なぜ冬の低山登山に滑り止めが必要?
「低山だから雪山装備はいらないだろう」と思っていませんか?実は、標高1,000m以下の低山でも、冬季は思わぬ凍結や積雪に遭遇することがあります。特に日陰の登山道や木陰では、日中でも路面が凍結したまま。アイスバーンになった登山道で滑って転倒すると、骨折などの重大な事故につながる危険性があります。
冬の低山登山では、チェーンスパイクや軽アイゼンなどの滑り止め装備が必須です。雪が少なく見えても、朝方の冷え込みで登山道が凍結していることも。また、雪渓が残る夏山でも使用する機会があります。初心者ほど「まさか滑るとは思わなかった」という油断が事故を招きます。安全な登山のために、必ず滑り止めを携行しましょう。
実際、高尾山や奥多摩などの人気の低山でも、冬季の滑落事故は毎年発生しています。登山口では雪がなくても、標高が上がるにつれて積雪や凍結に見舞われることも。「持っているだけで安心」ではなく、適切な製品を選び、正しく使いこなすことが重要です。
結局どっち?「チェーンスパイク」と「軽アイゼン」の違いを徹底比較
冬の低山登山用の滑り止めは、大きく分けて「チェーンスパイク」と「軽アイゼン」の2種類があります。どちらも雪や氷の上でのグリップ力を高める道具ですが、爪の形状や本数、適した雪質が異なるため、使用シーンに応じて選ぶ必要があります。
チェーンスパイクとは?(適した状況:圧雪、凍結路)
出典:モンベル公式サイト
チェーンスパイク(チェーンアイゼン)は、靴底全体にチェーンで連結された小さなスパイク(爪)が配置された滑り止めです。爪の高さは5〜8mm程度と短く、足裏全体でグリップするため、圧雪された登山道や凍結した路面で安定した歩行が可能です。
装着は靴に被せるだけで簡単。ゴムバンドやエラストマー素材で固定するため、登山靴だけでなくトレランシューズやハイキングシューズにも対応できます。軽量でコンパクトに収納できるため、「念のため持っていく」という使い方にも適しています。
適した状況:圧雪された登山道、アイスバーン、凍結した林道、雪が少ない冬の低山ハイキング。不向きな状況:深い新雪、急斜面(15度以上)、雪渓歩行。爪が短いため、深い雪では靴底まで雪が届かず、グリップ力が低下します。
軽アイゼン(4本爪・6本爪)とは?(適した状況:新雪、急斜面)
出典:モンベル公式サイト
軽アイゼンは、4〜6本の長い爪(20〜30mm程度)が前後に配置された滑り止めです。チェーンスパイクよりも爪が長く鋭いため、深い雪や傾斜のある登山道でしっかりと雪面に食い込みます。特に6本爪タイプは前後にバランスよく爪が配置されており、安定した歩行が可能です。
装着方法は、バンド式やラチェット式など製品によって異なります。チェーンスパイクよりもやや重量がありますが、その分急斜面や雪渓での制動力が高いのが特徴。本格的な雪山登山には10〜12本爪の本格アイゼンが必要ですが、冬の低山や夏の雪渓歩行なら軽アイゼンで十分対応できます。
適した状況:新雪の登山道、やや傾斜のある雪面(10〜20度程度)、夏の雪渓歩行、積雪量が多い低山。不向きな状況:急傾斜の氷壁(30度以上)、本格的な冬山登山。爪の本数が少ないため、本格的な雪山では12本爪アイゼンが必要です。
比較表:一目でわかる適正シーンと機能差
| 項目 | チェーンスパイク | 軽アイゼン(4〜6本爪) |
|---|---|---|
| 爪の高さ | 5〜8mm | 20〜30mm |
| 爪の本数 | 14〜18本程度(全面配置) | 4〜6本(前後配置) |
| 重量(ペア) | 約200〜300g | 約300〜500g |
| 適した雪質 | 圧雪、凍結路、アイスバーン | 新雪、深雪、やや柔らかい雪 |
| 適した傾斜 | 平地〜緩斜面(0〜10度) | 緩斜面〜中斜面(10〜20度) |
| 装着の簡単さ | ◎(被せるだけ) | ○(バンドやラチェットで固定) |
| 携行性 | ◎(コンパクト) | ○(やや嵩張る) |
| 価格帯 | 3,000〜16,000円 | 3,500〜12,000円 |
| 代表的な使用シーン | 高尾山、奥多摩、六甲山など冬の低山ハイキング | 八ヶ岳(赤岳鉱泉まで)、谷川岳天神尾根、夏の北アルプス雪渓 |
※製品仕様は予告なく変更される場合があります。購入前に公式サイトでご確認ください。
冬の低山登山用滑り止めの選び方 3つのポイント
チェーンスパイクと軽アイゼン、どちらを選ぶべきか迷ったら、以下の3つのポイントをチェックしましょう。自分の登山スタイルと想定する山の状況に合わせて選ぶことが重要です。
ポイント1:爪の形状と本数(グリップ力)
滑り止めの性能を左右する最も重要な要素が爪の形状と本数です。チェーンスパイクは小さな爪が足裏全体に配置されており、圧雪路や凍結路面で面全体でグリップします。一方、軽アイゼンは前後に配置された長い爪が雪面に深く刺さることで、傾斜地や深雪でも安定した歩行が可能です。
4本爪は軽量コンパクトで携行性に優れますが、グリップ力はやや控えめ。6本爪は前後のバランスが良く、初心者にもおすすめです。10本爪以上になると本格アイゼンに近づき、より急峻な雪山に対応できます。
選び方の目安:圧雪路中心ならチェーンスパイク、新雪や斜面を歩くなら6本爪の軽アイゼンがおすすめ。迷ったら、両方持っていくという選択肢もあります(合計重量500g程度)。
ポイント2:装着方法(バンド式 vs ラチェット式)
装着方法は、バンド式(ゴムバンド・エラストマー)とラチェット式(ベルト固定)の2種類が主流です。バンド式は靴に被せるだけで簡単に装着でき、様々な靴に対応できるのがメリット。ただし、長時間使用すると緩む可能性があるため、定期的なチェックが必要です。
ラチェット式はベルトでしっかり固定するため、緩みにくく安定感があります。装着にやや時間がかかりますが、長時間の使用や急斜面ではラチェット式が安心です。モンベルの「クイックフィット」シリーズなどが代表的です。
選び方の目安:手軽さ重視ならバンド式、安定感と長時間使用ならラチェット式。初めて購入するなら、まずはバンド式のチェーンスパイクで慣れるのがおすすめです。
ポイント3:ブーツとの相性(適合サイズと形状)
滑り止めを選ぶ際、自分の登山靴やシューズとの相性を必ず確認しましょう。チェーンスパイクは伸縮性があるため、登山靴からトレランシューズまで幅広く対応できます。一方、軽アイゼンは製品によって適合サイズが指定されているため、購入前にサイズ表を確認することが重要です。
また、靴底の形状も重要なポイント。ソールが厚く硬い登山靴には軽アイゼンがフィットしやすく、柔らかいトレランシューズにはチェーンスパイクが適しています。ローカットシューズにも装着できる製品を選べば、冬のハイキングやスノーシューイングにも活用できます。
選び方の目安:登山靴メインなら軽アイゼン、トレランシューズやハイキングシューズならチェーンスパイク。複数の靴で使いたい場合は、汎用性の高いチェーンスパイクが便利です。※靴の形状(特にスキーブーツなど)によっては対応サイズ内でも装着できない場合があります。
【初心者向け】チェーンスパイク おすすめ3選
ここからは、冬の低山登山におすすめのチェーンスパイク3選をご紹介します。初めて購入する方にも安心の定番モデルから、トレラン向けの超軽量モデルまで厳選しました。
1. モンベル チェーンスパイク|定番で安心の国内ブランド
出典:モンベル公式サイト
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モンベル チェーンスパイク(品番:1129740)は、国内ブランドならではの品質と安心感が魅力の定番モデルです。靴に被せるだけで簡単に装着でき、ステンレス鋼のスパイクをチェーンで連結させることで、靴の屈曲に柔軟に追従します。
スペック:重量242g(Sサイズ・ペア)〜316g(XLサイズ・ペア)、素材はチェーン部分がステンレス鋼、バンド部分がエラストマー。4サイズ展開で、S(20.5〜23.5cm)、M(23.0〜26.0cm)、L(25.5〜28.5cm)、XL(28.0〜31.0cm)と幅広く対応します。
価格は約5,800円(税込)※2025年10月時点。冬の低山から夏の雪渓歩行まで、幅広いシーンで活躍します。全面スパイク仕様のため、圧雪路や凍結した登山道で高い安定性を発揮。初めてチェーンスパイクを購入する方に特におすすめです。
メリット:装着が簡単、全面スパイクで安定性が高い、国内ブランドで修理・サポート体制が充実。デメリット:深い新雪では爪が短くグリップ力が不足する、急斜面(15度以上)には不向き。ユーザーレビューでは「高尾山や奥多摩で大活躍」「装着が本当に簡単」との声が多く見られます。
2. ブラックダイヤモンド ディスタンススパイク|超軽量トレラン向け
出典:ロストアロー公式サイト
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ブラックダイヤモンド ディスタンススパイク トラクションディバイス(品番:BD37000004)は、冬場のトレイルランニングに特化した超軽量モデルです。高さ8mmの尖鋭状の14本のステンレススパイクが堅雪やアイスバーンをしっかり捉え、優れた足裏感覚を実現します。
スペック:重量115g(Mサイズ・片側)と驚異的な軽さ。アッパーはソフトシェル(トー側)とエラストマー(ヒール側)を組み合わせたハイブリッド構造。つま先カバーが雪の浸入をシャットアウトし、保温性も確保します。フロントセンターポイントに配置された1本のスパイクが、蹴り出しの駆動力を効果的につま先に伝えます。
価格は約16,500円(税込)※2025年10月時点。トレランシューズでの使用を前提に設計されているため、登山靴には装着できない場合があります。冬のトレイルランニングやファストハイキングに最適です。
メリット:圧倒的な軽量性、つま先カバーで雪の浸入を防ぐ、蹴り出しやすいフロントポイント配置。デメリット:価格が高め、登山靴には不向き、長距離の雪渓歩行や急斜面では本格アイゼンが必要。ユーザーレビューでは「トレランで使うなら最高」「軽さと機能性のバランスが絶妙」との評価が高いです。
3. ブラックダイヤモンド アクセススパイク|登山靴に最適な定番モデル
出典:カモシカスポーツ
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ブラックダイヤモンド アクセススパイク トラクションディバイス(品番:BD37030)は、登山靴での使用に最適化された定番モデルです。ディスタンススパイクよりもやや重量がありますが、その分安定性と耐久性が向上しています。
スペック:重量125g(Mサイズ・片側)、14本のステンレススパイク(高さ8mm)が堅雪やアイスバーンをしっかり捉えます。デュアルデンシティエラストマーでアイレット部分を補強し、耐久性を確保。ヒールのウェビングループで着脱がスムーズです。
価格は約13,200円(税込)※2025年10月時点。サイズ展開はS(22〜24.5cm)、M(25〜27.5cm)、L(28〜30.5cm)、XL(31cm以上)の4サイズ。冬の低山登山から初級雪山まで、幅広く対応します。
メリット:登山靴にしっかりフィット、耐久性が高い、14本スパイクで安定したグリップ力。デメリット:ディスタンススパイクよりやや重い、深い新雪には軽アイゼンの方が適している。ユーザーレビューでは「登山靴との相性が抜群」「冬の八ヶ岳でも安心して使えた」との声が多数です。
【ステップアップ向け】軽アイゼン(4〜6本爪)おすすめ2選
チェーンスパイクでは物足りない、もう少し本格的な雪山に挑戦したいという方には、軽アイゼンがおすすめです。4本爪のエントリーモデルから6本爪の定番モデルまで、厳選してご紹介します。
1. エバニュー 4本爪アイゼン|コスパ最強のエントリーモデル
出典:エバニュー公式サイト
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エバニュー 4本爪アイゼン(品番:EBY012)は、約3,520円(税込)※2025年10月時点という圧倒的なコストパフォーマンスが魅力のエントリーモデルです。スタンダードなゴムバンド式で、登山靴からローカットシューズまで幅広く装着できます。
スペック:フリーサイズ対応、軽量コンパクトで携行性に優れます。4本爪は前後に2本ずつ配置され、軽い雪や緩い斜面での使用に適しています。収納袋が付属しており、バックパックに入れてもかさばりません。
メリット:圧倒的な低価格、軽量でコンパクト、幅広い靴に対応。デメリット:6本爪に比べて安定性がやや劣る、急斜面や深雪には不向き、耐久性は価格相応。初めて軽アイゼンを試してみたい方や、「念のため持っていく」という用途におすすめです。
ユーザーレビューでは「値段の割にしっかりしている」「軽いハイキングには十分」との声が多い一方、「本格的な雪山には6本爪の方が安心」との意見も。まずはこのモデルで軽アイゼンに慣れて、必要に応じて6本爪にステップアップするのも良い選択です。
2. モンベル スノースパイク6 クイックフィット|ラチェット式で着脱簡単
出典:モンベル公式サイト
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モンベル スノースパイク6 クイックフィット(品番:1129613)は、操作性と安全性を両立した独自のラチェットバックル(特許取得済)を採用した6本爪モデルです。ラチェット部分への雪の付着を防ぐ設計で、長時間の使用でも緩みにくいのが特徴です。
スペック:素材は本体がS55C炭素鋼(板厚2mm)、バンドがエラストマー。6本の爪が前後にバランスよく配置され、安定した歩行が可能です。付属の六角レンチで爪の角度調整が可能なため、様々な登山靴にフィットします。
価格は約9,680円(税込)※2025年10月時点。雪山の軽登山や夏の雪渓歩行に最適です。サイズ展開は複数あり、自分の靴に合ったサイズを選べます。
メリット:ラチェット式で確実に固定、爪の角度調整が可能、6本爪でバランスが良い、国内ブランドで安心。デメリット:バンド式に比べて装着にやや時間がかかる、価格がやや高め。ユーザーレビューでは「ラチェット式は本当に緩まない」「雪渓歩行で大活躍」との評価が高いです。
【上級者向け】高性能チェーンスパイク/簡易アイゼン おすすめ2選
10本爪以上は軽アイゼンと本格アイゼンの中間に位置する「簡易アイゼン」または「高性能チェーンスパイク」と呼ばれるカテゴリです。より本格的な雪山登山に挑戦したい方におすすめの高性能モデルをご紹介します。
1. グリベル スパイダー|10本爪のハイブリッドモデル
出典:楽天市場
グリベル スパイダーは、10本のスチールピンが配置された10本爪の簡易アイゼンとして、軽アイゼンと本格アイゼンの中間的な性能を持ちます。より急峻な雪面にも対応できます。イタリアの老舗クライミングギアメーカー「グリベル」の製品として、信頼性の高さも魅力です。
スペック:10本のスチールピンが前後と側面に配置され、多方向からのグリップ力を発揮。バンド式で様々な靴に対応します。重量は軽アイゼンとしてはやや重めですが、その分安定性が高く、本格的な雪山入門にも適しています。
価格は製品により変動しますが、6,000〜8,000円前後※2025年10月時点。6本爪では物足りないが、12本爪の本格アイゼンはまだ早いという方におすすめです。
メリット:10本爪で安定性が高い、側面の爪がトラバース時に有効、老舗メーカーの信頼性。デメリット:6本爪より重量がある、本格的な冬山には12本爪が必要。ユーザーレビューでは「軽アイゼンの中では最も安定感がある」「八ヶ岳の赤岳鉱泉まではこれで十分」との声が多いです。
2. ヒルサウンド トレイルクランポン|11本爪で軽アイゼン以上のグリップ
出典:ケンコー社
ヒルサウンド トレイルクランポンは、11本のステンレススパイク(爪長1.5cm)が配置された高性能な簡易アイゼンです。軽アイゼンでありながら、11本爪で軽アイゼン以上のグリップ力を持ち、急斜面や凍結した雪面でも安心して歩行できます。
スペック:11本のスパイクが足裏全体にバランスよく配置され、前後左右すべての方向で強力なグリップを発揮。ハーネス式でしっかりと固定でき、長時間の使用でも緩みません。耐久性も高く、ハードな使用にも耐える設計です。
価格は製品により変動しますが、8,000〜12,000円前後※2025年10月時点。本格的な雪山登山の手前、冬の北アルプスや八ヶ岳の樹林帯歩行などに最適です。
メリット:11本爪で軽アイゼン以上のグリップ力、ハーネス式でフィット感が高い、耐久性に優れる。デメリット:重量がある、価格が高め、本格的な岩稜帯や急斜面(30度以上)には12本爪アイゼンが必要。ユーザーレビューでは「簡易アイゼンとして高い性能」「これがあれば冬の低山は安心」との高評価が目立ちます。
正しい装着方法とメンテナンスの基本
チェーンスパイクや軽アイゼンは、正しく装着してこそ本来の性能を発揮します。装着ミスは滑落事故の原因にもなるため、使用前に必ず確認しましょう。また、使用後の適切なメンテナンスで、製品の寿命を大きく延ばすことができます。
装着時の注意点(緩み、左右の確認)
装着前に、必ず左右の確認をしましょう。チェーンスパイクや軽アイゼンには左右の区別があります。爪が前方に向くように装着し、バンドやラチェットでしっかりと固定します。特にチェーンスパイクの場合、爪(三角の突起)が外側を向いているかを確認してください。裏返して装着すると、滑り止め効果が発揮されません。
装着後は、平地で数歩歩いて緩みがないか確認しましょう。特にバンド式は、使用中に緩むことがあるため、30分〜1時間ごとにチェックすることをおすすめします。ラチェット式の場合も、ベルトがしっかり固定されているか、使用前に必ず確認してください。
装着場所にも注意が必要です。雪が深い場所や急斜面での装着は危険なため、できるだけ平坦で安全な場所で装着しましょう。手袋をしたままでも装着できるよう、事前に練習しておくと安心です。
使用後のメンテナンスと保管方法
使用後は、必ず水洗いして泥や雪を落とし、完全に乾燥させてから保管します。特にステンレス鋼や炭素鋼の爪は、濡れたまま放置すると錆びる可能性があります。水洗い後、タオルで水分を拭き取り、風通しの良い場所で自然乾燥させましょう。
バンド部分やラチェット部分も、泥や小石が挟まっていないか確認し、汚れを落とします。ゴムバンドやエラストマー素材は、直射日光を避けて保管することで劣化を防げます。長期間使用しない場合は、付属のスタッフバッグに入れて、湿気の少ない場所で保管しましょう。
使用前のチェックも重要です。爪が摩耗していないか、バンドに亀裂がないかを確認し、異常があれば使用を中止してください。特に爪が3mm以下に摩耗している場合は、グリップ力が低下しているため買い替えを検討しましょう。※製品の寿命は使用頻度や保管状態により異なります。
まとめ:自分に最適な滑り止めで安全な冬山登山を
チェーンスパイクと軽アイゼン、どちらを選ぶべきかは登山する山の状況と自分のスタイルによって異なります。圧雪路や凍結路がメインなら、軽量で着脱が簡単なチェーンスパイクがおすすめ。一方、新雪や斜面を歩く機会が多いなら、6本爪の軽アイゼン。より本格的な雪山には10本爪以上の簡易アイゼンが安心です。
初めて購入する方は、まずはモンベルやエバニューなどの国内ブランドの定番モデルから始めるのが良いでしょう。使い慣れてきたら、より高性能なモデルや、用途に特化したモデルにステップアップするのもおすすめです。
重要なのは、「持っているだけ」ではなく、正しく使いこなすこと。装着方法を事前に練習し、使用後は適切にメンテナンスすることで、製品の性能を最大限に引き出せます。冬の低山登山は、適切な装備と知識があれば安全に楽しめます。自分に最適な滑り止めを選んで、冬の山を満喫してください。
※掲載情報は2025年10月時点のものです。製品仕様や価格は予告なく変更される場合があります。購入前に必ず公式サイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
夏用の登山靴にも装着できますか?
はい、多くのチェーンスパイクや軽アイゼンは、夏用の登山靴にも装着可能です。特にバンド式のチェーンスパイクは伸縮性があり、様々な靴に対応します。ただし、ローカットシューズや靴底が柔らかいトレランシューズには、専用設計のモデル(ブラックダイヤモンド ディスタンススパイクなど)を選ぶと安心です。装着前に必ずサイズ表を確認し、可能であれば試着してフィット感を確かめましょう。
チェーンスパイクで登れない山は?
チェーンスパイクは爪が短い(5〜8mm程度)ため、以下のような状況では使用できません:深い新雪(15cm以上)、急斜面(15度以上)、凍結した急登、雪渓の急傾斜部。このような場所では、6本爪以上の軽アイゼンや本格アイゼンが必要です。また、本格的な冬山登山(北アルプスや八ヶ岳の主稜線など)には12本爪アイゼンが必須です。チェーンスパイクは「圧雪路や凍結した低山ハイキング」に適した装備と考えてください。
アイゼンは何本爪から本格的になりますか?
一般的に、10本爪以上が「本格アイゼン」の領域と考えられています。4〜6本爪は「軽アイゼン」と呼ばれ、10〜11本爪は「簡易アイゼン」または「高性能チェーンスパイク」と呼ばれ、冬の低山や夏の雪渓歩行に適しています。12本爪アイゼン(前爪付き)は、本格的な雪山登山や氷壁登攀に必須の装備です。初心者の場合、まずは6本爪の軽アイゼンで低山に慣れ、徐々にステップアップするのがおすすめです。いきなり12本爪を購入しても、使いこなせなければ意味がありません。自分の登山レベルと目標に合わせて選びましょう。
お手入れで錆びない方法は?
使用後の水洗いと完全乾燥が最も重要です。泥や雪を落とした後、タオルで水分を拭き取り、風通しの良い場所で自然乾燥させましょう。ステンレス鋼製の爪でも、濡れたまま放置すると錆びる可能性があります。長期保管する場合は、防錆スプレーを軽く吹きかけるのも効果的です(ただし、バンド部分にかからないよう注意)。保管場所は湿気の少ない場所を選び、直射日光を避けてください。また、使用前には必ず爪の状態をチェックし、錆や摩耗が見られる場合は早めに対処しましょう。