登山のレインウェアって、上下そろえると3万円も4万円もするんですよね。「最初の1着でそこまで出すのか」って手が止まりますよね。
で、調べていていちばん驚いたのがここです。ワークマンの5,500円のレインスーツが、モンベルが掲げている合格ラインを満たしていました。
数字だけの話ではあります。ただ「1万円台じゃないとだめ」というのは、少なくとも入り口の話としては違うかなと思いました。
この記事ではどこを見れば合否が判断できるのかを先に書いて、そのうえで値段を上げると何が変わるのかまで書きます。
合否のラインは「耐水圧20,000mm」
レインウェアのスペックは数字が多くて分かりにくいのですが、見るべきところは2つだけです。
- 耐水圧…どれだけの水圧に耐えられるか。単位はmm
- 透湿性…内側の汗をどれだけ外に逃がせるか。単位はg/m²・24hrs
基準はメーカー自身が書いている
モンベルの商品ページには、こう書かれています。
「レインウエアに求められる耐水圧20,000mm以上をクリアした素材のみを使用しています」。
作っている側が「20,000mmが必要ライン」と言っているんですよね。だったらこれをそのまま合否の目安に使えばいいかなと思います。
透湿性は「1万5千以上」を目安に
耐水圧が足りていても、汗が抜けないと中から濡れます。雨具の中でびしょ濡れになる、あれですね。
モンベルの製品で見ると、入門モデルのサンダーパスが15,000、上位のストームクルーザーが40,000でした。15,000あればひとまず登山用として成立していると考えていいと思います。
スペックを書いていない商品は避ける
ここが実は大事なところです。通販で「レインスーツ 上下」と検索すると、2,000円台の商品がずらっと出てきます。
ただ、その多くは耐水圧も透湿性も数字が書かれていないんですよね。書けない理由があるのかなと思います。
逆に言えば数字を出している商品は、そこそこ自信があるということですね。金額よりまず、数字が書いてあるかを見てください。

ワークマンのイナレムが5,500円で基準を満たしている
本題です。ワークマンのイナレム ストレッチレインスーツのスペックは、公式サイトのブログにこう出ています。
| 項目 | イナレム | 合否ライン |
|---|---|---|
| 値段(上下セット) | ¥5,500 | — |
| 耐水圧 | 20,000mm | 20,000mm以上 |
| 透湿性 | 25,000g | 15,000g前後 |
※ワークマン公式サイトの掲載値(品番NR001)。2026年9月時点。
モンベルの入門モデルと並べてみる
比べてみると、こうなります。
| ワークマン イナレム | モンベル サンダーパス | モンベル ストームクルーザー | |
|---|---|---|---|
| 値段 | 上下 ¥5,500 | 上のみ ¥13,600 | 上のみ ¥22,000 |
| 耐水圧 | 20,000mm | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 |
| 透湿性 | 25,000g | 15,000g | 40,000g |
| 重さ | — | 313g | 254g |
※2026年9月時点の各社公式サイト掲載値(税込)。モンベルはジャケット単品の価格です。
透湿性の数字だけ見ると、イナレムがサンダーパスを上回っています。しかも上下セットで、値段は半分以下。
で、モンベルで上下そろえるとどうなるか。ストームクルーザーのジャケット2万2千円+レインパンツ1万4千円で、3万6千円です。イナレムの6倍以上ですね。
最初の1着は、正直これでいい
「安物はやめておけ」という話をよく見ますが、数字を並べる限り、イナレムは登山用として成立しています。
年に数回、日帰りで低山を歩く。そういう使い方なら5,500円で十分かなと思います。浮いた分を靴や靴下に回したほうが、山は快適になりますので。
ワークマンで買えるものはワークマンの登山アイテムまとめにもう少し詳しく書いています。
じゃあ高いレインウェアは何が違うのか
ここを飛ばすとフェアじゃないので、書いておきます。3万円の製品には、数字に出ない差があります。
1. 重さとたたんだ大きさ
ストームクルーザーのジャケットは254gです。ペットボトル半分くらいですね。
レインウェアはほとんどの日は使いません。使わないのにザックに入れっぱなしになる。だから軽さと小ささが、そのまま毎回の楽さになります。
安いモデルは、ここが重くてかさばるんですよね。数字に出ないぶん、買ったあとに気づく差です。
2. 動きやすさ
登りで腕を上げたときに裾が持ち上がるか、ザックを背負ったまま肩がつっぱらないか。このあたりは型紙の作り方の差です。
安いものは、そもそもレインウェア専用の型紙ではないことがあります。作業用や自転車用を登山にも使える、と書いてあるものですね。
3. どれくらい持つか
防水の生地は使っているうちに性能が落ちます。これはどのブランドでもそうです。
ただ落ち方の速さと、直せるかどうかが違うんですよね。モンベルは修理を受け付けていますが、安いものは基本的に使い切りです。
で、どこで払うか
| こういう人は | これでいい |
|---|---|
| 年に数回、日帰りの低山 | 5,500円〜1万円 |
| 月に1回は歩く。雨でも行く | 1万円台の上下セット |
| 泊まりや縦走もする | 2万円以上 |
| 荷物を1gでも減らしたい | 2万円以上 |
この記事の立場としては、いきなり3万円を出さなくていいです。安いもので何回か歩いて、不満が出たところで上げるほうが失敗しないかなと思います。

買う場所で1.25倍の差
もうひとつ。同じ製品でも、買う場所で1.25倍くらい違うことがあります。
モンベルのサンダーパス ジャケットで見ると、こうでした。いま売っているのは新しいモデルですが、ひとつ前のモデルがモンベルのアウトレットに残っていて、通販に出ているのもこの前のモデルです。
- モンベル公式アウトレット(前のモデル)…1万850円
- 通販サイト(前のモデル)…1万3千円台後半から
- モンベル公式(新しいモデル)…1万3,600円
同じ前のモデルでも、アウトレットのほうが3千円ほど安いんですよね。しかも通販はサイズと色の組み合わせごとに値段が別々に付いていました。アウトレットは色とサイズが限られるので、合うものが残っていれば、の話ですが。
で、これはモンベルに限りません。メーカーが自分で通販をやっているブランドは、まず公式を見たほうがいいかなと思います。モンベルのオンラインストアから確認できます。
逆にメーカー通販がないブランドは、通販サイトのほうが安いことが多いです。ミズノやオンヨネはそちらですね。
通販で買える6着
安い順に並べています。耐水圧が分かっているものはスペック欄に入れました。価格は2026年9月時点です。
ワークマンのイナレムは通販の取り扱いがないので、ここには入っていません。店舗かワークマンの公式サイトで探してください。
| 製品名 | こんな人向け | 価格 | 耐水圧 | 構成 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|---|
|
マック フェニックス2 レインスーツ AS-7400
|
最安 ★★★☆☆ |
約5,100円〜 | 20,000mm | 上下セット | 一度きりでもいいから今すぐ要る人 |
|
ベンケ レインウェア上下セット
|
コスパ ★★★★☆ |
約9,900円〜 | 20,000mm | 上下セット | 1万円以下で基準を満たしたい人 |
|
オンヨネ ブレステック レインスーツ ODS97030
|
手堅い ★★★★☆ |
約12,900円〜 | 20,000mm | 上下セット | 国内ブランドで手堅くいきたい人 |
|
ミズノ ベルグテックEX ストームセイバー6
|
雨に強い ★★★★★ |
約13,400円〜 | 30,000mm以上 | 上下セット | 雨の中を長く歩く人。防水に余裕 |
|
モンベル サンダーパス ジャケット
|
軽さ ★★★★☆ |
約13,700円〜 | 20,000mm以上 | 上のみ | 軽さと作りを取りたい人 |
|
プロモンテ ゴアテックス パックライトプラス レインスーツ
|
本格 ★★★★★ |
約21,400円〜 | ゴアテックス基準 | 上下セット | 本物のゴアテックスを上下で揃えたい人 |
1. マック フェニックス2 レインスーツ AS-7400|5千円台で上下そろう

マック フェニックス2 レインスーツ AS-7400の価格を比較する
- 構成
- 上下セット
- 耐水圧
- 20,000mm
- 生地
- 2レイヤー
- 透湿
- 数値非公表
- 価格帯
- 約5,100円〜
上下そろって5千円台です。耐水圧は20,000mmと表示されていて、止水テープも入っています。
ただ透湿性の数字が公表されていません。生地も2レイヤーなので、汗の抜けはワークマンのイナレムより落ちると思っておいてください。
「明日の山行に間に合わせたい」という場面での選択肢ですね。長く使うつもりなら、もう少し上を見たほうがいいかなと。
こんな人に:今すぐ1着が必要な人
気になる点:透湿性の数字が公表されていません
2. ベンケ レインウェア上下セット|1万円以下で基準クリア

ベンケ レインウェア上下セットの価格を比較する
- 構成
- 上下セット
- 耐水圧
- 20,000mm
- 透湿
- 15,000g
- 生地
- TPUラミネート
- 価格帯
- 約9,900円〜
1万円を切って、耐水圧20,000mm・透湿15,000gを表示しています。数字だけ見れば、モンベルの入門モデルと同じラインです。
生地はTPUラミネートで、縫い目には止水テープ。上下セットなので、これ1つで足りるのはありがたいところですね。
通販だけのブランドなので試着はできません。サイズ表をよく見て選んでください。
こんな人に:安く、でも数字は妥協したくない人
気になる点:通販専業ブランドで実店舗はありません
3. オンヨネ ブレステック レインスーツ ODS97030|国内ブランドの上下セット

オンヨネ ブレステック レインスーツ ODS97030の価格を比較する
- 構成
- 上下セット
- 耐水圧
- 20,000mm
- 生地
- 透湿素材
- 付属
- 収納袋
- 価格帯
- 約12,900円〜
オンヨネは新潟のスポーツ用品メーカーです。スキーウェアで名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。
耐水圧20,000mm、収納袋つきの上下セットで1万2千円台。国内ブランドで手堅く選びたいならここかなと思います。
色とサイズによって値段が変わるので、リンク先で自分のサイズを確認してください。
こんな人に:聞いたことのある名前で選びたい人
気になる点:サイズによって値段が変わります
4. ミズノ ベルグテックEX ストームセイバー6|防水性能に余裕

ミズノ ベルグテックEX ストームセイバー6の価格を比較する
- 構成
- 上下セット
- 耐水圧
- 30,000mm以上
- 生地
- ベルグテックEX
- 加工
- 100洗耐久撥水
- 価格帯
- 約13,400円〜
耐水圧30,000mm以上。この記事でいちばん防水に余裕があります。ミズノ独自の「ベルグテックEX」という生地ですね。
100回洗っても撥水が落ちにくい加工もうたっていて、長く使う前提の作りになっています。
そのぶん生地はしっかりしていて、軽くはありません。雨の中を長く歩くならこれ、という位置づけです。
こんな人に:雨の中を長く歩く人
気になる点:生地がしっかりしているぶん軽くはないです
5. モンベル サンダーパス ジャケット|ここから軽さが変わる

モンベル サンダーパス ジャケットの価格を比較する
- 構成
- 上のみ
- 重量
- 325g(新しいモデルは313g)
- 耐水圧
- 20,000mm以上
- 透湿
- 15,000g
- 生地
- ドライテック3層
- メーカー公式
- ¥13,600
- 価格帯
- 約13,700円〜
ここから軽さが変わってきます。300gちょっとで、たたむと小さくなります。耐水圧20,000mm以上・透湿15,000g。
ただしジャケット単品です。パンツは別に買う必要があります。
そして通販に出ているのはひとつ前のモデルです。同じものがモンベルのアウトレットに1万850円で残っていることがあるので、急がないなら先に公式を見てください。新しいモデルは公式で1万3,600円です。
こんな人に:重さとかさばりが気になってきた人
気になる点:上のみ。前のモデルは公式アウトレットのほうが安いことがあります
6. プロモンテ ゴアテックス パックライトプラス レインスーツ|本物のゴアテックス

プロモンテ ゴアテックス パックライトプラス レインスーツの価格を比較する
- 構成
- 上下セット
- 生地
- ゴアテックス パックライトプラス
- 耐水圧
- ゴアテックス基準
- 価格帯
- 約21,400円〜
本物のゴアテックスを上下でそろえられます。プロモンテは日本の登山用品メーカーで、テントでも名前を聞くところですね。
ゴアテックス パックライトプラスは軽さと防水を両立した生地です。上下セットで2万1千円台は、ゴアテックスとしてはかなり安いほうかなと。
この記事でいちばん高いですが、長く使うなら1着に絞る価値はあります。
こんな人に:長く使う前提で1着に絞る人
気になる点:この記事でいちばん高いです
よくある質問
登山用レインウェアのコスパ最強はどれですか?
数字で見るかぎり、ワークマンのイナレム ストレッチレインスーツです。上下セットで5,500円、耐水圧20,000mm、透湿25,000g。
耐水圧20,000mmは、モンベルが「レインウエアに求められる」として掲げているラインと同じです。透湿にいたっては、モンベルの入門モデル(15,000g)より上の数字が出ています。
ただし重さや動きやすさ、どれくらい持つかは数字に出ません。そこを求めるなら値段は上がります。
2,000円台のレインスーツではだめですか?
登山に持っていくならおすすめしません。理由は性能が低いからというより、耐水圧も透湿性も数字が書かれていないことが多いからです。
数字が出ていないものは、確かめようがありません。山で雨に降られたときに「たぶん大丈夫」では困りますよね。
逆に数字を出しているものは、金額が安くても検討していいと思います。
上下セットと、ジャケット単品はどちらがいいですか?
最初は上下セットでいいです。雨の日にパンツだけ濡れると、下半身から冷えます。
ただしブランドものは基本的に単品売りです。モンベルだとジャケット2万2千円+パンツ1万4千円で、上下3万6千円になります。
上下セットで売っているのは、ミズノやオンヨネのような価格を抑えたラインですね。
ゴアテックスじゃないとだめですか?
だめではありません。ゴアテックスは有名ですが、防水透湿の素材はほかにもあります。
モンベルの主力モデルも、いまは自社の「ドライテック」系です。ミズノは「ベルグテックEX」で耐水圧30,000mm以上をうたっています。
素材の名前より、耐水圧と透湿性の数字を見てください。
耐水圧が高ければ高いほどいいですか?
20,000mmを超えていれば、その先はあまり気にしなくていいです。ミズノの30,000mm以上は立派ですが、20,000mmで足りない場面は登山ではほとんどありません。
それより透湿性のほうが体感に出ます。汗が抜けないと、雨が入っていなくても中が濡れますので。
安いレインウェアはどれくらい持ちますか?
使い方によりますが、数年で防水が落ちてくると考えておいてください。これは高いものも同じで、違うのは落ち方の速さです。
撥水は洗濯と熱処理である程度戻せます。やり方はゴアテックスの洗濯と熱処理の記事にまとめました。
あと安いものは修理を受け付けていないことがほとんどです。長く使う前提なら、そこは値段に含まれていると考えたほうがいいですね。
まとめ
- 合否のラインは耐水圧20,000mm。モンベルが自社の基準として掲げている数字です
- 透湿性は15,000g前後あれば登山用として成立します
- ワークマンのイナレムは上下5,500円で、その両方を満たしています。最初の1着はこれでいいと思います
- 値段を上げて変わるのは重さ・動きやすさ・どれくらい持つか。数字に出ないところです
- 2,000円台で数字が書かれていないものは避けてください。金額より、数字の有無で判断を
- モンベルのようにメーカー通販があるブランドは公式が安いです。1.25倍ほど違いました
レインウェアは、持っていても使わない日のほうが多い装備です。だからこそ最初から高いものを買わなくていいというのが、私の考えです。何回か雨に降られてから決めても遅くありません。



私は最初、レインウェアにお金をかけるのがどうしても納得できませんでした。使わない日のほうが多いのに、なんで3万円なんだと。
それで安いものを買って何回か歩いたのですが、正直そこまで困りませんでした。困ったのはザックの中でかさばることのほうでしたね。
なので順番としては、まず安いもので雨を経験して、不満が出てから上げるでいいと思っています。使ってもいないうちに「良いもの」を買うと、何が良いのか分からないままになりますので。