ローカット登山靴は、軽快な歩行と快適性を両立する理想的なハイキングギアです。足首の自由度が高く、整備された登山道や日帰りハイキングに最適で、普段履きとしても活用できる汎用性の高さが魅力です。しかし、ブランドごとに異なる特徴や機能があるため、自分の登山スタイルや足の形に合った一足を選ぶことが重要です。本記事では、定番の5メーカーの強みと代表モデルを詳しく比較し、最適な選択をサポートします。
ローカット登山靴の基礎知識
ローカット登山靴は、足首周りが低く設計された登山靴で、スニーカーに近い形状をしています。ミッドカットやハイカットと比較して、足首の可動域が広く、軽量性に優れているのが特徴です。
主なメリットとして、軽快な歩行感、通気性の良さ、足慣らしの速さが挙げられます。一方、デメリットは足首のサポートが少ないため、不整地や岩場での安定性が劣る点です。
適した登山シーンは、整備された登山道での日帰りハイキング、低山トレッキング、ネイチャーウォーキングなどです。重い荷物を背負う縦走や技術的な岩場では、ミッドカット以上のサポート力が推奨されます。
ブランド選びで見るべきポイント
ローカット登山靴を選ぶ際は、以下の4つのポイントを重視しましょう。
フィッティングの重要性:足の形は個人差が大きく、ブランドごとに木型(ラスト)が異なります。欧米ブランドは幅が狭く、日本ブランドは日本人の足に合わせた設計が多い傾向があります。
防水性能:GORE-TEXなどの防水透湿素材の有無を確認しましょう。雨天時の登山や沢沿いのルートでは必須機能です。
ソールのグリップ力:Vibram社製ソールや各メーカー独自のラバーコンパウンドが、濡れた岩や土での滑りを防ぎます。
重量と歩行性能:片足400g以下が軽量の目安です。軽量性と耐久性のバランスを考慮して選択しましょう。
ローカット登山靴の主要ブランド一覧
ローカット登山靴市場には、多様な特徴を持つブランドが存在します。それぞれのブランドは独自の技術や設計思想を持ち、異なるニーズに応えています。ここでは、主要ブランドの特徴を簡潔にご紹介します。
欧米ブランド
SALOMON(サロモン):トレイルランニング技術を応用した軽量・高速モデルが特徴。クイックレースシステムで素早い着脱が可能。
MERRELL(メレル):快適性と耐久性を重視した設計。MOABシリーズは世界中で愛用されるロングセラー。コストパフォーマンスに優れる。
KEEN(キーン):つま先保護技術が特徴。幅広設計で日本人の足にもフィットしやすい。独自の防水技術KEEN.DRYを採用。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス):総合アウトドアブランドとしての信頼性。登山からタウンユースまで幅広く対応。環境配慮素材の採用にも積極的。
Columbia(コロンビア):手頃な価格帯とバランスの取れた性能。独自防水技術Omni-Techを搭載したモデルが人気。
LA SPORTIVA(スポルティバ):イタリアの登山靴専門ブランド。高い技術力と耐久性。やや上級者向けの設計。
SCARPA(スカルパ):イタリアの老舗登山靴メーカー。伝統的な職人技術と最新テクノロジーの融合。フィット感に定評。
日本ブランド
mont-bell(モンベル):日本人の足型に特化した設計。軽量性とコストパフォーマンスに優れる。全国の直営店で試し履き可能。
SIRIO(シリオ):日本人向け登山靴専門ブランド。3種類の足型から選べるラインナップ。丁寧な作りと高いフィット感。
Caravan(キャラバン):入門向けモデルが充実。日本の登山環境に特化した開発。リーズナブルな価格設定。
その他の注目ブランド
HOKA ONE ONE(ホカオネオネ):厚底ソールによる高いクッション性。長距離ハイキングでの疲労軽減に効果的。
Arc'teryx(アークテリクス):カナダの高級アウトドアブランド。洗練されたデザインと高機能を両立。価格帯は高め。
このように、ローカット登山靴のブランドは多岐にわたり、それぞれに特徴があります。次のセクションでは、この中から特に人気の高い5ブランドに絞り、代表モデルを詳しくレビューしていきます。
人気5ブランドのおすすめモデルを厳選紹介
前述した多くのブランドの中から、日本市場で特に人気が高く、初心者にもおすすめできる5ブランドを厳選しました。それぞれの代表モデルを詳しくレビューし、どのような方に適しているかをご紹介します。
SALOMON(サロモン):スピードと軽快性を追求
サロモンは、フランス生まれのアウトドアブランドで、トレイルランニングシューズの技術を登山靴に応用した革新的な設計が特徴です。軽量性とスピード感を重視し、クイックレースシステムによる素早い着脱が可能です。
X ULTRA 5 GORE-TEX
出典:SALOMON公式サイト
サロモン X ULTRA 5 GORE-TEX ローカット メンズの価格を比較する
サロモン X ULTRA 5 GORE-TEX ローカット ウィメンズの価格を比較する
X ULTRA 5 GORE-TEXは、2025年春夏に発売されたサロモンの最新ローカット登山靴です。約22,000円(2025年11月時点)の価格で、重量は片足約380gと従来モデルより軽量化されています。メンズ・ウィメンズともに展開されており、サイズは22.5〜29.0cmまで幅広く対応しています。
GORE-TEXによる完全防水仕様で、雨天時でも足元をドライに保ちます。耐久性に優れたMatryxアッパーを採用し、アクティブサポートシャーシが安定性を提供。All Terrain Contagripソールが上りでも下りでも優れたグリップ力を発揮します。クイックレースシステムにより着脱も素早く行えます。
前モデルのX ULTRA 4より軽量化と通気性が向上し、より快適な歩行が可能です。ハイキング専用設計により、初心者から中級者まで幅広く対応。日帰りの低山ハイキングから整備されたトレイルまで、様々なシーンで活躍します。
MERRELL(メレル):快適性と耐久性の定番
メレルは、1981年にアメリカで創業された老舗アウトドアブランドです。「自然と共に歩む」をコンセプトに、快適性と耐久性を重視した設計が特徴で、長時間の使用でも疲れにくい優れたクッション性で定評があります。
MOAB 3 SYNTHETIC GORE-TEX
出典:新潟の山らて
メレル MOAB 3 SYNTHETIC GORE-TEX ローカット メンズの価格を比較する
メレル MOAB 3 SYNTHETIC GORE-TEX ローカット ウィメンズの価格を比較する
MOAB 3 SYNTHETIC GORE-TEXは、「Mother-Of-All-Boots(すべてのブーツの母)」と呼ばれる人気シリーズの最新モデルです。約14,800〜17,800円(2025年11月時点)と、高機能ながらコストパフォーマンスに優れています。メンズ・ウィメンズともに展開されており、サイズは22.5〜30.0cmまで対応しています。
重量は片足約420gで、Vibramソールによる優れたグリップ力を発揮します。エアクッション付きミッドソールが長時間歩行時の疲労を軽減し、GORE-TEX素材により雨や露から足を守ります。
快適性を最重視する初心者や、長時間のハイキングを楽しみたい方に最適です。幅広い足型に対応しており、日本人にもフィットしやすい設計となっています。
KEEN(キーン):独自設計で足を守る
キーンは、2003年にアメリカで設立された比較的新しいブランドですが、「つま先を守る」というコンセプトのもと、独自のトゥプロテクション技術で注目を集めています。幅広の足型設計と優れた快適性で、多くのハイカーから支持を得ています。
TARGHEE IV WP
出典:KEEN公式サイト
キーン TARGHEE IV WP ローカット メンズの価格を比較する
キーン TARGHEE IV WP ローカット ウィメンズの価格を比較する
TARGHEE IV WPは、キーンの人気TARGHEEシリーズの最新ローカットモデルです。約23,100〜24,200円(2025年11月時点)の価格設定で、重量は片足約430gです。メンズ・ウィメンズともに展開されており、サイズは22.5〜30.0cmまで幅広く対応しています。
最大の特徴はKEENプロテクト技術によるつま先保護機能で、岩や木の根への接触から足指を守ります。防水透湿性のKEEN.DRY素材を採用し、改良された5mmのマルチディレクショナルラグがあらゆる地形でのトラクションを提供。前モデルから耐久性とフィット感が向上しています。
つま先をしっかり保護したい方や、幅広足で一般的な登山靴が合わない方に特におすすめです。岩の多いトレイルや川床歩きでその真価を発揮します。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス):総合力の高さが魅力
ザ・ノース・フェイスは、1966年にアメリカで創業された総合アウトドアブランドです。登山からタウンユースまで幅広いシーンに対応し、高い技術力と信頼性でアウトドア愛好家から絶大な支持を得ています。
Creston Hike WP
出典:Amazon.co.jp
ザノースフェイス Creston Hike WP ローカット メンズ NF52410の価格を比較する
ザノースフェイス Creston Hike WP ローカット ウィメンズの価格を比較する
Creston Hike WPは、3シーズン対応のローカット防水トレッキングシューズです。約16,000〜20,000円(2025年11月時点)の価格で、重量は片足約390gと軽量ながら堅牢な作りが特徴です。メンズ・ウィメンズともに展開されており、サイズは23.0〜29.0cmまで対応しています。
アッパー素材には100%リサイクル素材のCORDURA ECOを使用し、環境に配慮した設計となっています。独自の防水技術により雨や水たまりからの浸水を防ぎ、5mmのラグパターンが様々な地形でのグリップ力を提供します。
バランスの取れた性能を求める方や、ブランドの信頼性を重視する初心者におすすめです。登山からタウンユースまで幅広く活用でき、一足で多用途に使いたい方に最適です。
mont-bell(モンベル):日本人の足に合う国産ブランド
モンベルは、1975年に日本で創業された国産アウトドアブランドです。「軽量化」「多機能化」「丈夫さ」を基本コンセプトに、日本人の体型や登山スタイルに特化した製品開発を行っています。コストパフォーマンスの高さでも定評があります。
トレールランダー
出典:モンベル公式サイト
モンベル トレールランダー ローカット メンズ 1129710の価格を比較する
モンベル トレールランダー ローカット ウィメンズ 1129711の価格を比較する
トレールランダーは、軽量性と歩きやすさを追求したローカットシューズです。19,900円(2025年11月時点)の価格で、重量は片足約289g(25.5cm)と軽量です。メンズ・ウィメンズともに展開されており、サイズは24.0〜29.0cmまで対応しています。
GORE-TEX インビジブルフィット技術を採用し、メッシュ素材に防水透湿メンブレンを直接張り合わせることで、従来にない柔らかさと高い透湿性を実現しています。モンベル独自のトレールグリッパーソールが濡れた岩や土での滑りを防止し、軽量でクッション性の高いミッドソールが快適な歩行をサポートします。日本人の足型データに基づいた設計により、フィット感に優れています。
コストを抑えて高品質な登山靴を求める方や、日本人の足型に合った靴を探している初心者におすすめです。アフターサービスも充実しており、安心して長期間使用できます。
5ブランド比較表
| ブランド | 代表モデル | 価格帯(円) | 重量(片足) | 防水性能 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| SALOMON | X ULTRA 5 GTX | 約22,000 | 約380g | GORE-TEX | 最新モデル・軽量性 |
| MERRELL | MOAB 3 SYNTHETIC GTX | 14,800〜17,800 | 約420g | GORE-TEX | 快適性・コスパ良好 |
| KEEN | TARGHEE IV WP | 23,100〜24,200 | 約430g | KEEN.DRY | つま先保護・幅広設計 |
| THE NORTH FACE | Creston Hike WP | 16,000〜20,000 | 約390g | 防水透湿素材 | 総合力・信頼性 |
| mont-bell | トレールランダー | 19,900 | 約289g | GORE-TEX | 日本人向け設計・超軽量 |
購入前にチェックすべきポイント
ローカット登山靴を購入する際は、以下のポイントを必ず確認しましょう。
メンズ・ウィメンズモデルの違い:本記事で紹介したモデルは全てメンズ・ウィメンズ両方で展開されています。ウィメンズモデルは女性の足型(幅が狭く甲が低い傾向)に合わせた設計になっており、カラーバリエーションも異なります。女性の方は、足の形に合わせてウィメンズモデルを選ぶことで、よりフィット感の高い靴を見つけられます。
試し履きの重要性:可能な限り実店舗で試し履きを行いましょう。午後の時間帯に試着することで、足のむくみを考慮したサイズ選びができます。両足とも履いて、10分程度店内を歩いてフィット感を確認してください。
サイズ選びの注意点:つま先に1〜1.5cmの余裕があることを確認しましょう。下り坂で足が前に滑っても、つま先が当たらない程度のスペースが必要です。幅についても、きつすぎず緩すぎない適度なフィット感を求めましょう。
ソックスとの相性:登山用の厚手ソックスを着用して試し履きすることが重要です。普段履きの薄手ソックスでは、実際の使用時とフィット感が大きく異なる可能性があります。
よくある質問(FAQ)
ローカット登山靴はどんな山に向いていますか?
ローカット登山靴は、整備された登山道での日帰りハイキングや低山トレッキングに最適です。高尾山、筑波山、六甲山などの人気の低山や、木道が整備された湿原歩きなどに適しています。ただし、岩場が多い山や重い荷物での縦走には不向きです。
防水機能は必要ですか?
雨天時の登山や沢沿いのコース、朝露の多い季節には防水機能が重要です。GORE-TEXなどの防水透湿素材があれば、雨や水たまりからの浸水を防ぎつつ、足の蒸れも軽減できます。ただし、完全に晴れた日のみの使用なら、通気性を重視した非防水モデルも選択肢となります。
普段履きにも使えますか?
ローカット登山靴の多くは普段履きとしても使用できます。特にデザイン性の高いモデルは、タウンユースにも適しています。ただし、登山靴特有のグリップ力の高いソールは、舗装路では摩耗が早い場合があるので、使用頻度を考慮して選択しましょう。
サイズ選びのコツは?
つま先に1〜1.5cmの余裕を持たせることが基本です。足の最も長い指から靴の先端までの距離を確認し、歩行時に指が当たらないことを確認しましょう。また、足の幅や甲の高さも重要で、きつすぎると血行不良や痛みの原因となります。必ず登山用ソックスを着用して試し履きを行ってください。
まとめ
今回紹介した5つのブランドは、それぞれ異なる特徴と強みを持っています。軽快性重視ならサロモン、快適性とコスパならメレル、足の保護機能ならキーン、総合力とブランド力ならザ・ノース・フェイス、日本人の足型と価格重視ならモンベルが適しています。
最適な一足を見つけるには、自分の登山スタイルと足の特徴を理解することが重要です。試し履きを必ず行い、フィット感や歩行感を確認してください。価格だけでなく、長期的な使用を考慮した耐久性とアフターサービスも選択の重要な要素となります。
※価格や仕様は変更される場合があります。購入前に公式サイトや販売店で最新情報をご確認ください。