「週末は少し遠出して、景色の良い場所でサイクリングを楽しみたい」
そう思ったとき、最大のハードルになるのが自転車の移動手段です。通常、電車に自転車を載せる「輪行(りんこう)」には、自転車を分解して専用の袋に収納する手間が必要ですが、実は関東エリアには自転車をそのまま電車に載せられる「サイクルトレイン」が増えているのをご存知でしょうか?
本記事では、2025年12月現在、関東周辺で利用できるおすすめのサイクルトレイン路線を厳選してご紹介します。予約の有無や料金、利用時のルールまで詳しく解説しますので、初心者の方もぜひ参考にしてください。
サイクルトレインとは?輪行との違いを理解しよう
サイクルトレインとは、自転車を分解したり折りたたんだりせず、そのままの状態で車内に持ち込めるサービスのことです。通常の「輪行」と比較すると、その手軽さは一目瞭然です。
| 項目 | サイクルトレイン | 通常の輪行 |
|---|---|---|
| 持ち込み形態 | そのまま(スタンド等で固定) | 分解して専用袋に収納 |
| 手間・時間 | ほぼゼロ | 分解・組立に各10〜20分 |
| 利用条件 | 路線・時間帯・車両が限定 | 全路線で可能(混雑時除く) |
最大のメリットは、駅に着いたらすぐに走り出せること。重い輪行袋を担いでホームを移動する必要もなく、体力に自信がない方や、メカトラブルが不安な初心者の方でも安心して自転車旅を楽しめます。
関東エリアのおすすめサイクルトレイン路線6選
関東近郊には、海沿いや山間部など、サイクリングに適したエリアへアクセスできるサイクルトレインが充実しています。ここでは特に利用しやすい6つの路線を紹介します。
JR常磐線サイクルトレイン(上野~土浦)
JR常磐線サイクルトレインは、都心の上野駅から、ナショナルサイクルルート「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の拠点である土浦駅まで直結するサービスです。2024年6月から通年実施となり、週末の利用がさらに便利になりました。
- 運行区間:上野駅 ~ 土浦駅(途中乗降不可)
- 運行日:土休日
- 対象列車:朝の下り2本、夕方の上り2本(指定列車の14・15号車)
- 料金:JRE MALLでの専用商品購入が必要(数千円程度)※時期により料金体系が変動します
- 予約:必須(JRE MALL専用サイトより)
💡 土浦駅到着後のポイント:駅直結の「りんりんスクエア土浦」で休憩・情報収集が可能。自転車ラックやシャワー、カフェも併設されており、サイクリストの拠点として最適です。
📎 詳細・予約:JR東日本 常磐線サイクルトレイン公式サイト
秩父鉄道サイクルトレイン(波久礼~三峰口)
埼玉県の観光名所、長瀞(ながとろ)や秩父エリアを走る秩父鉄道。予約不要で手軽に利用できるのが最大の特徴です。駅に到着してそのまま乗車できるため、その日の天気や気分に合わせてプランを決められます。
- 運行区間:波久礼(はぐれ)駅 ~ 三峰口駅
- 運行日:通年(GW、秩父夜祭など特定日を除く)
- 利用時間:9:30~14:30頃に乗車する列車
- 料金:無料
- 予約:不要
📎 詳細:秩父鉄道 サイクルトレイン公式サイト
伊豆急行サイクルトレイン(南伊東~伊豆急下田)
伊豆半島の東海岸を走る伊豆急行は、美しい海岸線を楽しみながら移動できる路線です。サイクルトレインを使えば、起伏の激しい区間をパスして、おいしいとこ取りのサイクリングが可能です。
- 運行区間:南伊東駅 ~ 伊豆急下田駅
- 運行日:通年
- 対象列車:8000系普通列車のみ(特急等は不可)
- 料金:無料
- 予約:不要(乗車駅の係員に申し出)
⚠️ 初心者の落とし穴:JR伊東線と接続する「伊東駅」からは乗車できません!サイクルトレインの始発は「南伊東駅」です。伊東駅で降りた場合は、一駅分を自走するか輪行袋で移動する必要があります。間違えないよう注意しましょう。
📎 詳細:伊豆急行 サイクルトレイン公式サイト

私が実際に使ったときは、南伊東から下田方面へ。車内は空いていてストレスゼロ、駅員さんも慣れた対応でした。激坂区間をスキップして、海沿いの絶景だけ楽しむ「いいとこ取りルート」が組めるのが最高ですね。初心者にもおすすめできます。
関東鉄道サイクルトレイン(常総線・竜ヶ崎線)
茨城県西部を走る関東鉄道は、常総線と竜ヶ崎線でサイクルトレインを実施しています。特に常総線は小貝川サイクリングロードと並走しており、初心者向けの平坦なコースへのアクセスに最適です。
- 予約:不要
💡 週末の最大メリット:土日祝はJR常磐線・千代田線直通の終点「取手駅」から即サイクルトレインに乗車可能!都心(大手町・表参道方面)からのアクセスが格段に便利です。平日は水海道駅以遠に限定されるため、週末利用が断然おすすめです。※最新の運行区間は公式サイトでご確認ください。
📎 詳細:関東鉄道 サイクルトレイン公式サイト

サイクリング仲間の話では、小貝川サイクリングロードは初心者向けの平坦コースとして評判が良いそうです。取手から直結できるのは都心在住者にとって魅力的。週末の全線利用は要チェックですね。
西武鉄道サイクルトレイン(池袋線・西武秩父線)
西武鉄道は、関東の大手私鉄としてはいち早く本格的なサイクルトレインを導入しました。石神井公園駅から飯能・西武秩父方面へ直通運転しており、都内在住のサイクリストにとって非常に利便性が高いのが特徴です。
- 運行区間:石神井公園駅 ~ 飯能駅・西武秩父駅
- 運行日:土休日
- 対象列車:S-TRAINなどの指定列車
- 料金:「西武鉄道サイクルトレインきっぷ(デジタル)」の購入が必要
- 予約:必須(EMotオンラインチケット等)
📎 詳細・予約:西武鉄道 サイクルトレイン公式サイト
富士急行サイクルトレイン(大月~河口湖)
富士山の麓を走る富士急行線は、JR中央線と接続する大月駅から、河口湖駅までを結びます。標高差のあるアプローチ区間を電車で移動できるため、富士五湖周辺でのサイクリングに体力を温存できます。
- 運行区間:大月駅 ~ 河口湖駅
- 運行日:通年(混雑時は制限あり)
- 料金:自転車持込料が必要(数百円程度)※輪行袋に入れた場合は無料
- 予約:不要(駅係員に申し出)
⚠️ 混雑リスクに注意:富士山観光シーズンや週末は、外国人観光客などで車内が非常に混雑します。混雑時は自転車の持ち込みを断られる可能性が高いため、朝の早い時間帯や平日の利用がおすすめです。念のため輪行袋を携帯しておきましょう。
📎 詳細:富士急行 サイクルトレイン公式サイト
| 路線名 | 主な区間 | 運行日 | 予約 | 料金 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| JR常磐線 | 上野⇔土浦 | 土休日 | 必須 | 有料※ | JRE MALLで購入が必要(専用商品) |
| 秩父鉄道 | 波久礼⇔三峰口 | 通年 | 不要 | 無料 | 長瀞観光に便利、駅ですぐ乗れる |
| 伊豆急行 | 南伊東⇔下田 | 通年 | 不要 | 無料 | 海沿い絶景ルート(伊東駅は不可) |
| 関東鉄道 | 取手⇔下館 | 土休日 | 不要 | 無料 | 週末は全線OK、平日は区間限定 |
| 西武鉄道 | 石神井公園⇔秩父 | 土休日 | 必須 | 有料 | S-TRAIN等を利用、座席指定で快適 |
| 富士急行 | 大月⇔河口湖 | 通年 | 不要 | 有料 | 富士山エリアへの足(持込料別途) |
※JR常磐線:実証実験やキャンペーン扱いのため、時期により料金や予約方法が変動します。必ずJRE MALLで最新情報をご確認ください。
サイクルトレイン利用の基本ルール
便利で手軽なサイクルトレインですが、公共交通機関を利用するため厳格なルールがあります。トラブルを避けるために、以下のポイントを必ず確認しましょう。
- 持ち込み可能な自転車:ロードバイク、クロスバイク、MTBなどが対象です。泥除けのついたシティサイクル(ママチャリ)は、スタンドの形状や重量により固定できない場合があり、路線によって可否が異なります。
- 持ち込み禁止車両:原動機付自転車、電動キックボード、タンデム自転車などは原則禁止です。
- 乗車位置の厳守:「先頭車両のみ」「指定号車のみ」など、自転車を置けるスペースは決まっています。ホームの足元表示や駅員の指示に従ってください。
- 輪行袋の携帯:これが最も重要です。事故や天候による運休、予期せぬ混雑時には、サイクルトレインの利用が中止される場合があります。その際、輪行袋がないと電車に乗れず、立ち往生してしまいます。必ず軽量な輪行袋をお守りとして携帯しましょう。

サイクルトレイン云々に関わらず、輪行袋はお守り代わりにいつも持っておくのがおすすめです。筆者もなんども輪行袋には助けられてます!
車内でのマナーと注意点
一般の乗客と一緒に利用する空間であることを忘れず、周囲への配慮を徹底しましょう。
まず、転倒防止策は必須です。多くの路線では、備え付けの固定ベルトや、手持ちのバンドで手すりに固定することが義務付けられています。固定器具がない場合でも、常に手で支え、急ブレーキに備えてください。
また、汚れ対策も重要です。タイヤやチェーンの油が他の乗客の衣服に付かないよう注意が必要です。乗車前にはタイヤの泥を落とし、チェーン側を壁に向けるなどの配慮をしましょう。
駅構内の移動時は、原則としてエレベーターを使用します。エスカレーターは危険なため、自転車を持っての利用は禁止されている場合がほとんどです。💡 事前準備のコツ:重いロードバイクやE-BIKEを持って階段を上り下りするのは大変です。事前に駅構内図をスマホで検索し、エレベーター設置場所や改札口の位置を確認しておくとスムーズです。特に大きなターミナル駅では、改札口によってエレベーターの有無が異なる場合があります。
予約が必要な路線の利用手順
JR常磐線や西武鉄道など、事前予約が必要な路線を利用する際の一般的な流れを解説します。
- 公式サイトで運行情報を確認:利用したい日が運行日か、除外日(イベント開催日など)でないかを確認します。
- Web予約システムから申し込み:多くの路線でスマホから予約可能です。会員登録が必要な場合もあるので、前日までに済ませておきましょう。
- 利用証の受領:予約完了メールや、デジタルチケット(利用証)が発行されます。当日はこれを駅員に提示します。
- 指定の改札口から入場:自動改札ではなく、有人改札を通るケースが一般的です。利用証を提示して入場します。
- 指定位置に乗車:予約した号車・スペースに自転車を固定します。
初めてのサイクルトレイン:よくある失敗と対策
筆者も初めて利用した際にいくつか失敗を経験しました。同じ轍を踏まないよう、以下の点に注意してください。
よくあるのが「予約のし忘れ」や「対象列車の勘違い」です。「土日はやってるだろう」と思い込んで駅に行ったら、その日はイベント除外日だった、あるいは予約満席だったというケースがあります。特に紅葉シーズンなどの繁忙期は、早めの予約が必須です。
また、「駅から目的地までのルート確認不足」も要注意です。サイクルトレインの下車駅は、必ずしもサイクリングロードの目の前とは限りません。交通量の多い国道を走らざるを得ない場合もあるため、事前に安全なルートを調べておきましょう。
よくある質問(FAQ)
子供用自転車も持ち込めますか?
路線により異なりますが、多くの場合可能です。ただし、固定ベルトのサイズが合わない場合があるため、保護者が責任を持って支える必要があります。事前に各鉄道会社へ確認することをおすすめします。
追加料金はかかりますか?
路線によって異なります。秩父鉄道、伊豆急行、関東鉄道などは無料(乗車券のみ)で利用できます。一方、JR常磐線(上野発着)、西武鉄道、富士急行などは、事前のチケット購入や持ち込み料として追加料金がかかります。詳細は各路線の公式サイトでご確認ください。
雨の日でも利用できますか?
基本的には運行していますが、駅構内や車内が濡れて滑りやすくなるため、通常以上に注意が必要です。また、自転車が極端に汚れていると乗車を断られる場合があるため、泥汚れなどは拭き取ってから乗車しましょう。
グループで利用したいのですが、何台まで乗れますか?
1列車あたりの積載台数には上限があります(例:常磐線なら1列車あたり数十台、ローカル線なら数台など)。大人数でのツーリングの場合は、班を分けて乗車するか、事前に団体利用の可否を問い合わせる必要があります。
まとめ:サイクルトレインで広がる自転車旅の可能性
関東エリアのサイクルトレインは、年々サービスが拡充され、使いやすくなっています。輪行の手間を省き、都心から一気に自然豊かなフィールドへアクセスできるこの移動手段は、自転車旅の可能性を大きく広げてくれます。
まずは予約不要の路線から試してみて、慣れてきたら予約制の長距離路線に挑戦するのがおすすめです。ルールとマナーを守り、安全で快適なサイクルトレインの旅を楽しんでください。
※本記事の情報は2025年12月時点のものです。運行ルールやダイヤは変更される可能性がありますので、ご利用前に必ず各鉄道会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。

サイクルトレインは「使い方次第」のサービスです。伊豆急で試したときも、観光とサイクリングの両立が簡単にできて感動しました。最初は予約不要の路線で慣れて、徐々に活用範囲を広げるのがおすすめです。ルート設計の幅が一気に広がりますよ。
「サイクルトレイン?いやいや、その区間に行くまでが結局輪行じゃん!輪行でいいじゃん!」と懐疑的だった筆者ですが、伊豆半島を走っているとき試しに伊豆急のサイクルトレインを使ってみたら「便利じゃん!」となりました。国道135号の交通量と激坂をスキップして、海沿いの美味しいところだけ走れる。使い方次第でルートの幅が一気に広がりますね。