はじめに|混雑知らずの東京トレッキングへ
なぜ今「穴場の低山」なのか

「登山=高尾山」というイメージを持つ人は多いですが、近年はその人気ゆえに混雑が目立つようになりました。人の少ない静かな山を歩きたいと思っている方には、東京都内に点在する低山の“穴場スポット”がおすすめです。標高は高くなくても、森林浴や展望、神社巡りや温泉まで楽しめるルートが揃っています。
アクセスしやすく、日帰りで気軽に行けるのも魅力。体力に自信がない方でもチャレンジしやすく、登山初心者の入門コースとしても最適です。
この記事では、東京都内にある混雑しにくく自然豊かな低山を5つ厳選し、以下の観点で紹介します。
アクセスのしやすさ
歩行時間や難易度
展望・歴史・自然などの魅力
下山後のお楽しみ(温泉・観光)もチェック
5つの低山スポット比較一覧
まずは、今回ご紹介する山々の概要を一覧でご覧ください。
山名 | 所在地 | 標高 | 所要時間(目安) | 難易度 | 主な魅力 |
---|---|---|---|---|---|
日の出山 | 西多摩 | 902m | 約3時間 | ★★☆☆☆ | 展望・温泉 |
三頭山 | 檜原村 | 1,531m | 約4時間半 | ★★★☆☆ | 滝・ブナ林 |
今熊山 | 八王子 | 505m | 約2時間 | ★☆☆☆☆ | 静けさ・神社 |
大岳山 | 奥多摩 | 1,266m | 約5時間 | ★★★★☆ | 岩場・絶景 |
伊予ヶ岳 | 千葉・南房総 | 336m | 約1時間半 | ★★☆☆☆ | 房総のマッターホルン |
日の出山(西多摩)|温泉と展望が魅力のゆる登山
東京都西多摩エリアに位置する日の出山は、標高902mながらも展望が素晴らしく、初心者でも無理なく登れる山として人気です。御岳山から縦走できるルートもあり、登山+観光のハイブリッドコースが楽しめます。
特に魅力なのは、山頂からの大パノラマと、下山後に立ち寄れるつるつる温泉。心身ともにリフレッシュできる“ご褒美ルート”として、週末ハイクにぴったりのスポットです。
― アクセス: JR武蔵五日市駅から「つるつる温泉」行きバス、終点下車(または御岳山駅から縦走)
― トレッキング難易度: ★★☆☆☆
― おすすめポイント:
・東京とは思えない山頂からの絶景
・御岳山からの縦走も可能
・下山後のつるつる温泉で疲れを癒せる
山頂からのパノラマビューを満喫

日の出山の山頂は視界が開けており、多摩川方面から都心部まで一望できます。晴れていればスカイツリーが見えることも。お昼前に登頂すれば、人も少なく静かな時間を過ごせます。
御岳山からの縦走ルートもおすすめ

御岳山ケーブルカーを使えば標高を一気に稼げるため、登山初心者にも優しい縦走コースが組めます。武蔵御嶽神社をお参りした後、尾根づたいに日の出山へ向かうルートは、程よいアップダウンと自然林が心地よい快適なトレイルです。ゴールのつるつる温泉は、その名の通り肌がなめらかになると評判。温泉目的でリピートする人も多いです。
三頭山(檜原村)|ブナの森と滝をめぐる涼トレイル
奥多摩・檜原村に位置する三頭山(みとうさん)は、都内とは思えないほどの深い自然に囲まれた低山です。標高1,531mとやや高めながら、登山道はよく整備されており、都民の森を起点にすればアクセスも良好。暑い時期でも涼しく歩けることから、夏の避暑ハイクとしても人気があります。
天然のブナ林、三頭大滝、眺望の開けた山頂と見どころが多く、トレッキングの魅力をぎゅっと凝縮したようなコースです。初心者から中級者まで幅広く楽しめます。
― アクセス: JR武蔵五日市駅から西東京バスで「数馬」下車、都民の森まで徒歩またはバス接続あり
― トレッキング難易度: ★★★☆☆
― おすすめポイント:
・森林浴が気持ちいいブナ林のトレイル
・滝と展望の両方が楽しめる
・夏でも涼しい快適ルート
都民の森から快適スタート

三頭山の代表的な登山口である「都民の森」は、道標や休憩ポイントも整っており、初心者でも安心して入山できます。標高がすでに1,000m近くあるため、涼しさも段違い。真夏でも汗をかきにくく、木陰の多いルートで快適に歩けます。
三頭大滝と山頂の絶景を堪能

ルート途中には、迫力のある三頭大滝や、ゆったりした尾根道が続きます。山頂からは奥多摩や丹沢方面の山々が一望でき、爽快な眺めに癒されます。往復4時間半前後の行程で、自然の変化をたっぷり味わえる充実コースです。
今熊山(八王子)|静かな山頂と神社の趣
八王子市の西部に位置する今熊山(いまくまやま)は、標高505mの里山ながらも、静かな環境と落ち着いた雰囲気が魅力の穴場スポットです。観光地化されていないため人が少なく、本来の登山の良さをじっくり味わえる山です。
山頂には「今熊神社」が鎮座し、歴史や信仰を感じられるのもこの山の大きな魅力。標高が控えめなので、登山初心者や体力に自信のない方でも安心して挑戦できます。周辺のルートを組み合わせれば、もう少し長めのトレッキングも可能です。
― アクセス: JR八王子駅または武蔵五日市駅からバスで「今熊登山口」下車
― トレッキング難易度: ★☆☆☆☆
― おすすめポイント:
・登山者の少ない静かな山歩きが楽しめる
・今熊神社の歴史と雰囲気を味わえる
・金剛の滝や石仏群など見どころも点在
神社と石仏を巡る趣のあるルート

登山道はよく整備されており、今熊神社の石段を上っていくルートがメインです。随所に石仏が立ち並び、里山らしい静けさのなかで、心を落ち着けて歩くことができます。春は新緑、秋は紅葉が美しく、季節の変化も楽しめます。
金剛の滝や縦走でボリュームUPも

時間や体力に余裕がある人は、金剛の滝や刈寄山方面への縦走ルートに挑戦するのもおすすめ。短時間で済ませるもよし、じっくり巡るもよし。スタイルに合わせた柔軟なプランが立てられるのも、今熊山の魅力のひとつです。
大岳山(奥多摩)|都内屈指の本格派ロックルート
東京都内でありながら、標高1,266mというスケールと岩場のある登山道が楽しめる大岳山(おおたけさん)。奥多摩三山のひとつに数えられ、登山中級者以上に人気の山ですが、御岳山を起点とすれば初心者でも挑戦できるコースが整備されています。
整ったルートながらも、途中には鎖場や急登、岩の稜線が待ち受け、都内とは思えないダイナミックな山歩きが可能。スリルと爽快感を両立した、達成感の高いトレッキングが楽しめます。
― アクセス: JR青梅線「御嶽駅」からケーブルカー利用、「滝本駅」→「御岳山駅」下車、徒歩で登山口へ
― トレッキング難易度: ★★★★☆
― おすすめポイント:
・都内屈指の本格登山が味わえるルート
・鎖場や岩場が適度なスリルを演出
・山頂からの大パノラマは感動もの
鎖場あり、岩場ありの変化に富んだ道
御岳山からロックガーデンや綾広の滝を経由して登るコースは、渓流沿いや苔むした岩場、そしてスリリングな鎖場など変化に富んだ道が続きます。登山道の整備はしっかりしているため、滑落リスクは少ないものの、手袋や登山靴などの装備は万全にして臨みましょう。
山頂で出会う絶景と静けさ

標高1,266mの山頂からは、富士山や南アルプス方面を望むことができます。天気が良ければ360度の大展望。混雑が少ない時間帯を狙えば、静けさに包まれた頂で達成感を味わえるはずです。
伊予ヶ岳(南房総)|房総のマッターホルンを歩く
東京ではありませんが、おすすめなのでこちらも。千葉県南房総市に位置する伊予ヶ岳(いよがたけ)は、標高336mと低山ながらも鋭い山容が特徴で、「房総のマッターホルン」とも称されるユニークな山です。標高だけで判断すると軽いハイキングと思われがちですが、山頂直下はロープ場のある本格派。低山ながらも変化に富んだ登山が楽しめます。
里山ののどかさと、山頂からの海を望む景色のギャップが魅力で、日帰り登山で“非日常”を感じたい人にぴったりのコースです。
― アクセス: JR内房線「岩井駅」からバスまたは徒歩(約1時間程度)で登山口へ
― トレッキング難易度: ★★☆☆☆
― おすすめポイント:
・海と山の絶景が味わえる房総随一の眺望
・山頂直下のロープ場でプチ冒険気分
・標高の割に登山の満足感が高い
ロープを使って山頂へチャレンジ

後半にはロープを使ってよじ登る区間が登場。危険ではないものの、スニーカーではやや不安な場所もあるため、しっかりとした登山靴がおすすめです。登山初心者が「ちょっと本格的な山に挑戦したい」と思ったときの次の一歩にぴったりです。
山頂からの絶景に感動

山頂からは、房総半島の田園風景と太平洋の広がりが一望できます。冬は空気が澄んでいるため、遠く富士山が見えることも。登山道は短めですが、山頂で過ごす時間は特別です。近くの道の駅や漁港も立ち寄りスポットとして人気があります。
東京近郊低山トレッキングの疑問解消Q&A
Q. 低山でも本格的な登山気分は味わえますか?
はい、今回紹介した大岳山や伊予ヶ岳のように、標高がそこまで高くなくても岩場やロープ、展望などを楽しめる山は多くあります。むしろ手軽に本格感を体験できるのが東京近郊の低山の魅力です。
Q. 初心者でも安心して登れる山はどこですか?
今熊山や日の出山は登山道が整備されており、標高差や行動時間も控えめなので初心者に最適です。御岳山経由でアクセスすれば、観光と組み合わせて無理なく楽しめます。
Q. ソロで登っても安全な山はありますか?
今回紹介した山々は比較的整備されており、平日でも登山者を見かける場所が多いため、ソロでも安心して登れます。ただし、三頭山や大岳山などは山中が広いため、地図アプリや登山届の活用をおすすめします。
Q. トイレや水場は途中にありますか?
登山口や観光エリア(御岳山、都民の森など)にはトイレや水場がありますが、山頂付近にはないことが多いため、出発前に済ませておくのが基本です。水も多めに持参しましょう。
Q. 登山後に立ち寄れる温泉はありますか?
はい、特に日の出山(つるつる温泉)や奥多摩方面(もえぎの湯、数馬の湯)などは、登山後すぐに立ち寄れる温泉施設があります。歩いた疲れを癒すにはぴったりです。
まとめ|静けさと自然に癒される“穴場低山”へ
東京都内やその近郊には、混雑を避けながら本格的な登山体験ができる低山が数多く存在します。今回紹介した5つのスポットは、いずれもアクセスしやすく、標高にとらわれずに自然の魅力を堪能できる場所ばかりです。
静けさに包まれた今熊山、ブナ林と滝が美しい三頭山、展望と温泉がセットで楽しめる日の出山、ロープ場が冒険心をくすぐる伊予ヶ岳、そして本格感あふれる大岳山。
それぞれの山が、違った個性と感動を与えてくれます。
これから登山を始めたい方も、次のステップに進みたい方も、ぜひ週末の一日を使って“自分だけの穴場”を見つけてみてください。
自然と向き合う時間が、きっと日常をリセットしてくれるはずです。