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【春夏秋】登山の服装(レイヤリング)完全ガイド|初心者が揃えるべき基本とおすすめ

春夏秋の登山服装(レイヤリング)を初心者向けに完全ガイド。ベース、ミドル、アウターの基本3レイヤーの役割と選び方、揃えるべきおすすめアイテムを徹底解説。これで服装選びは完璧です。
目次

登山を始めたばかりの方が最初に悩むのが「どんな服装で行けばいいの?」という疑問です。実は登山の服装選びには、「レイヤリング(重ね着)」という基本原則があり、これを理解するだけで快適さと安全性が格段に向上します。

本記事では、春夏秋の3シーズンにおける登山の服装について、レイヤリングの基本から具体的なアイテム選びまで、初心者の方に向けて徹底解説します。この記事を読めば、自分に合った登山服装を自信を持って選べるようになるはずです。

登山の服装の基本は「レイヤリング」

レイヤリング3層構造の説明図
ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーの3層構造がレイヤリングの基本
出典:モンベル

レイヤリングとは?なぜ登山に必要なのか

レイヤリング(Layering)とは、機能の異なる複数の衣類を重ね着することで、気温の変化や運動量に応じて体温調節を行う着こなし方法です。登山では平地と比べて気温の変化が激しく、行動中と休憩中では体感温度が大きく異なります

例えば、標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がるとされており、標高1,000mの山頂では平地より約6℃低くなります。さらに、登りで汗をかいた後、休憩中に風が吹くと急激に体が冷える「汗冷え」が発生します。

このような環境変化に対応するため、登山では状況に応じて1枚ずつ脱ぎ着できる重ね着が基本となります。適切なレイヤリングは、快適性だけでなく、低体温症などの危険から身を守る安全対策でもあるのです。

基本の3レイヤー構造を理解しよう

登山のレイヤリングは、肌に近い順から「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー」「アウターレイヤー」の3層が基本となります。それぞれに明確な役割があり、この役割を理解することが適切な服装選びの第一歩です。

レイヤー名 主な役割 代表的なアイテム
ベースレイヤー(第1層) 汗を素早く吸収・拡散し、汗冷えを防ぐ 化繊Tシャツ、メリノウールインナー
ミドルレイヤー(第2層) 体温を保持し、保温性を確保する フリース、化繊インサレーション
アウターレイヤー(第3層) 雨や風など外気から身を守る レインウェア、ウインドシェル

これら3層を気温や天候、運動量に応じて組み合わせることで、一年を通じて(春夏秋の3シーズン)快適な登山が可能になります。各レイヤーの詳細について、以下で解説していきます。

ベースレイヤー(第1層)|汗を素早く吸収・拡散する肌着

登山用ベースレイヤー各種
化繊とメリノウールなど、素材によって特性が異なるベースレイヤー
出典:山旅旅

ベースレイヤーの役割と重要性

ベースレイヤーは肌に直接触れる第1層で、レイヤリングの中で最も重要な役割を担います。その最大の役割は「吸汗速乾性」、つまり汗を素早く吸収し、外側へ拡散させることです。

登山中は運動量が多く、大量の汗をかきます。この汗が肌に残ったままだと、休憩時や山頂で風に当たった際に体温を奪われ、「汗冷え」と呼ばれる急激な体温低下を引き起こします。特に標高の高い場所や風の強い稜線では、汗冷えが低体温症につながる危険性もあるため、ベースレイヤー選びは非常に重要です。

※綿のTシャツやヒートテックは、汗が乾きにくく汗冷えの原因となるため、登山には不向きです。必ず吸汗速乾性の高い登山用ベースレイヤーを着用しましょう。

化繊とメリノウールの違い

ベースレイヤーの素材は大きく「化学繊維(ポリエステルなど)」と「メリノウール」の2種類に分けられます。それぞれに特徴があり、季節や用途によって使い分けることが重要です。

素材 メリット デメリット おすすめシーン
化学繊維(ポリエステル) 速乾性が非常に高い、軽量、価格が手頃 臭いが付きやすい、保温性は低め 夏の低山、運動量の多い登山
メリノウール 防臭性に優れる、保温性が高い、肌触りが柔らか 乾きが遅い、価格が高め、耐久性やや低い 春秋の中級山、テント泊、長期縦走

化学繊維は速乾性に優れており、汗を大量にかく夏場や運動量の多い登山に最適です。一方で、メリノウールは天然の防臭効果があり、数日着続けても臭いにくいため、テント泊や長期縦走に向いています。また、メリノウールは汗をかいてもほんのり温かく感じる特性があり、春秋の涼しい時期に重宝します。

最近では、化繊とメリノウールの混紡素材も増えており、両方の良いところを取り入れた製品も人気です。初心者の方は、まず化繊製の手頃なベースレイヤーから始め、徐々にメリノウール製も試してみることをおすすめします。

春夏秋の季節別選び方

ベースレイヤーは季節や標高、運動量によって厚さ(重量)を変える必要があります。一般的に「薄手」「中厚手」「厚手」の3種類があり、春夏秋の3シーズン登山では以下のような選び方が基本です。

  • 春(3〜5月)・秋(9〜11月):中厚手のロングスリーブがおすすめ。朝晩は冷え込むため、保温性も考慮しましょう。メリノウール混紡が快適です。
  • 夏(6〜8月):薄手の半袖または長袖を選びます。標高2,000m以上では紫外線が強いため、長袖がベター。化繊100%が速乾性に優れます。
  • 低山(標高1,000m未満):薄手で十分。ただし、天候急変に備えて予備のベースレイヤーを持参すると安心です。

※体力や発汗量には個人差があります。自分が汗をかきやすいタイプか、冷え性かを考慮して選びましょう。

ミドルレイヤー(第2層)|体温を保つ中間着

登山用フリースやミドルレイヤー
フリースや化繊インサレーションなど、保温性を担うミドルレイヤー
出典:YAMA HACK

ミドルレイヤーの役割と種類

ミドルレイヤーは、ベースレイヤーとアウターレイヤーの中間に着用する保温着です。体温を保持し、寒さから身を守る役割を担います。登山中の休憩時や、気温が下がる朝晩、山頂での滞在時など、体が冷えやすい場面で着用します。

ミドルレイヤーには主に以下の3種類があります。

  1. フリース:通気性と保温性のバランスが良く、行動中でも着られる。最も使いやすいミドルレイヤー。
  2. 化繊インサレーション:フリースより保温性が高く、コンパクトに収納できる。休憩時に羽織るのに最適。
  3. ダウンジャケット:最も保温性が高いが、行動中は暑すぎるため春夏秋の3シーズンではあまり使用しない(冬山向き)。

春夏秋の3シーズン登山では、フリースまたは化繊インサレーションを1枚持参するのが基本です。

フリースと化繊インサレーションの使い分け

フリースと化繊インサレーションは、どちらも保温性を担いますが、使用シーンが若干異なります。

タイプ 特徴 重量 使用シーン
フリース 通気性が高い、行動中も着られる、価格が手頃 やや重い(200〜400g程度) 行動中の保温、肌寒い日の登山
化繊インサレーション 保温性が高い、コンパクト、防風性あり 軽量(150〜300g程度) 休憩時に羽織る、山頂での待機

フリースは通気性が高いため、行動中でも蒸れにくく、気温が低い日には着たまま歩くことができます。一方、化繊インサレーションは保温性が高い反面、行動中に着ると暑くなりすぎることが多いため、主に休憩時に羽織る用途に適しています。

春夏秋におすすめのミドルレイヤー

春夏秋の3シーズン登山では、以下のような選び方がおすすめです。

  • 春・秋(標高1,500m以上):中厚手のフリースまたは薄手の化繊インサレーションを携行。朝晩は気温が一桁台まで下がることもあるため必須です。
  • 夏(標高2,000m以上):薄手のフリースまたはウインドシェルで対応。標高が高ければ夏でも山頂は10℃前後になることがあります。
  • 夏(低山・標高1,000m未満):ミドルレイヤーは不要な場合も。ただし、天候急変や怪我による停滞に備えて、軽量なウインドシェルはザックに入れておくと安心です。

※標高や天候、個人の寒がり度合いによって必要なミドルレイヤーは異なります。初めて登る山では、念のため1枚多めに持参することをおすすめします。

アウターレイヤー(第3層)|雨風から身を守る最外層

ゴアテックスレインウェア
防水透湿性に優れたゴアテックス製レインウェア。登山の必須装備
出典:山旅旅

アウターレイヤーの役割と必須性

アウターレイヤーは、レイヤリングの最も外側に着る層で、雨や風、雪などの外気から身を守る役割を担います。登山では天候が急変しやすく、晴れていても突然の雨に見舞われることは珍しくありません。

特に山岳地帯では、「風速1m/秒で体感温度が1℃下がる」とされており、風を防ぐことは低体温症予防の観点からも非常に重要です。そのため、アウターレイヤー(特にレインウェア)は、春夏秋の3シーズン登山においても必須の装備とされています。

※レインウェアは雨具としてだけでなく、防風着・防寒着としても機能します。晴れ予報の日でも必ずザックに入れておきましょう。

レインウェアの選び方(防水性・透湿性)

登山用レインウェアを選ぶ際に重要なのが、「防水性」と「透湿性」の2つの性能です。

  • 防水性:外からの雨水を通さない性能。「耐水圧」で表され、登山用レインウェアは最低10,000mm以上、できれば20,000mm以上が推奨されます。
  • 透湿性:内側の蒸れ(汗の水蒸気)を外に逃がす性能。「透湿度」で表され、5,000g/㎡/24h以上あると快適です。透湿性が低いと内側が蒸れて結局濡れてしまいます。

一般的なビニール合羽やポンチョは防水性はあっても透湿性がほぼゼロのため、登山には不向きです。必ず防水透湿素材を使用した登山用レインウェアを選びましょう。

ゴアテックスと他素材の違い

防水透湿素材の代表格が「ゴアテックス(GORE-TEX)」です。ゴアテックスは防水性・透湿性・耐久性のバランスに優れており、登山用レインウェアのスタンダードとして長年愛用されています。

素材 特徴 価格帯
ゴアテックス 防水性・透湿性・耐久性すべてに優れる。信頼性が高い 上下セット3万円〜6万円
独自開発素材(ドライテック、ブリザテックなど) ゴアテックスに準じる性能で価格が抑えめ 上下セット1.5万円〜3万円
PUコーティング 防水性はあるが透湿性が低い。低価格 上下セット5,000円〜1.5万円

初心者の方が最初に購入するなら、モンベルのストームクルーザーミズノのベルグテックEXなど、2万円前後で購入できる信頼性の高いレインウェアがおすすめです。最初から高価なゴアテックスを買う必要はありませんが、あまりに安価な製品は透湿性が不十分なことが多いため、注意が必要です。

※レインウェアは「ジャケット」と「パンツ」の上下セットで揃えましょう。ジャケットだけでは下半身が濡れてしまいます。

パンツ・帽子・靴下|忘れてはいけない下半身と小物

トレッキングパンツの着用例
ストレッチ性と速乾性に優れたトレッキングパンツは登山の必需品
出典:山旅旅

トレッキングパンツの選び方

上半身のレイヤリングと同様に、下半身の服装も重要です。トレッキングパンツは、登山に適した機能を持つ専用パンツで、以下のような特徴があります。

  • ストレッチ性:足を大きく上げる動作が多い登山では、動きやすさが最優先。4方向ストレッチ素材が理想的です。
  • 速乾性:汗や雨で濡れてもすぐに乾く化繊素材が基本。綿のジーンズやチノパンは絶対にNG。
  • 耐久性:岩場や藪こぎで擦れても破れにくい厚手の生地。リップストップ加工があると安心。

春夏秋の3シーズン登山では、薄手〜中厚手のロングパンツが基本です。夏の低山ではショートパンツ+タイツの組み合わせも人気ですが、初心者の方はロングパンツが無難です(虫刺されや怪我、紫外線から脚を守れます)。

帽子の役割と選び方

登山では帽子も重要な装備です。主な役割は以下の通りです。

  1. 紫外線対策:標高が上がると紫外線量は平地の1.5〜2倍に増加。帽子で頭部を保護しましょう。
  2. 熱中症予防:直射日光を遮ることで体温上昇を抑えます。特に夏場は必須。
  3. 頭部保護:枝や岩にぶつかった際のクッションになります。
  4. 雨よけ:レインウェアのフードと併用することで、顔への雨の吹き込みを軽減。

帽子の形状はキャップ型とハット型の2種類があります。キャップは視界が広く動きやすい、ハットは首の後ろまで日差しを遮れる、というメリットがあります。初心者にはツバの広いハット型がおすすめですが、好みで選んでOKです。

登山用ソックスの重要性

意外と見落とされがちですが、登山用ソックスも快適性と安全性に大きく影響します。登山用ソックスの特徴は以下の通りです。

  • クッション性:足裏に厚手のパイル編みがあり、長時間歩いても疲れにくい。
  • 吸汗速乾性:メリノウールや化繊素材で、足のムレを防ぎ、マメ(靴擦れ)を予防。
  • ズレにくい設計:足首やアーチ部分にサポートがあり、ソックスがずれて靴擦れするのを防ぐ。

一般的な綿のソックスは汗を吸うと乾きにくく、マメの原因になります。必ず登山用の厚手ソックスを着用しましょう。春夏秋は中厚手のメリノウールまたは化繊ソックスが快適です。

※登山靴のサイズは、厚手ソックスを履いた状態で合わせるのが基本です。靴とソックスはセットで考えましょう。

春夏秋シーズン別のレイヤリング例

ここまで各レイヤーの役割と選び方を解説してきましたが、実際の登山ではどのように組み合わせるのでしょうか。春夏秋の3シーズン別に、具体的なレイヤリング例を紹介します。

春(3〜5月)の基本レイヤリング

春は気温差が大きいのが特徴です。平地では暖かくても、山ではまだ寒さが残り、朝晩は冷え込みます。標高1,500m以上の山では残雪があることもあり、油断は禁物です。

  • ベースレイヤー:中厚手の長袖(メリノウール混紡がおすすめ)
  • ミドルレイヤー:中厚手のフリースまたは薄手の化繊インサレーション(必携)
  • アウターレイヤー:レインウェア上下(必携)
  • パンツ:中厚手のトレッキングパンツ
  • その他:帽子、登山用ソックス、手袋(標高が高い場合)

春の登山では、晴れていてもミドルレイヤーを必ず持参しましょう。山頂では風が強く、体感温度が大幅に下がることがあります。

夏(6〜8月)の基本レイヤリング

夏は気温が高いため、薄手のレイヤリング+水分補給が基本です。ただし、標高2,000m以上の山では夏でも朝晩は10℃前後まで下がることがあるため、標高に応じた対応が必要です。

  • ベースレイヤー:薄手の半袖または長袖(化繊100%が快適)
  • ミドルレイヤー:薄手のフリースまたはウインドシェル(標高2,000m以上では携行推奨)
  • アウターレイヤー:レインウェア上下(必携)
  • パンツ:薄手のトレッキングパンツ、またはショートパンツ+タイツ
  • その他:帽子(必須)、登山用ソックス、サングラス、日焼け止め

夏の低山(標高1,000m未満)では、ミドルレイヤーは不要な場合もありますが、レインウェアは必ず携行してください。夏は夕立や突然の雷雨が多いため、天候急変への備えが重要です。

秋(9〜11月)の基本レイヤリング

秋は紅葉シーズンで登山に最適な季節ですが、気温は春よりさらに低くなります。特に10月以降は初冠雪の可能性もあり、防寒対策が必要です。

  • ベースレイヤー:中厚手の長袖(メリノウール混紡がおすすめ)
  • ミドルレイヤー:中厚手のフリースまたは化繊インサレーション(必携)
  • アウターレイヤー:レインウェア上下(必携)
  • パンツ:中厚手のトレッキングパンツ
  • その他:帽子、登山用ソックス、手袋、ネックウォーマー(10月以降)

秋は日没が早く、15時を過ぎると急激に気温が下がります。下山が遅れないよう早めの行動を心がけ、万が一に備えてミドルレイヤーは必ず携行しましょう。

※上記はあくまで目安です。標高、天候、個人の体質により必要な装備は変わります。初めて登る山では、現地の登山情報や天気予報を事前に確認し、不安な場合は1枚多めに持参することをおすすめします。

初心者が最初に揃えるべきアイテムリスト

これから登山を始める初心者の方に向けて、最初に揃えるべき服装アイテムを優先順位付きでまとめました。すべてを一度に揃える必要はありませんが、以下の順番で少しずつ揃えていくのがおすすめです。

優先度 アイテム 目安価格 選び方のポイント
最優先① レインウェア上下 15,000〜30,000円 防水透湿素材必須。ゴアテックスまたは同等品。モンベル・ミズノが手頃
最優先② トレッキングパンツ 5,000〜10,000円 ストレッチ性・速乾性重視。ユニクロなどでも可(綿素材はNG)
最優先③ ベースレイヤー(長袖1枚) 3,000〜8,000円 化繊またはメリノウール混紡。吸汗速乾性必須
優先度高④ 登山用ソックス(2〜3足) 1,000〜2,000円/足 厚手でクッション性のあるもの。メリノウールがおすすめ
優先度高⑤ 帽子(キャップまたはハット) 2,000〜5,000円 ツバ広め、通気性・速乾性のあるもの
優先度中⑥ ミドルレイヤー(フリース) 5,000〜12,000円 薄手〜中厚手。ユニクロのフリースでも代用可(春秋は必携)
優先度中⑦ ベースレイヤー(半袖1枚) 2,000〜5,000円 夏用。薄手の化繊100%が快適

最優先の3アイテム(レインウェア、パンツ、ベースレイヤー)を揃えれば、とりあえず登山はスタートできます。合計で2.5万円〜5万円程度が初期投資の目安です。

その後、実際に登山を重ねながら、ミドルレイヤーや予備のベースレイヤー、季節に応じた装備を少しずつ追加していくのが賢い方法です。最初から高価なブランド品を揃える必要はありませんが、レインウェアだけは妥協せず、信頼できる製品を選びましょう。

レイヤリングの実践|登山中の脱ぎ着のコツ

レイヤリングの知識を身につけたら、次は実際の登山でどう脱ぎ着するかを学びましょう。適切なタイミングで衣類を調節することで、汗冷えを防ぎ、快適な登山が実現します。

  1. 登り始めは薄着で:登山口では肌寒く感じても、歩き始めると体温が上がります。「少し寒い」くらいの薄着でスタートし、5〜10分歩いて体が温まってから調整しましょう。
  2. 汗をかく前にミドルレイヤーを脱ぐ:登りで体が温まってきたら、汗をかく前にミドルレイヤーを脱ぎます。汗をかいてから脱ぐと汗冷えの原因になります。
  3. 休憩時は体が冷える前に着る:休憩に入ったら、体が冷え始める前にミドルレイヤーを着ましょう。特に風のある場所では素早い対応が重要です。
  4. 山頂ではすぐに防寒着を:山頂は風が強く、体が一気に冷えます。到着したらすぐにミドルレイヤーやウインドシェルを羽織りましょう。
  5. 下りは登りより薄着で:下りは運動量が少なく体温が上がりにくいですが、登りほどは暑くなりません。状況を見ながら調整してください。

※脱いだ衣類はザックのサイドポケットやトップポケットに入れ、すぐに取り出せるようにしておきましょう。ザックの奥深くにしまうと、脱ぎ着が面倒になり、レイヤリングの意味がなくなります。

登山に慣れてくると、「そろそろ暑くなりそうだな」「風が出てきたから羽織ろう」といった体温管理が自然にできるようになります。最初のうちは面倒に感じるかもしれませんが、こまめな脱ぎ着が快適登山の秘訣です。

よくある質問(FAQ)

ユニクロなどのファストファッションで登山服は代用できますか?

部分的には可能ですが、注意が必要です。ヒートテックは登山には不向き(汗が乾かず汗冷えの原因)ですが、エアリズムやドライEXなどの化繊インナー、フリース、ストレッチパンツは登山でも十分使えます。ただし、レインウェアだけは専門店で防水透湿素材のものを購入してください。ユニクロのポケッタブルパーカーは防水性が不十分です。

綿のTシャツやジーンズで登山してはダメですか?

絶対に避けてください。綿素材は汗や雨で濡れると乾きにくく、体温を奪い続けます。これが原因で低体温症になるケースも実際にあります。「コットン・イズ・デッド(綿は命取り)」という格言もあるほど、登山では綿素材は危険です。必ず化繊またはウール素材の衣類を着用しましょう。

夏の低山なら薄着だけで大丈夫ですか?レインウェアは不要?

レインウェアは季節や標高に関わらず必携です。夏の低山でも、突然の雷雨や夕立は頻繁に発生します。また、レインウェアは防風着・防寒着としても機能するため、怪我や体調不良で停滞する場合の備えにもなります。「晴れているから不要」と判断せず、必ずザックに入れておきましょう。

ベースレイヤーは何枚持っていくべきですか?

日帰り登山なら着用分1枚+予備1枚の計2枚が理想です。予備は濡れた場合や汗をかきすぎた場合に着替えるためです。テント泊や山小屋泊の場合は、日数分+予備1枚を目安にしてください。汗で濡れたベースレイヤーを着続けると不快なだけでなく、体温低下のリスクもあります。

レインウェアの耐水圧や透湿度の数値がよくわかりません。どれくらいあればいいですか?

登山用レインウェアの目安は、耐水圧20,000mm以上、透湿度8,000g/㎡/24h以上が理想です。ゴアテックス製品ならこの基準を満たしています。最低でも耐水圧10,000mm、透湿度5,000g/㎡/24hは欲しいところです。数値が低すぎると、長時間の雨や内側の蒸れに対応できません。不安な場合は、店員さんに「登山用のレインウェアが欲しい」と伝えて相談しましょう。

冬山にも同じレイヤリングで行けますか?

冬山(12〜2月)は別次元の装備が必要です。本記事で紹介している春夏秋の3シーズン装備では、冬山の寒さには対応できません。冬山では厚手のベースレイヤー、保温性の高いミドルレイヤー(ダウンや厚手フリース)、防風性のあるアウターレイヤー(ハードシェル)、さらにアイゼンやピッケルなどの雪山装備が必要です。冬山登山は経験者と同行し、専門知識を学んでから挑戦してください。

まとめ|レイヤリングをマスターして快適登山を

登山の服装選びは、レイヤリング(重ね着)の基本原則を理解することから始まります。ベースレイヤー(吸汗速乾)、ミドルレイヤー(保温)、アウターレイヤー(防風防水)の3層構造を意識し、気温や運動量に応じてこまめに脱ぎ着することで、汗冷えを防ぎ、快適な登山が実現します。

初心者の方は、まずレインウェア、トレッキングパンツ、ベースレイヤーの3点を揃えることから始めましょう。これらは登山の必須装備であり、安全に直結します。その後、実際に山を歩きながら、自分の体質や好みに合ったミドルレイヤーや小物を少しずつ追加していくのがおすすめです。

筆者も初めて登山を始めた頃、適切な服装を知らずに綿のTシャツで山に入り、汗冷えで震えた経験があります。その後、レイヤリングの知識を学び、適切な装備を揃えることで、登山の快適さが劇的に向上しました。服装は登山の楽しさを大きく左右する要素です。

レイヤリングをマスターすれば、春夏秋の3シーズン、さまざまな山を安全かつ快適に楽しめます。この記事で紹介した知識を参考に、ぜひ自分に合った登山服装を見つけて、素晴らしい山の世界を満喫してください。

※登山は自己責任が原則です。天候判断、体調管理、装備選びは慎重に行い、不安な場合は経験者と同行するか、登山ガイドの利用を検討してください。安全第一で、楽しい登山ライフを!

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