春と秋の登山でいちばん困るのが服装かなと思います。朝は寒くて、登ると暑くて、山頂でまた寒い。1日のうちに3回着替えることになりますよね。
調べると「レイヤリング」という言葉が出てきますが、正直なところこの言葉を覚える必要はありません。やることは「気温に合わせて重ねて、暑くなったら脱ぐ」だけです。
この記事では、登山口の気温を見たら着るものが決まる表を先に出します。そのあとで「フリースは何度まで使えるのか」に答えますね。
気温で引く、服装の早見表
基準は登山口の気温です。天気予報で麓の街の気温を見て、そこから当てはめてください。
| 登山口の気温 | 歩いているとき | 止まったとき(追加) | ザックに入れるもの |
|---|---|---|---|
| 20℃以上 | 半袖か薄手の長袖 | 薄い上着を1枚 | ウインドシェル |
| 15〜20℃ | 薄手の長袖 | ウインドシェル | ウインドシェル+薄いフリース |
| 10〜15℃ | 長袖+ウインドシェル | フリース | フリース+レインウェア |
| 5〜10℃ | 長袖(登りはこれだけ) | フリース+ウインドシェル | フリース+レインウェア+手袋 |
| 5℃未満 | 冬の考え方に切り替えてください | ||
山の上は、麓より下がる
表は登山口の気温なので、山頂はここからさらに下がります。目安は標高100mにつき約0.6℃。600m登れば3.6℃ほどですね。
そして風速が1m/s増えるごとに、体感は約1℃下がります。山頂は麓より風があるので、標高で下がるぶんより、こちらのほうが大きく響くことが多いんですよね。
ざっくりでいいので、「麓の気温マイナス5℃」くらいを山頂の想定にしておくと、だいたい外しません。
歩いていると、5℃くらい暖かく感じる
もうひとつ、表を使うときのコツです。登っているときは、実際の気温より暖かく感じます。
だから「歩いているとき」の欄は、思ったより薄いはずです。それで合っています。寒いのが嫌で厚着して登ると、汗をかいて山頂で冷えます。登り始めが少し肌寒いくらいがちょうどいいですね。

フリースは何度まで使えるか
検索でよく聞かれているので、正面から答えます。
歩いているときは、10℃を切ってから
登りでフリースを着たままでいられるのは、だいたい10℃より下かなと思います。
それより上の気温だと、登り始めて10分もすれば暑くなって脱ぐことになります。脱いだフリースは、ただの荷物です。10℃を超える日は、最初から着ないでザックに入れておくほうがうまくいきます。
止まっているときは、15℃から欲しくなる
いっぽう山頂で座るときは話が別で、15℃くらいから1枚欲しくなります。
歩くのをやめた瞬間に、汗が冷え始めるからです。暑いと感じる状態でも、止まったら着る。寒くなってから着ても、なかなか戻りません。
だから、着るものは分けて考える
ここを整理すると、春秋の服装はかんたんになります。
歩くための服(薄い)と、止まるための服(暖かい)を別々に用意する。これだけです。難しい用語はいりません。
私はザックの外ポケットにフリースを入れて、山頂に着いたら考えずに羽織るようにしています。中にしまうと、面倒で出さないんですよね。それで何度も冷えました。

春と秋は、同じ気温でも中身がちがう
「15℃」と言っても、4月の15℃と10月の15℃では、持っていくものが変わります。
秋は、日が落ちるのが早い
秋でいちばん気をつけたいのがこれです。10月には17時台、11月には16時半には暗くなります。
夏と同じ時間感覚で歩くと、下山の途中で日が落ちます。そして日が落ちた瞬間に、気温が一気に下がります。昼に汗ばんでいたのが嘘のように寒くなるんですよね。
だから秋はヘッドライトと、1枚多めの上着。この2つをザックに入れておいてください。
春は、朝晩の落差が大きい
春は逆で、朝と昼の気温差が問題になります。始発で登山口に着いた時点では真冬みたいに寒くて、昼には20℃近くまで上がる、ということが普通に起きます。
ここで失敗しがちなのが、朝の寒さに合わせて着込んでしまうことです。歩き出せばすぐ暑くなるので、駅を出るときの寒さは我慢するのが正解かなと。
あと春は山にまだ雪が残っていることがあります。麓が20℃でも、標高の高い山の北側は別世界です。行き先の直近の記録は見ておいてください。
どちらの季節も、雨は必ず入れる
春も秋も、レインウェアは天気予報に関係なく入れてください。
雨のためだけではありません。レインウェアは、いちばん確実な防風の上着でもあります。想定より寒かったとき、これを1枚羽織るだけでかなり違います。1枚で2役なので、置いていく理由がないんですよね。
春秋でいちばん多い失敗
私が実際にやったもの、人がやっているのを見たものを3つ。
1. 綿のシャツで登る
春秋は気温が穏やかなので、つい普段着で行ってしまいます。綿のTシャツやパーカーだけは避けてください。
綿は汗を吸ったあと乾きません。濡れた布を肌に貼りつけたまま山頂に立つことになります。20℃の日でも、これをやると山頂で震えます。
肌に触れる1枚は化繊かメリノウールにしてください。ここだけは、春秋でも冬と同じです。
2. 上着を持たずに登る
「今日は暖かいから」と、上着を置いていくパターンです。
麓が20℃でも、山頂で風が吹けば体感は10℃台前半になります。上着がないと、山頂で休憩できません。せっかく登ったのに、着いて5分で下りることになるんですよね。
薄いウインドシェルを1枚。100g前後のものなら、入れていても気になりません。
3. 脱ぎ着が面倒でそのまま歩く
これがいちばん多い気がします。暑いと分かっていても、止まって脱ぐのが面倒でそのまま歩いてしまう。
対策は道具の側にあって、前が全開になる上着を使うことです。かぶるタイプだとザックを下ろす必要がありますが、ジッパーで全開になるものなら歩きながら脱げます。
あとは脇の下にジッパーが付いているもの。脱がずに温度を下げられるので、こまめな調整が現実的になります。
よくある質問
気温17度の日は、何を着ればいいですか?
歩いているときは薄手の長袖1枚で足ります。それで少し肌寒いくらいがちょうどいいです。
止まったらウインドシェルを1枚羽織ってください。ザックには薄いフリースとレインウェアを入れておくと安心です。山頂は麓より5℃ほど低いと考えておいてください。
フリースは何度まで着られますか?
歩いているときは10℃より下が目安です。それより暖かいと、登り始めて10分で脱ぐことになります。
逆に止まっているときは15℃くらいから欲しくなります。歩く用と止まる用を分けて考えると、迷わなくなります。
レイヤリングって、覚えないとだめですか?
覚えなくて大丈夫です。やることは「気温に合わせて重ねて、暑くなったら脱ぐ」だけなので。
強いて言えば、肌に触れる1枚は化繊かメリノウール、いちばん外は風を止めるもの。この2つだけ押さえておけば足ります。
登り始めが寒いのですが、着込んで大丈夫ですか?
着込まないでください。登っていると実際の気温より5℃ほど暖かく感じるので、すぐに汗をかきます。その汗が山頂で冷えます。
登り始めが少し肌寒いくらいが正解です。駅を出るときの寒さは我慢してください。
秋の登山で、夏と違うのはどこですか?
日が落ちるのが早いことです。10月には17時台、11月には16時半には暗くなります。
夏と同じ時間感覚で歩くと下山中に日が落ちて、そこから気温が一気に下がります。ヘッドライトと、1枚多めの上着をザックに入れておいてください。
レインウェアは、晴れの予報でも持っていくべきですか?
持っていってください。雨のためだけではなく、いちばん確実な防風の上着だからです。
想定より寒かったとき、これを1枚羽織るだけでかなり違います。1枚で2役なので、置いていく理由がないんですよね。
普段着のパーカーではだめですか?
綿のものは避けてください。汗を吸ったあと乾かないので、濡れた布を肌に貼りつけたまま山頂に立つことになります。20℃の日でも震えます。
肌に触れる1枚だけでも化繊かメリノウールにしてください。3,000円くらいからあります。
まとめ
- 「レイヤリング」という言葉は覚えなくて大丈夫です。気温で引ける表があれば足ります
- 基準は登山口の気温。山頂は麓マイナス5℃くらいを想定してください
- 標高100mで約0.6℃、風速1m/sごとに体感が約1℃下がります
- 歩いているときは実際より5℃ほど暖かく感じます。登り始めが少し肌寒いくらいが正解です
- フリースは歩くなら10℃より下、止まるなら15℃から。歩く用と止まる用を分けて考えます
- 秋は日が落ちるのが早い(10月は17時台、11月は16時半)。ヘッドライトを入れてください
- 春は朝晩の落差。朝の寒さに合わせて着込むと、歩き出して汗だくになります
- レインウェアは晴れでも入れる。いちばん確実な防風の上着でもあります
- 綿のシャツとパーカーは避ける。春秋でも、汗が乾かないと山頂で震えます






私が春秋でいちばん失敗したのは、10月の低山でした。麓が18℃だったので、薄手の長袖1枚で登りました。
登っている間は完璧でした。問題は山頂で、座って弁当を広げた5分後には、手がかじかんでいました。風が出ていたんですよね。
上着はザックの底に入れていました。出すのが面倒で我慢して、結局15分で下山を始めました。山頂で過ごすために登ったのに、山頂にいられなかったわけです。あれ以来、フリースは外ポケットに入れています。