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東京23区で出会える巨木スポット5選|都会の中にひっそりと生きる大樹たち

東京23区で出会える巨木スポット5選
東京23区にも巨木は存在します。等々力渓谷や明治神宮、植物園など、身近な場所で出会える圧倒的な存在感のある木々を、徒歩で巡れる癒しの散策ルートとともに紹介。
目次
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はじめに|都会の中に、巨木はまだ息づいている

高層ビルの陰で、誰にも知られずに生きてきた木がある

東京23区。
人と建物がひしめくこの都市の中にも、ひっそりと、それでいて圧倒的な存在感を放つ“巨木”が今も生き続けています。

それは神社の境内にあるご神木かもしれません。
あるいは、誰もが足早に通り過ぎる公園の奥に、気づかれぬまま立ち続ける一本かもしれません。
どれも、長い時間を超えてここに残された“都市の記憶”のような存在です。

歩いてこそ出会える、“街中の自然遺産”

今回ご紹介するのは、登山ではありません。
駅から歩いて行ける範囲で、静かに佇む巨木に出会えるスポットを集めました。

ビルの谷間に生きる楠、渓谷の水辺に立つシイ、学問の森に息づくケヤキ…。
そんな木々との出会いは、日常の中にふっと現れる非日常のような感動をくれるはずです。

次の休日は、カフェや買い物のついでに、
ちょっとだけ「大きな木に会いに行く散歩」をしてみませんか?

等々力渓谷のシイの木(世田谷区)|都会の渓谷で出会う、静けさをまとう一本

等々力渓谷
等々力渓谷は東京唯一の渓谷。アクセスも良い。

23区内とは思えないほど自然が色濃く残る等々力渓谷(とどろきけいこく)。
谷沢川沿いに続く遊歩道を歩いていくと、岩場の上に立つシイの大木が目に飛び込んできます。
頭上を覆うように枝を広げ、まるで“渓谷の門番”のような存在感を放つ一本です。

― アクセス
東急大井町線・等々力駅から徒歩約5分

― 散策難易度
★☆☆☆☆(平坦な遊歩道/所要30〜60分)

― おすすめポイント
駅チカで自然と静寂を味わえる/水と緑に包まれた“都会の森”

水の音と木漏れ日に包まれて歩く

等々力渓谷は、東京23区内で唯一の“渓谷”とされる場所。
渓流沿いの遊歩道には、カシ・シイ・クスなどの広葉樹が生い茂り、夏でも涼しさを感じるほど。
中でもこのシイの木は、樹齢300年以上とされる巨木で、幹周は4m近くあるといわれています。

足元の岩盤にしっかりと根を張りながらも、枝葉は頭上でふわりと広がり、“都会の中にある異空間”を演出してくれるような存在です。

巨木を見上げた瞬間、街の音が消える

この場所の不思議なところは、駅から数分とは思えないほどの“静けさ”があること。
水音と鳥の声、そして頭上を覆う緑のトンネルの中で、ふと現れるこの巨木に立ち止まった瞬間、周囲の喧騒がふっと遠ざかるような感覚になります。

道も平坦で歩きやすいため、日常の合間にふらりと訪れる“癒しの木との出会い”としてぴったりのスポットです。

明治神宮の大楠(渋谷区)|100年の杜にそびえる、都会のご神木

東京を代表する神社のひとつ、明治神宮。原宿駅からすぐとは思えない広大な杜には、参道沿いに圧倒的な存在感を放つ楠(クスノキ)の巨木が立っています。
人の流れの中にあっても、まるで“時間の流れが違う”ような、静けさと風格をたたえた一本です。

― アクセス
JR原宿駅/東京メトロ明治神宮前駅より徒歩すぐ

― 散策難易度
★☆☆☆☆(フラットな参道/ベビーカー・車椅子も可)

― おすすめポイント
東京とは思えない静寂/ご神木としての神聖さと写真映え

ただの「大きな木」ではない、“生きた信仰”

明治神宮の杜は、人工的につくられたにもかかわらず、今では立派な自然林に成長しています。
参道脇に立つこの大楠は、樹齢推定300年・幹周約6m超のスケールを誇る巨木で、多くの参拝者がその前で足を止めます。

とくに北参道近くの一帯は、楠や椎などの常緑広葉樹が多く、森としての濃度が非常に高い空間
この大楠の足元に立つと、まるで都会の中に“結界”があるかのような、不思議な静けさに包まれます。

人の祈りとともに育つ“都市のご神木”

この木は単に自然の中で生きてきたのではなく、100年以上にわたり、人々の祈りや願いと共に時を重ねてきた存在です。
大楠のまわりにはお守りや絵馬が掛けられることもあり、“手を合わせたくなる木”として愛されています。

木を見上げながら深呼吸をすれば、喧騒の中にあるこの場所が、
“心を整えるための静かな時間”を与えてくれることに気づくでしょう。

林試の森公園のイヌマキ(品川区)|旧林業試験場に残された、研究と共に生きた大木

林試の森公園
林試の森公園。歴史、背景を知ると、見るものの印象も変わる。

目黒と品川の区境に広がる「林試の森(りんしのもり)公園」。
その名の通り、かつてここは林業試験場だった場所で、全国から集められた木々が育成・研究されていました。
今もその一部が残されており、中でもひときわ目を引くのが、幹周約5mのイヌマキの巨木です。

― アクセス
東急目黒線・不動前駅から徒歩約6分/JR目黒駅からも徒歩圏内

― 散策難易度
★☆☆☆☆(フラット・舗装あり/園内一周30分ほど)

― おすすめポイント
都市の真ん中で“森らしさ”を感じられる/歴史の積み重ねが残る木々

人が植え、森が育ち、木が語りかける

イヌマキの巨木は、公園の一角に静かに佇んでいます。
幹はずっしりと太く、葉は優しく風に揺れ、どこか“おだやかな賢者”のような風格を感じさせてくれる存在です。

この木が特別なのは、研究のために植えられ、管理されてきた背景があるからこそ。
“自然の中で育った”というより、“人と共に育った”巨木なのです。

都市の真ん中で“森に入る”体験

林試の森公園は、23区内とは思えないほど木の密度が高く、風の音や木漏れ日が心地よい空間です。
舗装された園路も整っており、ベンチでゆっくり座るのにもぴったり。

巨木を見上げ、名前を確かめ、由来に思いを馳せる。
そんな、「知的な癒し」と「静かな感動」が両立する場所として、静かな人気を集めています。

日々の忙しさのなかで、一呼吸つける時間をくれる木に、ここで出会えるはずです。

赤塚植物園のムクノキ(板橋区)|住宅地の奥に眠る、堂々たる樹形

赤塚植物園
赤塚植物園。近くには東京大仏も鎮座。

高層ビルの喧騒から少し離れた、板橋区の住宅地。
その静かな一角にある「赤塚植物園」は、23区内にあって四季折々の草木を楽しめる穴場的な植物園です。
その中でひときわ目を引くのが、堂々と枝を広げるムクノキの巨木です。

― アクセス
都営三田線・高島平駅から徒歩約20分/バス利用も可

― 散策難易度
★☆☆☆☆(園内はフラット・道幅も広く安心)

― おすすめポイント
静かで落ち着いた植物園/幹と枝のフォルムが美しい“見惚れる系巨木”

空へと広がる枝ぶり、静かに佇む圧倒的な存在感

ムクノキは成長スピードが早く、大木に育ちやすい樹種ですが、ここにある一本は幹周約4m・高さ20m以上と、園内でも群を抜くスケール。
まるで「森の天井」を支えているかのような、力強くも美しい枝ぶりが特徴です。

幹の表面はゴツゴツとしていて存在感がありつつ、どこか親しみやすさも感じる、“都会の癒し手”のような木でもあります。

植物園だからこそ、じっくり味わえる時間

赤塚植物園の魅力は、その静けさ。入園無料で訪れやすく、来園者も多すぎないため、
「あ、ここだけ時間がゆっくり流れてるな」と感じられる場所です。

ベンチに座ってムクノキを眺めたり、葉の揺れを見上げたり――
“ただ巨木と過ごす時間”を持てるのは、都市の中では貴重な体験と言えるでしょう。

忙しい日常からふっと抜け出したいとき、
このムクノキの下は、そっと背中を預けたくなるような安心感を与えてくれます。

小石川植物園のケヤキ・カエデ類(文京区)|学問と自然が交差する静かな巨木エリア

江戸の頃はどんな景色だったのだろうか。

東京大学が管理する「小石川植物園」は、都心のど真ん中にありながら、400年以上の歴史と広大な自然林を持つ静寂の空間
園内を歩いていくと、ところどころに樹齢数百年級のケヤキやカエデの巨木が現れ、木の下に立つだけで時間が止まったかのような感覚に包まれます。

― アクセス
東京メトロ丸ノ内線・茗荷谷駅から徒歩約10分(入園料あり)

― 散策難易度
★☆☆☆☆(園内整備済・歩きやすい)

― おすすめポイント
学術的価値もある歴史的森/紅葉・新緑の美しさが格別

ケヤキの大樹が語る、“都会の森の知性”

園の西側エリアでは、幹周3〜4m級のケヤキが立ち並び、根元に広がる芝生と調和して、まるで森の図書館のような雰囲気をつくり出しています。
真っ直ぐに空へ伸びた幹、広がる枝葉の影――それらは都市に残された“知の森”の象徴のようです。

また、秋になるとモミジやイロハカエデの古木が色づき、都市ではなかなか味わえないスケールの紅葉風景にも出会えます。

歴史と自然の重なりが、足を止めさせる

この場所の特別さは、“植物園”というだけではありません。
かつては「小石川養生所」として使われ、江戸時代から命や知識を育んできた場所であるという歴史が、巨木たちに深みを与えています。

静かに葉を揺らすケヤキに立ち止まり、
「この木はどれだけの人の時代を見てきたんだろう」と思わず想像してしまう、そんな“哲学的な出会い”ができる空間です。

よくある質問|都会で巨木に出会うってどういうこと?

Q. 東京23区にも巨木は本当にあるんですか?

はい、実はかなりあります。神社のご神木、公園や植物園の保護木、渓谷の自然林など、意外な場所に立派な巨木がひっそりと生きています。 樹齢数百年級の木も少なくありません。

Q. 登山の装備や体力がなくても大丈夫?

まったく問題ありません。今回紹介しているスポットはすべて駅から徒歩でアクセス可能&舗装路中心のコースなので、スニーカーや軽装でOKです。お散歩気分で楽しめます。

Q. 巨木の場所は分かりやすいですか?

ほとんどが公園や神社、植物園内にあるため、迷う心配は少ないです。とはいえ、園内マップやGoogleマップの「巨木」検索などを活用しておくと安心です。案内板がない場所もあるので、見逃さないようにゆっくり歩きましょう。

Q. 写真撮影はできますか?

できます。どのスポットも基本的に撮影OKですが、神社内や学術施設では節度を持って撮るようにしましょう。 また、木の根元を踏みつけたり、登ったりする行為は避けましょう。

Q. 平日でも楽しめますか?

むしろおすすめです。平日は人が少なく、木の存在感や空気の静けさがより引き立ちます。 忙しい日常の合間に、ちょっとした心のリセットを求めてふらっと立ち寄るのにぴったりです。

まとめ|都市の中で、静かに木と向き合うひとときを

東京23区の喧騒のなかにも、ひっそりと生き続ける巨木たちがいます。
それらはただの大きな木ではなく、長い時間を経てこの地に根を張り、人々の暮らしを見守ってきた“都市の記憶”のような存在です。

今回紹介したスポットはいずれも、駅から歩いてアクセスでき、特別な装備も必要ありません。
ふだん通りの服装で、少しだけペースを落として歩いてみるだけで、大きな木との出会いが日常のなかに“非日常”を生み出してくれるはずです。

静かに呼吸を整えたいとき、なんとなく気持ちがざわつくとき――
ぜひ、東京の森のなかで「ただ立ち続ける木」に会いに行く時間を過ごしてみてください。