ロードバイクやクロスバイクに乗り始めたばかりの方にとって、チェーンメンテナンスは難しそうに感じるかもしれません。しかし、適切な洗浄剤と注油剤を使えば、初心者でも簡単に愛車のパフォーマンスを向上させることができます。チェーンの寿命を延ばし、快適な走りを維持するために、基本的なメンテナンス方法とおすすめ製品5選をご紹介します。
なぜ自転車チェーンのメンテナンスが必要? 3つの理由
出典:バイクプラス
理由1:寿命を延ばす - チェーンの汚れや劣化した潤滑油は、チェーン自体だけでなく、スプロケットやチェーンリングの摩耗を加速させます。定期的なメンテナンスにより、これらの高価なパーツの交換頻度を大幅に減らすことができます。
理由2:走行性能の向上 - 清潔で適切に潤滑されたチェーンは、ペダリング時の抵抗が少なく、変速もスムーズになります。特にヒルクライムや長距離ライドでは、その差は歴然として現れます。
理由3:異音の防止とトラブル回避 - 汚れたチェーンから発生する「キーキー」「ガリガリ」といった異音は不快なだけでなく、チェーン切れなどの重大なトラブルの前兆でもあります。定期メンテナンスでこれらを未然に防げます。
初心者でも簡単!チェーンメンテナンスの基本ステップ
STEP 1: 準備するもの(工具とケミカル)
必要なものは意外とシンプルです。チェーンクリーナー(洗浄剤)、チェーンルブ(注油剤)、ウエス(布)は必須アイテム。チェーンブラシやチェーン洗浄機があれば作業効率が格段に上がりますが、最初は無くても十分です。使い捨てグローブがあると手を汚さずに済みます。
STEP 2: チェーンの洗浄(汚れ落とし)
チェーンクリーナーをチェーン全体に吹きかけ、ブラシで汚れを落とします。チェーン洗浄機を使う場合は、クリーナーを入れてクランクを数回転させるだけで効率的に洗浄できます。水で洗い流すタイプと拭き取りタイプがあるので、製品の指示に従ってください。
STEP 3: 注油(ルブの塗布)
チェーンを完全に乾燥させてから注油します。チェーンの各リンクの内側に1滴ずつルブを塗布し、クランクを逆回転させながら全体に行き渡らせます。外側ではなく内側に注油するのがポイントです。
STEP 4: 拭き取りと仕上げ
注油後は5〜10分待って浸透させた後、チェーン表面の余分なオイルをウエスで拭き取ります。表面に残ったオイルは汚れを呼び込む原因となるため、この工程は必須です。「内部に潤滑、表面はドライ」が理想的な状態です。
チェーンメンテナンスの適切な頻度は?
走行条件によってメンテナンス頻度は変わります。晴天時のロード走行なら200〜300kmごと、雨天走行後は必ずメンテナンスが基本です。オフロードや砂埃の多い環境では100kmごと、通勤・街乗り中心なら月1回程度が目安となります。
メンテナンスのタイミングを見極めるサインもあります。チェーンから異音がする、チェーンが黒く汚れている、ペダリングが重くなった、変速の調子が悪い、などの症状が出たら即座にメンテナンスを行いましょう。
【タイプ別】おすすめチェーン洗浄剤&注油剤(ルブ)5選
1. WAKO'S (ワコーズ) チェーンクリーナー&チェーンルブ
出典:Amazon
WAKO'S(ワコーズ)は自動車用ケミカルで有名な日本メーカーで、自転車用製品も高品質で知られています。チェーンクリーナー(CHA-C)は非乾燥タイプで生分解性の洗浄剤。頑固な油汚れを強力に落とし、防錆剤配合でチェーンを保護します。
チェーンルブ(CHL)はフッ素樹脂配合のスプレータイプで、優れた浸透力と潤滑性能が特徴。水置換性があるため、洗車直後でも使用可能。約300〜400kmの走行距離で高い耐久性を発揮します。
価格:チェーンクリーナー 約1,650円、チェーンルブ 約1,760円(税込・2025年10月時点)
メリット:プロショップでも採用される信頼性、浸透力と耐久性のバランスが良い、雨天後でも使える水置換性
デメリット:価格がやや高め、スプレー式なので飛び散りに注意
2. FINISH LINE (フィニッシュライン) 1-ステップ クリーナー&ルブリカント
出典:フィニッシュライン公式サイト
FINISH LINE(フィニッシュライン)はアメリカの自転車ケミカル専門メーカー。この「1-ステップ クリーナー&ルブリカント」は、洗浄と注油が同時にできるという画期的な製品です。
使い方は簡単で、チェーンに塗布してクランクを回転させ、ウエスで拭き取るだけ。従来のような洗浄→乾燥→注油という手順が不要なため、メンテナンス時間を大幅に短縮できます。特に時間がない時や、ツーリング先での簡易メンテナンスに最適です。
価格:120mlボトル 約1,200円、502mlエアゾール缶 約2,500円(税込・2025年10月時点)
メリット:メンテナンス時間が短い、初心者でも失敗しにくい、携帯に便利なサイズあり
デメリット:本格的な汚れには専用クリーナーに劣る、耐久性はやや控えめ(約150〜200km)
FINISH LINE 1-Step Cleaner & Lubricant 公式ページ
3. MUC-OFF (マックオフ) ドライルブ / ウェットルブ
出典:バイクプラス
MUC-OFF(マックオフ)はイギリス発の自転車ケミカルブランドで、カラフルなパッケージとプロチームへの供給実績で知られています。ルブは天候や走行条件に合わせて複数のラインナップから選択可能です。
DRY LUBE(ドライルブ):晴天・乾燥した環境向け。サラサラとした質感で汚れが付きにくく、チェーンを清潔に保てます。走行距離は約200〜300km。
WET LUBE(ウェットルブ):雨天・ウェット条件向け。粘度が高く、雨でも流れ落ちにくい。長距離ライドやオールシーズン使いたい方に。走行距離は約300〜400km。
C3 CERAMIC LUBE(C3セラミックルブ):セラミック配合の最上位モデル。摩擦抵抗を最小限に抑え、最長400km以上の耐久性を実現。
価格:50ml 約1,400〜1,800円、120ml 約2,200〜2,800円(税込・2025年10月時点)※モデルにより変動
メリット:用途に合わせて選べる、プロチーム採用の信頼性、環境に配慮した生分解性
デメリット:種類が多く選択に迷う、価格帯がやや高め
4. AZ (エーゼット) チェーンディグリーザー 高浸透タイプ
出典:AZ公式サイト
AZ(エーゼット)は日本の工業用ケミカルメーカーで、コストパフォーマンスの高さが最大の魅力です。チェーンディグリーザー高浸透タイプ(A1-008)は、環境にやさしい植物系洗剤を使用しながら、強力な洗浄力を発揮します。
高浸透タイプなので、チェーンの奥深くまで浸透し、リンク内部の頑固な汚れも除去。防錆剤配合で、洗浄後のチェーンを錆から守ります。500mlの大容量で、約755円という価格は他社製品の半額以下。頻繁にメンテナンスする方や、複数台の自転車を所有している方におすすめです。
注意点として、洗浄後は水でしっかり洗い流すか、ウエスで丁寧に拭き取ることが必要。その後、別途チェーンルブで注油してください。
価格:500ml 約755円(税込・2025年10月時点)
メリット:圧倒的なコストパフォーマンス、大容量でたっぷり使える、環境にやさしい植物系洗剤
デメリット:洗浄専用なので別途ルブが必要、強力なため取り扱いに注意
5. KURE (呉工業) チェーンクリーナー&チェーンルブ ドライ
出典:呉工業公式サイト
KURE(呉工業)は「5-56」で有名な日本の総合ケミカルメーカー。「Made For Speed」シリーズは自転車専用に開発されたラインナップです。
チェーンルブ ドライ(No.1602)は、ドライタイプの潤滑剤で、サラサラとした質感が特徴。汚れやホコリの付着を抑え、チェーンを清潔に保ちます。抜群の浸透力で細部まで行き渡り、摩擦抵抗を低減してスムーズな走りを実現。約400kmの走行距離で優れた耐久性を発揮します。
チェーンクリーナー ジェットと組み合わせることで、より効果的なメンテナンスが可能。ホームセンターやカー用品店でも入手しやすく、価格も手頃なため、初心者の最初の1本としておすすめです。
価格:チェーンルブ ドライ 130ml 約1,200円、チェーンクリーナー 約1,000円(税込・2025年10月時点)
メリット:入手しやすい(ホームセンター等)、日本メーカーの安心感、手頃な価格
デメリット:ウェットタイプがないため雨天時は別製品が必要、容量がやや少なめ
メンテナンスを楽にする便利アイテム
チェーン洗浄機:チェーンを取り外さずに洗浄できる専用ツール。ブラシとクリーナーを入れてクランクを回すだけで効率的に洗浄可能。価格:1,000〜3,000円程度
チェーンブラシ:チェーンの隙間や側面を効率的に掃除できる専用ブラシ。3面ブラシタイプが便利。価格:500〜1,500円程度
メンテナンススタンド:自転車を固定してクランクを回転させやすくする。本格的にメンテナンスするなら必須アイテム。価格:3,000〜15,000円程度
使い捨てグローブ:手を汚さずにメンテナンス作業ができる。100均やホームセンターで入手可能。
よくある質問(FAQ)
チェーンクリーナーの代わりにパーツクリーナーを使っても大丈夫ですか?
推奨しません。パーツクリーナーは揮発性が高く、チェーン内部のグリスまで洗い流してしまう可能性があります。また、ゴムやプラスチック部品を劣化させるリスクもあります。自転車専用のチェーンクリーナーを使用することをおすすめします。
ドライルブとウェットルブ、どちらを選べばいいですか?
ドライルブ:晴天時のロード走行や室内ローラー台に最適。汚れが付きにくくチェーンが清潔ですが、雨には弱いです。ウェットルブ:雨天走行や長距離ライド向け。耐久性が高い反面、粘度が高く汚れを呼びやすいため、初心者は拭き取りが不十分だとチェーンがすぐに真っ黒になります。初心者には、まずドライルブ、または記事で紹介したワコーズのようなオールラウンドタイプがおすすめです。晴天中心なら失敗が少なく、メンテナンスも楽です。
チェーンオイルを塗りすぎるとどうなりますか?
チェーン表面に残った余分なオイルは、ホコリや砂を吸着して逆効果になります。注油後は5〜10分待って内部に浸透させた後、必ず表面の余分なオイルをウエスで拭き取ってください。「内部に潤滑、表面はドライ」が理想的な状態です。
雨の日に走った後はすぐにメンテナンスが必要ですか?
はい、できるだけ早くメンテナンスしてください。雨水によってチェーンの潤滑が失われ、錆の原因にもなります。帰宅後、チェーンを軽く拭き取り、水置換性のあるルブ(ワコーズなど)を注油するか、一度洗浄してから注油し直すのがベストです。
チェーンの寿命はどれくらいですか?
使用頻度やメンテナンスの状態によりますが、一般的に3,000〜5,000kmが目安です。チェーンチェッカーで伸びを測定し、0.75%伸びた時点で交換が推奨されます。放置すると、スプロケットやチェーンリングまで摩耗し、交換コストが高くなります。
メンテナンス初心者におすすめの組み合わせは?
初心者にはFINISH LINE 1-ステップ クリーナー&ルブリカントが最もおすすめです。洗浄と注油が同時にでき、失敗が少ないです。もう少し本格的にやりたい場合は、AZのチェーンディグリーザー+ワコーズのチェーンルブの組み合わせがコスパと性能のバランスが良いです。
まとめ:定期メンテナンスで愛車を長持ちさせよう
自転車のチェーンメンテナンスは、難しそうに見えて実は初心者でも簡単にできる作業です。適切な洗浄剤と注油剤を選び、定期的にメンテナンスすることで、愛車の寿命を大幅に延ばすことができます。
今回ご紹介した5つの製品は、それぞれ特徴が異なります。時短重視ならFINISH LINE、コスパ重視ならAZ、性能重視ならワコーズやMUC-OFF、入手しやすさならKUREと、ご自身のライフスタイルや予算に合わせて選んでみてください。
最初は月に1回程度、慣れてきたら走行距離や天候に応じて調整していきましょう。チェーンが清潔に保たれ、スムーズに回転する感覚を一度体験すると、メンテナンスが楽しくなるはずです。
※製品仕様・価格は予告なく変更される場合があります。購入前に公式サイトや販売店でご確認ください。
※掲載情報は2025年10月時点のものです。