東京都心から約1時間でアクセスできる高尾山(標高599m)は、冬になると美しい雪景色が楽しめる関東屈指の低山ハイクスポットです。定番の1号路も魅力的ですが、今回は混雑を避けながら冬ならではの絶景を満喫できる稲荷山コース〜もみじ台方面の裏ルートをご紹介します。チェーンスパイクが必要な箇所や安全装備についても詳しく解説しますので、雪山初心者の方も安心してお楽しみいただけます。
冬の高尾山の魅力とは?雪景色が楽しめる理由
出典:高尾山マガジン
冬の高尾山の最大の魅力は、年間を通じて最も空気が澄んでいることです。12月から2月にかけては山頂の気温が5℃以下になることも多く、朝晩は氷点下に達することもあります。この寒さにより、都心では見ることのできない美しい雪景色や霧氷現象に出会えるのです。
特に降雪後の晴れた日には、真っ白な雪に覆われた山頂から富士山の絶景を望むことができます。夏場とは異なる静寂に包まれた山中では、雪を踏みしめる音だけが響き、都市部の喧騒を忘れさせてくれる特別な時間を過ごせます。また、冬期は登山者数が減るため、ゆったりと自然を満喫できるのも魅力の一つです。
おすすめ裏ルート:稲荷山コース〜もみじ台方面
出典:高尾山マガジン
混雑する1号路を避けて冬の高尾山を楽しみたい方には、稲荷山コース〜もみじ台方面のルートを強くおすすめします。このコースは高尾山口駅から清滝駅を経て、稲荷山コース(全長3.1km、難易度★★★★)で山頂を目指し、その後もみじ台へと向かうルートです。
所要時間は登り約90〜100分、下り約80分程度で、体力に自信のある初心者から中級者まで楽しめます。舗装された1号路と異なり、自然の山道を歩くため、より登山らしい体験ができるのが特徴です。特に冬期は木々の葉が落ちて見通しが良くなり、普段は見えない景色を楽しめます。稲荷山の尾根道では、雪に覆われた奥多摩の山並みを一望できる絶景ポイントも数多くあります。
稲荷山コースの特徴と見どころ
稲荷山コースは高尾山の登山コースの中でも最も登山らしい体験ができるルートとして人気です。コース序盤は緩やかな傾斜から始まり、中盤以降は本格的な山道となります。冬期の見どころとしては、霜柱やシモバシラ(植物)の氷の結晶、雪化粧した杉や檜の美しい姿があげられます。
特に標高400m付近の稲荷山展望台では、都心方面の眺望を楽しめ、空気の澄んだ冬日にはスカイツリーまで見渡せることもあります。コース終盤の急登部分では、雪が積もると滑りやすくなるため注意が必要ですが、山頂直下では1号路と合流し、薬王院の境内を通って山頂へと向かいます。登山道は基本的に南向きの斜面を通るため、北風の影響を受けにくく、冬でも比較的歩きやすいのが特徴です。
もみじ台からの絶景:富士山と雪景色
出典:高尾フモト同盟
高尾山山頂から西へ約10分歩いたところにあるもみじ台は、冬の高尾山でぜひ訪れていただきたい絶景スポットです。標高約530mのこの展望地からは、雪をかぶった富士山の雄大な姿を正面に望むことができ、冬期の澄んだ空気の中では山頂の細部まで鮮明に見えます。
もみじ台の魅力は何といっても山頂よりも人が少ないことです。静寂な雪景色の中で、ゆっくりと富士山を眺めながら温かい飲み物を楽しめる贅沢な時間を過ごせます。また、奥多摩の山並みや丹沢山系も一望でき、360度とはいかないものの、十分に満足できる展望が広がります。冬の晴れた日の午前中に訪れると、逆光を避けて美しい富士山の写真を撮影することも可能です。
チェーンスパイクが必要になる箇所
出典:高尾山マガジン
冬の高尾山登山で最も重要な装備がチェーンスパイクです。特に注意が必要な箇所は、薬王院の境内を抜けて山頂へ向かう区間と、山頂からもみじ台への道中です。これらの場所は除雪作業が行われないため、積雪や凍結している可能性が非常に高くなります。
出典:YAMA HACK
具体的な装着タイミングは、薬王院本堂の裏手から始まる山頂への登山道入口です。ここから先は日陰が多く、踏み固められた雪が氷化しているケースが多いため、普通の登山靴では滑って危険です。また、もみじ台からさらに奥高尾方面へ向かう場合も、北向きの斜面では終日凍結していることがあるため、必ずチェーンスパイクを装着してください。価格は6,000〜7,000円程度で、冬の安全登山には欠かせない投資といえます。
冬の高尾山登山:必要な装備リスト
冬の高尾山を安全に楽しむために、以下の装備を準備しましょう:
必須装備:
- チェーンスパイク(6,000〜7,000円程度)
- 防水性のある登山靴
- 防寒着(フリース・ダウンジャケット等)
- 防水・防風性のあるアウター
- 保温性の高い帽子・手袋
- ヘッドライト(16:30頃日没のため)
推奨装備:
- 魔法瓶(温かい飲み物用)
- ネックウォーマー
- 厚手のウール靴下
- スマートフォン用防水ケース
- 緊急用ホイッスル
服装はレイヤリング(重ね着)を基本とし、吸汗速乾性のあるベースレイヤー、保温性のあるミドルレイヤー、防風・防水のアウターレイヤーの3層構造で体温調節を行います。
安全登山のための注意点
冬の高尾山登山では、以下の安全対策を徹底してください:
出発前の確認事項:天気予報の詳細チェック、積雪情報の確認、日没時刻の把握(冬期は16:30頃)、登山計画の家族・友人への共有
登山中の注意点:無理なペース配分は避ける、こまめな水分・栄養補給、体調不良時は即座に下山、単独行の場合は特に慎重に行動
特に重要なのは早めの行動開始です。冬期は日が短いため、遅くとも午前8時頃には登山を開始し、15時頃には下山を完了するよう心がけてください。また、雪が溶けてぐちゃぐちゃになった道は歩きづらく滑りやすいため、できるだけ朝の早い時間帯に雪道を楽しむことをおすすめします。緊急時に備えて、携帯電話の電池残量にも注意を払い、必要に応じてモバイルバッテリーを携帯しましょう。
よくある質問(FAQ)
冬の高尾山は初心者でも登れますか?
はい、適切な装備と準備があれば初心者の方でも安全に登山できます。ただし、チェーンスパイクは必須装備となりますので、事前に装着方法を練習しておくことをおすすめします。不安な場合は1号路から始めて、慣れてから稲荷山コースに挑戦してください。
チェーンスパイクはレンタルできますか?
高尾山口駅周辺の登山用品店や一部のアウトドアショップでレンタル可能です。ただし、冬期は需要が高いため、事前予約をおすすめします。購入する場合は6,000〜7,000円程度で、今後も冬山登山を楽しみたい方は購入をご検討ください。
雪が降っていない日でもチェーンスパイクは必要ですか?
雪が降っていなくても、日陰部分や北向きの斜面では路面凍結している可能性があります。特に薬王院を過ぎた山頂への道中は、見た目にはわからないブラックアイス状態になることも多いため、冬期の登山では必ず携帯し、必要に応じて装着してください。
冬の高尾山で食事はとれますか?
雪の日は山頂の茶屋が休業することがあります。そのため、温かい飲み物や行動食は必ず自分で準備して持参してください。魔法瓶に入れたスープやお茶は、冷えた体を温めるのに非常に効果的です。
まとめ
冬の高尾山は、適切な装備と準備があれば素晴らしい雪山体験ができる魅力的なフィールドです。稲荷山コース〜もみじ台方面の裏ルートを利用すれば、混雑を避けながら美しい雪景色と富士山の絶景を楽しめます。チェーンスパイクの携帯と早めの行動を心がけて、安全で充実した冬の低山ハイクをお楽しみください。自然の厳しさと美しさを同時に体験できる冬の高尾山で、特別な思い出を作ってみませんか。