「せっかく買ったロードバイク、最近なんだかペダルが重い気がする…」
「チェーンが真っ黒で、触ると手が汚れるのが嫌だ」
そんな悩みを抱えていませんか? 自転車のチェーンは、走りの軽さを左右する心臓部です。ここが汚れていると、パワーロスが発生するだけでなく、チェーンやギアの寿命を縮める原因にもなります。
しかし、いざメンテナンスを始めようと思っても、「クリーナーやオイルの種類が多すぎて何を買えばいいかわからない」と迷ってしまう初心者は非常に多いです。スプレータイプ、リキッドタイプ、ドライにウェット…専門用語ばかりで頭が痛くなりますよね。
そこで今回は、プロやベテランも愛用する「絶対に失敗しない三種の神器(洗浄機・洗浄液・オイル)」を厳選しました。この記事で紹介する道具を揃えれば、誰でも15分で新車の輝きと軽快な走りを取り戻せます。
なぜチェーンメンテナンスが必要なのか?
チェーンメンテナンスを行う最大のメリットは、「走りが劇的に軽くなること」です。汚れや古い油が抵抗となり、あなたがペダルを踏む力を奪っています。洗浄して新しいオイルを差すだけで、ギア1〜2枚分軽くなったように感じることも珍しくありません。
また、砂や鉄粉を含んだ汚れは「ヤスリ」のようにチェーンやギアを削り取ってしまいます。高価なギア交換を避けるためにも、月に1回、または走行距離300〜500kmごとのメンテナンスが推奨されています。
【洗浄器具】ガラガラ回して汚れを物理的に落とす
初心者がやりがちなのが、ウエス(布)とブラシだけでゴシゴシ擦る方法です。しかし、これでは表面の汚れしか落ちず、リンクの奥に入り込んだ砂までは除去できません。
現代のメンテナンスの常識は、通称「ガラガラ」と呼ばれるチェーン洗浄機を使うこと。チェーンを挟み込んでペダルを回すだけで、内部のブラシが徹底的に汚れを掻き出してくれます。
フィニッシュライン プロチェーンクリーナー|世界標準の洗浄機

フィニッシュライン プロチェーンクリーナー TOS04500 の価格を比較する
自転車ケミカルの世界的ブランド、FINISH LINE(フィニッシュライン)のベストセラー商品です。回転するブラシがチェーンの隙間に入り込み、わずか1分ほどで驚くほど綺麗になります。
特徴は、底面に内蔵されたマグネット。チェーンから落ちた金属粉(摩耗した鉄粉)を磁石が吸着し、汚れの再付着を防ぐ仕組みになっています。交換用のブラシも販売されているため、一度買えば長く使える「ド定番」アイテムです。
パークツール チェーンギャング(CG-2.4)|プロ御用達の最高峰

パークツール チェーンギャング CG-2.4 の価格を比較する
自転車工具の最高峰、Park Tool(パークツール)の洗浄機セットです。フィニッシュラインよりも価格は上がりますが、本体の剛性が高く、ブラシの耐久性が段違いに優れています。
持ち手がしっかりしていて作業中にグラつかず、スポンジ部分で汚れた洗浄液を吸い取る構造など、細部まで考え抜かれています。「良い道具を長く使い続けたい」「初期投資を惜しまず完璧なメンテナンスがしたい」という方には、間違いなくこちらがおすすめです。

私が愛用中のパークツール CG-2.4は、初めて使ったとき「洗浄機ってこんなに違うのか!」と驚きました。以前はブラシで手洗いしていましたが、ペダルを10回転ほど回すだけで、ブラシでは落ちなかったリンク奥の汚れがゴッソリ出てきます。本体の剛性が高く、グラつかないのも安心。メンテナンスが楽しくなって、購入当初は毎ライド毎にニコニコ洗浄していたことも笑。今は落ち着いて、3~4ヶ月に一度洗浄してます。
【洗浄剤】頑固な油汚れを溶かす液体クリーナー
洗浄機に入れる洗剤(ディグリーザー)選びで重要なのは、「スプレータイプではなく、液体(リキッド)タイプを選ぶこと」です。
スプレー缶タイプ(AZ A1-008など)は手軽ですが、噴射の勢いで飛び散りやすく、洗浄機に入れて使うとすぐになくなってしまいます。液体タイプなら、必要な分だけ注いで使えるため圧倒的にコスパが良いのが特徴です。
AZ チェーンクリーナー パワーゾル(MCC-002)|コスパ最強の大容量

AZ チェーンクリーナー パワーゾル MCC-002 の価格を比較する
「とにかく安く、綺麗にしたい!」という方に最適なのが、大阪のメーカーAZ(エーゼット)のパワーゾルです。1リットル入りでも千円台という驚異的な価格設定で、汚れをケチらずドバドバと洗い流せます。
水洗い不要タイプですが、洗浄後は水で流すとよりスッキリします。独特の石油臭があるため屋外作業推奨ですが、「初心者はまずこれを買っておけば間違いない」と言えるコスパ最強クリーナーです。
ワコーズ チェーンクリーナー(A179)|室内メンテ派に最適

ワコーズ チェーンクリーナー A179 の価格を比較する
日本のケミカルブランドの雄、WAKO'S(ワコーズ)の製品です。こちらはスプレー缶タイプですが、噴射すると非乾燥性の液体が出てくるため、ブラシを使った手洗い作業に向いています。「生分解性」で環境に優しく、揮発が遅いのが特徴です。
※注意点:こちらはスプレー式のため、上記で紹介した「洗浄機(ガラガラ)」に入れて使うのには向きません。チェーンに直接スプレーしてブラシでゴシゴシ磨く「手作業派」に最適です。
臭いも比較的少ないため、マンションのベランダや室内(要養生)でメンテナンスをする方から絶大な支持を得ています。
※型番注意:似た名前の「フォーミングマルチクリーナー」や、後述するチェーンルブ(A310)と間違えないようご注意ください。正式な型番はA179(CHA-C)です。

私が愛用中のワコーズ A179は、手軽にメンテナンスしたい派には最高です。スプレーを直接チェーンに吹きかけて、ブラシでゴシゴシ。石油臭が少ないので、家の周りでも気兼ねなく使えます。以前はAZパワーゾルを使っていましたが、揮発が遅くて汚れを溶かす時間が長いのが特徴。ただ、洗浄機(ガラガラ)に入れると泡立ってしまい非効率なので、これは「手洗い専用」として割り切って使っています。
Muc-Off(マックオフ) ドライブトレインクリーナー|強力洗浄×オシャレ

Muc-Off ドライブトレインクリーナー 500ml の価格を比較する
イギリス生まれのオシャレなブランド、Muc-Off(マックオフ)。特徴的なネオンイエローの液体は、見た目だけでなく洗浄力も強力です。チェーンのリンク奥深くに入り込んだ油汚れを素早く分解します。
パッケージがスタイリッシュなので、ガレージに置いておくだけで所有欲を満たしてくれるのもポイント。洗浄力とブランドイメージの両方を重視するサイクリストに選ばれています。
【注油】走りの軽さを決めるルブ(オイル)選び
洗浄が終わったら、必ず注油(ルブ)を行います。ここで注意したいのが、「家にあったKURE 5-56や、ホームセンターの機械用オイルスプレーを使ってはいけない」ということです。
一般的な浸透潤滑剤は揮発性が高く、チェーンに必要な油膜を長時間保持できません。また、機械用の安価なスプレーグリスは粘度が高すぎてゴミを吸着し、すぐにチェーンが真っ黒になってしまいます。
必ず「自転車専用」に設計されたチェーンルブを選びましょう。ここでは、初心者でも扱いやすい3つを厳選しました。
KURE チェーンルブ ドライ(No.1602)|晴天専用サラサラ

KURE チェーンルブ ドライ 1602 の価格を比較する
「雨の日は絶対に乗らない」「チェーンは常にピカピカにしておきたい」という方には、このドライタイプが最適です。液体の粘度が低くサラサラしているため、砂やホコリが付着しにくいのが最大の特徴です。
耐久性は低めなのでこまめな注油が必要ですが、チェーンが黒く汚れにくいため、美観を重視するロードバイクユーザーに人気があります。
KURE チェーンルブ セミウェット(No.1601)|迷ったらコレ!

KURE チェーンルブ セミウェット 1601 の価格を比較する
「KUREの銀缶(スーパーチェーンルブ No.1068)を買おうとしていた人は、ちょっと待ってください!」
銀缶は汎用性が高いですが、自転車には粘度が高すぎることがあります。自転車用に専用開発されたのが、この「Made For Speed」シリーズのセミウェット(No.1601)です。
ドライとウェットの中間的な性能で、適度な潤滑性能と汚れにくさをバランスよく両立しています。通勤・通学で使う方や、週末ライダーにはこれが最も扱いやすい「正解」のオイルです。
KURE Made For Speed シリーズ 公式ページ
ワコーズ チェーンルブ(A310)|プロショップ採用No.1

ワコーズ チェーンルブ A310 の価格を比較する
プロショップでの採用率No.1とも言われる、ワコーズの傑作チェーンルブです。最大の特徴は「水置換性」を持っていること。水洗い洗浄をした直後、チェーンのリンク内に水分が残っていても、このオイルを差すと水を追い出して定着します。
完全に乾燥させる手間が省けるため、作業効率が格段に上がります。ハーフウェットタイプで耐久性も高く、失敗したくない全ての人におすすめできる一本です。

私が愛用中のワコーズ A310は、水置換性が本当に神機能です。洗浄後、チェーンを完全に乾かす手間が省けるので、作業時間が半分に。以前は「乾燥させるのが面倒でメンテナンスをサボる」こともありましたが、今は週末ライド前に気軽にメンテナンスできます。特に注油の仕方を丁寧にすることで、仕上がりは雲泥の差。一コマずつオイルを差して、余分なオイルをウエスで拭き取る。このひと手間で、チェーンがピカピカになって走りが劇的に軽くなりますね。聞いただけだと面倒に感じる作業ですが、実際は「無になって没頭できる系」の作業なので意外と楽しいですよ!
あなたにおすすめの「最強セット」はこれ!
ここまで紹介した商品を組み合わせて、あなたのスタイルに合った「最強のメンテナンスセット」を提案します。迷ったらこの組み合わせで揃えてみてください。
| セット名 | 特徴 | 組み合わせ内容 |
|---|---|---|
| パターンA:コスパ入門セット | とにかく安く始めたい!でも失敗したくない人へ。飲み会1回分の予算で愛車が蘇ります。 |
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| パターンB:プロ品質セット | 道具にもこだわりたい。ショップのような仕上がりを自宅で再現したい人へ。 |
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これらのセットに加え、汚れを拭き取るためのウエス(古いTシャツやタオルでOK)と、床を汚さないための新聞紙や段ボールがあれば準備完了です。ぜひ今週末、愛車のメンテナンスに挑戦してみてください!
全8商品の一覧比較表
紹介した全商品を一覧で比較できます。あなたの使い方に合った組み合わせを見つけてください。
| 製品名 | 特徴・評価 | 価格 | タイプ | 容量 | 適した環境 | 推奨レベル |
|---|---|---|---|---|---|---|
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フィニッシュライン プロチェーンクリーナー
| 世界標準の洗浄機 マグネット搭載で金属粉も除去 ★★★★★ | 約5,000円 | チェーン洗浄機 | 本体 + ブラシ | 屋外 / 室内どちらでも | 初心者〜上級者 |
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パークツール チェーンギャング CG-2.4
| プロ御用達の最高峰 剛性・耐久性が段違い ★★★★★ | 約7,000円〜 | チェーン洗浄機キット | 本体 + ブラシ + クリーナー液 | 屋外 / 室内どちらでも | 中級者〜プロ仕様 |
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AZ チェーンクリーナー パワーゾル MCC-002
| コスパ最強の大容量 ドバドバ使える ★★★★☆ | 約1,500円 | 液体クリーナー | 1L 大容量 | 屋外推奨(石油臭あり) | 初心者向け |
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ワコーズ チェーンクリーナー A179
| 室内メンテ派に最適 生分解性で環境に優しい ★★★★★ | 約2,500円 | スプレー式(非乾燥液体) | 330ml スプレー缶 | 室内OK / ベランダ推奨 | 中級者向け(手洗い派) |
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Muc-Off ドライブトレインクリーナー
| 強力洗浄×オシャレ ネオンイエローが特徴 ★★★★★ | 約2,800円 | 液体クリーナー | 500ml ボトル | 屋外 / 室内どちらでも | 中級者〜上級者 |
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KURE チェーンルブ ドライ 1602
| 晴天専用サラサラ 汚れが付きにくい ★★★★☆ | 約800円 | ドライタイプオイル | 130ml スプレー | 屋外 / 室内どちらでも | 初心者〜中級者(晴天専用) |
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KURE チェーンルブ セミウェット 1601
| 迷ったらコレ! バランス型の正解オイル ★★★★★ | 約900円 | セミウェットタイプオイル | 130ml スプレー | 屋外 / 室内どちらでも | 初心者向け(万能型) |
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ワコーズ チェーンルブ A310
| プロショップ採用No.1 水置換性が神機能 ★★★★★ | 約1,800円 | ハーフウェットタイプオイル | 180ml スプレー | 屋外 / 室内どちらでも | 中級者〜プロ仕様 |
よくある質問(FAQ)
チェーンクリーナーに水道水を使っても大丈夫?
基本的には専用クリーナー液を使うことをおすすめします。水道水だけでは油汚れが落ちきらず、かえってサビの原因になる可能性があります。ただし、洗浄液の節約として「一度使った洗浄液を水で薄めて予備洗い用にする」という使い方なら問題ありません。
オイルの「ドライ」「ウェット」の違いは?
ドライ:サラサラで砂やホコリが付きにくい。晴天専用で、こまめな注油が必要。
ウェット:粘度が高く雨に強い。汚れやすいが耐久性があり、長距離ライドに向く。
セミウェット:中間的な性能。晴れでも雨でも対応でき、初心者におすすめ。迷ったらまずこれを選びましょう。
メンテナンスの頻度はどのくらい?
推奨頻度は月に1回、または走行距離300〜500kmごとです。雨の日に走った後や、チェーンが黒ずんできたら早めに洗浄しましょう。また、ペダルが重く感じたり、異音がする場合も洗浄・注油のサインです。
洗浄後、どのくらい乾燥させればいい?
使用するクリーナーによって異なります。AZのパワーゾルのような揮発性の高いものなら5〜10分程度で自然乾燥しますが、水洗いした場合は完全に乾くまで30分〜1時間は待ちましょう。
「ワコーズ チェーンルブ A310」は水置換性を持っているため、濡れたまま注油してもOK。これが一番効率的です。
注油はどうやってやるの?一気にスプレーしてはダメ?
チェーンの「一コマずつ」丁寧にオイルを差すのが基本です。スプレーを全体にシューッと吹きかけるのは、ホイールやブレーキにオイルが飛び散り危険です。
正しい手順:
- チェーンを1周ぐるっと回しながら、各リンクに一滴ずつ差す。
- ペダルを数回逆回転させてオイルを浸透させる。
- 外側に染み出た余分なオイルをウエスで拭き取る。
このひと手間が、走りの軽さを決めます。
チェーンを外して洗った方がいい?
初心者にはおすすめしません。チェーンカッターを使った取り外し作業には慣れが必要で、再取り付けに失敗すると走行中にチェーンが外れる危険があります。
洗浄機(ガラガラ)を使えば、チェーンを装着したまま十分綺麗になります。どうしても外して洗いたい場合は、ミッシングリンク(着脱式コネクタ)の導入を検討してください。
洗浄液は再利用できる?
一度使った洗浄液は黒く濁っていますが、目の細かいコーヒーフィルターや布で濾過すれば2〜3回は再利用可能です。ただし、洗浄力は徐々に落ちていくので、頑固な汚れには新しい液を使いましょう。
AZのパワーゾルは容量が多いので、「一回ごとに使い捨て」というリッチな使い方もアリです。
5-56やCRC 556はチェーンに使えないの?
自転車のチェーンには絶対に使わないでください。5-56やCRC
556は「浸透潤滑剤」であり、錆を落としたり固着したネジを緩める用途に特化した製品です。揮発性が高く、油膜が長持ちしないため、すぐに乾いてチェーンがギシギシ鳴り始めます。
必ず自転車専用のチェーンルブを使いましょう。価格は数百円しか変わりません。








最初はホームセンターで買ったスプレー式潤滑油をドバーッと吹きかけることが「メンテナンス」だと思っていました。直後はまだいいんですが、すぐにチェーンが真っ黒になってベトベトに。「メンテナンスって難しいな…」と悩んでいたとき、一念発起して道具を揃えてみたら、驚くほどチェーンが綺麗になって感動しました。今はガッツリ洗いたい時は洗浄機(パークツール CG-2.4)にAZの液体クリーナー、サッと済ませたい時はスプレー式のワコーズ A179で手洗いと使い分けています。仕上げのオイルは万能なワコーズ A310一択。購入当初のような滑らかさが蘇って、テンションが上がります!