しまなみ海道が「初めてのロングライド」に最適な理由
愛媛県・今治と広島県・尾道を結ぶ瀬戸内しまなみ海道は、全長約70km。瀬戸内海に浮かぶ島々を長大橋で渡り継ぐ、日本を代表するサイクリングロードです。2019年にはCNNの旅行サイトで「世界7大サイクリングロード」に選ばれ、国のナショナルサイクルルート第1次指定も受けました。
距離こそ70kmとロングですが、道の端には迷わず走れるブルーラインが引かれ、休憩できるサイクルオアシスも各所に点在。橋のアプローチはゆるやかな勾配で設計され、獲得標高は約900mと数字ほどキツくありません。「長距離は初めて」という人が、初ロングライドの舞台に選ぶのにぴったりの道です。
ルート概要(今治〜尾道 本線)
| 距離 | 約70km(今治〜尾道の本線) |
| 獲得標高 | 上り 約938m(橋のアプローチが中心・急坂は少ない) |
| 難易度 | 初級〜中級(距離は長いが勾配はゆるやか) |
| 所要時間 | 初心者で全線約10時間が目安(朝8時発推奨)/脚力があれば6〜8時間 |
| 発着 | 今治駅(JR予讃線)⇔ 尾道駅(JR山陽本線)※どちら発でもOK |
| アクセス | 今治側=今治駅/尾道側=尾道駅・新尾道駅(新幹線)。輪行・高速バス・レンタル乗り捨てが定番 |
| ベストシーズン | 春(3〜5月)・秋(9〜11月) |
| 通行料 | 自転車通行料は無料(「しまなみサイクリングフリー」・2028年3月末まで/手続き不要) |
地図はOpenStreetMapの「しまなみ海道サイクリングロード」(ナショナルサイクルルート)をなぞった本線(今治〜尾道 約67km)と見どころです。実走行は路面のブルーラインに従ってください。獲得標高は約938mですが、その大半は各橋へのゆるやかなアプローチで、急な上りはほとんどありません。
走る前に知っておきたいこと
- 尾道スタートは「渡船」から。 尾道〜向島の間だけは自転車道の橋がなく、渡し船で渡ります。尾道駅前渡船なら自転車込み110円・約5分・10分間隔ほど。まずは船で島へ渡るのがしまなみ流です。
- ブルーラインを追えば迷わない。 路面の水色のラインが今治まで導いてくれます。橋の入口(自転車道の上り坂)もラインで案内されます。
- 水分・補給はこまめに。 島の中心を外れると店が少ない区間もあります。サイクルオアシスやコンビニで早めの補給を。
- 地図は国土地理院データをもとに作成しています。距離・時間は目安です。実走行時はブルーラインと公式マップで最新のルートをご確認ください。
しまなみ海道の見どころガイド
1尾道:坂の街と渡船からはじまる旅

スタートの尾道は、千光寺山の斜面に寺社と家並みが重なる情緒あふれる港町。出発前に尾道ラーメンで腹ごしらえをして、駅前から渡船で向島へ。潮の香りと行き交う船を眺める5分の船旅が、しまなみの幕開けです。
2向島・因島:水軍の島とレモンの香り

向島から最初の橋・因島大橋を渡って因島へ。この一帯はかつて村上海賊(村上水軍)が活躍した島々で、因島水軍城などの史跡が点在します。柑橘畑が広がり、はっさく発祥の地としても知られる、瀬戸内らしい島の風景が続きます。
3生口島:耕三寺と未来心の丘、そしてレモン

生口橋を渡った生口島(瀬戸田)は、しまなみ随一の観光アイランド。極彩色のお堂が並ぶ耕三寺と、真っ白な大理石庭園未来心の丘は写真映え抜群。レモンをはじめとする柑橘の島でもあり、道中のジェラートやレモン系スイーツで一息つくのが定番です。
4多々羅大橋:愛媛と広島をつなぐ絶景の橋

生口島と大三島を結ぶ多々羅大橋は、優美なシルエットの斜張橋。愛媛・広島の県境でもあり、主塔の下で手を叩くと反響が返る「多々羅鳴き龍」もお楽しみのひとつ。橋上から見渡す多島美は、しまなみを走ってよかったと実感する瞬間です。
5大三島:大山祇神社でひと息

大三島は「神の島」とも呼ばれ、全国の山祇神社・三島神社の総本社大山祇神社が鎮座します。豊かな鎮守の森と国宝級の宝物で知られ、道中の心の休憩地に。近くの道の駅で地の物を味わうのもおすすめです。
6伯方島・大島:塩の島と、来島海峡大橋の絶景

「伯方の塩」で名高い伯方島を経て大島へ。大島の亀老山展望公園からは、世界初の三連吊橋来島海峡大橋と渦巻く潮流を一望できます(展望台までは急坂なので無理は禁物)。旅の終盤を飾る、しまなみ最大級の絶景スポットです。
7来島海峡大橋を渡ってゴール・今治へ

全長約4kmの来島海峡大橋を渡れば、四国・今治はもうすぐ。海の上を走る爽快感を味わいながらゴールを目指しましょう。今治はタオルと焼き鳥の街。走りきったあとのご当地グルメで、ロングライドを締めくくってください。
レンタサイクルとアクセス
レンタサイクル
マイバイクの輪行はもちろん、レンタサイクルでも片道走破ができます。定番は公共系の「しまなみレンタサイクル」(一般社団法人しまなみジャパン運営)。尾道〜今治に約10か所のターミナルがあり、多くの車種で乗り捨てができます(車種や条件は改定されることがあります)。ヘルメットの貸出もあり、手ぶらでもスタートできます。
人気の電動アシスト自転車は一部ターミナルに配備され、坂や向かい風がぐっとラクに。体力に不安がある人や、のんびり景色を楽しみたい人におすすめです(数に限りがあるので予約推奨。予約・問い合わせはしまなみジャパン ☎0848-22-3911)。スポーツバイクの走りやフィッティングにこだわるなら、ジャイアントストア(今治・尾道)も選べます(乗り捨てのワンウェイサービスは追加料金)。今治側の拠点サンライズ糸山(今治市サイクリングターミナル・8:00〜20:00)は、レンタル・休憩・宿泊もできる便利な基地。料金や在庫は変わるので、最新情報は公式で確認してください。
アクセスと帰り方
尾道側は尾道駅(JR山陽本線)、新幹線なら新尾道駅や福山駅から。今治側は今治駅(JR予讃線)が起点です。片道だけ自走して、帰りは輪行やレンタルの乗り捨てで戻るのが王道です。
バスは今治〜福山を結ぶ高速バス「しまなみライナー」が便利で、福山駅でJR山陽本線に乗り継げば尾道へ戻れます。ただし自転車はそのままの状態では載せられません(分解して輪行袋に入れればトランク預かり可・容量に限りあり)。自転車を積める直通バス「しまなみサイクルエクスプレス」は廃止されているので、マイバイク派は輪行の準備をお忘れなく。
もっと楽しむ:往復・周回スタイル
体力に自信がついたら、あえて往復して見どころを二度楽しむプランや、1泊2日で島に泊まってのんびり巡るプランもおすすめ。同じ道でも行きと帰りで光や潮が変わり、印象はがらりと違います。日程と脚力に合わせて、自分だけのしまなみを組み立ててみてください。
しまなみを走るための装備
70kmのロングライドを安全・快適に走るために、装備も確認しておきましょう。実はしまなみレンタサイクル(公共系)を借りるなら、ヘルメットと鍵は無料で貸し出され、車体にはボトルホルダーも標準装備。傷害保険も付くので、身ひとつでも安心してスタートできます(ヘルメットの着用は必須。ヘルメット単体の貸出は行っていません)。
一方で自分で用意しておきたいのが、瀬戸内の強い日差しを防ぐサングラスと日焼け止め、手の疲れをやわらげるグローブ、橋の上や下り・気温変化に備えるウィンドブレーカー、そして水分と補給食です。マイバイクで自走する人は、これらに加えてヘルメット・鍵・パンク修理キットなど一式を忘れずに。それぞれの選び方は、こちらの装備ガイドが参考になります。
まとめ
しまなみ海道は、ブルーラインとサイクルオアシスに支えられ、初めてのロングライドでも安心して挑戦できる特別な道です。橋の上の爽快感、島ごとに変わる景色と食、そして走りきったときの達成感——70kmの先にある景色を、ぜひ自分の脚で味わってみてください。
しまなみを満喫したら、次はこんなコースもおすすめです。
ちなみに筆者は学生のころ、夜行バスで広島の福山まで行き、現地のリサイクルショップで中古の自転車を購入。そのまましまなみ海道を走破して、今治で自転車を売り払って帰ってくる……という無茶なプチ旅をしたことがあります(笑)。レンタルと違って返却期限も気にしなくていいし、ちょっとした“自由の翼”を手に入れた感じで。時間とちょっとの度胸に余裕があれば、こんな変化球のしまなみもおすすめです!