はじめに|「湯を沸かせる自由」が旅の質を変える
小さな火力がくれる、大きな安心

自転車旅や軽登山、ソロキャンプ。どんなスタイルであれ、「バーナーを1つ持っているだけで、旅の自由度が格段に上がる」と実感する場面は多いです。
朝の山頂でお湯を沸かし、コーヒーを飲む。ちょっと冷えた身体を温めるために、スープやカップ麺を準備する。そんな“温かさ”があるだけで、野外で過ごす時間は何倍も快適になります。
私もこれまでに、幾度となくバーナーに助けられてきました。特にPRIMUSのバーナーは、もう15年近くの付き合い。自転車旅から縦走登山まで、過酷な環境でもタフに火を起こしてくれる、まさに信頼できる相棒です。
自分に合った「1台」が見つかれば、それでいい

最近では用途や装備スタイルに合わせて、より軽く、より使いやすいモデルも増えています。たとえば:
JETBOIL スタッシュ:クッカーと一体型で湯沸かし特化
SOTO アミカス:軽量コンパクトでコスパも◎
イワタニ ジュニアコンパクトバーナー:CB缶対応で非常用としても強い
本記事では、こうした信頼できる4モデルを厳選して紹介。風への強さ、収納性、火力、そしてガス缶の入手性など、リアルな視点から解説します。
「ちゃんとした調理までは不要。でも、温かい飲み物や軽食は楽しみたい」
そんな旅人・ソロキャンパーにとって、きっと役立つ内容になっています。
バーナー選びで後悔しないために|軽さだけで選ばない
軽量・高火力でも「風に弱い」では意味がない
登山やサイクリングで使うバーナーは、軽ければ軽いほど良さそうに思えます。でも実際にフィールドで使ってみると、それだけでは不十分だと気づかされます。
特に重要なのが風への耐性。
いくらスペック上の火力が高くても、風が吹き込むだけで点火しづらくなったり、火が流れてうまく加熱できなかったり。出力ではなく“実用火力”が重要なんです。
もう一つはゴトクの安定感。小さく折りたためるモデルも増えましたが、鍋を乗せたときの安定性が不十分だと、炊飯や湯沸かし中にぐらついてしまうことも。
こうした“地味だけど大事”なポイントは、スペック表だけではわからない部分。私が15年使い続けているPRIMUSのように、信頼できる1台を持っておくと安心感が違います。
OD缶?CB缶?旅のスタイルに合わせた選択を

もう一つ悩むのが、使うガス缶の種類。アウトドア用の「OD缶」と、家庭用の「CB缶」、それぞれにメリット・デメリットがあります。
OD缶は耐寒性が高く、風や低温に強くて火力安定性◎。ただし、入手しづらく、地方では売っていないことも。
CB缶はコンビニやスーパーで手軽に買える反面、風に弱く、低温時は着火しづらいといった弱点もあります。
登山メインならOD缶、自転車旅や防災も視野に入れるならCB缶対応モデルが安心です。
実際、私も「OD缶が切れた…」というピンチのときに、CB缶が使えるイワタニのバーナーに助けられたことがありました。
おすすめソロバーナー4選【比較表つき】
信頼できる「軽くて使える」バーナーを厳選
ここでは、筆者自身の長年の使用経験と、旅先や登山仲間からの評判をもとに、本当におすすめできる4モデルを紹介します。
どれも「軽量・高火力・コンパクト収納」といったソロ向けの基本条件はクリアしたうえで、それぞれに強みと個性があります。
長く付き合える信頼性重視派には PRIMUS
手軽でスマートに湯を沸かしたい人には JETBOIL
コスパや軽量性重視なら SOTO
非常時や旅先での調達性を考えるなら イワタニ
まずは、それぞれの特徴を一覧で比較してみましょう。
比較表|用途に応じた4モデルの基本性能と使いやすさ
モデル名 | 重量 | 出力(kcal/h) | 点火装置 | 風への強さ | 燃料種 | 過酷環境対応 | 特徴的な使い方 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
PRIMUS P-153 | 約116g | 約3,600 | ◯ | ◎ | OD缶 | ◎ | 炊飯・鍋にも強い万能型 |
JETBOIL スタッシュ | 約200g(クッカー込) | 非公開 | × | ○ | OD缶 | ○ | クッカー一体で湯沸かし特化 |
SOTO アミカス SOD-320 | 約81g | 約3,000 | ◯ | ○ | OD缶 | ○ | 軽量・コスパ重視派に |
イワタニ CB-JCB | 約274g | 約2,300 | ◯ | △ | CB缶 | △ | 非常用・日常使いに最適 |
※「過酷環境対応」は風・寒冷地・高所での安定性の目安です。
PRIMUS 153ウルトラバーナー|15年来の相棒バーナー
PRIMUSのP-153は、軽量・高火力・風に強い――三拍子そろったソロ向けOD缶バーナーの定番。そして私にとっては、もう15年近く使い続けている“相棒”でもあります。
出力は約3,600kcal/hと非常にパワフル。それでいて燃焼効率がよく、ガスの減りも意外と穏やかです。
そして特筆すべきは、風に強いX字のゴトク構造。ちょっと風が吹いている稜線上でも、しっかり火が鍋底をとらえてくれます。
ゴトクがしっかり開くので、小型クッカーはもちろん、ラーメン鍋や炊飯にも安定して対応可能。
私は一度チタン製のクッカーに浮気したこともありますが、焦げやすさがネックで断念。結局、今でもアルミクッカー+PRIMUSの組み合わせに落ち着いています。
点火装置も標準装備。ライターを出さなくていいのは便利ですが、正直なところ、そのうち壊れます笑。
でも私はいつも収納袋にライターを1本入れているので、困ったことはありません。
「とにかく迷ったらこれ」と言える、安心と実績の1台。登山でも自転車旅でも、何度も助けられてきたバーナーです。
JETBOIL スタッシュ|すべてを1つにまとめたい人へ
JETBOILのスタッシュは、バーナーとクッカーを一体化できるスタッキング構造が魅力のモデル。湯を沸かすという目的にフォーカスした、“湯沸かし特化型”のスマートバーナーです。
本体にバーナー・クッカー・ガス缶(100サイズOD缶)がすべて収まるため、荷物を最小限にしたい人やUL志向の登山者、自転車旅派にとっては理想的なパッキング性。使いたいときにサッと取り出して、すぐお湯が沸かせる気軽さがうれしいポイントです。
私自身も、山の上や展望地でコーヒーやスープを楽しみたいときに、スタッシュを持ち出すことがあります。「がっつり料理はしないけど、お湯さえあればいい」――そんな軽装の行動日にぴったりなんです。
火力は非公開ですが、実用面では必要十分。点火装置はついていないのでライター必須ですが、逆に壊れる心配がないとも言えます。
クッカーとバーナーの相性問題を丸ごと解消してくれる、ミニマリスト向けの完成形。持ち物を減らしたい人にとって、これは1つの答えかもしれません。
SOTO アミカス SOD-320|軽量・シンプル・実力派
SOTOのアミカスは、とにかく軽くてコンパクト、でも風にも強い――そんな“ちょうどよさ”が光るOD缶バーナー。装備の軽量化を目指す人や、初めてのバーナー選びに迷っている人にもおすすめできる、実用的な1台です。
本体重量はわずか約81g。点火装置も搭載されており、このサイズ感で火力・使いやすさともに十分。ゴトクも安定感があり、小型クッカーでの湯沸かしや調理にも問題なく対応します。
実は私はこのモデルを持っていませんが、登山仲間が使っているのを見て「これは良さそう」と感じた1台。特に印象的だったのが、ガス缶のビジュアルの良さ。SOTOはブラックやグレー系のOD缶を出しており、ギア全体のトーンにこだわる人には嬉しい選択肢かもしれません。あと、この手のコンパクトバーナーにしては安い!
もちろん、見た目以上に性能面も安定しており、風防効果のあるバーナーヘッドや点火のしやすさなど、細かな作り込みが光ります。
「PRIMUSはちょっと堅実すぎる」「もっと軽やかに使いたい」という人にぴったりの、気軽さと信頼感のバランスが取れたバーナーです。
イワタニ ジュニアコンパクトバーナー|旅先の救世主、CB缶対応モデル
イワタニのジュニアコンパクトバーナー(CB-JCB)は、家庭用のカセットガス(CB缶)がそのまま使える、数少ないアウトドア用モデル。
OD缶が手に入らない状況でも使えるというだけで、自転車旅や防災を意識する人にとっては強力な選択肢です。
特に長期旅では、「OD缶が売ってない!」という場面もゼロではありません。
そんなとき、コンビニやスーパーで買えるCB缶が使えるというのは、安心感が段違いです。
一方で、登山などの過酷な環境にはかなり不向き。
風に弱く、寒冷地や高地では着火・火力ともに安定しにくいという弱点があります。
また、バーナーヘッドが直上に炎を集中させるタイプなので、クッカーの中央だけが焦げやすくなる傾向も。
お湯を沸かすだけならまったく問題ありませんが、炊飯や炒め物をしたい人には少し注意が必要。混ぜ続けながら調理するなど、工夫が必要になります。
それでも、軽登山やツーリングでの「燃料が手に入りやすいバーナー」としては、持っている価値は十分。
CB缶が使えるという一点だけで、他モデルにはない明確な強みがあります。
こんな使い方で差が出る!ソロ旅×バーナー活用術
軽登山やハイキング|山頂の一杯が「ご褒美」になる

日帰りの軽登山やハイキングでも、バーナーが1つあるだけで楽しみ方は大きく変わります。
特に標高の高い場所で飲む温かいスープやコーヒーは、まさにご褒美。冷えた体を内側から温めてくれるだけでなく、心までほっとします。
私の場合、軽装で行動したいときはJETBOILスタッシュが定番。
スタッキングして持ち運びしやすく、ガス缶込みでもバックパックのサイドポケットに収まるサイズ感が魅力です。
「休憩中にお湯がすぐ沸かせる」だけで、その山行がぐっと快適になります。
本格的な調理が不要な日なら、荷物を増やさずに楽しめる理想の選択です。
一時は「わざわざお湯を沸かさなくても、魔法瓶に熱湯を入れていけばいいんじゃないか?」と思って、実際に試していたこともあります。
でも、やっぱりちょっと温くなっちゃうし、魔法瓶は意外と重い。その場でお湯を沸かした方が味も雰囲気も断然おいしく感じるんですよね。
お湯を沸かして、コーヒーを淹れて(私はインスタント派ですが)――
そんなちょっと無駄な行程こそが、山の楽しさだったりします。
自転車旅やツーリング|補給だけじゃない“食の自由”

自転車旅では、バーナーの存在が「補給手段」以上の役割を果たしてくれます。
道の駅で買った野菜やレトルト食品、鍋キューブなどを使って、ちょっとした鍋料理や炊き込みごはんをつくる。それだけで、旅先での食事がぐっと楽しくなります。
ツーリング中にPRIMUSのバーナーでラーメンを作っていたら、「それ美味しそうだね!」と話しかけられたこともありました。
食べる時間が、交流のきっかけにもなる――これもバーナーならではの魅力です。
また、長旅では燃料切れのリスクもあります。
そんなとき、CB缶が使えるイワタニのバーナーは非常に心強い存在。
私自身も何度か救われた経験があり、徒歩旅行や自転車旅行で日数が多いときには、お守り代わりにイワタニのバーナーを忍ばせておくこともあります。燃料は現地調達できるので、本体だけ持っておけばOKです。
ただ走るだけじゃない、旅を「暮らし」に変える装備として、バーナーはとても優秀です。
よくある質問(FAQ)
Q. 初めてのバーナー、何を基準に選べばいい?
迷ったときは「風に強いこと」と「点火のしやすさ」が大事なポイントです。
スペック表だけでは見えない“現場力”が使い心地を大きく左右します。
最初の1台としては、PRIMUSやSOTOのように点火装置付き・安定感があるモデルがおすすめです。
Q. 登山でCB缶は使えますか?
低山や夏場の使用であればOKですが、高所や寒冷地では火力が不安定になることが多いため、注意が必要です。
風にも弱いため、調理に手間取ることも。
登山用途では基本的にOD缶モデルを選んだ方が安心です。
Q. チタンとアルミ、クッカーはどちらがいい?
軽量性を重視するならチタン、調理のしやすさを優先するならアルミ。
私はチタンを試したことがありますが、焦げやすく扱いにくくてアルミに戻りました。炊飯や煮込みなど、じっくり加熱する料理にはアルミが向いています。
Q. お湯を沸かすだけなら、バーナーより魔法瓶のほうが便利?
確かに魔法瓶は手軽ですが、重い・かさばる・時間が経つとぬるくなるという難点も。
私も一時期試していましたが、結局またバーナー派に戻りました。
その場でお湯を沸かす方が香りや温かさが際立ち、気分的にも満足度が高いと感じています。
Q. 使い終わった燃料缶ってどこで捨てればいいの?OD缶とCB缶で違うの?
はい、多少違いがあります。
CB缶(カセットガス)は自治体によって分別方法が定められており、中身を完全に使い切って穴をあけ、金属ゴミとして出すのが一般的です。
OD缶も同様ですが、自治体によっては「スプレー缶扱い」になる場合もあるため、事前の確認が必要です。
また、モンベル・好日山荘などの一部アウトドアショップでは、専用の回収ボックスを設置していることもあります。
ただし「自社購入品に限る」などの制限がある場合もあるので、利用前に確認してください。
私の場合、旅先で出た缶は基本的に持ち帰り、地元のルールか、アウトドアショップの回収を利用しています。
まとめ|旅や山行に“火”があるだけで豊かになる
お湯を沸かす、スープを温める、コーヒーを淹れる。
それだけのために、バーナーを荷物に1つ入れておくだけで、旅の質や山行の快適さはぐっと上がります。
今回は、そんな“ソロ向けバーナー”の中でも、実用性と信頼性を兼ね備えた4モデルを紹介しました。
PRIMUS P-153:登山・自転車旅を問わず活躍、筆者15年愛用の相棒
JETBOIL スタッシュ:湯沸かし特化&スタッキング性抜群、軽快派に
SOTO アミカス:軽量・高性能・おしゃれも妥協しない万能モデル
イワタニ CB-JCB:燃料現地調達派・非常用にも強いCB缶モデル
こんな人におすすめ
初めての1台を探している人
→ PRIMUSまたはSOTO。どちらも扱いやすく信頼感あり。山でコーヒーだけ楽しみたい人
→ JETBOIL。湯沸かし特化で準備も撤収もスマート。自転車旅や徒歩旅で燃料調達を重視したい人
→ イワタニ。CB缶が使える安心感は長旅の味方。
装備は軽く、でも温かい時間をあきらめない。
そのちょうどいい選択肢として、あなたにぴったりの1台が見つかれば幸いです。