「初めて買ったレインウェア、蒸れて汗だくになりませんでしたか?」
登山の回数を重ね、日帰りから山小屋泊、さらにはアルプス縦走へとステップアップしようとするとき、多くの人が直面するのが「レインウェアの蒸れ」問題です。安価な雨具は外からの雨は防げても、内側の汗を逃がせず、結局体が濡れて冷えてしまう――。これでは、リスクの高い高山では命取りになりかねません。
脱・初心者を目指すあなたに必要なのは、高い透湿性と耐久性を兼ね備えた「長く使える相棒」です。予算3万円〜5万円クラスのモデルは、エントリーモデルとは別次元の快適性を提供してくれます。
今回は、数ある名作の中から中級者にふさわしい「鉄壁の6着」を厳選。以下の3つのタイプに分けてご紹介します。
- 【快適・ドライ派】:とにかく蒸れたくない、着心地重視の方へ
- 【鉄板・信頼派】:失敗したくない、資産価値も気にしたい方へ
- 【実用・コスパ派】:予算を抑えつつ、機能には妥協したくない方へ
中級者向けレインウェアの選び方
透湿性が命!数値で見る「蒸れにくさ」
中級者が最も重視すべきスペック、それは「透湿性(とうしつせい)」です。これは「24時間に何グラムの水分を外に逃がせるか」を示す数値で、g/㎡/24hという単位で表されます。
エントリーモデルでは10,000g程度が一般的ですが、運動量の多い登山では最低でも20,000g以上、できれば30,000g以上あると快適さが劇的に変わります。今回紹介するモデルの中には、驚異の50,000gを誇るものもあります。
※透湿性の数値は測定方法(B-1法、A-1法、RET法など)により異なるため、本記事では一般的な目安として比較しています。
3レイヤーと2.5レイヤーの違いとは
レインウェアの生地構造には主に「3レイヤー(3層)」と「2.5レイヤー(2.5層)」があります。
- 3レイヤー(中級者におすすめ):表地・防水膜・裏地の3枚を貼り合わせた構造。裏地があるため肌触りが良く、耐久性が高い。ベタつきにくいのが特徴。
- 2.5レイヤー:裏地の代わりにコーティングを施した構造。軽量で安価だが、汗をかくと肌にペタッと張り付く不快感があることも。
長く快適に使いたいなら、迷わず3レイヤー(または裏地付き2層)を選びましょう。
ゴアテックスだけが正解ではない理由
かつては「レインウェア=ゴアテックス」一択でしたが、2026年現在は状況が変わっています。各メーカーが開発した独自素材(ミレーのドライエッジ、ファイントラックのエバーブレス、モンベルのスーパードライテック®など)が進化し、ゴアテックスを凌駕する透湿性やストレッチ性を持つモデルが登場しています。
実際、プロガイドやベテラン登山者の間でも、「夏山の長時間行動ならミレー」「コスパ重視ならモンベル」といったように、用途に合わせて独自素材を選ぶのが主流になっています。「ブランド名」ではなく、「自分の登山スタイル(汗かきか、寒がりか、岩場に行くか)」に合わせて素材を選ぶのが、脱・初心者の第一歩です。
6モデル徹底比較表
今回ご紹介した6つのモデルを一覧で比較します。自分の重視するポイント(価格、蒸れにくさ、丈夫さ)に合わせて選んでみてください。
| 製品名 | 特徴・評価 | 価格 | 素材/構造 | 透湿性 | 重量 | 推奨シーン |
|---|---|---|---|---|---|---|
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ミレー ティフォン ストレッチ ジャケット MIV03168
| 圧倒的透湿性・着心地革命 ★★★★★ | 約36,300円 | ドライエッジ 3層 | 50,000g(圧倒的) | 約300g | 汗かき・長時間行動 |
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ティートンブロス ツルギライトジャケット TB251-03M
| 斜めジッパー・通気性特化 ★★★★☆ | 約41,800円 | Täsmä 3層 | 高通気(数値非公表) | 約265g | 通気重視・玄人向け |
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ザ・ノースフェイス クライムライトジャケット NP12501
| 定番の信頼・資産価値◎ ★★★★★ | 約35,420円〜 | GORE-TEX 3層 | 実用十分 | 約315g | 失敗したくない・街着兼用 |
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マムート アヤコプロ 2.0 ハードシェル ジャケット 1010-30281
| 防風・保温性最強クラス ★★★★☆ | 約57,200円 | GORE-TEX 2層+裏地 | 防風・保温重視 | 約500g | アルプス縦走・寒がり |
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ファイントラック エバーブレスフォトン ジャケット FAM0331
| 異次元ストレッチ・国産 ★★★★☆ | 約38,500円 | エバーブレス 3層 | 数値以上の実力◎ | 約280g | 岩場・鎖場・日本人体型 |
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モンベル ストームクルーザー ジャケット #1128733
| コスパ異常・透湿40,000g ★★★★★ | 約22,000円 | スーパードライテック® 3層 | 40,000g(高スペック) | 約254g | 実利派・予算重視 |
※価格や仕様は執筆時点(2026年1月)の情報です。最新情報は各公式ページでご確認ください。
【快適・ドライ派】汗かきさんのための高透湿モデル2選
「雨具を着るとサウナ状態になるのが嫌だ」「行動中は暑くてすぐ脱ぎたくなる」。そんな汗かきな登山者には、圧倒的な「透湿性」と「通気性」を備えたこの2着が最適解です。
ミレー|ティフォン ストレッチ ジャケット(MIV03168)

ミレー ティフォン ストレッチ ジャケット MIV03168 の価格を比較する
「雨具の常識を覆す『着心地』革命。行動中も脱ぎたくない一着」
ミレーのフラッグシップモデルが2025年にリニューアル。最大の特徴は、一般的なレインウェアの約2倍にあたる透湿性50,000g/㎡/24hという数値です。これほど蒸れにくい素材は他になく、雨の日だけでなく、晴れの日のウインドシェルとしても着続けられるため、荷物を減らせるという大きなメリットがあります。
裏地にはニット素材を採用しており、半袖の上に着てもサラサラで快適。レインウェア特有の「ガサガサ音」もしません。「とにかく蒸れるのが嫌」という方には、これ以上の選択肢はありません。

筆者が持っているのはティフォン50000で前モデルですが、着心地と性能は本当に抜群です。夏山の長時間行動でも蒸れ知らずで、雨が上がった後も着たままでいられる快適さ。次買い替える時はファントムも気になっていますが、価格と耐久性の情報が不足していて迷っているところ。このティフォンストレッチなら実績も十分で、まず間違いないですね。
ティートンブロス|ツルギライトジャケット(TB251-03M)

ティートンブロス ツルギライトジャケット の価格を比較する
「斜めジッパーには理由がある。機能美を愛する玄人のためのプルオーバー」
日本のガレージブランドから世界へ羽ばたいたティートンブロスの名作。特徴的な斜めのジッパーは単なるデザインではなく、お腹周りのごわつきを解消し、開閉することで効率的に換気を行うための機能美です。
東レと共同開発した次世代素材「Täsmä(タズマ)」を採用。従来の雨具とは一線を画す通気性で、ウェア内の空気を常にリフレッシュし続けます。プルオーバー(被り)タイプのため脱ぎ着に少し慣れが必要ですが、「人と被りたくない」「機能美にこだわりたい」という中級者に熱烈なファンが多い一着です。
【鉄板・信頼派】失敗したくない人のための定番2選
「初めてのアルプス縦走で不安」「長く使える丈夫なものがいい」。そんな方には、多くの登山者に支持され続けている「間違いのない定番」をおすすめします。
ザ・ノースフェイス|クライムライトジャケット(NP12501)

ザ・ノースフェイス クライムライトジャケット NP12501 の価格を比較する
「迷ったらこれ。街からアルプスまで制覇する『資産価値No.1』ジャケット」
登山用レインウェアの王道中の王道。GORE-TEXの3層構造(Micro Grid Backer)を採用し、軽量ながら岩場にも耐える堅牢さを持っています。ヘルメット対応フードやバックパックに干渉しないポケット配置など、登山に必要な機能が完璧に備わっています。
特筆すべきは、そのデザイン性の高さとブランド力。下山後の街着としても違和感がなく、もし買い替える際もフリマアプリ等で高く売れる(リセールバリューが高い)ため、実質的なコストパフォーマンスは非常に優秀です。
THE NORTH FACE クライムライトジャケット 公式ページ
マムート|アヤコプロ 2.0 ハードシェル ジャケット(1010-30281)

マムート アヤコプロ 2.0 ハードシェル ジャケット 1010-30281 の価格を比較する
「アルプスの稜線で頼れる『要塞』。悪天候さえ味方にする堅牢モデル」
スイスの名門マムートが誇るハードシェル。GORE-TEXの2層構造に裏地を付けた設計で、他のモデルに比べて生地に厚みと張りがあります。これにより防風性と保温性が極めて高く、夏山だけでなく、秋の冷え込む稜線や残雪期の登山までカバーできます。
価格は約5.7万円と高額ですが、「3シーズン+冬の低山」まで使える汎用性を考えれば納得の投資。マンモスロゴが映える高級感あるシルエットは、山ですれ違う人の目を引くこと間違いなしです。
【実用・コスパ派】賢く選ぶ実力派2選
「ブランド料にお金は払いたくない」「日本人の体型に合うものがいい」。そんな実利を追求する方には、日本の山を知り尽くした国産ブランドの2着を推します。
ファイントラック|エバーブレスフォトン ジャケット(FAM0331)

ファイントラック エバーブレスフォトン ジャケット の価格を比較する
「数値以上の『蒸れにくさ』と、異次元のストレッチで『動き』を妨げない」
2025年春にリニューアルされたばかりの国産モデル。最大の特徴は、レインウェアとは思えない「ヨガができるレベル」のストレッチ性です。腕を上げても突っ張らず、岩場や鎖場でのストレスが皆無です。
また、カタログ上の透湿性数値にとらわれず、「実際に着用した時の蒸れにくさ」を追求しているのも特徴。脇腹の「リンクベント(大型ベンチレーション)」で強制的に換気できるため、数値競争とは一線を画す快適さを提供してくれます。海外ブランドの袖丈やサイズ感が合わないという方にも、日本人の体型に合わせたファイントラックのフィット感は救世主となるでしょう。
モンベル|ストームクルーザー ジャケット(#1128733)
「ブランド料を捨て、実利を取った傑作。透湿性40,000gの下克上コスパ」
「GORE-TEXじゃないと不安?」その固定観念こそが、メーカーの戦略です。モンベルにはGORE-TEX搭載の最新作「テンペスト(¥35,200)」もありますが、スペックを比較すると衝撃の事実が見えてきます。
- テンペスト(GORE-TEX):価格3.5万円 / 透湿性20,000g
- ストームクルーザー(独自素材):価格2.2万円 / 透湿性40,000g
なんと、ストームクルーザーは価格が1.3万円も安いのに、蒸れにくさの数値(透湿性)は2倍なのです。独自素材「スーパー ドライテック®(3層)」は耐水圧20,000mm以上を確保しながら、GORE-TEXを遥かに超える透湿性を実現しています。
「GORE-TEXというブランド名」に1万円以上払うか、「圧倒的な蒸れにくさと安さ」を取るか。脱・初心者を目指す賢いあなたなら、後者が正解だとわかるはずです。浮いた予算で高級な登山靴やザックに投資できるため、トータルでの装備グレードを一気に引き上げられます。「実質剛健」を地で行く、日本のアウトドア界が誇る傑作です。
※モンベル製品はAmazonや楽天での販売は公式サイトより高額で売られていることがほとんどです。公式サイト経由での購入をおすすめします。

モンベルはもはや登山アパレルのユニクロみたいな感じですね。筆者も一時期お世話になっていましたが、とにかく間違いがない。性能・価格・入手性すべて安心です。デメリットといえば、他の人と被りまくるくらいですかね(笑)。でも、それだけ信頼されている証拠でもありますよ。
よくある質問(FAQ)
レインウェアのお手入れ(洗濯)はどうすればいいですか?
「汚れたら洗う」が基本です。皮脂や汚れが付着すると撥水性や透湿性が低下します。洗濯ネットに入れ、専用洗剤(ニクワックスなど)または中性洗剤で洗い、陰干し後に乾燥機で熱を加えると撥水力が復活します。
サイズ選びのポイントは?
秋口などは下にフリースやダウンを着込むことがあるため、普段よりワンサイズ大きめを選ぶのが一般的です。試着の際は、中に厚手の服を着て動きを確認することをおすすめします。
街着としても使えますか?
はい、特にノースフェイスの「クライムライト」やティートンブロスの「ツルギライト」はデザイン性が高く、街着としても人気です。ただし、焚き火の火の粉には弱いので、キャンプでの使用には注意が必要です。
古いレインウェアの撥水が効かなくなってきました。
撥水スプレーや漬け込みタイプの撥水剤でメンテナンスすればある程度復活しますが、生地の内側の防水膜(白いフィルムなど)が剥離している場合は寿命です。買い替えを検討しましょう。
まとめ:在庫があるうちに手に入れよう
中級者向けレインウェアは、単なる雨具ではなく、山の行動範囲を広げてくれる「命を守るギア」です。今回紹介したモデルはどれも、一度着たらエントリーモデルには戻れないほどの快適さを提供してくれます。
最後に一つだけアドバイスを。今回紹介したモデル、特にノースフェイスやミレーの人気カラー・人気サイズは、シーズン本番(ゴールデンウィークや夏山)前にはサイズ欠けが頻発します。「あの時買っておけばよかった」と山の上で後悔しないよう、在庫がある今のうちに手に入れて、次の山行準備を整えましょう。
新しい相棒と共に、より高く、より深い山への挑戦を楽しんでください。
ところで、下半身の雨対策は万全ですか?
ジャケットと同じくらい重要なのが、レインパンツ選びです。「靴を履いたまま履けるか?」「足上げは楽か?」など、選び方の基準はジャケットと全く異なります。
消耗品だからこそ賢く選びたい、「中級者向けレインパンツ決定版」の記事は現在執筆中です。公開をお待ちください。






筆者の初めてのレインウェアは石井スポーツのPAINEというブランド。結構長く使いましたね。その後モンベルを経て、今はミレーのティフォン50000を愛用中です。昔のレインウェアと比べると、着心地・重量・性能が格段に向上していて、山行が随分快適になりました。今回は、これから中級者を目指す方に「失敗しない一着」をご紹介します。