります。
どちらも良い山なのですが、「低山だから初心者でも大丈夫」と思って行くとしんどいです。大岳山は山頂直下に岩場がありますし、川苔山は6〜7時間歩きます。
この記事では標高を正直に並べたうえで、初めての方には別の山をおすすめしています。
御岳山のケーブルカーはいくらですか?
大人が片道600円、往復1,200円です。小児は片道300円、往復600円。
ひとつ知っておいてほしいのが、2024年4月の改定で往復割引がなくなったことですね。往復1,200円は片道600円のちょうど2倍で、割引はありません。
リフトもあって、こちらは片道100円・往復190円です。
高水三山はどのくらい歩きますか?
歩行距離は約9km、累積標高差は約800m、5〜6時間が目安です。高水山759m・岩茸石山793m・惣岳山756mの3つをつなぎます。
いちばんの魅力は軍畑駅から歩き始めて御嶽駅に下りられること。バスを一度も使いません。
道はよく整備されていて小学生の遠足でも使われますが、5〜6時間はそれなりに歩きます。2〜3座目にちょうどいいかなと思います。
スニーカーでも登れますか?
網代弁天山や草戸山なら、歩けます。ただし濡れた石と落ち葉ではよく滑ります。
とくに御岳山のロックガーデンのような沢沿いの道は、石が常に濡れているので気をつけてください。ここだけは靴を選んだほうがいいです。
ソールが硬めで滑りにくいものにしておくと、それだけで転ぶ回数が減ります。
低山なら装備は要りませんか?
最初に要るのは3つだけです。滑りにくい靴、水1リットル、上下に分かれた雨具。ザックは普段使いのリュックで大丈夫で、20リットルくらいあれば足ります。
季節でひとつ足すならヘッドライトです。11月から1月は16時30分ごろに暗くなるので、5〜6時間のコースを歩く日は入れておくと安心ですね。
低山でも道に迷いますか?
むしろ低い山のほうが迷いやすいです。枝道が多く、標識が古いことがあるからですね。
対策は地図アプリを入れて、事前に地図を読み込んでおくだけです。電波が届かないところでも現在地は出ます。
これだけで、東京の低山で困ることはほぼなくなるかなと思います。
行く前に確かめることはありますか?
通行止めです。奥多摩は林道や登山道が閉まっていることがあります。
たとえば鋸山林道は工事のため通行止めで、2026年秋頃までとされています。逆に川乗林道は2026年7月2日から通行可になりました。
どちらも奥多摩ビジターセンターの「登山道・道路状況一覧」に更新日つきで出ています。行き先を決めたら一度開いてみてください。
まとめ
- 最初の1座は駅から歩ける山から。奥多摩のバスは1〜2時間に1本です
- 草戸山(364m)は高尾山口駅から徒歩5分。高尾山の隣なのに驚くほど静かです
- 網代弁天山(292m)は登り始めて30分で山頂。午後からでも間に合います
- 高水三山は軍畑駅から御嶽駅へ、約9km・5〜6時間。バスを使いません
- 御岳山のケーブルカーは大人往復1,200円。2024年4月から往復割引はありません
- 大岳山1,266m・川苔山1,363mは低山ではありません。慣れてから行く山です
- 最初に要るのは滑りにくい靴・水1リットル・上下の雨具の3つ
- 低い山ほど道に迷いやすいです。地図アプリを入れておいてください
東京の山は、電車を降りてすぐ歩き出せるところが本当に良いところだと思っています。まず草戸山あたりを1回歩いてみて、楽しかったら次を考える。この順番でいいかなと。装備を全部そろえてから、という順番だと、たいてい始まりません。






私が東京の低山で失敗したのは、バスでした。
奥多摩の駅に着いて、次のバスまで50分あることに気づいたんですよね。しかも帰りの最終バスから逆算すると、山頂でゆっくりする時間がほとんど残らない。歩く前から予定に追われている感じで、あまり楽しくありませんでした。
それ以来、初めて行く山は「駅から歩けるか」を先に見るようにしています。草戸山みたいに駅から5分で登山口という山なら、疲れたら帰ればいいだけなので、気持ちがずいぶん楽です。