登山アプリの選び方|5つのチェックポイント
登山アプリは数多くありますが、どれを選ぶかによって安全性や使い勝手、記録の楽しさが大きく変わります。ここでは、アプリ選びでチェックしておきたい5つのポイントをご紹介します。初心者の方でも、この項目を意識すれば、自分に合ったアプリを見つけやすくなります。
ちなみに先に結論を書くと、
- 初心者 → YAMAP or ヤマレコ
- 中級者以上 → 目的や使い方に応じて別のアプリも検討
という感じです。
地図の精度とオフライン対応
まず重要なのが地図の正確さとオフラインでも使えるかどうかです。山では通信圏外になることも多いため、事前に地図をスマホに保存できる機能は必須。また、等高線や登山道、水場、小屋など、登山者向けの情報が反映された詳細地図があるかも確認しましょう。YAMAPやヤマレコ、ジオグラフィカなどはこの点で高評価です。
ルート記録・ログの保存機能
自分が歩いたルートをGPSで記録し、後から確認できる機能は登山の記録や反省に役立ちます。高度、距離、時間、消費カロリーなどを自動で記録できるアプリもあり、トレーニング管理にも便利です。アプリによってはGPXファイルで保存・出力でき、ブログやSNSと連携もしやすくなっています。
登山届や見守り機能の有無
安全登山には登山届の提出や位置情報の共有も欠かせません。一部のアプリでは、事前に登山計画を作成し、コンパスや警察に自動提出できる機能が搭載されています。また、家族や友人に自分の位置をリアルタイムで共有できる「みまもり機能」があると、万一の際も安心です。
天気・危険情報の確認機能
登山中の天気は大きく変化します。山岳天気に対応したアプリや、気象庁の警報と連動して通知をくれるものなら、荒天によるリスクを早めに察知できます。特に「ヤマテン」や気象データと連携しているアプリは信頼性が高く、前日〜当日の判断に役立ちます。
ブログやSNSとの連携のしやすさ
せっかくの登山記録、仲間や家族と共有したくなりますよね。アプリによっては登山ログを画像やURLで自動生成してくれる機能もあり、SNSやブログにそのまま投稿できます。公開・非公開の選択ができると、プライバシー管理もしやすいです。ヤマレコやYAMAPはこの点でも優れています。
この5つのポイントを踏まえれば、ただの地図アプリではなく、あなたの登山をもっと安全で楽しいものにしてくれる「相棒アプリ」が見つかるはずです。次のセクションでは、実際に人気の高いアプリ5選を比較していきます。
登山アプリ5選の機能比較【一覧表】
アプリ名 | 地図精度 | オフライン対応 | ルート記録 | 登山届提出 | 天気情報 | SNS連携 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
YAMAP | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎(URL・画像共有) | 初心者にも優しい定番アプリ |
ヤマレコ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎(連携) | ◎ | ◎(日記・埋め込み可) | 日記・SNS共有に強い |
ジオグラフィカ | ◎ | ◎(キャッシュ) | ◎ | × | × | △(GPX出力) | 圏外で最も信頼できるGPS |
山と高原地図 | ◎ | ◎ | ◎(一部) | × | × | △(PC共有) | 紙地図派の移行先に最適 |
コンパス EXPERT | △ | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎(登山届共有) | 登山届提出に特化したサポートアプリ |
◎=対応あり △=一部または限定的に対応 ×=非対応
【補足解説】
地図精度・オフライン対応:YAMAP、ヤマレコ、ジオグラフィカは等高線・登山道を含む詳細地図をオフラインでも使用可。
ルート記録:ほぼ全アプリがGPSによる記録に対応。ジオグラフィカは圏外でもログ取得可能で精度が高い。
登山届提出機能:YAMAPやコンパスはアプリ内で登山届の作成・送信が可能。ヤマレコは外部サービスと連携。
天気情報:YAMAPやヤマレコは山専用天気(ヤマテン)と連携。コンパスも天気警報通知あり。
SNS・ブログ連携:YAMAPはURL+画像付き共有が簡単。ヤマレコは日記風に共有・埋め込み可能。ジオグラフィカはGPX出力のみ。
各アプリの特徴と活用シーン
ここからは、登山者に人気の高い5つのアプリについて、それぞれの強みやおすすめの使い方を紹介します。自分のスタイルに合うかどうかを想像しながらチェックしてみてください。
YAMAP|初心者から中級者に最適な定番アプリ

YAMAPは、登山初心者でも直感的に操作できるユーザーインターフェースと、充実した安全機能で圧倒的な人気を誇るアプリです。オフラインで使える登山地図は詳細で見やすく、GPSによるルート記録も高精度。登山届の提出、みまもり機能、活動記録のSNS共有などもワンタップで行えます。迷ったらまずYAMAPを入れておけば間違いなしです。
ヤマレコ|記録と共有を楽しみたい登山者におすすめ


ヤマレコは、登山日記のように記録を残せるのが最大の魅力。撮影した写真やメモを活動記録としてまとめられ、公開・非公開の切り替えも自由自在。仲間と記録を比較したり、他人のルートから新しい山行を計画したりと、SNS的な楽しみ方ができる点もポイントです。山岳気象予報「ヤマテン」との連携や、登山届作成機能もあり、中〜上級者にも愛用者が多いアプリです。
ジオグラフィカ|圏外の山奥でも安心できるGPS特化型


ジオグラフィカは、オフラインでのGPS記録に特化したアプリ。電波が届かない山中でも現在地を正確に表示し、ログを残せます。地図は事前に端末にキャッシュ保存しておくスタイルで、バッテリー消費も少なめ。ルート共有はGPX形式などやや上級者向けですが、「記録は取るけどSNSには投稿しない」という方にもぴったり。UIはややシンプルですが、機能性は非常に高いです。
山と高原地図|紙の地図派にもしっくりくる安心感


昭文社の「山と高原地図」アプリは、登山地図の定番として長年親しまれてきた紙地図をベースに、豊富な情報と信頼性のあるルート表示が特長。登山道、水場、山小屋などがきめ細かく表示されており、紙の感覚で読みやすいのも魅力です。ログ記録や登山届などの機能は限定的ですが、「ルート確認に特化したい人」「地図を読み慣れている人」にとっては最良の選択肢となります。
コンパス EXPERT|登山届に特化したサポートアプリ


コンパス EXPERTは、登山届をオンラインで簡単に提出できることに特化したサービスです。計画作成→同行者登録→提出→家族や仲間との共有までがスムーズで、山岳警察との連携も整備されています。地図機能やGPS記録は最小限ですが、YAMAPやジオグラフィカなど他アプリとの併用前提で使うと非常に便利です。登山届提出が義務化されているエリアにも強く対応しています。
利用目的別おすすめアプリ
「結局、自分にはどの登山アプリが合っているの?」
そんな方のために、登山スタイルや目的別におすすめのアプリを整理しました。初心者からベテランまで、自分の使い方に近いものを探してみてください。
利用スタイル | おすすめアプリ | 理由 |
---|---|---|
初心者・まずは1本使いたい | YAMAP | 地図・記録・登山届・天気・共有すべて網羅。迷ったらこれ1本でOK |
記録を残したい・SNSで共有したい | ヤマレコ | 写真付きで日記風に記録可能。仲間との比較やブログ埋め込みにも対応 |
圏外の山を歩く・電池を節約したい | ジオグラフィカ | オフラインで正確なGPSログが取得できる。軽量でバッテリー消費も少なめ |
地図の正確さを最優先したい | 山と高原地図 | 紙の信頼感をそのままスマホに。詳細で読みやすく、登山道情報が豊富 |
登山届をきっちり提出したい | コンパス EXPERT | 登山届の提出・共有に特化。家族や警察への連絡体制も整っており安心 |
【補足解説】
初心者にはYAMAP一択でも問題なし
アプリの使い勝手がよく、地図も詳細。見守り機能や通知もあり、初めての登山でも安心感があります。写真や文章で登山を残したい人はヤマレコ
SNS的な使い方ができるのが大きな魅力。仲間とのつながりや山仲間探しにも。記録はするけど人には見せない派にはジオグラフィカ
アプリ内での公開機能がなく、純粋に記録用として使いたい人にとって理想的。ルートの確実性を求めるなら山と高原地図
紙地図の登山道に慣れている方には特におすすめ。YAMAPやジオグラフィカと併用する人も多いです。登山届を出す必要がある山(例:北アルプス・丹沢)ではコンパスが便利
提出完了通知、同行者への共有、計画の見直しなどがスムーズ。YAMAPなどとの併用でより強力に。
登山アプリに関するよくある質問(FAQ)
Q. 登山アプリは無料でも使えますか?
はい、基本的な機能は多くのアプリで無料の範囲内でも十分に活用可能です。たとえば、YAMAPやヤマレコでは、地図閲覧・ルート記録・登山届提出などの主要機能が無料で使えます。ただし、オフライン地図の保存数制限や、広告表示の有無などは有料プランでの解放が必要な場合もあるため、よく使うようであれば課金も検討すると快適です。
Q. スマホの電池が切れたらどうなりますか?
登山中のスマホ電池切れは重大なリスクです。GPS記録や現在地確認ができなくなるため、モバイルバッテリーの携帯は必須です。あわせて、バッテリー消費の少ないアプリ(ジオグラフィカなど)を使ったり、機内モード+画面輝度を下げるなどの工夫で持続時間を延ばすことができます。
Q. 複数のアプリを併用しても問題ないですか?
まったく問題ありません。実際、多くの登山者が用途に応じてアプリを併用しています。たとえば、「YAMAPで地図と記録、コンパスで登山届を提出、下山後にヤマレコで日記を共有」など、使い分けることでそれぞれの強みを活かせます。
Q. 圏外でも現在地はわかりますか?
はい、GPS自体は通信がなくても機能します。ただし、地図をあらかじめスマホに保存(キャッシュ)しておかないと、地図が表示されず現在地だけが点で表示される状態になってしまいます。出発前に対象エリアの地図をオフラインでダウンロードしておきましょう。
Q. 登山届って本当に必要ですか?
はい、万が一の遭難や事故時に、命を守る重要な情報になります。登山届には計画ルートや下山予定時間、同行者情報などが含まれており、いざというときに警察や山岳救助隊が早期対応できる判断材料となります。コンパスやYAMAPを活用すれば、スマホから簡単に提出できます。
まとめ|自分に合った登山アプリで、安全&快適な登山を
登山アプリは、いまや“あると便利”ではなく“命を守るための必需品”といっても過言ではありません。ルートの記録や現在地の把握だけでなく、天気の変化への対応や登山届の提出、家族や仲間との情報共有など、多くのシーンで活躍してくれます。
本記事で紹介したアプリ5選は、いずれも登山者の信頼を集めている定番ツールです。それぞれに特徴があり、利用スタイルによって向き・不向きがありますが、まずはYAMAPやヤマレコなどの使いやすいアプリから始めてみるのがおすすめです。
また、アプリごとに得意な機能が異なるため、「ルート記録はYAMAP、登山届はコンパス、SNS投稿はヤマレコ」というように併用するのが現実的な使い方になってきています。
ただし、どれだけアプリが優れていても、バッテリーが切れたり、操作に慣れていなかったりすると意味がありません。登山前にアプリの操作を試しておいたり、モバイルバッテリーや紙地図とあわせて持っておくことで、万が一の備えにもつながります。
安全登山の第一歩は、自分に合ったツールを味方につけること。
ぜひ今回紹介したアプリの中から、あなたの登山スタイルにぴったりの“相棒アプリ”を見つけて、安全で快適な登山を楽しんでください。