自転車旅行にマットが必要な理由
自転車旅行は毎日50km〜100km以上の長距離走行が続くため、疲労回復のための質の高い睡眠が何よりも重要です。硬い地面に直接寝袋を敷いただけでは、体の凹凸が地面に当たって痛みで目が覚めてしまい、翌日のライドに大きな影響を与えます。
マットの最も重要な役割は地面からの底冷えを防ぐことです。人間の体温は地面に奪われやすく、特に春や秋の夜間、標高の高い場所では、マットなしでは寒くて眠れません。R値(断熱性を示す指標)の高いマットを選ぶことで、季節を問わず快適な睡眠を確保できます。
また、自転車旅行では毎日の設営・撤収作業があるため、軽量で扱いやすいマットが求められます。重いマットや嵩張るマットは、限られた積載スペースを圧迫し、旅全体の快適性を損ないます。適切なマット選びは、自転車旅行の成功を左右する重要な要素なのです。
自転車旅行用マットの選び方
収納サイズ・重量(最重要)
自転車旅行において収納サイズは最重要項目です。徒歩の登山と異なり、自転車では「嵩張り」が致命的な問題となります。大きすぎるマットはパニアバッグに入らず、外付けすると風の抵抗や積載バランスに悪影響を与えます。
理想的な収納サイズは直径10〜12cm、長さ20〜25cm程度です。これなら標準的なフレームバッグやサドルバッグに収まり、他の荷物との兼ね合いも良好です。重量については500g以下が目安となりますが、収納サイズの方が重要度は高いと考えてください。
R値(断熱性)
R値は地面からの冷気を遮断する能力を数値化したもので、数値が高いほど断熱性に優れます。使用する季節と標高に応じて適切なR値を選ぶことが重要です。
夏の平地(R値1.0〜2.0)、春秋の平地(R値2.5〜3.5)、春秋の高地や冬季(R値3.5〜5.0以上)が目安です。日本一周のような長期旅行では、幅広い気候に対応できるR値3.5以上のモデルを選ぶと安心です。
厚み・寝心地
長距離ライドで疲れた体を回復させるには、最低でも5cm以上の厚みが必要です。薄すぎるマットでは体の出っ張り部分が地面に当たり、痛みで睡眠が浅くなってしまいます。
特に横向き寝をする方は、肩や腰骨の圧迫を避けるため7cm以上の厚みがあると快適です。ただし、厚いほど重量と収納サイズが増加するため、バランスを考慮して選択することが大切です。
エアーマット vs クローズドセル vs 自動膨張式
エアーマットは空気を注入するタイプで、軽量・コンパクトな収納が最大の利点です。パンクのリスクはありますが、修理キットで対応可能。自転車旅では最も人気の高いタイプです。
クローズドセルマット(フォームマット)はパンクしない安全性が魅力ですが、嵩張るため自転車旅には不向きです。自動膨張式マットは設営が楽で丈夫ですが、エアーマットと比べて重く大きくなりがちです。
7商品のスペック比較表
| 商品名 | 重量 | 収納サイズ | 厚さ | R値 | カサカサ度 | 特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| XLite NXT | 354g | 23×10cm | 7.6cm | 4.5 | ★★☆(やや音あり) | 最軽量・コンパクト | 約35,000円 |
| テンサー AS | 400g | 25.5×10cm | 9.0cm | 5.4 | ★★★(超静音) | 静音・高断熱 | 約30,000円 |
| イーサーライトXT | 490g | 24×11cm | 10cm | 3.2 | ★★☆(やや音あり) | 極厚・寝心地 | 約28,000円 |
| ウルトラ 3R | 465g | 23×11cm | 7.0cm | 2.9 | ★★☆(普通) | 安定感・コスパ | 約24,000円 |
| ラピードSL | 539g | 20×11cm | 9.0cm | 4.8 | ★★☆(普通) | 落ちない構造 | 約31,000円 |
| モンベル 180 | 503g | 20×10cm | 7.0cm | 1.4 | ★★☆(普通) | 連結可能・安価 | 約13,000円 |
| プロライトプラス | 650g | 28×12cm | 3.8cm | 3.2 | ★★★(自動膨張で静か) | 自動膨張・頑丈 | 約22,000円 |
※価格は2025年12月時点の目安です。実際の価格は販売店により異なります。
【総合力最強】サーマレスト ネオエアー XLite NXT

サーマレスト ネオエアー XLite NXT レギュラー 30320 の価格を比較する
サーマレスト ネオエアー XLite NXTは、軽量性・コンパクト性・断熱性のバランスが世界最高峰のエアマットです。重量わずか354g、収納サイズは23×10cmと、自転車のフレームバッグやサドルバッグの隙間にも無理なく収まります。
R値4.5を誇り、春から晩秋の高地まで幅広く対応可能。Triangular Core Matrix構造により、軽量ながら優れた保温性を実現しています。厚さ7.6cmで底付き感も少なく、長距離ライド後の疲れた体をしっかりサポートします。
注意点として、生地が薄いためテント外での使用は厳禁です。小石や枝でのパンクリスクがあるため、必ずテント内で使用してください。価格は約35,000円(2025年12月時点)とやや高額ですが、「迷ったらこれ」と言える総合力の高さが魅力です。
【バランス最強】ニーモ テンサー オールシーズン レギュラーマミー

ニーモ テンサー オールシーズン レギュラーマミー NM-TNAS-RM の価格を比較する
ニーモ テンサー オールシーズンは、寝心地と静音性を重視する自転車旅行者に最適なエアマットです。重量400g、収納サイズ25.5×10cmと、XLite NXTと比べてわずかに重いものの、その分の快適性は十分に価値があります。
最大の特徴はガサガサ音がしない静音設計です。スペースフレームバッフル構造により、寝返りを打ってもマット特有の音がほとんどしません。混雑したキャンプ場や民宿での宿泊時に、周囲への配慮ができる点は大きなメリットです。
R値5.4という高い断熱性を持ち、厚さ9cmで包み込まれるような寝心地を提供します。裏面には40Dナイロンを採用し、地面の小石や枝による損傷に対する耐久性も向上しています。価格は約30,000円で、XLite NXTよりもコストパフォーマンスに優れます。
【寝心地最強】シートゥサミット イーサーライトXT インサレーティッドマット

シートゥサミット イーサーライトXT インサレーティッドマット レギュラー ST81167 の価格を比較する
シートゥサミット イーサーライトXTは、寝心地を最優先に考える自転車旅行者のためのマットです。厚さ10cmという圧倒的なボリュームにより、まるで自宅のベッドのような快適な睡眠を野外で実現します。
重量490g、収納サイズ24×11cmと、この寝心地を考えれば十分にコンパクトです。1日100kmを超える長距離ライドで疲れ切った体を、しっかりと回復させてくれます。横向き寝でも腰骨や肩が地面に当たることがなく、普段の寝姿勢を維持できます。
R値3.2で春から秋の平地では十分な断熱性を持ちますが、高地や冬季には少し物足りない可能性があります。価格は約28,000円と、この性能では非常にリーズナブル。疲労回復を重視する方には最適な選択肢です。
【安定感最強】エクスペド ウルトラ 3R

エクスペド ウルトラ 3R Mサイズ 395573 の価格を比較する
エクスペド ウルトラ 3Rは、安定性と使いやすさに重点を置いた質実剛健なエアマットです。重量465g、収納サイズ23×11cmで、他の軽量モデルと比べてバランスの良いスペックを持ちます。
最大の特徴は縦方向に配置された気室構造です。一般的な横方向の気室と比べて、寝返りを打ってもマットがボヨボヨと揺れにくく、安定した寝心地を提供します。マットの上での着替えや荷物整理も安心して行えます。
R値2.9で春から秋の3シーズンに対応し、厚さ7cmで適度なクッション性を確保しています。付属品が充実しており、リペアキットやポンプサックが標準装備されているため、初心者にも親切な設計です。価格は約24,000円とコストパフォーマンスに優れます。
【トレンド最強】ビッグアグネス ラピードSL インシュレーテッド

ビッグアグネス ラピードSL インシュレーテッド レギュラー BA-SPRSLI-R24 の価格を比較する
ビッグアグネス ラピードSL インシュレーテッドは、北米のハイカーや自転車旅行者の間で急速に人気が高まっている革新的なエアマットです。重量539g、収納サイズ20×11cmで、今回紹介するモデルの中ではやや重めですが、その分の価値は十分にあります。
最大の特徴はサイドレール構造です。マットの両端が少し高く設計されており、疲れて寝相が悪くなってもマットから落ちる心配がありません。狭いテント内での安心感は、睡眠の質を大幅に向上させます。
R値4.8という高い断熱性と厚さ9cmの快適性を両立し、プリマロフト中綿による安定した保温性能を発揮します。価格は約31,000円で、最新技術による快適性を考えれば妥当な設定です。新しもの好きの方や、寝相に不安がある方には特におすすめです。
【コスパ最強】モンベル U.L.コンフォートシステム エアパッド180

モンベル U.L.コンフォートシステム エアパッド180 1124667 の価格を比較する
モンベル U.L.コンフォートシステム エアパッド180は、価格を抑えながらも基本性能をしっかり確保したコストパフォーマンス最強のエアマットです。重量503g、収納サイズ20×10cmで、実用十分なスペックを持ちます。
最大の魅力は約13,000円という圧倒的な価格の安さです。浮いた予算を他のギアに回せるため、初めて自転車旅に挑戦する方や学生の方には特におすすめです。また、国内ブランドならではの手厚いアフターサービスも安心材料の一つです。
独自の連結システムにより、専用の枕を固定できるため、傾斜のある場所でも枕がズレる心配がありません。ただし、R値が明記されておらず断熱材も入っていないため、夏季の使用に限定される点は注意が必要です。春や秋の肌寒い夜には底冷えを感じる可能性があります。
【耐久性最強】サーマレスト プロライトプラス

サーマレスト プロライトプラス レギュラー 30076 の価格を比較する
サーマレスト プロライトプラスは、絶対にパンクさせたくない慎重派の自転車旅行者に最適な自動膨張式マットです。重量650g、収納サイズ28×12cmと、エアーマット比較では重く大きいですが、その分の安心感は代えがたいものがあります。
最大の利点は内部にウレタンフォームを内蔵していることです。万が一パンクしても、ウレタンの厚み(3.8cm)で最低限の睡眠は確保できます。設営もバルブを開けて放置するだけと非常に簡単で、疲れている時でも楽に準備できます。
R値3.2で春から秋の3シーズンに対応し、ダイアゴナルカット構造により軽量性も考慮されています。価格は約22,000円で、自動膨張式としては手頃な設定です。パンクへの不安が強い方や、設営を簡単にしたい方には最適な選択肢です。
よくある質問(FAQ)
自転車旅行にクローズドセルマットは不向きですか?
クローズドセルマット(Zライトソルなど)はパンクしない最大のメリットがありますが、嵩張りすぎるのが自転車旅の致命的なデメリットです。パニアバッグの外付けが前提となり、風の抵抗や積載バランスに影響します。エアマットの方が収納性に優れ、自転車旅では主流です。
R値はどのくらい必要ですか?
使用する季節と標高によって異なります。夏の平地なら1.0〜2.0、春秋の平地なら2.5〜3.5、春秋の高地(標高1,000m以上)なら3.5〜5.0が目安です。日本一周など長期間の旅では、幅広い気候に対応できるR値3.5以上のモデルが安心です。
パンク修理は難しいですか?
ほとんどのエアマットにはリペアキットが付属しており、自転車のパンク修理ができる方なら対応可能です。穴の場所を特定し、パッチを貼るだけの簡単な作業です。予備のパッチテープを持参すると安心です。
マットの下に追加で敷くものは必要ですか?
テント内で使用する場合、グランドシート(テントの下に敷くシート)があれば追加のマットは不要です。ただし、冬季や寒冷地では断熱性を高めるため、薄いクローズドセルマット(EVAフォームなど)を併用する方もいます。
まとめ:自分のスタイルに合ったマットを選ぼう
自転車旅行において、マット選びは睡眠の質と翌日のパフォーマンスに直結します。今回紹介した7商品は、いずれも携帯性と快適性のバランスに優れた実力派ばかりです。
軽量性重視ならサーマレスト ネオエアー XLite NXT、寝心地重視ならシートゥサミット イーサーライトXT、コスパ重視ならモンベル エアパッド180と、自分の優先順位に合わせて選んでください。
長い旅路を支える相棒として、最適なマットと出会えることを願っています。安全で快適な自転車旅を!
※製品仕様は予告なく変更される場合があります。
※価格は変動する可能性があります。購入前に公式サイトでご確認ください。
※掲載情報は2025年12月時点のものです。