ルート概要
房総フラワーラインは、千葉県館山市下町交差点から南房総市和田町までの約46kmにわたる海岸線の道路(主に国道410号線)の愛称です。特に伊戸〜相浜の約6kmは「日本の道百選」に選定されており、1月下旬から2月下旬にかけて菜の花が咲き乱れる絶景ルートとして知られています。海と花のコントラストが美しく、初心者から中級者まで楽しめる人気のサイクリングコースです。
| 距離 | 約46km(片道) | 
| 獲得標高 | 約200m | 
| 所要時間 | 3〜4時間(休憩含まず) | 
| 路面状況 | アスファルト舗装(全線) | 
| 難易度 | 初心者〜中級者向け | 
| 推奨季節 | 1〜3月(菜の花)、9〜11月(秋の快適期) | 
| 風向き | 冬:北風、春〜夏:南風が強い | 
| 補給ポイント | 道の駅3箇所、コンビニ数箇所 | 
| スタート/ゴール | JR館山駅〜JR和田浦駅(または往復) | 
          ※所要時間は休憩を含みません。初心者の方は余裕を持って計画してください。
          ※掲載情報は2025年10月時点のものです。天候や道路状況により変更される場合がありますので、出発前に最新情報をご確認ください。
        
          ※画像は1周となっていますが、本記事で紹介するのは館山→和田浦の片道コースです。
出典:ツール・ド・ニッポン
📍 主要スポット
サイクリングの楽しみの半分は「寄り道」。ルート上の主要寄り道スポットをまとめました。
          出典:FUNQ(Bicycle Club)
🚴 スタート地点:JR館山駅
JR内房線の終点。駅西口に館山市観光協会があり、レンタサイクルの貸し出しを行っています。電動アシスト付き自転車もあるので、体力に自信のない方も安心です。
⛩️ 立ち寄りスポット1:洲崎神社
館山駅から約12km。房総半島最西端に位置する神社で、御手洗山の中腹に鎮座。境内から東京湾と富士山を望む絶景ポイントとしても知られています。
🌸 立ち寄りスポット2:房総フラワーライン(日本の道百選区間)
伊戸〜相浜の約6kmが「日本の道百選」区間。1〜2月は道路沿いに菜の花が咲き誇り、絶好の撮影スポットになります。平砂浦海岸の白い砂浜も必見。
🏖️ 立ち寄りスポット3:野島崎灯台
房総半島最南端の白亜の灯台。登ることができ、頂上からは太平洋の大パノラマが楽しめます。灯台周辺は公園になっており、休憩にも最適。
☕ 立ち寄りスポット4:道の駅ちくら潮風王国
野島崎灯台から約7km。海鮮が自慢の道の駅で、2階の「とと・カフェ」からは外房の海が一望できます。アジフライや海鮮丼が人気メニュー。
🏁 ゴール地点:JR和田浦駅
JR内房線の小駅。駅前にはコンビニもあり、輪行での帰路にも便利。往復せずに和田浦で終了する場合は、ここから電車で館山駅まで戻れます。
房総フラワーラインの魅力
「日本の道百選」に選ばれた絶景ルート
房総フラワーラインは、その名の通り、四季折々の花が道路沿いを彩る美しいルートです。特に館山市伊戸から相浜までの約6kmは「日本の道百選」に認定されており、白い砂浜の平砂浦海岸沿いには、冬季の強い南西の風を防ぐためのクロマツ林が広がっています。この砂防用の松林と砂浜の美しさから「白砂青松100選」にも選定されており、海岸へ抜ける遊歩道も整備されています。
空気の澄んだ日には富士山や伊豆諸島を見ながらの絶景サイクリングが満喫できます。海岸線は比較的平坦で、獲得標高も約200m程度と控えめなため、初心者でも無理なく走破できるのが魅力です。
          出典:館山市観光協会
菜の花シーズンは1月下旬〜2月下旬
房総フラワーラインの最大の見どころは、やはり1月下旬から2月下旬にかけて咲き誇る菜の花です。南房総は温暖な気候のため、本州で最も早く菜の花が見頃を迎えます。黄色い菜の花と青い太平洋のコントラストは圧巻で、サイクリストだけでなくドライバーにも人気のスポットとなっています。
菜の花の見頃は12月末から3月中旬まで続きますが、ピークは2月。この時期は週末を中心に多くの観光客が訪れるため、早朝スタートがおすすめです。また、夏季(7〜8月)にはマリーゴールドが咲き、黄色とオレンジの花々が道路を彩ります。
          出典:南房総 花海街道
季節ごとの楽しみ方と注意点
          出典:南房総 花海街道
冬〜春(1〜3月):菜の花のベストシーズン
1月下旬から3月上旬は、房総フラワーライン最大の見どころである菜の花が咲き誇る時期です。南房総は年間を通して温暖で、冬でも比較的走りやすい気候ですが、海岸沿いは風が強いため、ウィンドブレーカーやアームカバーなどの防風対策は必須です。
この時期は北風が卓越するため、館山から南下して和田浦方面へ向かうルートが風向き的には有利です。ただし、日によって風向きが変わるため、出発前に天気予報で風向きを確認することをおすすめします。気温は5〜15℃程度で、日中は比較的暖かいですが、早朝・夕方は冷え込むため、レイヤリングで調整しましょう。
夏(7〜8月):マリーゴールドと海水浴
夏季はマリーゴールドが道路沿いを彩り、菜の花とは異なる鮮やかな黄色〜オレンジ色の景色が楽しめます。しかし、気温が30〜35℃に達する日も多く、早朝スタートが必須です。南房総は湿度も高いため、熱中症対策として水分補給をこまめに行い、休憩も多めに取りましょう。
夏季は南風が強く吹くことが多く、館山から南下するルートは追い風になりやすい傾向があります。海水浴シーズンでもあるため、交通量が増える点にも注意が必要です。平砂浦海岸や館山湾では海水浴も楽しめるので、サイクリングと海水浴を組み合わせるプランもおすすめです。
秋〜冬(9〜12月):風が穏やかで走りやすい
9月から11月は、菜の花シーズンには劣りますが、気温・湿度ともに快適で、サイクリングに最適な季節です。特に10月〜11月は晴天率も高く、気温も15〜25℃程度と走りやすいため、体力づくりや長距離ライドの練習にもぴったりです。
秋は北風に変わる時期で、風向きが安定しない日もあります。また、台風シーズン(9月)は接近・通過の影響を受けやすいため、気象情報をこまめにチェックしましょう。12月以降は菜の花が咲き始めますが、本格的な見頃は1月下旬以降です。
ルート詳細と走行のポイント
館山駅〜洲崎灯台(約15km)
JR館山駅をスタートし、国道410号線を南西方向へ進みます。館山市街地を抜けると、徐々に海岸線が見えてきます。途中、コンビニ(ファミリーマート館山洲宮店など)で補給を済ませておくと安心です。
洲崎灯台・洲崎神社方面へ向かうルートに入ります。この区間は比較的交通量が少なく、海岸線の景色を楽しみながら走れます。洲崎神社は御手洗山の中腹に位置し、境内から東京湾と富士山を望む絶景が楽しめます。洲崎灯台は館山湾と東京湾の境界に位置し、周辺は展望スポットになっており、写真撮影にも最適です。
          出典:Wikimedia Commons
洲崎灯台〜野島崎灯台(約17km)
洲崎灯台を過ぎると、房総半島の最西端から最南端へ向かうルートに入ります。この区間が房総フラワーラインのハイライトで、特に伊戸〜相浜の約6kmは「日本の道百選」区間です。1〜2月は道路沿いに菜の花が咲き誇り、青い太平洋とのコントラストが見事です。
平砂浦海岸沿いは風が強いことで知られており、特に冬季は風速7〜10mに達する日もあります。横風を受けやすいため、ハンドル操作に注意しながら走行しましょう。また、この区間は交通量がやや多いため、車道の左側を走行し、後方確認を怠らないようにしてください。
野島崎灯台は房総半島最南端に位置する白亜の灯台で、登ることができる数少ない灯台の一つです。頂上からは太平洋の大パノラマが楽しめ、晴れた日には水平線の向こうに伊豆大島が見えることもあります。灯台周辺は公園になっており、ベンチやトイレもあるため、休憩ポイントとして最適です。
          出典:千葉県公式観光サイト「まるごとe!ちば」
野島崎灯台〜和田浦駅(約14km)
野島崎灯台から道の駅ちくら潮風王国までは約7km。ここでは海鮮料理が自慢で、アジフライや海鮮丼が人気です。2階の「とと・カフェ」からは外房の海が一望でき、潮風を感じながらの休憩は格別です。
道の駅を過ぎると、JR和田浦駅までは約7km。この区間も海岸沿いを走りますが、交通量は少なめで走りやすいです。和田浦駅周辺には和田浦のお花畑があり、12月から5月頃まで菜の花が楽しめます(南房総市で最も早く菜の花が咲くエリアの一つ)。
和田浦駅はJR内房線の小駅ですが、輪行での帰路には便利です。往復せずにここで終了する場合は、和田浦駅から電車で館山駅まで戻れます(所要時間約20分)。往復する場合は、同じルートを戻るか、内陸側の安房グリーンライン経由で館山に戻るルートもあります。
          出典:千葉県公式観光サイト「まるごとe!ちば」
補給・休憩ポイント
房総フラワーラインは海岸沿いのルートですが、道の駅やコンビニが点在しており、補給・休憩には困りません。ただし、区間によっては10km以上補給ポイントがないこともあるため、事前にルートを確認し、余裕を持って補給を行いましょう。
- ファミリーマート館山洲宮店(館山駅から約7km):コンビニ。ルート序盤の重要な補給ポイント。飲料・軽食の補給に便利。
 - 洲崎神社周辺(館山駅から約12km):自販機あり。休憩・景色を楽しむポイント。
 - 野島崎灯台(館山駅から約25km):トイレ、自販機、休憩スペースあり。
 - 道の駅ちくら潮風王国(館山駅から約32km):トイレ、レストラン、カフェ、自販機、駐車場あり。海鮮料理が人気。最終補給ポイントとして重要。
 - セブンイレブン南房総千倉店(館山駅から約35km):コンビニ。道の駅ちくらの近く。
 
          ※補給のポイント
          ルート序盤のファミリーマート館山洲宮店(館山駅から約7km)で最初の補給を済ませておくと安心です。その後、野島崎灯台を経て、道の駅ちくら潮風王国(館山駅から約32km)が最終補給ポイントとなります。ここで必ず水分と補給食を確保しましょう。夏季は熱中症対策として、経口補水液やスポーツドリンクを携行することをおすすめします。
        
レンタサイクル情報
          出典:館山市観光協会
房総フラワーラインは、愛車でのライドはもちろん、レンタサイクルでも十分に楽しめます。館山駅周辺にはレンタサイクルショップが複数あり、電動アシスト付き自転車も借りられるため、体力に自信のない方や初心者でも安心です。
館山駅西口観光協会
館山駅西口にある館山市観光協会(観光まちづくりセンター)では、50台以上のレンタサイクルを用意しています。電動アシスト付き自転車、シティサイクル、スポーツバイク(クロス・ロード)の3種類があり、用途に応じて選べます。
- シティサイクル(電動アシストなし):1時間300円、2時間500円、1日1,500円
 - 電動アシスト付き自転車:2時間以内600円、3時間以内900円、4時間以内1,200円、5時間以内1,500円
 - 営業時間:9:30〜17:00
 - 予約:電話またはオンラインで予約可能(当日空きがあれば当日申込も可)
 - 特典:館山ファンクラブ会員(無料登録)は2時間以上から100円引き
 
※電動アシスト付き自転車は人気が高いため、週末や菜の花シーズンは事前予約をおすすめします。
          お問い合わせ
          館山市観光協会(館山駅西口)
          電話:0470-22-2000
          公式サイト:https://tateyamacity.com/rental-cycle
        
南房総くるくるしゃららん
館山市と南房総市のレンタサイクルステーション間で相互乗り置きができるシステムです。館山駅西口観光協会、アロハガーデンたてやま、南房総市観光インフォメーションセンター、千倉観光案内所、南房総市内の道の駅など、複数の拠点で借りて別の拠点で返却できます。
- 利用料金:2,800円/1日(電動アシスト付き)
 - 乗り捨て:別途1,000円で別拠点返却可能
 - 利用可能拠点:館山駅西口、道の駅とみうら、道の駅ちくらなど13拠点
 
アクセスと輪行情報
房総フラワーラインは、東京都心から車で約2時間、電車で約2時間半の距離にあり、日帰りサイクリングに最適な立地です。
電車でのアクセス
- JR内房線:東京駅→(総武快速線・内房線)→館山駅(約2時間10分、特急利用で約1時間50分)
 - 輪行:JR内房線は輪行袋を使用すれば自転車の持ち込みが可能(無料)。週末や休日は混雑するため、早朝便の利用がおすすめ。
 
車でのアクセス
- 東京方面から:東京湾アクアライン→館山自動車道→富津館山道路→富浦IC→国道127号・410号(約90分)
 - 駐車場:館山駅周辺にコインパーキングあり(1日500〜1,000円程度)。道の駅とみうら、道の駅ちくらにも無料駐車場あり。
 
輪行のポイント
房総フラワーラインは片道46kmのため、往復すると約90kmになります。体力に自信のない方や、時間に余裕がない方は、館山駅→和田浦駅の片道ルートを走り、和田浦駅から輪行で館山駅に戻るプランがおすすめです。和田浦駅は小駅ですが、輪行袋への収納スペースは確保できます。
          ※輪行時の注意
          JR内房線は週末や休日、特に菜の花シーズン(1〜2月)は混雑します。輪行袋はコンパクトにまとめ、他の乗客の迷惑にならないよう配慮しましょう。また、早朝便(6〜8時台)や夕方以降の比較的空いている時間帯の利用がおすすめです。
        
よくある質問(FAQ)
初心者でも走れますか?
はい、初心者でも走れます。房総フラワーラインは全線アスファルト舗装で、獲得標高も約200mと少なく、比較的平坦なルートです。ただし、片道46kmは初心者にとっては長距離なので、道の駅での休憩を多めに取り、無理のないペースで走ることをおすすめします。電動アシスト付きのレンタサイクルを利用すれば、さらに楽に走れます。
所要時間はどのくらいですか?
片道46kmを平均時速15kmで走ると約3時間、平均時速20kmで走ると約2時間半です。ただし、これは休憩を含まない純粋な走行時間なので、道の駅での休憩や写真撮影、食事の時間を含めると、片道4〜5時間、往復の場合は7〜9時間を見込んでおくと安心です。初心者の方は余裕を持って計画しましょう。
レンタサイクルはありますか?
はい、館山駅西口の観光協会でレンタサイクルを借りられます。シティサイクル(1日1,500円)、電動アシスト付き自転車(1日最大1,500円)、スポーツバイクなど、複数の車種があります。電動アシスト付きは人気が高いため、事前予約をおすすめします。詳細は館山市観光協会(0470-22-2000)にお問い合わせください。
補給ポイントはありますか?
はい、ルート上には道の駅ちくら潮風王国やコンビニが数箇所点在しています。特に道の駅ちくら潮風王国(館山駅から約32km)が最終補給ポイントとして重要です。ここで必ず水分と補給食を確保しましょう。夏季は熱中症対策として、こまめな水分補給を心がけてください。
輪行は必要ですか?
往復する場合は輪行は不要ですが、片道46kmを往復すると約90kmになります。体力に自信のない方や、時間に余裕がない方は、館山駅→和田浦駅の片道ルートを走り、和田浦駅から輪行で館山駅に戻るプランがおすすめです。輪行袋があれば、JR内房線で自転車を無料で持ち込めます。
ベストシーズンはいつですか?
房総フラワーラインのベストシーズンは1月下旬〜2月下旬の菜の花の見頃です。黄色い菜の花と青い海のコントラストが見事で、写真撮影にも最適です。また、9月〜11月も気温・湿度ともに快適で、サイクリングに適しています。夏季(7〜8月)はマリーゴールドが咲きますが、気温が高いため、早朝スタートが必須です。
雨の日は走れますか?
雨の日の走行はおすすめしません。房総フラワーラインは海岸沿いのルートで、雨天時は視界が悪く、路面も滑りやすいため、事故のリスクが高まります。また、菜の花などの景色も楽しめません。天気予報を確認し、晴天の日を選んで走行しましょう。風が強い日も、海岸沿いは横風を受けやすいため注意が必要です。
おすすめの立ち寄りスポットは?
以下のスポットがおすすめです:
- 洲崎神社:房総半島最西端の神社。境内から東京湾と富士山を望む絶景が楽しめます。
 - 野島崎灯台:房総半島最南端の白亜の灯台。登って360度の絶景を楽しめます。
 - 道の駅ちくら潮風王国:海鮮料理が自慢。2階の「とと・カフェ」からは外房の海が一望できます。
 - 洲崎灯台:館山湾と東京湾の境界に位置し、天気が良ければ富士山が見えます。
 
まとめ:体力より好奇心でなんとかなる?
房総フラワーラインは、海と花の絶景、美味しいグルメ、そして温暖な気候が揃った、初心者から中級者まで楽しめる魅力的なサイクリングルートです。片道46kmという距離は初心者にとっては挑戦的かもしれませんが、道の駅での休憩や電動アシスト自転車を活用すれば、無理なく走破できます。
私自身、「体力より好奇心でなんとかするタイプ」として数々のロングライドに挑戦してきましたが、房総フラワーラインは景色の変化が豊かで飽きないのが最大の魅力だと感じました。菜の花、海、灯台、道の駅グルメ…次々と現れる見どころが、疲れを忘れさせてくれます。
特に1月下旬〜2月下旬の菜の花シーズンは、本州で最も早く春を感じられる貴重な時期。週末の日帰りサイクリングに、ぜひ房総フラワーラインを選んでみてください。きっと「また来たい」と思えるルートになるはずです。
          ※出発前の最終チェック
          天気予報(風向き・風速・降水確率)、自転車の整備状況、補給食・水分の携行、輪行袋(必要な場合)、レンタサイクルの予約確認(電動アシスト希望の場合)を忘れずに!安全で楽しいサイクリングを。