なぜ登山に専用の帽子が必要? 3つの理由
出典:山旅旅
登山やトレッキングにおいて、帽子は「あったほうがいい」ではなく「必須装備」です。山の環境は平地とは大きく異なり、紫外線の強さは標高1,000m上がるごとに約10%増加します。また、急な天候変化による雨や強風、夏場の熱中症リスクなど、頭部を保護する帽子の役割は想像以上に重要です。
第一に、紫外線から頭皮と顔を守ることが挙げられます。山では紫外線が非常に強く、長時間の行動で日焼けや熱中症のリスクが高まります。UVカット機能を持つ登山用帽子は、UPF50+(紫外線カット率95%以上)の製品も多く、確実な日差し対策になります。
第二に、雨や汗による不快感を軽減できます。登山中の突然の雨や大量の発汗は視界を妨げ、体温調節を困難にします。防水透湿素材や速乾性素材を使用した帽子なら、雨を弾きつつ蒸れを逃がし、快適な状態を保てます。
第三に、低木や枝からの保護、滑落時の衝撃緩和という物理的な防護機能があります。樹林帯での枝打ちや、万が一の転倒時に頭部への直接ダメージを軽減できます。軽視されがちですが、安全面でも帽子は重要な装備なのです。
登山用帽子の選び方 4つのポイント
登山用帽子を選ぶ際には、形状、機能性、素材、フィット感の4つのポイントを押さえることが重要です。自分の登山スタイルや重視する機能に合わせて、最適なモデルを選びましょう。
形状(ハット vs キャップ)
出典:山と高原地図Web
ハットタイプは全周につばがあり、首筋や耳まで日差しから守れるのが最大の特徴です。UVカット効果が高く、夏場の縦走や長時間の行動に適しています。一方で風に飛ばされやすいため、あご紐付きのモデルを選ぶことが重要です。
キャップタイプは前方のみにつばがあり、視界が広く軽量で動きやすいのが利点です。トレイルランニングや急登でのスピーディな行動に向いています。ただし、首筋の日焼け対策は別途必要になります。
機能性(UVカット・防水透湿・通気性)
登山用帽子で最も重視すべきは機能性です。UVカット機能は、UPF(紫外線防止指数)30以上、できればUPF50+を選ぶのが理想的です。UPF30以上なら紫外線カット率90%以上、UPF50+なら95%以上を実現できます。
防水透湿性は、雨の登山や梅雨時期の山行で威力を発揮します。ゴアテックスなどの防水透湿素材を使用したモデルは、雨を防ぎながら内部の蒸れを逃がし、長時間の行動でも快適です。
通気性(ベンチレーション)も見逃せません。頭部のメッシュパネルやベンチレーションホールがあるモデルは、発汗による蒸れを効果的に排出し、夏場の暑さ対策に有効です。
素材(ゴアテックス・ナイロン・メッシュ)
ゴアテックスは防水透湿素材の代表格で、完全防水ながら蒸れないという理想的な性能を持ちます。悪天候対応モデルや本格登山用に適していますが、やや高価です。
ナイロンは軽量で速乾性に優れ、多くの登山用帽子で採用されています。撥水加工(DWR)が施されたものなら小雨程度には対応でき、コストパフォーマンスに優れています。
メッシュ素材は通気性が抜群で、夏場の低山ハイキングやトレイルランニングに最適です。軽量で蒸れにくいですが、防水性はほとんどないため、晴天時専用と考えましょう。
フィット感と機能(あご紐・サイズ調整)
登山中の風や急な動きで帽子が飛ばされないよう、あご紐(チンストラップ)は必須機能です。取り外し可能なタイプなら普段使いもしやすくなります。
サイズ調整機能(アジャスタブルバックル)があれば、頭囲に合わせてフィット感を調整でき、長時間被っても疲れにくくなります。特にキャップタイプでは調整幅が広いモデルが便利です。
【徹底比較】登山用帽子おすすめ7選 スペック一覧表
今回紹介する7モデルのスペックを一覧表にまとめました。価格、重量、素材、機能を比較して、自分に最適なモデルを見つけてください。
| 商品名 | タイプ | 価格(税込) | 重量 | 素材 | UVカット | 防水性 | サイズ調整 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ノースフェイス ホライズンハット | ハット | 約6,600円 | - | ナイロン | UPF15-30 | 撥水 | あご紐 |
| モンベル GORE-TEX ストームハット | ハット | 約5,170円 | 61g | ゴアテックス3層 | 紫外線遮へい率90%以上 | 完全防水 | あご紐 |
| パタゴニア ウェーブフェアラー | ハット | 約5,500円 | - | リサイクルナイロン | UPF50+ | 撥水 | なし |
| アークテリクス カルバスキャップ | キャップ | 約9,350円 | 49g | ポリエステル | UPF50+ | 撥水 | バックル |
| サロモン XAキャップ | キャップ | 約3,600円 | 40g | ポリエステル | - | - | バックル |
| マムート クライメート GTX ハット | ハット | 約11,000円 | 53g | ゴアテックス2層 | - | 完全防水 | あご紐 |
| ミレー ティフォン レインキャップ | キャップ | 約7,040円 | - | ティフォン50000 | - | 完全防水 | - |
※価格は2025年10月時点の参考価格です。実際の販売価格は変動する可能性があります。
※製品仕様は予告なく変更される場合があります。購入前に公式サイトでご確認ください。
【定番ハット】おすすめモデル3選
全周につばがあり、顔・首・耳まで広範囲に紫外線対策できるハットタイプ。夏場の縦走登山や長時間の行動におすすめの3モデルを紹介します。
ザ・ノース・フェイス ホライズンハット(NN42531)
出典:YAMA HACK
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ザ・ノース・フェイス ホライズンハットは、登山用ハットの定番中の定番です。アウトドアシーンにマッチする日よけアイテムとして、THE NORTH FACEで高い人気を誇ります。
最大の特徴は、頭囲にぐるりと配置されたベンチレーションメッシュパネルです。これにより優れた通気性を確保し、夏場の発汗による蒸れを効果的に軽減します。UVケア(UPF15-30、紫外線カット率85%以上)機能も備え、長時間の日差し対策に有効です。
薄く軽量で、持ち運びにも便利。取り外し可能なあごストラップ付きで、風の強い稜線でも安心です。フロントに配置したロゴワッペンがデザインのアクセントになっています。
参考価格:約6,600円(税込)※2025年10月時点
メリット:通気性が高く蒸れにくい/軽量でパッカブル/カラーバリエーション豊富
デメリット:防水性は撥水程度/つばが柔らかく風に弱い場合も
モンベル GORE-TEX ストームハット(1128656)
出典:K2J
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モンベル GORE-TEX ストームハットは、防水性と通気性を両立した全天候型ハットです。ゴアテックス® ファブリクス3レイヤーを採用し、大きなツバで襟元への雨だれを防ぎます。
防水透湿性に優れたゴアテックス® ファブリック3層メンブレンは、本体とつばの接合部でシームシール処理されており、雨に対する保護力を高めています。紫外線遮へい率90%以上のUVカット機能も備え、日差しの厳しい登山時も安心です。
重量はわずか61gと超軽量。使用しないときはコンパクトにまとめられ、ザックに収納しやすいのも魅力です。素材は50デニール・ナイロン・リップストップで耐久性も十分。
参考価格:約5,170円(税込)※2025年10月時点
メリット:完全防水で雨天対応/超軽量(61g)/高いUVカット性能
デメリット:ゴアテックス製としては安価だがやや高価/カラー展開が少ない
パタゴニア ウェーブフェアラー・バケツ・ハット(29157)
出典:cotyle.com
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パタゴニア ウェーブフェアラー・バケツ・ハットは、漁網をリサイクルしたネットプラス・ポストコンシューマーリサイクル・ナイロン100%のファイユ製という環境配慮型の丈夫なバケツ・ハットです。
長時間のハイキングや波を探して歩き回るときに最適で、速乾性に優れているのが特徴です。DWR(耐久性撥水)加工が施され、小雨程度なら問題なく対応できます。UPF50+(紫外線カット率95%以上)で、強い日差しからもしっかり保護します。
バケツハット特有のカジュアルなデザインで、登山だけでなく釣りやフェス、タウンユースにも活用できる汎用性の高さが魅力です。コンパクトに折りたたんで持ち運べます。
参考価格:約5,500円(税込)※2025年10月時点
メリット:UPF50+の高いUVカット/速乾性に優れる/環境に配慮したリサイクル素材
デメリット:あご紐がないため風に弱い/完全防水ではない
【高機能キャップ】おすすめモデル2選
視界が広く軽量で動きやすいキャップタイプ。トレイルランニングやスピーディな行動に適した2モデルを紹介します。
アークテリクス カルバスキャップ(X000006346)
出典:ブッシュクラフトビギナー
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アークテリクス カルバスキャップは、高負荷アクティビティに適した軽量で被り心地の良い高機能キャップです。夏のアクティビティで活躍必至の万能モデルといえます。
TPUストラップと薄型のバックルで、幅広いサイズに対応し、しっかりフィットさせることが可能です。使用している高機能ポリエステルは通気性に優れ、スペーサーメッシュのバンドが湿気をコントロール。山道をスピーディに移動している時も快適な着用感が持続します。
ラミネート加工されたツバは、ソフトで成形しやすいのでバッグやポケットに簡単に収納できます。UPF50+(紫外線カット率95%以上)の紫外線カット機能も備え、登山やハイキングをはじめとしたアウトドアシーンに最適です。重量わずか49gの超軽量設計。
参考価格:約9,350円(税込)※2025年10月時点
メリット:超軽量(49g)/優れたフィット感/高い通気性とUVカット
デメリット:価格がやや高め/防水性はDWR撥水のみ
サロモン XAキャップ(LC1405400)
出典:ともらん!
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サロモン XAキャップは、通気性の高い軽量キャップで速乾性にも優れ、軽やかで快適なランニングを実現します。トレイルランニングを想定して設計されていますが、登山やハイキングでも活躍します。
重量わずか40gという超軽量設計で、被っていることを忘れるような軽さです。後部のバックルでサイズを調整できるアジャスタブルバックルクロージャーを採用し、頭囲に合わせてフィット感を調整可能です。
吸汗性に優れたソフトなバンドがキャップ内側に付いているため、汗が目に入りません。素材は本体・切り替え部分ともにポリエステル100%で、速乾性が非常に高いのが特徴です。猛暑日のアクティビティに最適なキャップです。
参考価格:約3,600円(税込)※2025年10月時点
メリット:超軽量(40g)/優れた速乾性/コストパフォーマンスが高い
デメリット:UVカット表記なし/防水性なし(晴天専用)
【防水・ゴアテックス】おすすめモデル2選
雨天登山や梅雨時期の山行に威力を発揮する、完全防水の高機能モデル2選を紹介します。
マムート クライメート ゴアテックス ハット アジアンフィット(1191-01950)
出典:Amazon
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マムート クライメート ゴアテックス ハット アジアンフィットは、GORE-TEX®を採用した防水性・防風性・耐久性に優れた万能ハットです。雨の侵入を防いでくれるので、急な悪天候にも安心です。
防風性・防水性に優れた2レイヤーGORE-TEX®素材(耐水圧28,000mm)を採用し、激しい雨にも対応します。さらに、汗をかいても蒸れにくく、快適な着心地が続きます。ハイキングやフェスなど、様々なアクティビティにおすすめです。
重量53gと軽量で、折りたたみ可能なため携帯性も抜群。取り外しができるアジャスタブル・コードで風にも対応します。アジアンフィット仕様で日本人の頭部形状にマッチしやすい設計です。
参考価格:約11,000円(税込)※2025年10月時点
メリット:完全防水(耐水圧28,000mm)/軽量(53g)/アジアンフィット
デメリット:価格が高め/UVカット表記なし
ミレー ティフォン ストレッチ レイン キャップ(MIV03230)
出典:山旅旅
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ミレー ティフォン ストレッチ レイン キャップは、山での行動中の悪天候に対応するテクニカルレインキャップです。独自の3層防水透湿生地「ドライエッジ ティフォン50000」を採用しています。
ソフトな肌触りに加えて優れた耐水圧と透湿性を備え、激しい雨風を防ぎつつ頭部のムレを効果的に軽減します。薄くて軽くてソフトな肌触りで、雨の侵入を防ぎながら長時間の行動中も快適です。
ストレッチ性もあるため動きやすく、キャップタイプなので視界も良好。登山だけでなく、トレイルランニングや自転車など幅広いアウトドアアクティビティに対応します。
参考価格:約7,040円(税込)※2025年10月時点
メリット:高い防水透湿性(ティフォン50000)/ストレッチ性で動きやすい/視界良好
デメリット:サイズ調整機能なし/UVカット表記なし
登山の快適さを左右する帽子のメンテナンス方法
登山用帽子は機能性素材を使用しているため、適切なメンテナンスで長く性能を保つことができます。ここでは基本的なお手入れ方法を紹介します。
使用後は必ず乾燥させることが基本です。汗や雨で濡れたまま放置すると、カビや臭いの原因になります。風通しの良い場所で陰干しし、直射日光は避けましょう。直射日光は素材の劣化や色あせの原因になります。
洗濯は手洗いが基本です。中性洗剤を溶かしたぬるま湯で優しく押し洗いし、しっかりすすぎます。ゴアテックスなどの防水透湿素材は、洗濯機の使用可否を製品タグで確認してください。
撥水性能の回復には、洗濯後の乾燥機使用(低温設定)やアイロンの低温スチームが効果的です。ただし、製品によって対応が異なるため、必ず取扱説明書を確認しましょう。市販の撥水スプレーを使用するのも一つの方法です。
保管時は型崩れを防ぐため、丸めず平置きまたは吊り下げ保管がおすすめです。パッカブルタイプでも長期保管時は広げておくと、素材の劣化を防げます。
よくある質問(FAQ)
登山用帽子は普通の帽子と何が違いますか?
登山用帽子は、UVカット、防水透湿、通気性、軽量性など、山での使用を想定した機能を備えています。普通の帽子と比べて、汗をかいても蒸れにくく、突然の雨にも対応でき、あご紐で風に飛ばされない設計になっています。また、リップストップナイロンなど耐久性の高い素材を使用し、枝などの引っ掛けに強いのも特徴です。
ハットとキャップ、どちらを選ぶべきですか?
登山スタイルで選びましょう。長時間の縦走や夏場の日差し対策重視ならハットタイプがおすすめです。全周につばがあり、首筋や耳まで保護できます。一方、トレイルランニングや急登でのスピーディな行動ならキャップタイプが適しています。視界が広く軽量で動きやすいのが利点です。両方持っておき、シーンで使い分けるのが理想的です。
ゴアテックスの帽子は本当に必要ですか?
雨天登山が多い方や梅雨時期の山行を考えているなら、ゴアテックス製の帽子は非常に有用です。完全防水でありながら蒸れない性能は、長時間の悪天候行動で威力を発揮します。ただし、晴天時のハイキングがメインなら、撥水加工のナイロン製で十分です。登山頻度と天候条件を考慮して選びましょう。
UPF値はどれくらいあれば十分ですか?
登山ではUPF30以上、できればUPF50+を選ぶのが理想的です。UPF50+は紫外線カット率95%以上で、最高レベルの日焼け対策になります。標高が上がるほど紫外線は強くなるため(1,000mごとに約10%増加)、高山登山ではUPF値の高いモデルが安心です。UPF15-30でも紫外線カット率85%以上あるため、低山ハイキングなら十分な場合もあります。
帽子のサイズ選びで注意することは?
頭囲を測って自分のサイズを把握しましょう。メジャーで眉毛の上、耳の上を通る周囲を測定します。登山用帽子はS/M、L/XLなど大まかなサイズ展開が多いため、調整機能(アジャスタブルバックル、あご紐)があるモデルが便利です。試着時は帽子をかぶって首を振り、ズレないか確認しましょう。きつすぎると頭痛の原因になり、緩すぎると風で飛ばされます。
冬山登山にも帽子は必要ですか?
冬山では保温を重視した帽子(ビーニーやバラクラバ)が基本ですが、晴天の雪山では紫外線対策も重要です。雪面からの反射で紫外線は夏の2倍近くになるため、ツバ付きの帽子も併用すると効果的です。冬用のゴアテックスキャップや、フリース裏地付きのハットもあります。防風性と保温性を備えたモデルを選びましょう。