雨でも快適!軽ハイクコース選びのポイント
まず大切なのは、ぬかるみや滑りやすい路面への備えです。
特に雨上がりや小雨のときは、普段なら問題ない道でも意外と滑りやすくなるもの。こんなときに頼りになるのが、防水性のあるトレッキングシューズや、グリップ力の高いソールです。できればハイカットタイプを選んで、足首の安定性も確保しましょう。
また、レインウェアは上下セパレートタイプが基本。ポンチョだけでは風にあおられる可能性があり、体が冷えてしまうリスクも。透湿防水素材(ゴアテックスなど)のレインウェアがあると、ムレにくく快適に歩けます。加えて、バックパックには必ずレインカバーを装着しましょう。
手袋(できれば防水性のもの)や防水スマホケースなど、細かい装備もあると安心です。
立ち寄りスポットも重視しよう
雨の日のハイクは、コース選びがカギ。
歩く時間を1〜2時間程度に抑えた後に、温泉やカフェ、地元グルメなどでゆったり過ごせるプランを組むのがおすすめです。
たとえば、下山後すぐに立ち寄れる温泉施設があるコースなら、体を温めながらゆっくりリラックスでき、ハイキング後の満足度もぐっと上がります。屋根付きの休憩所やアクセスの良いバス停・駅が近くにあるかもチェックポイント。
軽ハイク+立ち寄りスポットをセットにして、1日のトータル満足度を意識したプランニングをしましょう。
雨の日ならではのメリットも!
実は、雨の日のハイキングには晴れの日には味わえないメリットもたくさんあります。
まず、人気のハイキングコースでも人が少なく、静かな自然をじっくり味わえること。鳥のさえずりや雨音を聞きながら歩く道は、特別な癒しの時間になります。
また、雨に濡れた草木や花は、しっとりと色鮮やかに見えるのも魅力。新緑や苔の緑がいっそう濃く映えたり、山野草がいきいきと輝いたり。カメラ好きにとっては、絶好の撮影チャンスでもあります。
ちょっと億劫に感じる雨の日も、視点を変えれば、自分だけの贅沢な自然体験ができる貴重なチャンスです。

東京都|高尾山・裏高尾ルートと高尾山温泉
関東で雨の日ハイキングといえば、やっぱり外せないのが高尾山。標高599mと登りやすく、アクセスも抜群なため、晴れた日は観光客で大混雑します。ですが、雨の日なら裏高尾ルートを使うことで、驚くほど静かな森歩きが楽しめます。
裏高尾ルートは、JR中央本線「高尾駅」北口からバスで約10分、日影バス停付近からスタート。日影沢林道を歩きながら、琵琶滝を経由して山頂を目指すコースです。道は広く比較的フラットな林道が中心なので、多少の雨でも歩きやすく、安心感があります。
木々が密集しているため、直接雨に打たれることが少なく、小雨の日でも快適。雨粒に濡れた新緑や苔むした岩肌は、晴れた日とはまったく違う幻想的な美しさを見せてくれます。耳をすませば、雨音や小川のせせらぎが心地よいBGMに。まるで森全体が生きているかのような、静かで深い時間を味わえるでしょう。
山頂に到着したら、状況に応じて無理をせず、ケーブルカーやリフトを使って下山するのもおすすめ。雨の日は滑りやすいので、下りのリスクを減らすのも賢い選択です。
そして、疲れた体を癒すなら、京王線「高尾山口駅」直結の高尾山温泉 極楽湯へ。天然温泉を使用した広々とした露天風呂で、冷えた体を芯から温めましょう。湯上がりには、食事処で地元食材を使った料理や、クラフトビールを楽しむのも◎。
「高尾山は混んでるから…」と敬遠していた人こそ、雨の日に裏高尾を歩いてみてほしい。
しっとりと静まり返った森の中で、あなただけの高尾山の魅力を再発見できるはずです。

神奈川県|弘法山公園ハイキングと鶴巻温泉
手軽に自然を楽しみたいけど、雨の日でも安心して歩ける場所がいい。
そんな人にぴったりなのが、神奈川県秦野市にある弘法山公園です。
標高はわずか160m程度と低めですが、緑豊かな丘陵地帯が続き、気持ちよく歩けるハイキングコースが整備されています。しかも、雨の日でも歩きやすい舗装路やしっかりした登山道が多いのが魅力。軽ハイク感覚で、雨の日の自然散策を存分に楽しめます。
おすすめのルートは、小田急線「鶴巻温泉駅」をスタート地点に、弘法山、権現山を縦走して「秦野駅」へ抜ける約1.5時間のコース。
スタート直後から樹林帯が広がり、小雨なら木々が傘代わりになってくれるので、レインウェアだけで快適に歩けます。途中にはベンチや東屋(あずまや)もあるので、ちょっとした雨宿りや休憩にも困りません。
また、弘法山山頂には「弘法大師ゆかりの井戸」と呼ばれる史跡があり、歴史にふれながら歩けるのもこのエリアならでは。雨に濡れた緑と苔むした石碑のコントラストがとても美しく、しっとりとした風景に心が癒されます。
歩き終えた後は、スタート地点の「鶴巻温泉駅」近くに戻って、「弘法の里湯」で温泉に立ち寄るのがおすすめ!
駅から徒歩すぐという好立地ながら、泉質はしっかり本格派。ナトリウム塩化物泉で、体が芯から温まるため、雨で冷えた体をほぐすのにぴったりです。
ハイク+温泉セットで1日を完結できるのは、雨の日だからこそ嬉しいポイント。アクセスも良いので、天候に左右されずに計画が立てやすいのも魅力です。

千葉県|養老渓谷・滝めぐり軽ハイクと温泉宿
千葉県の南部、房総半島に位置する養老渓谷は、雨の日こそ訪れてほしい幻想的なハイキングスポットです。普段から水と緑が豊かなこのエリアは、雨に濡れることでさらに深みを増し、別世界のような美しさを見せてくれます。
おすすめコースは、小湊鐵道「養老渓谷駅」からアクセスできる滝めぐりコース。
代表的な粟又の滝(あわまたのたき)をはじめ、小沢又の滝や幻の滝など、小規模ながら趣のある滝が点在しています。徒歩1.5〜2時間程度で巡れるので、軽ハイクにもぴったり。
道は一部ぬかるみやすい箇所もありますが、ほとんどが比較的なだらかで歩きやすいルート。防水シューズとレインウェアをきちんと装備していれば、問題なく楽しめます。
雨粒に濡れた苔や岩場、流れ落ちる滝の水量が増して迫力を増す様子は、晴れた日には見られない特別な光景。特に、粟又の滝周辺は、雨の日ならではのしっとりとした雰囲気に包まれ、写真映えも抜群です。
歩き終えたら、ぜひ立ち寄りたいのが養老渓谷温泉郷。
なかでも人気なのは、立ち寄り湯ができる**「滝見苑けんこう村 ごりやくの湯」**。広々とした露天風呂から、雨に煙る山並みや渓谷の景色を眺めながら温泉に浸かる贅沢は格別です。
もし時間に余裕があれば、温泉宿に一泊して、夜の静けさと翌朝のしっとりとした森の空気を味わうのもおすすめ。
日帰りでも泊まりでも、雨の日ならではの養老渓谷の魅力をたっぷり楽しめるハイクになります。

神奈川県|三浦アルプス 森戸川源流ハイクと立石公園
「都会に近いのに、こんなに静かな森があるなんて」——。
そんな驚きが待っているのが、神奈川県の三浦アルプス・森戸川源流エリアです。鎌倉や逗子からほど近く、アクセスも良好ながら、深い森と清流が広がる秘境的スポットになっています。
特におすすめなのが、森戸川沿いを歩く源流ハイク。
起点は京急新逗子駅(現・逗子・葉山駅)からバスで「森戸川橋」下車。そこから川沿いの林道を源流目指して歩くコースで、片道1時間ほどの軽ハイクです。
道中はほぼ森の中。雨の日でも木々が天然の傘になってくれるため、レインウェアを着ていれば快適に歩けます。
雨に濡れた苔むした岩や、森に立ちこめる霧が、まるでジブリ映画のワンシーンのような幻想的な世界を作り出します。
注意点として、大雨の直後などは川の水量が増えて危険な場合もあるので、無理は禁物。小雨や雨上がりくらいがベストタイミングです。
ハイクのあとは、バスで海沿いに出て、立石公園まで足を延ばすのもおすすめ。
ここは、巨大な立石(海に突き出た大きな岩)と、晴れていれば富士山を望める絶景スポット。雨の日でも荒々しい海と岩の風景は迫力満点で、森と海、両方を味わえる贅沢な1日になります。

千葉県|清澄山・清澄寺参拝ハイクと静かな森歩き
千葉県鴨川市に位置する清澄山(きよすみやま)は、標高377mの静かな山。
房総半島の中でも特に落ち着いた雰囲気を持ち、雨の日の軽ハイクにぴったりの場所です。
最大の魅力は、山の中腹にある清澄寺(せいちょうじ)。
日蓮宗の開祖・日蓮聖人が修行した場所として知られる由緒ある寺院で、霧雨に煙る杉並木や石段は圧巻の荘厳さ。晴れの日とは違う、しっとりとした神聖な空気を味わえます。
ハイキングコースは、JR外房線「安房天津駅」や「安房小湊駅」からバスでアクセス。清澄寺を中心に、1時間〜1時間半程度の軽ハイクが可能です。
参道や周辺の森道はよく整備されているため、雨の日でも比較的歩きやすいのがうれしいポイント。
雨に濡れた樹林帯を歩けば、苔むす石畳や樹皮が艶やかに光り、静けさが一層深まる世界へと誘われます。参拝を兼ねてのんびり歩くのに、これ以上ないロケーションです。
清澄寺からさらに奥へ進めば、清澄山の山頂(標高377m)にも到達可能。
天候次第ですが、晴れ間がのぞけば太平洋を一望する絶景も期待できます!
歩き終わった後は、周辺で温泉に立ち寄ったり、地元の海鮮グルメを楽しむのもおすすめ。
雨の日ならではの静寂と美しさを味わえる、知る人ぞ知る「房総の隠れたハイキングスポット」です。

雨の日ハイクをもっと楽しくする小ワザ集
「雨の日にわざわざハイキングなんて……」と思っていませんか?
でも、ちょっとした工夫で、雨の日の軽ハイクは特別な時間に生まれ変わります。ここでは、雨の日ハイクをもっと楽しくするための小ワザを紹介します!
雨の日こそ絶景を狙う
実は、雨上がりには普段は見られない絶景が広がることがあります。
たとえば、霧に包まれた森の中は、まるで別世界。木々が淡くかすみ、幻想的な雰囲気を演出してくれます。
また、雨に濡れた葉っぱや花びらは、色がいっそう鮮やかに映えるので、いつものハイキングコースも新鮮な景色に変わります。
カメラが趣味の人なら、防水カバーを用意して、しっとりとした雨の日ならではの風景を写真に収めるのもおすすめ。
晴天では味わえない、ドラマチックな自然の表情を楽しみましょう。
カフェ立ち寄りで気分転換
雨の日は、歩き終わった後の過ごし方も大事です。
ハイクの後に立ち寄れるカフェやベーカリーを事前にリサーチしておくと、気分転換にもなります。
たとえば、高尾山口駅周辺には、登山客向けのオシャレなカフェが点在しています。
温かいコーヒーとスイーツでほっと一息つけば、雨で冷えた体も心もリフレッシュできるはず。
カフェでゆっくり過ごす時間も、ハイクの延長線上の楽しみと考えて、雨の日プランを贅沢に仕上げましょう。
小さな「ご褒美」を用意する
さらにおすすめなのが、ハイク後に自分への小さなご褒美を用意しておくこと。
温泉に入った後のアイスクリームでもいいし、地元の美味しいランチでもOK。
「この後に楽しみが待っている」と思えば、多少の雨もむしろポジティブに楽しめる気分になります。
雨の日ハイクには、歩くだけでない「プラスアルファの楽しみ」をセットにするのがコツです。

雨の日ハイクで、自然の新しい表情に出会おう
晴れた日だけが、ハイキング日和ではありません。
雨に濡れた木々、霧に包まれた森、潤った花々——。
雨の日だからこそ出会える、自然の美しさがあります。
今回ご紹介した関東近郊の軽ハイクコースは、どれもアクセスが良く、雨の日でも安心して楽しめる場所ばかり。
しっかりと装備を整えて、無理のない範囲で計画を立てれば、静かで豊かな自然体験が待っています。
ハイク後の温泉やカフェでのひとときも、雨の日ハイクの楽しみのひとつ。
少しだけ視点を変えて、いつもと違う自然の表情を見つけに行きませんか?
雨の日こそ、特別なハイキングを。
あなたの次の休日に、そっとおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 雨の日ハイクに最低限必要な装備は何ですか?
A.
雨の日ハイクでは、防水性のあるトレッキングシューズと、透湿防水レインウェア上下が必須です。さらに、ザックカバーで荷物を保護し、滑りやすい路面対策としてトレッキングポールもあると安心。防水グローブやスマホ用防水ケースも、快適な行動をサポートしてくれます。
Q. 雨の日でも安全に歩くために気をつけるポイントは?
A.
一番大切なのは無理をしないこと。雨量が多い日は川の増水や道の崩れに注意が必要です。ぬかるみや滑りやすい場所では、歩幅を小さくしてバランスを取る意識を。登りよりも下り道で滑るリスクが高いため、必要に応じてケーブルカーやロープウェーを使って下山するのも賢い選択です。
Q. 雨の日の服装はどう工夫すれば快適に歩けますか?
A.
レインウェアの下は、速乾性のある化繊インナー+薄手のフリースなどがおすすめです。綿素材は濡れると乾きにくく冷えるので避けましょう。靴下もウールや化繊素材のものを選ぶと安心。ムレを防ぐために、レインウェアのベンチレーション(換気機能)を適宜開閉するのも快適に歩くコツです。
Q. 雨でも楽しめるおすすめのアクティビティはありますか?
A.
ハイク後には、温泉やカフェで体を温めるプランがおすすめです。さらに、雨の日限定の景色を写真に収める「雨景フォトハイク」にチャレンジするのも楽しいですよ。水に濡れた草花や霧に包まれた森など、晴れた日には味わえない自然の表情を発見できます。