東京湾一周“ワンイチ”とは?初心者にも人気の理由
ワンイチとは?東京湾をぐるっと巡るロングライド
「ワンイチ」という愛称で親しまれている東京湾一周サイクリング。千葉・神奈川・東京と3都県をまたぎ、東京湾をぐるっと一周するこのルートは、距離にして約150km前後。一見するとハードルが高く感じられるかもしれませんが、実は初心者がロングライドデビューするのにぴったりのコースとして人気です。
景色の変化が多く飽きづらいため、「意外と走れた!」という声が多数。自分のペースに合わせて区切りながら走れるのも、ワンイチの魅力です。
海・田舎・都市を一度に味わえる“お得なルート”
ワンイチ最大の魅力は、1日でまるで別世界を旅しているような多彩な風景が楽しめること。千葉県の房総半島エリアでは、のどかな田園風景や漁港が広がり、信号も少なくスムーズな走行が可能です。
その後、金谷港からフェリーで久里浜へ渡ると、一気に舞台が海の上へ。三浦半島に上陸すれば、港町の風情と海岸線の爽快な風景が待っています。そして横浜〜東京エリアに入ると、都会的な街並みにガラッと様変わり。「非日常感」と「達成感」の両方が味わえるコースです。
フェリーで気分転換!金谷〜久里浜の船旅
ワンイチを語るうえで欠かせないのが、東京湾フェリーの存在。千葉の金谷港と神奈川の久里浜港を結ぶこの航路は、自転車ごと乗船でき、約40分間の海上クルーズを楽しめます。
このフェリーに乗る瞬間が一番ワクワクしたりもします。潮風を感じながら、自転車と一緒に海を渡る体験はなかなかできません。船内で食べるソフトクリームとホットドッグは、旅の後半に向けてのエネルギーチャージと気分の切り替えにもぴったりです。
ワンイチは“ちょうどいい冒険”
SNSでも「初めての100km超えにワンイチ挑戦してみた!」という投稿をよく見かけます。事前にルートと休憩ポイントをしっかり把握していれば、無理なく完走が目指せる絶妙なボリュームです。
ワンイチはただのロングライドではなく、「海を渡り、景色が変わり、都市に戻ってくる旅」というストーリーのあるコース。初心者でも“旅人”気分を味わえるこの特別なルートは、一度走ればきっと忘れられない思い出になるでしょう。

おすすめルート紹介|時計回りと反時計回り、どっちが正解?
東京湾一周ルートの概要
東京湾一周のルートは明確に決まっているわけではなく、スタート地点や走行方向、立ち寄りスポットによって若干のバリエーションが生まれます。一般的には、千葉市・木更津・富津・金谷港 →(フェリー)→ 久里浜・横須賀・横浜・都内というラインで構成され、合計で約150km前後が目安となります。
このルートの魅力は、フェリーを活用することで海を渡る旅の演出が加わる点と、地域ごとの景観の変化を楽しめる点にあります。田舎道、海沿い、都市部とシーンが次々に移り変わるので、長距離でありながら飽きにくいコース設計となっています。
時計回りの特徴とメリット
東京湾一周は時計回りで走る人が多い傾向にあります。その理由のひとつが、南房総エリアの走行が午前中にあたるため、気温や日差しが比較的穏やかな時間帯に海沿いを快適に走れること。また、午前中にフェリー乗り場である金谷港へ向かうことで、渋滞や混雑を避けやすいというメリットもあります。
加えて、時計回りで進むと、後半の横浜~東京エリアでは都市部でのナビゲーションがしやすくなるのもポイントです。交通量の多い道に疲れが出てきても、コンビニや駅、カフェなどの施設が多いため、休憩やトラブル対応がしやすいという安心感があります。
反時計回りの魅力
一方で、反時計回りを選ぶ人も一定数存在します。こちらは、フェリーでスタートし、海から陸へと入っていく演出を楽しみたい人向けのスタイルです。最初に久里浜に向かってフェリーで渡ることで、「これから始まる旅」への高揚感が自然と高まります。
また、都市部から走り出すため、早朝の時間帯に横浜や川崎といったエリアを抜けておくことで、交通量の多い道を比較的安全にクリアできるという考え方もあります。
ただし、反時計回りの場合は後半に南房総の海沿いエリアが来るため、季節や日没時間によってはややタフな展開になりやすい点には注意が必要です。
自分に合った方向を選ぼう
時計回りと反時計回りにはそれぞれメリットがあり、天候や風向き、出発地点、フェリーの運行時刻などに応じて選ぶのがベストです。
例えば、強い南風が予想される日は「風を追い風にできる方向」を選ぶと体力を温存しやすくなりますし、日の出と日没のタイミングに合わせて「一番景色がきれいなエリアを通る時間帯」を狙うのもおすすめです。
どちらの方向でも、ルートの事前確認と休憩ポイントの設定をしっかり行えば、ワンイチの旅を安全かつ快適に楽しむことができます。

実走レポート!東京湾一周の見どころと注意点
房総エリア|のどかな風景と走りやすさが魅力
東京湾一周のスタート地点として人気なのが、千葉県側の市街地から南房総へと向かうルートです。このエリアは信号や交通量が少なく、のびやかな田園風景や海沿いの開放感ある道が続くため、序盤から気持ちよくペダルを回せるのが特徴です。
特に富津や鋸南あたりでは、海岸線を右手に見ながらの走行が可能で、道も比較的フラット。ペースを整えながら走るにはうってつけです。早朝にスタートすれば、朝日を浴びながらのライドとなり、旅の始まりを特別なものにしてくれます。
道中のコンビニはやや少なめ、特に富津あたりの工業地帯周辺は店がなかなか無いので、補給のタイミングには注意が必要です。事前にどこにコンビニ等があるかを確認しておくと安心です。
フェリー区間|東京湾を渡る非日常体験
金谷港から久里浜港までは、東京湾フェリーが約40分間で結んでいます。自転車ごと乗船でき、海の上から東京湾の風景を楽しめるのは、このルートならではの特権です。甲板から眺める房総半島は何とも言えない感動があります。
フェリー乗船はサイクリストにとって、ひとつの「ご褒美タイム」としても人気です。潮風にあたりながらデッキで景色を眺めたり、船内の売店でソフトクリームや軽食を楽しんだりと、旅の中で気分をリセットできる貴重な時間になります。
また、船内ではスマホの充電や荷物整理をするのにも最適。後半戦に向けてのコンディション調整にも活用されています。
三浦・横須賀エリア|アップダウンと港町の風情
久里浜港に上陸すると、ルートはいよいよ神奈川県へ。三浦半島のこのあたりは、適度なアップダウンが続くエリアです。短い坂が点在するため、ここで脚を使いすぎないよう注意が必要です。狭いトンネルなども点在しているため、ライト必須。要注意で進みましょう。
一方で、港町ならではの雰囲気や、歴史を感じる町並みが魅力的で、ただ走るだけでなく風景も楽しみたいという人にはぴったり。道幅が狭い箇所もあるので、車との距離に気を配りながら、安全第一で進みましょう。
横浜〜都内エリア|都市部の洗練と走行の工夫
後半は横浜から東京へと向かう都市型サイクリングゾーンに突入します。ここは交通量が多く、信号や歩行者、自動車との距離感に気を遣う場面も増えてきます。
その分、ベイブリッジやみなとみらいエリア、レインボーブリッジ周辺など、象徴的な景観が次々と現れるのもこの区間の醍醐味です。夜景を目的に夕方〜夜にかけてこのエリアを走る人も少なくありません。
ただし、疲労がたまりやすい終盤に入るため、無理をせず休憩をしっかりとりながら走ることが大切です。休憩には駅前のカフェや公園など、アクセスしやすい施設が多いため、活用しやすい区間でもあります。
ゴールはいかようにも定められますが、私は東京駅をゴールにしました。日が暮れてからの皇居周辺は都心とは思えない雰囲気で、今でも記憶に残っています。

東京湾一周に必要な装備&準備
自転車選び|クロスバイクでもOK、ロードならより快適
東京湾一周(ワンイチ)は、クロスバイクやロードバイクであれば十分走破可能です。舗装された道がほとんどなので、軽快に走れるスポーツタイプの自転車が向いています。
クロスバイクは安定性があり、普段使いの延長でも走りやすいため、初心者におすすめ。ロードバイクであれば、軽さとスピードを活かしてより効率よく距離を稼ぐことができます。
一方で、ママチャリや小径車(ミニベロ)での挑戦は推奨されません。距離が長いため、走行性能やギアの選択肢が限られる自転車だと後半での疲労が一気に増すリスクがあります。
装備リスト|最低限必要な持ち物とは?
ワンイチはロングライドに分類されるため、トラブル対策と安全対策は欠かせません。以下が基本的な持ち物リストです:
ライト(前後):夜間やトンネル対策に。必ず装着。
ヘルメット:万が一に備えて着用必須。JCF認定品がおすすめ。
グローブ/サングラス:疲労軽減と安全性アップに有効。
モバイルバッテリー・スマホホルダー:ナビや連絡手段として重要。
補給食・ドリンク:小まめなエネルギー補給でバテ防止。
携帯ポンプ・パンク修理キット・タイヤレバー:トラブル時の必需品。
輪行バッグ(任意):途中リタイア時やトラブル対応用にあると安心。
とくに補給とライトは忘れがちなので、前日までにしっかり準備しておきましょう。
初心者が気をつけるべき3つのポイント
走行距離を甘く見ない
150kmという距離は一見「なんとかなる」と思われがちですが、長時間の連続走行は想像以上に体力を消耗します。スタート前に自宅から50〜70km程度のライド経験をしておくと安心です。ペース配分と補給のタイミングを意識する
「空腹を感じてから食べる」のでは遅く、こまめな補給が重要です。30〜40kmごとに軽食を摂るつもりで、コンビニや道の駅を目安にルートを組み立てましょう。日没時間と天候に注意する
特に冬場は日没が早いため、予定よりも遅れた際の対応策(ライトや輪行の準備など)を想定しておくと安心です。予備のウェアやレインウェアがあれば、急な天候変化にも対応できます。
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装備選びや初心者向けの準備方法は、以下の記事も参考になります:
東京湾一周サイクリングFAQ&おすすめの次の一歩
東京湾一周は何時間で走れる?
ワンイチの所要時間は、走行スピードや休憩の取り方によって大きく変わります。おおまかな目安としては、以下の通りです。
ゆっくり観光+休憩多め:12〜14時間
休憩少なめで効率重視:8〜10時間
トレーニング目的の上級者:6〜7時間
初心者の場合は、10〜12時間を見積もっておくと安心です。無理に時間を短縮しようとせず、自分のペースを守って進みましょう。特に初挑戦では「完走すること」が何よりの達成になります。
フェリーの運行情報と自転車の扱いは?
東京湾フェリー(金谷港〜久里浜港)は1時間に1本程度の運行で、予約不要・自転車そのままで乗船可能です(自転車料金:片道大人運賃+自転車運賃)。
風の影響で欠航になることもあるため、出発前に公式サイトで最新の運航情報をチェックしておくと安心です。到着後すぐに乗れないこともあるため、余裕を持ったスケジュールがおすすめです。
フェリー内には売店やトイレ、座席スペースがあり、後半戦に向けてのエネルギー補給や休憩に最適です。乗船中の時間も“旅の一部”として楽しみましょう。
ワンイチの次はどこへ?おすすめロングライドルート
東京湾一周を達成したあとは、次のステップとしてもう少し長い距離や1泊2日のサイクルトリップに挑戦してみるのもおすすめです。
たとえば、房総半島をぐるっと回る「チバイチ」は距離も200km前後とややハードになりますが、道のりは比較的平坦で走りやすく、自然も豊富。フェリーを使えばワンイチの延長感覚で楽しめます。
また、自転車キャンプや輪行(電車+自転車)を組み合わせた旅に広げていくのも選択肢のひとつです。
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達成感のあるロングライドを一度経験すると、「次はどこを走ろう?」と自然にワクワクしてくるはずです。ワンイチはその第一歩にぴったりのルート。ぜひ次なる冒険も、自転車で広げていきましょう。