春や秋のサイクリングで、最も装備選びに迷うのが「手元」ではないでしょうか。「夏用の指切りグローブでは指先が冷えるし、冬用のごついグローブでは手汗をかいてしまう…」。そんな10℃〜15℃前後の季節の変わり目に最適なのが、今回ご紹介する「春秋用サイクリンググローブ」です。
この記事では、ロードバイクやクロスバイクでの通勤・週末ライドを快適にするために、薄手で防風性に優れたモデルの選び方と、初心者からベテランまで納得のおすすめ厳選7商品をご紹介します。自分にぴったりのグローブを見つけて、肌寒い季節も快適に走り出しましょう。
春秋用サイクリンググローブが必要な理由
自転車で走っていると、体感温度は実際の気温よりもずっと低くなります。特に気温10℃〜15℃の環境で時速20km〜30kmで走行すると、指先は氷のように冷たくなってしまいます。指がかじかむとブレーキ操作や変速操作が遅れ、安全走行に支障をきたすリスクもあります。
夏用の「指切りグローブ」では指先の防寒ができず、真冬用の「5℃帯グローブ」では生地が分厚すぎて蒸れやすく、ハンドル操作のダイレクト感も失われがちです。そこで必要になるのが、適度な防風性と保温性を持ちながら、薄手で操作性が高い「春秋用グローブ」なのです。この専用装備があるだけで、春先や晩秋のライドの快適性は劇的に向上します。
春秋用グローブの選び方|5つのポイント
多くの種類があるグローブの中から、自分に合った春秋用モデルを選ぶためにチェックすべき5つのポイントを解説します。
①防風性と通気性のバランス
最も重要なのが手の甲側の「防風素材」です。冷たい風が直接当たる甲部分は防風性が必須ですが、同時に手汗を逃がすための通気性(透湿性)も重要です。トレーニング強度が高く汗をかきやすい人は通気性重視、ゆっくり走るポタリング派は防風性重視で選ぶと失敗が少なくなります。
②パッドの厚さと操作性
手のひらのパッド(衝撃吸収材)は、厚手なら疲れにくく、薄手なら操作性が高いという特徴があります。初心者のうちは手が痛くなりやすいため「厚手のゲルパッド」入りがおすすめですが、ダイレクトな操作感を好む中級者はあえて「パッドなし・薄手」を選ぶこともあります。
③スマホタッチパネル対応
現代のサイクリングに欠かせないのがスマホ操作です。地図アプリの確認や写真撮影のたびにグローブを外すのはストレスになります。購入時は「人差し指と親指がタッチパネル対応か」を必ず確認しましょう。ただし、モデルによって感度に差がある点には注意が必要です。
※ご注意:スマホの画面保護フィルムの種類(特にガラスフィルムなど)によっては、タッチ感度が鈍くなる、あるいは反応しない場合があります。
④サイズとフィット感
グローブは「第二の皮膚」とも呼ばれます。サイズが大きすぎると中で手が滑って操作性が悪くなり、小さすぎると血行が悪くなり冷えの原因になります。基本的には手のひらの周囲サイズを基準に選びますが、メーカーによってサイズ感が異なるため、試着や詳細なサイズ表の確認が推奨されます。
⑤価格帯と用途別の選択
価格は3,000円前後のコスパモデルから、1万円近いハイエンドモデルまで様々です。通勤・通学なら耐久性とコスパを、週末のロングライドなら快適性とブランドの信頼性を重視して予算を決めましょう。

2024年3月、最初は3,000円のグローブから始めて、週末ライドが増えてから7,000円台のパールイズミに買い替えました。通勤は安いモデルで十分ですが、ロングライドは快適性が段違いでしたね。予算が限られているなら、まず安いモデルで「春秋用グローブってこんなもの」を体感してからステップアップするのもアリですよ。
春秋用サイクリンググローブおすすめ7選
ここからは、機能性、人気、コスパの観点から厳選した、2025年版のおすすめ春秋用グローブ7選をご紹介します。
シマノ WINDFLEX レースグローブ|薄手でダイレクトな操作感

シマノ WINDFLEX レースグローブの価格を比較する
高強度ライドや操作性を最優先する方におすすめなのが、シマノの「WINDFLEX レースグローブ」です。特徴はパッドをあえて排除した設計によるダイレクトな握り心地。手のひらとハンドルの一体感が高く、繊細なバイクコントロールが可能です。
甲側には防風素材を使用しつつ、全体的に非常に薄手でフィット感が抜群。暑がりな人や、春先でも汗をかくようなトレーニングライドに最適です。価格も約4,400円(2025年12月時点)と、有名ブランド品としては手頃なのも魅力です。
SHIMANO WINDFLEX レースグローブ 公式ページ
シマノ ライトサーマルグローブ|迷ったらコレ、バランス型の定番

シマノ ライトサーマルグローブの価格を比較する
「初めての春秋用グローブで失敗したくない」という方には、同じくシマノの「ライトサーマルグローブ」が鉄板です。こちらは内側に適度な起毛加工が施されており、レースグローブよりも保温性が高められています。
パッドもしっかり装備されているため、長時間のライドでも手のひらが痛くなりにくいのが特徴。通勤から週末のサイクリングまで幅広く対応できる汎用性の高さが売りで、価格も約3,500円前後と非常にコストパフォーマンスに優れています。

筆者が通勤で使っているのがこのライトサーマル。多摩川CRで朝10℃の気温でも指先が冷えず、昼間15℃に上がっても蒸れない絶妙なバランスです。裏起毛が薄すぎず厚すぎず、ハンドル操作も自然。3,500円でこの完成度なら、最初の1つにこれを選んでおけば間違いないですね。
パールイズミ スーパーサーマ フリース グローブ(8200)|15℃帯の神アイテム

パールイズミ スーパーサーマ フリース グローブの価格を比較する
日本のサイクルウェアブランド、パールイズミが誇る「15℃帯の神アイテム」です。最大の特徴は、あえて防風膜(フィルム)を使用せず、高密度のフリース素材のみで仕上げている点。これにより抜群の通気性と蒸れにくさを実現しています。
風は多少通しますが、運動して体が温まってくるとこの「抜け感」が絶妙に快適です。肌触りも非常に柔らかく、ストレスフリーな着け心地。春・秋のロングライドで快適性を追求したい方に、自信を持っておすすめできる一品です。
パールイズミ スーパーサーマ フリース グローブ 公式ページ

週末の奥多摩ライドで愛用中のスーパーサーマ。防風膜がないので「風通しすぎでは?」と心配でしたが、15℃のヒルクライムで驚くほど快適でした。登りで汗をかいても蒸れず、下りで冷風を浴びても体温で暖かさキープ。肌触りも極上で、7,700円の価値は確実にあります。
カステリ Perfetto RoS グローブ|全天候対応のハイエンドモデル

カステリ Perfetto RoS グローブの価格を比較する
イタリアの高級ブランド、カステリの「Perfetto RoS(ペルフェット・ロス)」は、予算を惜しまず最高の性能を求める方向けのハイエンドモデルです。素材には高機能なGORE-TEX INFINIUM™ WINDSTOPPER®を採用し、完全防風でありながら高い透湿性を誇ります。
「RoS(Rain or Shine)」の名の通り、小雨程度なら弾いてしまう撥水性も兼ね備えており、天候が変わりやすい季節のライドでも安心。所有欲を満たすスタイリッシュなデザインと、プロチームも採用する確かな性能が魅力です。
CASTELLI Perfetto RoS グローブ 公式ページ
GIRO BRAVO GEL ロングフィンガー|手の痛み対策に極厚パッド

GIRO BRAVO GEL ロングフィンガーの価格を比較する
長距離を走ると手が痺れる、痛くなるという方には、アメリカのヘルメット&シューズブランド、GIRO(ジロ)の定番モデル「BRAVO GEL」が最適です。特徴はなんといっても分厚いゲルパッド。路面からの振動を効果的に吸収し、手への負担を大幅に軽減します。
生地は比較的しっかりしていますが、甲側は通気性を重視した設計になっています。Amazon等での在庫も安定しており入手しやすく、初めての海外ブランドグローブとしても選びやすい一品です。
※ご注意:通気性が非常に良いため、10℃以下の寒い日には向きません。暑がりな方や、日中の暖かい時間帯のライドにおすすめです。

以前、100kmライドで手のひらが痺れた経験からBRAVO GELを購入しました。最初は「パッド厚すぎでは?」と感じて、実際慣れないうちは違和感がありましたが、なれると驚きの快適性。50km過ぎても手のひらが全く痛くならないのに驚きました。通気性が良いので13℃以上の日中ライドに最適ですが、10℃以下の早朝はちょっと寒いので注意が必要です。
Morethan サイクルグローブ(MT-GVP-007)|圧倒的コスパで初めての一足に

Morethan MT-GVP-007の価格を比較する
「できるだけ安く済ませたい」「予備として持っておきたい」という方には、AmazonでベストセラーとなっているMorethan(モーゼン)のグローブがおすすめです。約3,000円以下という低価格ながら、防風性やタッチパネル対応など基本機能をしっかり押さえています。
高級モデルに比べると縫製やフィット感で劣る部分はありますが、春秋のワンシーズンを乗り切るには十分な性能を持っています。まずはここから始めて、不満が出てきたらステップアップするのも賢い選択です。
Handson Grip ホーボーグリッド|街乗りに馴染むカジュアルデザイン

Handson Grip ホーボーグリッドの価格を比較する
日本の手袋ブランドが作る「Handson Grip(ハンズオングリップ)」は、スポーティすぎるデザインが苦手なクロスバイクユーザーや街乗り派におすすめです。素材には高機能なメリノウールとフリース(ポーラテック)を掛け合わせ、暖かさと調湿機能を両立しています。
独自のカッティングにより指の動きを妨げず、見た目はカジュアルながら操作性は本格派。親指と人差し指を出せるスリットが入っており、細かいスマホ操作やカメラ撮影がストレスなく行えるのも大きなメリットです。

個人的に気になっているHandson Grip。サイクリング仲間が「街乗りでスポーティすぎないデザインが良い」と使っていて、実物を見せてもらいました。メリノウールの肌触りが柔らかく、指先スリットでスマホ操作も快適そう。カジュアルな服装で走ることが多いなら、これ一択かもしれませんね。
温度別グローブの使い分けガイド
サイクリンググローブは、気温によって明確に使い分ける必要があります。無理をして夏用で寒さを我慢したり、逆に冬用で汗冷えしたりしないよう、以下の目安を参考にしてください。
- 20℃以上(夏用):指切りグローブ(ハーフフィンガー)。通気性最優先。
- 10℃〜15℃(春秋用):今回紹介した薄手フルフィンガー。防風性と通気性のバランス型。
- 5℃〜10℃(初冬用):裏起毛が厚い防風グローブ。パールイズミの「ウィンドブレーク」などが該当。
- 0℃〜5℃(真冬用):中綿入りで二重構造の厳冬期用グローブ。保温性最優先。
特に「15℃」という気温は、指切りでは寒く、冬用では暑いという絶妙なラインです。この隙間を埋める春秋用グローブを持っているかどうかが、季節の変わり目を楽しめるかの分かれ道になります。

筆者も最初は「夏用と冬用があれば十分」と思っていましたが、春の奥多摩で失敗しました。朝8℃の冷え込みで冬用グローブで出発したら、昼間は15℃まで上がって手汗びっしょり。春秋用グローブがあれば、朝晩の冷えも日中の汗も解決できたんですよね。
【一覧比較】春秋用グローブ7選のスペック&価格
| 製品名 | 特徴・評価 | 価格 | 防風性 | パッド厚 | 通気性 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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シマノ WINDFLEX レースグローブ
| 薄手でダイレクトな操作感 ★★★★☆ | 約4,400円 | ◎ 高 | なし | ◎ 高 | トレーニング・操作性重視 |
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シマノ ライトサーマルグローブ
| 迷ったらコレ、バランス型の定番 ★★★★★ | 約3,500円 | ○ 中 | 標準 | ○ 中 | 初心者・通勤・オールマイティ |
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パールイズミ スーパーサーマ フリース グローブ(8200)
| 15℃帯の神アイテム ★★★★★ | 約7,700円 | △ 低(通気重視) | 中厚 | ◎ 特高(蒸れない) | ロングライド・快適性重視 |
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カステリ Perfetto RoS グローブ
| 全天候対応のハイエンドモデル ★★★★☆ | 約9,000円〜 | ◎ 特高(GORE-TEX) | 薄手 | ◎ 高 | ハイエンド・雨天も走る |
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GIRO BRAVO GEL ロングフィンガー
| 手の痛み対策に極厚パッド ★★★★☆ | 約5,000円〜 | ○ 中 | ◎ 特厚(ゲル) | ◎ 高(10℃以下は×) | 手が痛くなる人・長距離 |
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Morethan サイクルグローブ(MT-GVP-007)
| 圧倒的コスパで初めての一足に ★★★☆☆ | 約2,980円 | ○ 中 | 標準 | ○ 中 | 安く済ませたい・予備用 |
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Handson Grip ホーボーグリッド
| 街乗りに馴染むカジュアルデザイン ★★★★☆ | 約7,500円 | △ 低(保温重視) | なし | ○ 中(メリノ素材) | 街乗り・クロスバイク |
※価格は2025年12月時点のAmazon/楽天の実勢価格目安です。変動する可能性があります。
よくある質問(FAQ)
サイズ選びで迷ったら、大きめと小さめどちらが良いですか?
基本的には「ジャストサイズ」または「ややタイトめ」をおすすめします。大きすぎると中で手が滑って操作性が悪くなり、ハンドル操作に支障が出る恐れがあるためです。ただし、指先が詰まって痛くなるほど小さいのはNGです。
洗濯機で洗っても大丈夫ですか?
多くのモデルは洗濯機で洗えますが、必ず洗濯ネットを使用してください。マジックテープ(ベルクロ)が他のウェアを傷つけるのを防ぐためです。また、柔軟剤は吸汗速乾機能を低下させる可能性があるため使用を控え、陰干しすることをおすすめします。
インナーグローブは必要ですか?
10℃以上の春秋ライドであれば、基本的にはインナーグローブは不要です。今回紹介したグローブ単体で十分対応できます。もし5℃近くまで気温が下がった場合に、保温性を足す目的で薄手のインナーを重ねるのは有効な手段です。
防風性と通気性、どちらを優先すべき?
走行強度によって異なります。高強度のトレーニングや坂の多いコースでは「通気性」重視(パールイズミ8200など)、ゆっくりとしたポタリングや下り坂が多いコースでは「防風性」重視(シマノWINDFLEXなど)がおすすめです。迷ったらバランス型のシマノライトサーマルを選びましょう。
グローブの寿命はどのくらい?
使用頻度にもよりますが、週2-3回の使用で1-2年が目安です。マジックテープ(ベルクロ)の粘着力が弱くなったり、パッドが潰れてきたら買い替え時です。洗濯機での洗濯を避け、手洗いして陰干しすることで寿命を延ばせます。
まとめ:春秋用グローブで快適なライドを
春秋用サイクリンググローブは、一見すると「使用期間が短い」と思われがちですが、実は1年の中で最も出番が多く、快適性に直結する重要アイテムです。朝晩の冷え込みや、峠の下り坂で指先が凍えるのを防ぎ、安全なライドをサポートしてくれます。
迷っている方は、まずは汎用性の高い「シマノ ライトサーマルグローブ」か、快適性抜群の「パールイズミ スーパーサーマ フリース グローブ」を選んでみてください。手元のストレスがなくなれば、景色を楽しむ余裕も生まれ、サイクリングがもっと楽しくなるはずです。

筆者は春秋のライドでは、シマノのライトサーマルグローブを愛用しています。2024年4月の多摩川CR(気温12℃)でも2024年11月の奥多摩ライド(気温9℃)でも、この1つで快適に走れました。初めて春秋用グローブを買う方には、まずこのライトサーマルをおすすめします。3,500円で汎用性が高く、失敗がありません。予算に余裕があれば、週末ライド用にパールイズミのスーパーサーマ(8200)を追加すると、さらに快適性が向上します。春秋の指先の冷えは想像以上にストレスです。適切なグローブがあれば、景色を楽しむ余裕が生まれ、サイクリングがもっと楽しくなりますよ。







2023年10月の秋、多摩川CRで指切りグローブのまま走って指先が凍えた経験があります。朝は10℃だったのに走行風でさらに冷たくなり、微妙な寒さを我慢して走る羽目に。それから春秋用フルフィンガーを買い足したところ、快適性が劇的に向上。「季節の変わり目は専用グローブが必須」だと痛感しましたね。