はじめに
軽量テント選び、どこから考える?

登山や自転車旅、バックパッキングなど、荷物を極限まで減らしたいソロキャンパーにとって、テント選びは悩ましい問題です。
軽さはもちろん、収納性や設営の手軽さ、結露や前室の有無まで含めると、どこに重きを置くかで選ぶテントは変わってきます。
しかも選択肢が多すぎて、「結局どれがいいの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
私もそんなひとりでした。でも、実際に旅を重ね、仲間の使うテントを見て、ようやく「これだ」と思えるモデルに出会うことができました。
「軽くて、すぐ張れる」が旅の自由を広げてくれる

この記事では、私が実際に使ってきた軽量テントや、信頼している仲間が愛用しているモデルを中心に紹介します。
中にはAmazonや楽天、Yahoo!ショッピングでは手に入らないモデル(販売終了品や直販限定品)もありますが、本当に良かったものだけを厳選しました。
特に私が愛用しているのは、シングルウォールタイプのテント。
設営30秒・撤収30秒。場所を選ばず張れる手軽さは、まさに旅のスタイルを変えてくれる存在です。
軽くて収納しやすく、どこでもパッと張れる──そんな“自由な寝床”を持つことが、ソロキャンプや旅の可能性をぐっと広げてくれます。
私がシングルウォールを愛用する理由
初テントで感じた「これで泊まれるの?」の感動

私が初めて手にしたのは、今は廃盤になったゴアライト(石井スポーツ)というシングルウォールの黄色いテントでした。
当時は「テント=大きくて重い」「テント=立てるのが難しそう」というイメージが強く、まさか靴の収納バッグのようなサイズから出てきたものが寝床になるなんて思ってもいませんでした。
設営も拍子抜けするほど簡単で、「これで本当に泊まれるの?」と半信半疑。
けれど実際に一晩を過ごしてみると、驚くほど快適。秘密基地みたいでテンションはバク上がりでした。
それ以来、私の中では「テント=重装備」ではなく、「気軽に使える旅道具」という感覚にガラッと変わったのです。
「良いものは良い」を軸に、リアルな目線で紹介
自転車旅やテン泊登山では、荷物をできるだけ軽く、コンパクトにまとめたい。
そんなスタイルに、シングルウォールテントはぴったりです。
収納時は2Lのペットボトル並みに小さく、設営も撤収もどちらも慣れれば30秒。
「テントを張るぞ!」という意気込みはいらず、お茶でも飲もうかなという感覚で寝床を用意できます。
この軽快さが、旅の自由度を大きく広げてくれるんです。
天気が怪しいときや疲れたときにすぐ張れる安心感。朝の撤収も一瞬で済むから、出発もスムーズ。
“軽いテント”は、ただの荷物ではなく、行動力を後押ししてくれる存在だと感じています。
シングルウォールのデメリットも正直に
結露は確かに起きる。でも慣れれば平気

シングルウォールテント最大の弱点は、やはり結露問題です。
外と内の温度差が大きい朝方などには、壁面にびっしり水滴がつくことも珍しくありません。
ただ、正直なところ「慣れれば全然問題ない」と感じています。
例えば、ザックカバーを内側に立てかけておいたり、寝袋に軽くカバーをかけたりすれば、濡らしたくないものはしっかり守れる。天気と気温の傾向をつかめば、ある程度の予測と対策もできます。
そして何より、撤収が速いので、多少濡れていてもパッとしまって後で乾かせばOK。
「対処できる結露」だと思えば、それほど気にせず使えます。
前室がないことは“割り切り”と“工夫”でなんとかなる

もうひとつの難点が、前室がないこと。
調理スペースや靴の置き場がテントの外になるため、雨の日や風の強い日はちょっと不便を感じることもあります。
でも、その代わりに得られるのが、極限まで削ぎ落とされた軽さと収納性です。
私は、コンパクトなタープやザックのレインカバーをうまく活用したり、小さなグラウンドシートを敷いてスペースを広げたりして、“ちょっとした工夫”でなんとかなっているのが正直なところ。
そもそも雨の日は調理をしないという選択肢も全然アリだと思っています。
もちろん、悪天候が続くような旅や、数泊以上の滞在を前提とするなら、ダブルウォールの方が絶対に快適です。
でも、1〜2泊の気軽な旅ならシングルウォールで十分。むしろ「軽快さを優先したい人」にとっては、前室をなくす選択は全然アリだと感じています。
ちなみに私は、2週間〜1ヶ月の長旅でもシングルウォールで全然いける派です。
不便はあっても、そのぶん気楽で、持ち運べる“マイルーム感”が何より快適なんですよね。
本当に良かった軽量テント【愛用&信頼モデル】
PAINE G-LIGHT(※現在は廃盤)
私が初めて購入した旅用テント。
子どものころに読んだアウトドア雑誌で紹介されていて、ずっと漠然と憧れていた一張りでした。
実際に手にしてみると、極限まで無駄を削ぎ落としたデザインと、信じられないほど小さな収納サイズに衝撃を受けました。
「それ、テントなの!?」という驚きは、今でもはっきり覚えています。
設営は慣れれば30秒、ポールを2本指すだけで完了。
当時としてはとにかく軽く、重量は約1.3kg、収納時は2Lペットボトルくらいのサイズ感でした(ポール込みで!)。
現在は廃盤となってしまったため、中古市場で状態の良いものを見つけられたらかなりラッキーなレベル。
もちろん思い出補正もありますし、今はもっと良いテントもあると思います。
それでも、私にとっては苦楽を共に過ごした、思い出深いテントです。
アライテント エアライズ2
現在メインで使っているシングルウォールテントです。
登山や縦走では定番中の定番で、テン場に行くとエアライズがズラッと並んでいることも珍しくありません。
軽さ・耐久性・設営のしやすさのバランスが非常に優れていて、「迷ったらこれを選べば間違いない」と言える安心感があります。
特に気に入っているのは、トラブル時にもパーツ単位で補修できる手厚いサポート体制。
やっつけ修理ではなく、きちんと直して長く使っていける安心感は、私にとって大きな決め手になっています。
内部は意外と広く、ソロで使うとゆったりとした居住空間に。荷物をテント内に収めることもできて、快適性と軽さのバランスを求める人には特におすすめです。
ちなみに、エアライズ2は横幅130cm・高さ105cm。
より軽量・コンパクトにしたいなら、横幅100cm・高さ100cmのエアライズ1も選択肢になります。
私は中に荷物を入れて過ごすことが多いので、あえて2人用サイズのエアライズ2を使っています。
エスパース ソロ アルティメイト
私がアライテント・エアライズと並行して使っているテントのひとつ。
軽さと安心感のバランスを突き詰めた、国産の本格山岳テントです。
シングルウォールではなくダブルウォール構造ですが、それを感じさせないほどの軽さ(約1.34kg)とコンパクトさが魅力。
設営は独自のポール構造でスムーズで、軽量ポールと丁寧な縫製、信頼できる素材選定が「日本のものづくり」をしっかり体現しています。
前後の出入口には小さな張り出しスペースがあり、靴を置ける程度の最小限の前室機能も搭載。過剰ではない設計が潔いです。
個人的に気に入っているポイントは:
フライシートの取り付けが非常に簡単なこと
ペグが少なくてもなんとかなる(推奨はされませんが、2本だけでも自立します)
暑い日にはフライを外して、メッシュ全開のシングルウォール的使い方もできること
いわゆる“おしゃれテント”とは対極にあるデザインですが、夏の自転車旅や登山にちょうどいい、実用本位の一張りです。
これから本格装備を揃えたい人にもおすすめできるテントだと思います。
MSR エリクサー2
初心者から上級者まで。軽量ダブルウォールの定番モデル。
居住空間にゆとりがあり、両サイドに前室も付いているので、雨の日でも快適。
耐久性の高いポールと、しっかりしたフライ構造で、多少の荒天でも安心して使えるのが強みです。
収納サイズはそこそこありますが、ソロ+荷物多めスタイルに最適。
知人が何人も愛用しており、以前5人くらいでキャンプに出かけたとき、5人中3人が使っていました。「結局これが一番楽」という声をよく聞きます。
モンベル マイティドーム2
通気性と防水性を両立した、国産の軽量シングルウォールテント。
素材にはブリーズドライテック®プラスを採用し、1.24kgと十分軽量ながら、安心感のある構造が特徴です。
2人用サイズで室内はゆとりがあり、荷物を中に入れても快適。
登山だけでなく、自転車やカヌーツーリングにも対応しており、使い勝手の良さを感じます。
モンベルのテントといえばステラリッジが定番ですが、シングルウォール派ならマイティドームも選択肢に入れて損はありません。
テント選びのヒント|用途やスタイル別の考え方
旅のスタイルが“選ぶ基準”になる

テント選びに正解はありませんが、「どんな旅をするか」で必要な機能や重視すべきポイントは自然と見えてきます。
例えば、自転車旅やテン泊登山でとにかく軽さとコンパクトさを優先したいなら、シングルウォール+自立式のテントがおすすめ。
設営・撤収のしやすさも含めて、荷物の負担を最小限に抑えることができます。
一方、連泊や悪天候のリスクが高い旅では、ダブルウォール+前室ありのテントが安心。
結露対策や調理スペースの確保もしやすく、滞在中の快適性が大きく変わります。
「何を犠牲にできるか」を考えてみる
テントには、軽さ・居住性・耐候性・価格など、さまざまな要素がありますが、すべてを完璧に満たす“万能な一張り”は存在しません。
だからこそ、「自分は何を妥協できるか」を基準に考えることが、テント選びで後悔しないためのポイントになります。
私の場合は、設営スピードと収納性を最重視しています。
前室がなかったり、多少結露しやすかったりしても、それは許容範囲。むしろ、ペグなしでも自立するシングルウォールの手軽さは一度使うと手放せません。
例えば自転車旅では、道の駅や公園の一角など、コンクリートの上に張るケースも意外と多いもの。
その点、シングルウォールなら“ポールを立てて終わり”という感覚で、どこでもパッと張れる自由さがあります。
一方、ダブルウォールでは前室の確保にペグが必須なことが多く、張り方に工夫が求められる場面もあると感じています。
もちろん、テント内でゆったりくつろぎたい人や、悪天候にしっかり備えたい人にとっては、多少重くても居住性の高いテントを選んだほうが満足度は高くなります。
迷ったときは、「テントで何をしたいか」ではなく、「旅全体で何を大事にしたいか」を考えてみてください。
過ごすシーンを具体的にイメージすれば、きっと“今の自分にちょうどいい一張り”が見えてくるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q. シングルウォールとダブルウォール、結局どっちがいいの?
どちらにもメリットがあります。
シングルウォールは軽さと設営の手軽さが魅力で、コンパクトに持ち運べるため、自転車旅や短期の登山にはぴったり。
一方、ダブルウォールは結露に強く、前室があるなど快適性に優れています。
私は、寝るだけの利用が中心ならシングルウォール、テント内で過ごす時間が長そうなときはダブルウォールと、状況に応じて使い分けています。
Q. 結露って本当に気になりますか?
気にはなりますが、致命的な問題ではありません。
通気性のある素材やベンチレーターである程度防げますし、寝袋やマットを濡らさない工夫(ザックを壁際に置いてガードにするなど)をすれば、実用上は問題ないと感じています。
私の場合は、朝の拭き取りと日干しがルーティンになっていますし、そもそも晴れていればすぐに乾くのであまり気にしていません。
シングルウォールならではの“割り切り”も、慣れれば快適です。
Q. 自転車旅でテントを持っていくとき、収納はどうしてる?
私は主にサドルバッグやフロントバッグに収納しています。
マットやシュラフと同じくらいのサイズに収まるテントを選んでおくと、パッキングが楽で、バランスも取りやすくなります。
ポールがやや長いモデルを使う場合は、フレームの横やフロントフォークにくくりつけるという方法もおすすめです。
Q. グランドシートはあったほうがいいですか?
あれば安心ですが、私は使っていません。
軽量化を優先して省略していますが、地面が濡れているときはビニール袋やタイベックで代用することもあります。
テントの寿命を延ばしたい人や、岩場・湿地などに張ることが多い人にはあったほうが安心ですが、
旅スタイルによっては「なくてもなんとかなる」装備のひとつだと思っています。
まとめ|「自分に合う一張り」を見つけよう
ソロキャンプや自転車旅で使うテントは、軽さ・手軽さ・快適性のバランスがとても大切です。
今回紹介したテントはいずれも、「これなら持って行こう」と思える機動力を備えたモデルばかり。
特にシングルウォールの軽快さに惹かれる人にとっては、どれも心強い相棒になるはずです。
テント選びで迷ったときは、自分の旅スタイルや優先したいことを軸に考えてみてください。「この1張りがあってよかった」と思えるような出会いがありますように。