冬キャンプでは暖房器具や照明機器への電力供給が欠かせず、また近年増加する自然災害への備えとしても、ポータブル電源の重要性が高まっています。しかし、数多くのブランドから様々なモデルが販売されており、どれを選べば良いか迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、冬キャンプと防災の両方で活用できる高出力モデルを厳選し、Jackery・Anker・EcoFlow・BLUETTI・PowerArQの主要5ブランドから代表的な機種をご紹介します。それぞれの特徴や性能を詳しく比較検討し、用途に応じた最適な選択をサポートいたします。
ポータブル電源の選び方|冬キャンプ・防災で重視すべきポイント

出典:キャンプクエスト
ポータブル電源を選ぶ際は、以下の4つのポイントを重視することが重要です。
- 容量(Wh):使用したい機器の消費電力と使用時間を考慮
- 定格出力(W):同時に使用する機器の合計消費電力以上が必要
- 充電速度:緊急時や短時間での充電完了が可能か
- 安全性・信頼性:低温耐性やBMS(バッテリー管理システム)の有無
冬キャンプでは電気毛布(50-60W)やセラミックファンヒーター(1000-1500W)を長時間使用することが多く、1000Wh以上の大容量モデルが適しています。一方、防災用途では停電時の照明や通信機器、冷蔵庫などの最低限の電力確保が目的となるため、用途に応じた容量選択が重要です。
おすすめポータブル電源5選|ブランド別レビュー

出典:BE-PAL
Jackery ポータブル電源 1500 Pro

出典:Camera Jabber
項目 | 仕様 |
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容量 | 1,512Wh |
定格出力 | 1,800W(サージ3,600W) |
充電時間 | AC約2時間(急速充電対応) |
重量 | 17kg |
動作温度 | -10℃~40℃ |
出力ポート | AC×3、USB-A×2、USB-C×2、シガーソケット×1 |
Jackeryの上位モデルである1500 Proは、1,512Whの大容量と1,800Wの高出力を兼ね備えた実力派モデルです。リチウムイオン電池(NMC三元系)を採用しており、1,000回で80%目安・2,000回で70%目安の充放電サイクルに対応し、長期間の使用に耐える設計となっています。
冬キャンプでは電気毛布を約25時間、1,000Wのセラミックヒーターを約1.3時間連続使用できる計算となり、1泊2日のキャンプには十分な容量です。また、-10℃までの低温動作に対応しているため、厳冬期のキャンプでも安心して使用できます。
Anker 757 Portable Power Station (PowerHouse 1229Wh)

出典:HiConsumption
項目 | 仕様 |
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容量 | 1,229Wh |
定格出力 | 1,500~1,800W(地域・型番差) |
充電時間 | 80%まで約1時間/満充電約1.5時間(HyperFlash) |
重量 | 19.9kg |
動作温度 | -20℃~40℃ |
出力ポート | AC×6、USB-A×4、USB-C×2(100W+60W)、シガーソケット×1 |
Ankerの757(SOLIX F1200)は、業界最速クラスの80%まで約1時間急速充電が最大の特徴です。独自のHyperFlash技術により、従来の5分の1の時間で充電が完了するため、急な停電や災害時でも短時間で電力を確保できます。満充電でも約1.5時間と非常に高速です。定格出力は地域・型番により1,500~1,800Wの表記差があります。
また、-20℃までの低温動作に対応しており、極寒地でのキャンプや災害時でも安定した動作が期待できます。AC出力ポートが6つと豊富で、USB-C×2口(100W+60W)を含む多彩なポート構成で、複数の機器を同時に使用したい場合に便利です。リン酸鉄リチウムイオン電池により、約3,000回の充放電サイクルを実現しています。
EcoFlow DELTA 2
出典:Adorama
項目 | 仕様 |
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容量 | 1,024Wh(拡張可能) |
定格出力 | 1,800W(サージ2,700W)/X-Boost最大2,200W相当駆動 |
充電時間 | AC 0→80%約50分/0→100%約80分 |
重量 | 12kg |
動作温度 | -10℃~45℃ |
出力ポート | AC×6、USB-A×4、USB-C×2、シガーソケット×1 |
EcoFlow DELTA 2は、X-Boost機能により定格出力を超える最大2,200W相当の機器を駆動できる革新的なモデルです。リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)を採用し、3,000回以上の充放電サイクルに対応。充電速度は0→80%が約50分、0→100%が約80分と非常に高速です。また、容量拡張が可能で、専用のエクストラバッテリーを接続することで最大3,040Whまで拡張できます。
重量が12kgと比較的軽量でありながら、高出力を実現している点が特徴です。専用アプリによるリモート監視・制御にも対応しており、離れた場所からでも電力使用状況を確認できます。冬キャンプでは暖房器具を、防災時には冷蔵庫や医療機器などの重要な電力源として活用できます。
BLUETTI AC200MAX

出典:Portable Power Technology
項目 | 仕様 |
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容量 | 2,048Wh(B230×2で最大6,144Wh/B300×2で最大8,192Wh) |
定格出力 | 2,200W(サージ4,800W) |
充電時間 | AC約2.5時間 |
重量 | 28.1kg |
動作温度 | -20℃~40℃ |
出力ポート | AC×4、USB-A×4、USB-C×1、DC×2、シガーソケット×1、ワイヤレス充電×2 |
BLUETTI AC200MAXは、2,048Whの大容量と2,200Wの高出力を実現した本格派モデルです。リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)により3,500回以上の充放電サイクルを実現。ワイヤレス充電パッド×2を搭載するなど、利便性の高い機能も充実しています。
最大の特徴は拡張性の高さで、専用のエクストラバッテリーB230を2台接続で最大6,144Wh、またはB300を2台接続で最大8,192Whまで拡張可能です。これにより、数日間の停電や長期キャンプでも十分な電力を確保できます。重量は28.1kgとやや重めですが、別売のトロリー(運搬カート)を使用することで移動も可能です。
PowerArQ Pro

出典:Amazon.co.jp
項目 | 仕様 |
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容量 | 1,002Wh |
定格出力 | 1,000W(サージ2,000W) |
充電時間 | AC約7.5時間 |
重量 | 約10.4~10.5kg |
動作温度 | -10℃~40℃(充電0℃~40℃) |
出力ポート | AC×3、USB-A×3、USB-C×1、DC×2、シガーソケット×1、ワイヤレス充電×1 |
PowerArQ Proは、日本のキャンパーのニーズを深く理解した国内ブランドらしい実用的な設計が特徴です。1,002Whの容量と1,000Wの出力により、一般的な冬キャンプでの電力需要には十分対応できます。
他モデルと比較してコストパフォーマンスに優れており、初めてポータブル電源を購入する方にもおすすめできます。ワイヤレス充電機能や見やすいディスプレイなど、使い勝手の良さも魅力です。重量約10.4~10.5kgで持ち運びやすく、ファミリーキャンプから防災用途まで幅広く活用できます。
5機種を徹底比較|スペック一覧表

出典:ポタデンドットネット
機種名 | 容量 | 定格出力 | 充電時間 | 重量 | 参考価格帯 |
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Jackery 1500 Pro | 1,512Wh | 1,800W | 約2時間 | 17kg | 12-20万円 |
Anker 757 | 1,229Wh | 1,500~1,800W | 約1時間(80%) | 19.9kg | 9-17万円 |
EcoFlow DELTA 2 | 1,024Wh | 1,800W | 約50分(80%) | 12kg | 5-14万円 |
BLUETTI AC200MAX | 2,048Wh | 2,200W | 約2.5時間 | 28.1kg | 20万円前後 |
PowerArQ Pro | 1,002Wh | 1,000W | 約7.5時間 | 約10.4~10.5kg | 12-15万円 |
各機種を比較すると、以下の傾向が見えてきます:
- 最大容量・出力:BLUETTI AC200MAX(2,048Wh / 2,200W)
- 最速充電:EcoFlow DELTA 2(約50分で80%)
- 最軽量:PowerArQ Pro(約10.4~10.5kg)
- コストパフォーマンス:PowerArQ Pro
- バランス重視:Jackery 1500 Pro
※上記の参考価格帯は2025年10月時点の情報です。セールや整備済製品、販売店により価格は変動します。最新価格は各公式サイトをご確認ください。
用途別おすすめ|冬キャンプ vs 防災

出典:bigvo.net
冬キャンプ重視の選び方
冬キャンプでは暖房器具の長時間使用が前提となるため、以下の要件を満たすモデルがおすすめです:
- 容量:1,200Wh以上(1泊2日の暖房使用に対応)
- 出力:1,500W以上(セラミックヒーター等の高出力機器に対応)
- 低温耐性:-10℃以下での動作保証
- 携帯性:20kg以下が望ましい
冬キャンプおすすめランキング:
- Jackery 1500 Pro:容量・出力・携帯性のバランスが最適
- EcoFlow DELTA 2:軽量で拡張性もあり、持ち運びが楽
- Anker 757:急速充電でキャンプ中の継ぎ足し充電も可能
防災重視の選び方
防災用途では長期間の電力確保と必要最低限の機器駆動が重要になります:
- 容量:2,000Wh以上(数日間の停電に備える)
- 拡張性:バッテリー追加で容量アップ可能
- 多出力:複数機器の同時使用に対応
- 耐久性:長期保管でも性能劣化が少ない
防災用おすすめランキング:
- BLUETTI AC200MAX:大容量で拡張性抜群、長期停電に対応
- Jackery 1500 Pro:信頼性が高く、メンテナンス性も良好
- EcoFlow DELTA 2:アプリ連携で遠隔監視可能
まとめ|冬キャンプも防災も1台で備える

出典:ゴリラキャンプ部
今回ご紹介した5機種は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、冬キャンプと防災の両用途で活用できる高性能なポータブル電源です。
初めて購入される方にはJackery 1500 ProやPowerArQ Proがおすすめです。容量と出力のバランスが良く、幅広い用途に対応できます。すでにポータブル電源を使用されている方で、より高機能なモデルを求める場合は、EcoFlow DELTA 2やBLUETTI AC200MAXを検討されると良いでしょう。
購入前には、想定する使用機器の消費電力と使用時間を具体的に計算し、余裕を持った容量のモデルを選択することが重要です。また、各メーカーの保証期間やアフターサービスも確認し、長期間安心して使用できるモデルを選びましょう。
よくある質問(FAQ)
ポータブル電源の寿命はどのくらいですか?
リン酸鉄リチウムイオン電池を使用したモデルでは、一般的に3,000~4,000回の充放電サイクルが可能です。1週間に1回の使用頻度であれば、約50~70年の寿命計算となりますが、実際には10~15年程度での買い替えが一般的です。使用環境や充電方法により寿命は大きく変わります。
冬季の低温環境での使用時に注意すべき点は?
低温環境ではバッテリー容量が一時的に減少し、通常時の70~80%程度の性能になる場合があります。また、結露を避けるため急激な温度変化は避け、使用前に室温に近づけることが重要です。各メーカーが推奨する動作温度範囲内での使用を心がけましょう。
同時に複数の家電を使用する場合の注意点は?
同時使用する機器の合計消費電力が定格出力以下になるよう計算が必要です。例えば、電気毛布(60W)とLED照明(20W)、スマートフォン充電(10W)の同時使用では、合計90Wとなり、1,000W以上の定格出力があるモデルなら問題ありません。起動時の突入電流も考慮し、余裕を持った選択をおすすめします。
ポータブル電源の安全な保管方法を教えてください
長期保管時は50~80%程度の充電状態を維持し、直射日光や高温多湿を避けた場所に保管します。3ヶ月に1回程度は充電状態を確認し、必要に応じて充電を行いましょう。完全放電や満充電状態での長期保管は、バッテリー劣化の原因となるため避けてください。
飛行機での持ち込みは可能ですか?
100Wh以下のポータブル電源は機内持ち込み可能ですが、今回紹介したような大容量モデル(1,000Wh以上)は航空輸送が制限されています。国内線・国際線ともに預け入れ・持ち込みともに不可のため、旅行先での使用を想定している場合は現地調達やレンタルサービスの利用を検討してください。