「ロードバイクにはビンディングシューズが必須」そんな風に思い込んでいませんか?
普通のスニーカーでペダリングをしていると、雨の日にペダルから足が滑ったり、長時間乗ると足の裏が痛くなったりした経験はありませんか? それは、スニーカーのソールが柔らかすぎることが原因です。
この記事では、初心者の方に向けて、スニーカーとの違いや失敗しない選び方、そして今買うべきおすすめのフラットペダル用シューズ7選をご紹介します。足元のストレスを解消して、もっと自由にサイクリングを楽しみましょう。
フラットペダル用シューズとスニーカーの決定的な違い
「見た目が似ているなら、普通のスニーカーでいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、自転車専用に設計されたシューズには、スニーカーにはない3つの決定的な機能が備わっています。
1. ソールの剛性(ペダリング効率)
一般的なランニングシューズやスニーカーは、歩行時の衝撃を吸収するためにソールが柔らかく作られています。しかし、自転車においてはこれがデメリットになります。ペダルを踏み込んだ際にソールが変形してしまい、せっかくのパワーが逃げてしまうのです。専用シューズはソールに適度な剛性(硬さ)があり、踏んだ力をロスなく自転車に伝えます。
2. グリップ力(ピンとの相性)
フラットペダルには、靴底に食いつくための「ピン」が付いています。専用シューズのアウトソールは、このピンがしっかりと噛み合うようなラバー素材やパターンを採用しています。雨の日や段差でも足がズレにくく、安全性と安心感が段違いです。
3. 足裏の疲労軽減
柔らかい靴底で長時間ペダルを踏み続けると、ペダルの軸が当たる一点に圧力が集中し、足の裏が痛くなりやすいです。専用シューズは硬いソールが足裏全体に圧力を分散させるため、ロングライドでも疲れにくいというメリットがあります。
ビンディングシューズとの違いは?
ビンディングはペダルと靴を固定するため効率は最強ですが、立ちゴケのリスクや歩きにくさがあります。フラットペダル用シューズは、「着脱が自由で転倒リスクが低い」「観光地やカフェでも違和感なく歩ける」という点で、初心者や街乗り派に圧倒的なメリットがあります。
フラットペダル用シューズの選び方【初心者向け3つのポイント】
①用途で選ぶ(街乗り vs MTB)
まずは、自分がどのようなシーンで走るかを明確にしましょう。
- 街乗り・通勤・通学: バイクを降りて歩くことが多いため、歩きやすさとカジュアルなデザインを重視しましょう。スニーカーライクな見た目のモデルがおすすめです。
- MTB・トレイルライド: オフロードではペダルからの脱落が命取りになります。強力なグリップ力と、岩や木から足を守るつま先の保護機能(トゥボックス)が必要です。
- 自転車旅・バイクパッキング: 輪行やキャンプなど様々な状況に対応するため、軽量で通気性が良く、濡れても乾きやすい多機能なモデルが適しています。
②ソールのグリップ力で選ぶ
グリップ力は、使用されているラバーコンパウンド(ゴムの素材)で決まります。各メーカーが独自の技術を競っています。
- Stealth(Five Ten): クライミングシューズ譲りの圧倒的なグリップ力。「吸い付く」ような感覚が特徴。
- ULTREAD(Shimano): 耐久性とグリップのバランスが良く、歩きやすさも考慮されています。
- MC2(Crankbrothers): 自社のペダル形状に合わせて最適化されており、振動吸収性に優れています。
③歩きやすさ・快適性で選ぶ
ソールの硬さはペダリング効率を上げますが、硬すぎると歩く時にペンギンのようになってしまいます。街乗りメインなら適度な屈曲性があるモデルを選びましょう。また、靴紐(シューレース)はフィット感が良いですが、チェーンへの巻き込みリスクがあります。紐をまとめるゴムバンドが付いているか、あるいはダイヤル式(BOA)やファストレースを選ぶと安心です。
【用途別】初心者向けフラットペダル用シューズおすすめ7選
ここからは、用途別に厳選したおすすめの7足をご紹介します。あなたのスタイルに合う一足を見つけてください。
カテゴリ1:通勤・通学・カフェライド|見た目と歩きやすさ重視
こんな人におすすめ: バイクを降りてもカフェやコンビニに気軽に入りたい人、スニーカー感覚で使いたい人
①クローム サウスサイド 3.0 ロー|スニーカー感覚で普段使いOK

クローム サウスサイド 3.0 ローの価格を比較する
メッセンジャーバッグで有名なCHROME(クローム)のベストセラーモデルです。見た目はクラシックなスニーカーですが、日本のタイヤメーカー「Panaracer(パナレーサー)」と共同開発したソールを採用しています。タイヤ譲りのグリップ力と耐久性は折り紙付き。さらにソール内部には「PowerPlate」というナイロンシャンクが内蔵されており、ペダリング時の剛性を確保しています。
アッパーには速乾性と耐久性に優れた合成素材を使用しており、泥汚れや水しぶき程度なら弾いてくれます(※完全防水ではありません)。価格は約13,000円と手頃で、ジーンズや短パンとも相性抜群です。本格的なトレイルには向きませんが、街乗り最強の一足と言えるでしょう。
②シマノ SH-ET501|コスパと歩きやすさの定番

シマノ SH-ET501の価格を比較する
日本が誇る自転車パーツメーカーシマノが、E-BIKEやツーリング向けに開発したモデルです。特徴は、トラブルが少なく誰にでも扱いやすい「クラシックシューレース(靴紐)」仕様であること。足の甲全体を均一に締め上げることができ、アウトドアシューズらしい見た目は普段着にも馴染みます。
ソールは半円形のブロックパターンを採用しており、ペダルへの食いつきと歩行時のトラクションを両立しています。価格は約13,000円。通気性も良く、初めての専用シューズとして間違いのない選択肢です。

初めて買ったフラットシューズがシマノだったので、その流れで今もシマノ使ってます。最近のメインはこのSH-ET501。スニーカーみたいな履き心地だし、漕ぎやすいし、足裏も痛くならないし、まったく不満ないですねー。特別な理由があって選んだわけじゃないけど、結果的にこれで正解だったなと思ってます。
カテゴリ2:トレイルライド・MTBコース|グリップと防御力重視
こんな人におすすめ: ペダルからの足のズレを絶対に防ぎたい人、本格的にMTBを楽しみたい人
③アディダス ファイブテン フリーライダー プロ|MTB界の絶対王者

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フラットペダルシューズの代名詞とも言えるのが、Five Ten(ファイブテン)です。最大の特徴は、独自の「Stealth S1ラバー」。まるでペダルに磁石でくっついているかのような、異次元のグリップ力を発揮します。
つま先部分は耐衝撃性の高いトゥボックスで保護されており、岩にヒットしても安心です。価格は約18,000円と安くはありませんが、耐久性が高く長持ちします。「迷ったらこれを買え」と言われるほどの業界標準モデルです。

山をやる知人が使っているのを見せてもらったことがありますが、まるで作業靴みたいな頑丈さに驚きました。ソールの厚みとトゥボックスの硬さが、私の使っているシマノ ET501とは全く別物でしたね。グリップ力も触っただけで「これは違う」と感じました。ダートをやらない私には過剰スペックですが、MTB好きなら納得の一足だと思います。
④シマノ SH-GF600|本格派MTB向けの新世代モデル

シマノ SH-GF600の価格を比較する
シマノのダウンヒル・エンデューロ向け主力モデルです。新開発の「ULTREAD GFラバー」を採用し、低温下でも硬くなりにくく、安定したピンへの食いつきを実現しています。
アッパーはパッド入りで足首周りの保護性能が高く、激しいライディングにも対応します。価格は約22,000円。シマノらしい高品質な作りで、サイズ展開も豊富なため、フィット感を重視する方におすすめです。
⑤クランクブラザーズ スタンプ レース|ペダルと合わせたい人へ

クランクブラザーズ スタンプ レースの価格を比較する
ペダルメーカーであるCrankbrothers(クランクブラザーズ)が、「ペダルとシューズのシステム」として開発したシューズです。ソールパターンは同社の人気ペダル「Stamp」のピン配置に合わせて設計されています。
独自のMC2ラバーは振動吸収性が高く、荒れた路面でも足の疲れを軽減してくれます。価格は約20,000円。デザインも洗練されており、ペダルとブランドを統一したいこだわり派に最適です。
カテゴリ3:自転車旅・バイクパッキング|軽快さと多機能性
こんな人におすすめ: 自転車+徒歩のミックスルートを攻める人、バイクパッキングや長距離ツーリング
⑥アディダス ファイブテン トレイルクロス LT|山歩きもする人へ

ファイブテン トレイルクロス LTの価格を比較する
「自転車に乗って山へ行き、そのままハイキングも楽しむ」そんなスタイルに特化したモデルです。Freeriderよりも大幅に軽量化されており、アッパーはメッシュ素材で通気性と速乾性が抜群です。
ソールにはもちろんStealthラバーを使用していますが、つま先とかかとのパターンを変えることで、歩行時のグリップ力を高めています。価格は約14,000円。夏場のツーリングや、輪行を伴う旅には最高の相棒になります。
⑦ジロ トラッカー ファストレース|軽さ至上主義の人へ

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ヘルメットやシューズで高い人気を誇るGIRO(ジロ)の軽量モデルです。最大の特徴は、紐をグイッと引っ張って留め具でロックするだけの「ファストレースシステム」。ダイヤル式よりも軽量で、一般的な靴紐のように走行中に解ける心配もありません。脱ぎ履きが頻繁な街乗りやキャンプシーンで非常に便利です。
独自開発のTACKラバーは適度な粘り気があり、ペダルをしっかりグリップします。価格は約17,000円。スッキリとした細身のシルエットで、サイクルジャージだけでなくカジュアルウェアにも合わせやすいデザインです。
フラットペダル用シューズ7選 スペック比較表
用途やソールタイプ、締め付け方式など、重要なポイントを一覧で比較できます。
| 製品名 | 特徴・評価 | 価格 | 用途 | ソールタイプ | 締め付け方式 | 重量感 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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クローム サウスサイド 3.0 ロー
| 街乗り最強スニーカー型 パナレーサーコラボ ★★★★☆ | 約13,000円 | 通勤・カフェライド | Panaracer + PowerPlate | シューレース (紐) | 普通 |
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シマノ SH-ET501
| 初心者向けコスパ最強 歩きやすさ◎ ★★★★★ | 約13,000円 | ツーリング・E-BIKE | ブロックパターンラバー 半円形ブロック | シューレース (紐) | 普通 |
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ファイブテン フリーライダー プロ
| MTB界の絶対王者 グリップ力最強 ★★★★★ | 約18,000円 | MTB・トレイル | Stealth S1 最強グリップ | シューレース (紐) | やや重い |
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シマノ SH-GF600
| ハイエンドMTBモデル 高品質・高性能 ★★★★☆ | 約22,000円 | ダウンヒル・エンデューロ | ULTREAD GF 低温対応 | シューレース (紐) | やや重い |
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クランクブラザーズ スタンプ レース
| ペダルとシステム設計 振動吸収性◎ ★★★★☆ | 約20,000円 | MTB・トレイル | MC2ラバー Stamp専用最適化 | シューレース (紐) | 普通 |
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ファイブテン トレイルクロス LT
| 軽量+通気性抜群 夏の自転車旅に最適 ★★★★☆ | 約14,000円 | バイクパッキング・輪行 | Stealth 軽量メッシュ | シューレース (紐) | 軽い |
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ジロ トラッカー ファストレース
| 脱着楽々ファストレース 細身でカジュアル ★★★★☆ | 約17,000円 | ツーリング・キャンプ | TACKラバー 粘着性◎ | ファストレース (引き紐ロック) | 軽い |
フラットペダル用シューズのメンテナンス方法
お気に入りのシューズを長く使うためには、日頃のメンテナンスが大切です。
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ソールの汚れはこまめに落とす
ライド後、ペダルのピンが食い込む部分に泥やゴミが詰まってませんか?私は家に帰ったらすぐ、玄関で古い歯ブラシか100均のデッキブラシでゴシゴシやってます。これだけでグリップ力が全然違いますよ。 -
防水スプレーはケチらず使う
新品で買ったとき、あと洗った後には防水スプレーをシュッとひと吹き。完全防水にはなりませんが、泥汚れが落ちやすくなるし、急な雨でも浸水が遅れて助かります。私はAmazonで安いやつを常備してます。 -
保管場所には気を使う
夏場の車内とか、ベランダの直射日光が当たる場所に放置すると、ソールのゴムと接着剤が劣化します(過去に一足ダメにしました……)。玄関の日陰とか、シューズラックの下段あたりが無難です。
よくある質問(FAQ)
スニーカーでも代用できる?
近所の買い物程度なら問題ありませんが、長距離ライドやトレイルでは推奨しません。ソールが柔らかすぎて足が疲れやすく、ペダルから滑ってケガをするリスクがあるため、専用シューズの使用を強くおすすめします。
ビンディングシューズとどちらを選ぶべき?
「速く走ること」が最優先ならビンディングですが、「気軽に楽しむ」「歩くことも多い」ならフラットペダル用シューズが最適です。初心者はまずフラットペダルでバイクコントロールを身につけてから、必要に応じてビンディングを検討するのが良いでしょう。
サイズ選びのコツは?
できれば実店舗で試着するのが理想です。メーカーによって足型(ラスト)が異なります。通販で購入する場合は、厚手の靴下を履くことを考慮して、普段のスニーカーより0.5cm程度大きめを選ぶか、サイズ交換可能なショップを利用すると安心です。
雨天時の対策は?
防水スプレーを使用するのが基本ですが、完全防水ではありません。雨の日もガッツリ走るなら、ゴアテックス(GTX)素材を採用したモデル(例:シマノ SH-GF800 GTXなど)を検討してみてください。
まとめ|自分に合った一足を見つけよう
フラットペダル専用シューズは、スニーカーとは似て非なるものです。一度そのグリップ力とペダリングのしやすさを体感すると、もう元のスニーカーには戻れなくなるでしょう。
最後に、用途別のおすすめを整理します。
- 街乗り・カフェライドなら:
Chrome サウスサイド 3.0 ロー、シマノ SH-ET501 - 本格的なMTB・トレイルなら:
Five Ten フリーライダー プロ、シマノ SH-GF600 - 自転車旅・アドベンチャーなら:
Five Ten トレイルクロス LT、ジロ トラッカー
私自身、自転車旅でフラットペダルシューズに変えてから、景色を楽しみ、気になったお店に立ち寄る余裕が生まれました。あなたもぜひ、自分にぴったりの一足を見つけて、より自由で快適なサイクリングライフを楽しんでください。







筆者が自転車を使って遊び始めたのは自転車旅が最初でした。当初はサンダル(夏)とスニーカー(夏以外)の2足履きで、それはそれで問題なかったのですが、スニーカーを専用のフラットペダル用シューズに履き替えてからは「これは快適!踏みやすい!」と感動しました。個人的には自転車旅にはフラットシューズ、普段の日帰りや1泊程度のサイクリングにはSPDが最適かなと思っています。