はじめに
冬のサイクリングで最も重要なアイテムの一つが、防風・保温性に優れたジャケットです。気温が5℃を下回る季節になると、一般的な春秋用ジャージでは寒さに耐えられず、快適なライディングが難しくなります。真冬でも自転車通勤をする方、週末のロングライドを楽しみたい方にとって、適切なウィンタージャケット選びは必須です。
しかし、冬用サイクリングジャケットは多くのブランドから様々なモデルが発売されており、どれを選べばよいか迷ってしまうのではないでしょうか。防風性、保温性、透湿性のバランス、そして価格帯など、考慮すべきポイントは多岐にわたります。
本記事では、日本国内で入手可能な冬用サイクリングジャケットの中から、特に防風性と保温性に優れた5つのモデルを厳選してご紹介します。各モデルの具体的なスペックや特徴、メリット・デメリットを詳しく解説しますので、ご自身のライディングスタイルや寒さへの耐性に合わせて、最適な一着を見つけてください。
冬のサイクリングジャケットを選ぶポイント
冬用サイクリングジャケットを選ぶ際には、主に3つの性能を確認することが重要です。それぞれの性能が、寒い季節のライディングの快適性を大きく左右します。
防風性能
冬のサイクリングで体温を奪う最大の要因は、走行中の冷たい風です。時速20〜30kmで走行すると、体感温度は実際の気温よりもさらに低くなります。防風性の高い素材を使用したジャケットは、この冷風をシャットアウトし、体温の低下を防ぎます。特に前面や袖など、風を受けやすい部位に防風素材が配置されているかをチェックしましょう。
保温性
防風性と同じくらい重要なのが保温性です。裏起毛素材や中綿、フリース素材を採用したジャケットは、体温を逃さず暖かさをキープします。ただし、保温性が高すぎると運動中に汗をかきやすくなるため、ご自身の走行強度や寒さへの耐性に合わせて選ぶことが大切です。メーカーが推奨する対応温度帯を参考にするとよいでしょう。
透湿性・通気性
冬でも強度の高い走行をすると発汗します。汗が衣類内に溜まると、体が冷えて不快感につながります。透湿性の高い素材や、背面に通気性のよい生地を配置したジャケットを選ぶことで、汗を素早く外に逃がし、ドライで快適な状態を保つことができます。防風・保温性だけでなく、透湿性にも注目しましょう。
パールイズミ ウィンドブレーク ジャケット(3500-BL)
出典:パールイズミ公式サイト
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パールイズミの「ウィンドブレーク ジャケット(3500-BL)」は、気温5℃に対応した冬用サイクリングジャケットの定番モデルです。独自の防風素材「ウィンドブレーク®」を採用し、防風性と保温性を高いレベルで両立させています。
主なスペックは以下の通りです。対応温度は5℃、素材はポリエステル95%・ポリウレタン5%のウィンドブレーク®素材を使用。透湿性能は10,000g/㎡/hrs、耐水性能は10,000mm/H2Oと、冬のライディングに十分な性能を備えています。価格は18,700円(税込)で、国内ブランドとしては標準的な価格設定です。
特徴とメリットは、冷風を通さず温かい防風素材でありながら、優れた透湿性能によりムレ感が少ないこと。肌面の起毛が身体を包み込み、暖かさを逃しません。ストレッチ性に優れた柔らかな着心地で、長時間のライディングでも快適です。背中には通気性の高い素材を配置し、発汗時の蒸れを軽減します。また、3つのバックポケットや反射素材など、実用的な機能も充実しています。
デメリットとしては、5℃対応のため、氷点下になる厳冬期にはインナーとの重ね着が必要になる点が挙げられます。また、レーシーなフィット感を求める方には、やや余裕のあるシルエットに感じられるかもしれません。
パールイズミは日本人の体型に合わせた設計で定評があり、初めて冬用ジャケットを購入する方にもおすすめです。国内の自転車ショップで取り扱いが多く、試着しやすいのも魅力です。
カステリ エスプレッソ エア ジャケット
出典:ワイズロードオンライン
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イタリアの名門サイクルウェアブランド・カステリの「エスプレッソ エア ジャケット」は、独自のリストレット・テクノロジーを採用した冬用ジャケットです。従来のゴアテックス素材よりも柔らかく通気性に優れており、冬でも汗をかきやすいライダーに最適なモデルです。
主なスペックは、対応温度が0〜10℃、重量は355g(サイズL)と軽量。素材は裏起毛のリストレット・ウォーム素材を使用し、保温性と伸縮性を両立しています。PFASフリーのDWR撥水加工により、小雨や水しぶきにも対応。価格は34,650円(税込)で、プレミアムブランドらしい価格帯となっています。
特徴とメリットは、優れた通気性と透湿性能です。リストレット素材は従来の防風素材よりも柔らかく、通気性が良いため、汗冷えを軽減してくれます。強度の高いトレーニングやヒルクライムでも快適に走れます。高い伸縮性により体にぴったりフィットし、空気抵抗を最小限に抑えるレーシーなシルエットも魅力。YKK®ビスロン®ジッパーの開閉がスムーズで、温度調節も簡単です。背面はカットオフ構造で冷気をシャットアウトし、3つのバックポケットには内側にセキュリティーフラップを装備しています。
デメリットは、価格が高めであること。また、レーシーフィットのため、ゆったりとした着心地を好む方には窮屈に感じられる可能性があります。0℃対応ですが、氷点下では別途インナーの重ね着が推奨されます。
カステリのウェアは、プロチームにも供給される高品質が魅力です。性能重視で予算に余裕のある方、レーシーなフィット感を求める方におすすめのモデルです。
モンベル ウインターサイクルトレーナー ジャケット
出典:モンベル公式オンラインショップ
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アウトドアブランドとして高い信頼性を誇るモンベルの「ウインターサイクルトレーナー ジャケット」は、登山用ウェアの技術を応用した秋冬対応のソフトシェルジャケットです。コストパフォーマンスの高さと実用性の高い機能が魅力です。
主なスペックは、平均重量402gと軽量。素材は前面と袖に防風性に優れるクリマバリア®(ナイロン83%+ポリウレタン17%、はっ水加工)を使用し、背面はポリエステル裏面起毛加工。価格は11,000円(税込、アウトレット価格)と、今回紹介する5モデルの中で最もリーズナブルです。
特徴とメリットは、風の影響を受ける前面と袖に防風フィルムを封入したクリマバリア®を配置し、背面には吸水拡散性に優れた素材を使用することで、防風と透湿のバランスを最適化している点です。優れたストレッチ性により、運動性とバタつきを軽減するスリムなシルエットを実現。立体裁断(ひじ)により、前傾姿勢でも腕の動きがスムーズです。すそずり上がり防止テープ、反射テープ・反射ロゴ、ネックアジャスターなど、細かな配慮が行き届いています。
デメリットは、バックポケットが装備されていないため、補給食やスマートフォンの収納は別途サイクルジャージのポケットやバッグに頼る必要があります。また、レース志向のレーシーなデザインというよりは、実用性重視のデザインです。
モンベルのウェアは、アウトドアブランドならではの堅牢な作りと機能性が魅力。自転車通勤や週末のサイクリングなど、日常使いにも最適です。コスパを重視する方に特におすすめです。
カペルミュール 防風ジャケット プローバ
出典:ワイズロードオンライン
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日本発のサイクルウェアブランド・カペルミュールの「防風ジャケット プローバ」は、防風性と耐水性を備えた冬用ジャケットです。日本人の体型に合わせたユニセックスサイズで、男女問わず着用できます。
主なスペックは、対応温度が0〜10℃。素材は3層構造の防風耐水素材を2種類組み合わせており、袖から身頃上部には軽量かつ伸縮性のあるタイプを採用し、動きやすさを重視しています。価格帯は15,000〜18,000円前後(モデルにより変動)で、ミドルレンジの価格設定です。
特徴とメリットは、防風・耐水性能が高く、冬の雨や冷たい風から身体をしっかりと守ってくれる点です。3層構造の防風素材により、保温力も十分。ストレッチ性のある素材により、前傾姿勢でも窮屈さを感じません。反射素材が含まれており、夜間走行時の視認性も確保されています。デザインはシンプルで、普段着としても違和感なく着用できるスタイリッシュな外観も魅力です。
デメリットは、防風・耐水性が高い分、透湿性がやや控えめに感じられる場合があること。強度の高い走行では蒸れを感じる可能性があります。また、インナーと合わせて着用する前提のため、単体での保温性は真冬には不十分かもしれません。
カペルミュールは、日本人の体型に合わせた設計とコストパフォーマンスの高さで人気のブランドです。デザイン性も高く、サイクリングだけでなく日常使いにも適しています。
シマノ エヴォルヴ ウィンタージャケット
出典:ワイズロードオンライン
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自転車コンポーネントの世界的メーカー・シマノが展開するサイクルウェアライン「エヴォルヴ」シリーズのウィンタージャケットです。気温と天候の変化に順応する万能性が特徴で、秋から春まで長いシーズン活躍します。
主なスペックは、ソフトな肌触りと快適さを追求した素材を採用。取り外しが可能で携帯性にも優れたウインドシールドエプロンが胸部と体幹を保温します。価格は22,000円(税込)で、ミドル〜ハイクラスの価格帯です。
特徴とメリットは、取り外し可能なウインドシールドエプロンにより、気温や走行強度に応じて保温性を調節できる点です。これにより、幅広い温度帯に対応でき、秋冬春の3シーズン活用できます。ソフトシェル素材は伸縮性に優れ、動きやすさと快適な着心地を両立。YKKの高品質なジッパーを採用し、操作性も良好です。バックポケットやリフレクター(反射材)も完備し、実用性も十分です。
デメリットは、真冬の厳冬期(氷点下)には単体では保温性が不足する可能性があること。あくまで「万能ジャケット」として、幅広い温度帯に対応する設計のため、極寒に特化したモデルではありません。また、シマノのウェアは国内の取り扱い店舗がやや限られるため、試着の機会が少ない点もデメリットと言えます。
シマノのエヴォルヴシリーズは、コンポーネントメーカーらしく細部まで作り込まれた高品質なウェアです。気温の変動が大きい季節の変わり目にも対応できる万能性を求める方におすすめです。
5モデルのスペック比較表
ここまで紹介した5つのモデルのスペックを一覧表で比較します。ご自身のライディングスタイルや予算、重視する機能に合わせて選んでみてください。
| 項目 | パールイズミ ウィンドブレーク ジャケット |
カステリ エスプレッソ エア ジャケット |
モンベル ウインターサイクル トレーナー ジャケット |
カペルミュール 防風ジャケット プローバ |
シマノ エヴォルヴ ウィンタージャケット |
|---|---|---|---|---|---|
| 対応温度 | 5℃ | 0〜10℃ | 秋冬対応 | 0〜10℃ | 秋冬春対応 |
| 重量 | - | 355g(L) | 402g | - | - |
| 主素材 | ウィンドブレーク® (裏起毛) |
リストレット・ウォーム (裏起毛) |
クリマバリア® (防風フィルム) |
3層防風耐水素材 | ソフトシェル |
| 防風性 | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
| 透湿性 | 10,000g/㎡/hrs | ◎(特筆) | ○ | △ | ○ |
| バックポケット | 3つ | 3つ | なし | 3つ | あり |
| 価格帯(税込) | 18,700円 | 34,650円 | 11,000円 (アウトレット価格) |
15,000〜18,000円 | 22,000円 |
| おすすめ用途 | 通勤・週末ライド | レーシング・トレーニング | 通勤・日常使い | 通勤・週末ライド | 3シーズン対応 |
表からもわかるように、各モデルにはそれぞれ異なる強みがあります。コストパフォーマンスを重視するならモンベル、性能とレーシーなフィット感を求めるならカステリ、バランスの取れた定番モデルならパールイズミがおすすめです。
まとめ
冬のサイクリングを快適にするためには、防風性と保温性に優れたジャケット選びが欠かせません。今回紹介した5つのモデルは、いずれも日本国内で入手可能で、実績のあるブランドの信頼できる製品です。
パールイズミ ウィンドブレーク ジャケットは、日本人の体型に合わせた設計と高い防風・透湿性能で、初めて冬用ジャケットを購入する方にもおすすめです。カステリ エスプレッソ エア ジャケットは、優れた透湿性能とレーシーなフィット感で、性能重視のライダーに最適。モンベル ウインターサイクルトレーナー ジャケットは、アウトドアブランドならではの堅牢な作りとコストパフォーマンスが魅力です。
カペルミュール 防風ジャケット プローバは、日本人の体型に合わせたデザインと高い防風・耐水性で、通勤や日常使いにも便利。シマノ エヴォルヴ ウィンタージャケットは、取り外し可能なエプロンにより3シーズン対応の万能性を実現しています。
ご自身のライディングスタイル、走行強度、予算に合わせて、最適な一着を選んでみてください。適切なジャケットを着用することで、真冬でも快適にサイクリングを楽しむことができます。寒い季節もペダルを漕ぎ続け、健康的なサイクリングライフを満喫しましょう。
記事で紹介した各ジャケットは、公式オンラインショップや全国の自転車専門店で購入可能です。可能であれば実店舗で試着し、フィット感を確認してから購入することをおすすめします。
よくある質問
冬用ジャケットは何℃くらいから必要ですか?
一般的に、気温が10℃を下回ると春秋用のジャージでは寒さを感じるようになります。特に気温が5℃以下になる場合は、防風・保温性に優れた冬用ジャケットの着用をおすすめします。ただし、個人の寒さへの耐性や走行強度によって異なるため、ご自身の感覚に合わせて選んでください。
冬用ジャケットの下には何を着ればいいですか?
冬用ジャケットの下には、吸汗速乾性に優れた長袖のベースレイヤー(インナー)を着用するのが基本です。さらに寒い日には、裏起毛の長袖ジャージを重ね着することで保温性を高められます。レイヤリングの基本は、ベースレイヤー→ミドルレイヤー(ジャージ)→アウターレイヤー(ジャケット)の3層構造です。
防風ジャケットと防寒ジャケットの違いは何ですか?
防風ジャケットは、風を遮ることに特化した薄手のジャケットで、保温性はそれほど高くありません。一方、防寒ジャケットは裏起毛や中綿など保温素材を採用し、防風性と保温性を兼ね備えています。本記事で紹介したモデルは、いずれも防風性と保温性を両立させた「冬用サイクリングジャケット」です。
雨の日でも冬用ジャケットは使えますか?
多くの冬用ジャケットは、はっ水加工や撥水加工が施されているため、小雨程度であれば対応できます。ただし、完全防水ではないため、本格的な雨天走行にはレインジャケットの着用をおすすめします。カステリやカペルミュールのモデルは、DWR撥水加工や耐水素材を採用しており、軽い雨にも対応しやすい設計です。
サイズ選びで注意すべき点はありますか?
冬用ジャケットは、インナーやミドルレイヤーを重ね着する前提で選ぶため、普段のサイクルジャージよりもワンサイズ大きめを選ぶのが一般的です。ただし、レーシーフィットのモデル(カステリなど)は、もともとタイトな設計のため、通常サイズで問題ない場合もあります。可能であれば試着して、インナーを着た状態でのフィット感を確認することをおすすめします。