箱根旧街道 石畳歩きの魅力
箱根の山中に、しっとりと苔むした石畳の道が残っています。箱根旧街道——江戸時代、東海道随一の難所「箱根越え」として旅人が行き交った歴史の道です。滑りやすい土の悪路を改めるため、幕府が1680年(延宝8)に石を敷き詰めた石畳は、いまも往時のまま。杉並木や一里塚、江戸から続く茶屋が点在し、日本遺産「箱根八里」にも選ばれています。
距離はおよそ5km、歩行時間は3時間ほど。畑宿から石畳をたどって芦ノ湖畔まで、標高差400mの“箱根越え”を、名物の甘酒で一息つきながら歩けます。登山というより歴史散歩に近い、初心者にもやさしい古道歩きです。
ルート概要(畑宿〜箱根関所)
| 距離 | 約5.4km(畑宿〜芦ノ湖畔〜箱根関所) |
| 獲得標高 | 上り 約420m(畑宿から芦ノ湖畔へ登る“箱根越え”) |
| 難易度 | 初級(距離は短いが、石畳と登りがある歴史散歩) |
| 所要時間 | 約2時間30分〜3時間30分(見どころ・休憩を含む) |
| 発着 | 畑宿(旧街道石畳バス停)〜 箱根関所(箱根町) |
| アクセス | 箱根湯本駅から箱根登山バス「箱根旧街道線」で約25分・「旧街道石畳」バス停下車 |
| ベストシーズン | 新緑(4〜6月)・紅葉(11月) |
| 通行状況 | 石畳は雨天・降雨後はとても滑りやすい。保存整備工事などで一部区間が通行止めになることも(事前に最新情報を) |

歩く前に知っておきたいこと
- 石畳は「濡れると滑る」。 苔むした石は雨の日や降雨後はとくに滑りやすくなります。グリップの効く歩きやすい靴で、下りは慎重に。
- 標高差400mの登り。 畑宿から芦ノ湖畔まではじわじわとした登りが続きます。急ぐ道ではないので、甘酒茶屋などで休みながらマイペースで。
- 途中でバスに乗れる。 旧街道沿いにはバス停が点在し、体力や時間に応じてエスケープ・短縮ができます。無理せず計画を。
- 地図はOpenStreetMapの街道データをもとに作成しています。距離・時間は目安です。実際の歩行は現地の道標と最新の地図で確認してください。
箱根旧街道の見どころガイド
1畑宿:寄木細工と一里塚

出発点の畑宿は、幾何学模様が美しい伝統工芸寄木細工の里。工房やお店をのぞいて旅の記念を選ぶのも楽しみです。街道沿いには、江戸日本橋からの距離を示す塚畑宿一里塚が復元されており、ここから本格的な石畳歩きが始まります。
2石畳の道:江戸の東海道を歩く

いよいよ石畳の道へ。1680年に敷かれた石が、木漏れ日の森の中にどこまでも続きます。橿木坂や猿滑坂といった急坂には往時の旅人の苦労がしのばれ、苔むした石の一つひとつが江戸の空気を伝えてくれます。歴史の重みを足裏で感じる、この道いちばんの見どころです。
3甘酒茶屋:400年続く街道の茶屋

石畳をしばらく登ると、茅葺きの甘酒茶屋が現れます。江戸時代初期の創業以来、400年以上も旅人をもてなしてきた茶店。名物の甘酒と力餅で、街道歩きのちょうど中間地点にエネルギーを補給しましょう。囲炉裏の煙る店内で一服すれば、気分はすっかり江戸の旅人です。
4芦ノ湖畔の杉並木

権現坂を下って芦ノ湖畔へ出ると、天を突く杉並木が迎えてくれます。街道の両側に約400本、樹齢350年・高さ30mにもなる杉の巨木が連なる国指定の史跡。江戸幕府が旅人を夏の日差しや冬の風雪から守るために植えたもので、荘厳な緑のトンネルは思わず足を止める美しさです。
5箱根関所:芦ノ湖のゴール


ゴールは、芦ノ湖のほとりに復元された箱根関所。「入り鉄砲に出女」を厳しく取り締まった、東海道の要所です。当時の建物や番所が再現され、資料館では関所の役割を学べます。歩ききったあとは、芦ノ湖の遊覧船や温泉で旅の余韻に浸るのもおすすめです。
アクセスと歩き方のヒント
スタートの畑宿へは、箱根湯本駅から箱根登山バス「箱根旧街道線」で約25分、「旧街道石畳」バス停で下車。1時間に2本ほど運行しています(発着点や時刻は変わることがあるので事前確認を)。ゴールの箱根関所・元箱根港からは、バスや芦ノ湖の遊覧船で箱根湯本や各方面へ戻れます。
畑宿から芦ノ湖畔への“下り基調で歩きたい”場合は逆向き(芦ノ湖畔スタート)も可能。体力や時間に合わせて、石畳区間だけを楽しむ短縮プランも組めます。
さらに歩きたい人へ:小田原〜三島の“箱根八里”
もっと本格的に街道を味わいたい人は、東の小田原から西の三島まで、箱根の峠を越える約30kmの“箱根八里”に挑戦するのも一興。1泊2日で江戸から三島宿までを歩き通せば、参勤交代の旅人になった気分を存分に味わえます。
箱根旧街道を歩くための装備
本格的な登山装備は要りませんが、石畳は濡れると滑るため、足元だけはしっかり備えましょう。ソールのグリップが効く歩きやすい靴(ローカットの登山靴・トレッキングシューズなど)があると安心です。山の天気は変わりやすいので、コンパクトにたためるレインウェアも1枚。あとは水分と、甘酒茶屋までの軽い行動食があれば十分です。それぞれの選び方は、こちらのガイドが参考になります。
まとめ
箱根旧街道は、江戸の旅人が歩いた石畳を、いまも自分の足でたどれる貴重な道です。苔むした石畳、400年続く甘酒茶屋、荘厳な杉並木——歴史と自然が溶け合う“箱根越え”を、ぜひのんびり味わってみてください。
箱根の石畳を歩いたら、次はこんな道もおすすめです。
以前、東海道を踏破したときに箱根を越えました。当時はテント泊だったので、宿泊場所の都合で小田原から三島までを1日で歩いたのですが(確か泊まったのは柿田川湧水公園)、文字どおり足が棒に……。しかもそのとき、まさかのスポーツサンダル(笑)。今なら迷わず登山靴を履きます。疲れ方が全然違うので、これから歩く方は、足元だけはしっかり備えてくださいね。