「これから本格的に登山を始めたいけれど、どのザックを選べばいいかわからない」「今使っているザックだと肩が痛くなるし、背中の蒸れも気になる……」
そんな悩みを持って登山用品店に行くと、必ず目にするのが「Millet(ミレー)」「karrimor(カリマー)」「GREGORY(グレゴリー)」の3大ブランドではないでしょうか。どれも歴史ある素晴らしいメーカーですが、一見しただけではそれぞれの違いや、自分に合うモデルを見分けるのは至難の業です。
そこで今回は、これら人気3大ブランドの「20L〜30Lクラスの主力モデル」を徹底比較します。日帰りから山小屋泊まで対応できる「王道モデル」と、軽快に動ける「軽量モデル」の2つの軸で、失敗しない選び方とおすすめの6選をご紹介します。
この記事を読み終える頃には、あなたの登山スタイルにベストマッチする「相棒」が必ず見つかるはずです。
ミレー・カリマー・グレゴリー、3大ブランドの特徴
具体的なモデル紹介の前に、まずは各ブランドがどのような特徴を持っているのかを簡単に押さえておきましょう。国や文化の違いが、ザックの設計思想にも色濃く反映されています。
ミレー(MILLET)- フランス発・本格アルパインブランド
フランスのシャモニーを拠点とする「Millet(ミレー)」は、アルプス山脈での過酷な登山に対応する本格的な製品作りが特徴です。ザックにおいては、細身でスタイリッシュなシルエットと、日本の高温多湿な環境にも対応する高い機能性が支持されています。近年は生地自体に撥水加工を施すなど、技術革新にも積極的です。
カリマー(karrimor)- イギリス発・背負い心地の追求
イギリス発祥の「karrimor(カリマー)」は、「carry more(もっと運べる)」が語源と言われる通り、重い荷物をいかに快適に運ぶかを追求してきました。質実剛健な作りと、厚みのあるパッドによる安定感抜群の背負い心地が最大の特徴。初心者からベテランまで幅広い層に愛される「王道」ブランドです。
グレゴリー(GREGORY)- アメリカ発・フィット感の革新
「バックパック界のロールスロイス」とも称されるアメリカの「GREGORY(グレゴリー)」。創設者が「バックパックは背負うものではなく、着るものだ」と語ったように、人体工学に基づいた圧倒的なフィット感が魅力です。サイズ展開が豊富で、まるで体の一部になったかのような一体感を味わえます。
主要6モデル 一覧比較表
| 製品名 | 特徴・評価 | 価格 | 容量 | 重量 | 主な特徴 | おすすめタイプ |
|---|---|---|---|---|---|---|
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ミレー サースフェーNX 30+5 MIS0756
| 雨に強い全部入り ★★★★★ | 約28,050円 | 30+5L | 1,500g | 撥水◎・多機能 | 機能性・雨対策重視 |
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カリマー ridge 30+ 501206
| 疲れにくい"着るザック" ★★★★★ | 約31,900円 | 30L+ | 1,420g | 安定◎・頑丈 | 初心者・安定感重視 |
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グレゴリー ズール30 ZULU30
| 背中の蒸れから解放 ★★★★☆ | 約29,700円 | 28L | 1,380g | 通気性◎◎ | 暑がり・快適重視 |
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カリマー cleave 30 501208
| 今っぽいULスタイル ★★★★☆ | 約31,350円 | 30L | 950g | 軽量◎◎・UL | 軽さ・トレンド重視 |
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グレゴリー ミコ25 MIKO25 145276
| 走れるフィット感 ★★★★☆ | 約26,400円 | 25L | 960g | 密着フィット◎ | アクティブ・速歩き |
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ミレー ウェルキン25 MIS0758
| 予算を抑えたい初心者に ★★★☆☆ | 約16,500円 | 25L | 810g | 高コスパ◎ | 予算重視・入門者 |

6モデルを比較すると、価格帯は16,500円〜31,900円と幅広いですね。最初の一歩なら16,500円のウェルキン25も十分ですが、長く使うなら2万円台後半の王道モデルがおすすめ。登山には登山靴やレインウェアなど他にも必須装備がありますが、安物買いの銭失いにならないようにじっくり検討しましょう。
【王道30L対決】本格派ならこの3モデル
まずは、日帰り登山から山小屋泊まで幅広く使える「30Lクラス」の主力モデル対決です。各ブランドの技術が結集したフラッグシップモデルが揃っています。
ミレー サースフェーNX 30+5 - 雨に強い全部入りザック

ミレー サースフェーNX 30+5 MIS0756 の価格を比較する
ミレーの代名詞とも言える超定番モデルが、2023年にフルモデルチェンジして生まれた「サースフェー NX」です。最大の特徴は、シリコン耐久撥水加工が施された「耐水生地」。小雨程度ならレインカバーを出す手間が省けるため、天候が変わりやすい日本の山に最適です。
また、行動中に荷物を出し入れできるポケットが豊富で、まさに「全部入り」の多機能ザック。機能性を重視する方には間違いのない選択肢です。
- 容量:30+5L(拡張可能)
- 重量:1,500g(Mサイズ)
- 価格:28,050円(税込)※2026年1月時点
メリット:
・シリコン撥水生地で汚れや雨に圧倒的に強い
・ショルダーハーネスのポケットなど収納が非常に便利
・日本人の体型に合わせた背面設計
懸念点:
・多機能ゆえに、ベルト類が多く操作に慣れが必要
カリマー ridge 30+ - 疲れにくい"着るザック"

カリマー ridge30+ 501206 の価格を比較する
カリマーの「ridge(リッジ)30+」は、長年にわたり日本の登山者に愛されてきたロングセラーモデルです。特筆すべきは、腰ベルトと背面パッドのしっかりとした剛性感。重い荷物を背負っても荷重を腰でしっかりと支えられるため、肩への負担が驚くほど軽減されます。
体力が心配な方や、パッキング(荷造り)に不慣れな初心者の方でも、安定して背負える安心感があります。まさに「質実剛健」を体現したモデルです。
- 容量:30L+(拡張可能)
- 重量:1,420g(Medium)
- 価格:31,900円(税込)※2026年1月時点
メリット:
・腰ベルトが分厚く、荷重分散性能が非常に高い
・型崩れしにくく、パッキングが苦手でもきれいに詰められる
・耐久性が高く、長く愛用できる
懸念点:
・しっかりした作りの分、本体重量はやや重め

これから登山を始める知人にプレゼントしたことがあるザックです。ロングセラーというだけあり、抜群の安定感と安心感がある。知人はこのザックで富士山から奥多摩、八ヶ岳まで順調に山沼にハマっている模様です(笑)。
グレゴリー ズール30 - 背中の蒸れから解放

グレゴリー ズール30 ZULU30 の価格を比較する
汗っかきな方や、夏の低山ハイクを快適にしたい方に強くおすすめなのが「ズール30」(※容量表記はSM/MDサイズで28L、MD/LGサイズで30L)です。最大の特徴は、背中とザックの間に空間を作った「フリーフロート・サスペンション」。背面のメッシュパネルが背中の熱や湿気を逃がしてくれるため、驚くほど涼しく快適です。
もちろんグレゴリーならではのフィット感も健在で、腰ベルトが体の動きに合わせて追従するため、歩行時のバランスも良好です。
- 容量:30L
- 重量:1,380g(SM/MD)
- 価格:29,700円(税込)※2026年1月時点
メリット:
・背面メッシュ構造で通気性が抜群に良い
・独自のサスペンションで体の動きにフィットする
・フロントが大きく開き、荷物の出し入れがしやすい
懸念点:
・背面が湾曲しているため、パッキングには少々コツがいる
【軽快モデル対決】身軽に楽しむ20-25L
続いては、荷物を減らして軽快に歩きたい方や、日帰りハイク中心の方におすすめの「20L〜25Lクラス」の対決です。近年のトレンドである「軽量化」や「機動力」を重視したモデルが揃いました。
カリマー cleave 30 - 今っぽいULスタイル

カリマー cleave30 501208 の価格を比較する
王道の「ridge」とは対照的に、トレンドのUL(ウルトラライト)スタイルを取り入れたのが「cleave(クリーブ)30」です。30Lの容量がありながら重量は900g台と非常に軽量。開口部はロールトップタイプで、荷物の量に合わせてサイズを調整できます。
デザインもシンプルで街使いもしやすく、「とにかく荷物を軽くしたい」「おしゃれに山を歩きたい」という層に大人気です。
- 容量:30L
- 重量:950g(Mサイズ)
- 価格:31,350円(税込)※2026年1月時点
メリット:
・圧倒的な軽さで行動範囲が広がる
・ユーティリティショルダーハーネスで小物収納が便利
・シンプルでおしゃれなデザイン
懸念点:
・軽量化優先のため腰ベルトは薄めですが、独自の形状で驚くほど腰に乗ります(ただし荷物が10kg超えると肩に負担がくる可能性あり)
グレゴリー ミコ25 - 走れるフィット感

グレゴリー ミコ25 MIKO25 145276 の価格を比較する
名作「ミウォック」のDNAを受け継ぐ「ミコ 25」は、アクティブに山を楽しみたい人に最適なモデルです。最大の特徴は、体の動きに合わせて伸縮する「BioSyncサスペンション」。激しく動いてもザックが背中に吸い付くようにフィットし、ブレることがありません。
コースタイムを短縮したいファストハイクや、簡単なトレイルランニングも楽しみたい方にうってつけの「走れるデイパック」です。
- 容量:25L
- 重量:960g
- 価格:26,400円(税込)※2026年1月時点
メリット:
・体に吸い付くような一体感で荷物の揺れを感じない
・背面長(トルソー)を無段階で調整可能
・スポーティーで機動力抜群
懸念点:
・体に密着するため、背中の通気性はズールに劣る
ミレー ウェルキン25 - 予算を抑えたい初心者に

ミレー ウェルキン25 MIS0758 の価格を比較する
「これから登山を始めるけれど、最初から高い道具はちょっと……」という方には、ミレーの「ウェルキン 25」がおすすめです。実売価格1万円台前半というハイコスパながら、登山に必要な基本機能はしっかりと網羅されています。
通気性の高い背面パッドや使いやすいポケット配置など、ミレーらしい実用性は健在。最初の一歩を踏み出すための最適なエントリーモデルと言えるでしょう。
- 容量:25L
- 重量:810g
- 価格:16,500円(税込)※2026年1月時点
メリット:
・非常にリーズナブルで手に取りやすい
・操作がシンプルで初心者でも迷わない
・軽量で街使いもしやすい
懸念点:
・上位モデルに比べると素材の耐久性や機能は控えめ
あなたに合うのはどれ?タイプ別おすすめガイド
ここまで6つのモデルを見てきましたが、最後に改めて「タイプ別のおすすめ」を整理します。あなたが一番重視するポイントに合わせて選んでみてください。
-
「雨対策も機能も、妥協したくない!」
→ ミレー サースフェー NX 30+5 がベスト。汚れにも強く、長くきれいに使えます。 -
「体力が不安。とにかく疲れないザックがいい」
→ カリマー ridge 30+ がおすすめ。腰で背負う安定感はピカイチです。 -
「背中の蒸れが不快!涼しく歩きたい」
→ グレゴリー ズール30 一択。夏山での快適さが段違いです。 -
「荷物を軽くして、軽快に歩きたい」
→ カリマー cleave 30 でULデビュー。デザインもスタイリッシュです。 -
「コースタイムを縮めたい、アクティブに動きたい」
→ グレゴリー ミコ25 のフィット感が武器になります。 -
「まずは予算を抑えて始めたい」
→ ミレー ウェルキン25 からスタートしましょう。浮いた予算で登山靴にお金をかけるのも賢い選択です。

今となっては笑い話ですが、私が最初に買ったザックは100Lザック。縦走には抜群の性能を発揮していましたが、あろうことが日帰り登山にも100Lザックを使っていました。当然荷物が揺れまくって歩きづらいことこの上なかったですね笑。荷物の量と用途を見積もって、ちょうど良いサイズを選ぶのが一番大事だと思います。迷ったら店員さんに「どんな山に行くか」を相談すると良いですよ。
よくある質問(FAQ)
日帰り登山には何リットルが最適ですか?
一般的には20L〜30Lが目安です。夏場の日帰りなら20Lクラスでも十分ですが、防寒着が必要な春・秋や、将来的に山小屋泊も考えているなら30Lクラスを選んでおくと汎用性が高く、長く使えます。大は小を兼ねるので、迷ったら30Lがおすすめです。
3つのブランドで一番背負いやすいのはどこですか?
これは完全に「体型との相性」によります。一般的にミレーは細身、カリマーはガッチリ型、グレゴリーは万人にフィットしやすいと言われますが、個人差が大きいです。可能であれば、店頭で実際に重りを入れて背負い比べることを強くおすすめします。
女性用(レディース)モデルはありますか?
はい、今回紹介した3大ブランドは女性の体型に合わせたレディースモデルが充実しています。具体的には、背面長を短く設計したり、ショルダーハーネスの形状を女性の胸部に配慮した曲線にするなど、きめ細かな調整が施されています。女性の方はレディースモデルを選ぶと、よりフィット感が高まり快適に背負えます。店頭で試着する際は、ぜひ女性専用モデルも比較してみてください。
ザックのサイズはどうやって選べばいいですか?
ザックのサイズは「背面長(トルソー)」で決まります。これは首の付け根(第7頚椎)から腰骨の上端までの長さのことです。測り方は、壁に背中をつけて立ち、首を前に倒したときに出っ張る骨(第7頚椎)から、両手を腰に当てたときに親指が当たる位置(腰骨の上端)までの距離を測ります。
一般的な目安:
・S(38〜43cm):小柄な方・女性
・M(43〜48cm):標準的な体型
・L(48〜53cm):大柄な方
ネット購入で不安な場合は、背面長を無段階で調整できるモデル(グレゴリー ミコ25など)を選ぶと安心です。また、実店舗で一度測ってもらうと、今後の買い物の参考になりますよ。
ザックカバー(レインカバー)は必要ですか?
基本的には必須です。山の天気は変わりやすく、ザックの中身(特に着替えや防寒着)が濡れると低体温症のリスクがあります。ただし、今回紹介した「ミレー サースフェーNX」のように撥水性の高い生地を使ったモデルであれば、小雨程度ならカバーなしでも凌げる場合があります(それでも携帯は推奨します)。
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まとめ
ミレー、カリマー、グレゴリー。どのブランドも登山者の安全と快適さを第一に考えた素晴らしい製品を作っています。
大切なのは、ブランドの知名度だけで選ぶのではなく、「自分が山でどう過ごしたいか」「何を一番重視するか」という視点で選ぶことです。雨に強い安心感か、重さを感じさせない安定感か、あるいは風が抜ける涼しさか。
ぜひこの記事を参考に、これからの登山ライフを共にする「最高の相棒」を見つけてください。お気に入りのザックがあれば、次の山行がもっと待ち遠しくなるはずです。



見た目でザックを選ぶのもいいけど、自分の背中との相性は実際に背負ってみないとわかりません。初めてザックの購入を検討している人は、必ず実店舗で背負い心地を確認するのがおすすめ。重りを入れて店内を歩かせてもらうと、フィット感の違いがよくわかりますよ(購入はネットの方が安かったりするので、価格をよく確認!)。