ファミリートレッキングとは、家族みんなで自然の中を歩く、やさしい山歩きスタイルのことをいいます。標高が高すぎず、道も整備された山を選ぶことで、小さな子どもでも無理なく自然体験を楽しむことができます。私自身、未就学児の子どもを2人育てる親として、休日にはよく家族で近郊の山歩きに出かけていますが、親子で同じ景色を見て、同じ体験を共有できる時間は、本当にかけがえのないものだと感じています。
ファミリートレッキングが初心者にぴったりな理由は、いくつかあります。まず、コースの難易度がやさしいこと。急な坂道や長時間歩き続けるルートではなく、子どものペースに合わせやすいコースがたくさん用意されています。たとえば、1〜2時間で登れる山や、途中に楽しい見どころがあるルートなど、無理なく歩ける設定になっているので安心です。
また、アクセスの良さも大きなポイントです。多くのファミリー向けの山は、駅から近かったり、バスやケーブルカーで山の中腹まで行けたりと、スタート地点までの移動がスムーズ。小さな子どもを連れての移動は何かと大変なので、この点はかなり助かります。実際に私も「なるべく電車とバスだけで行ける」「帰りに温泉やカフェに立ち寄れる」といった条件で場所を選ぶことが多いです。
さらに、トイレや休憩スポットがしっかり整備されている場所が多いのも心強い点。未就学児は予測できないタイミングで「トイレ行きたい!」となるもの。事前に休憩ポイントを把握しておけば、焦らず対応できます。
そして何より、ファミリートレッキングの魅力は、「目標達成」だけをゴールにしないところにあります。無理に頂上を目指す必要はありません。道端で見つけたどんぐりや、葉っぱの上を歩くアリを眺めるだけでも、子どもにとっては大冒険。自然の中での「楽しい!」をたくさん拾いながら歩くことで、親子ともに心に残る時間が生まれます。
安全対策だけはきちんと押さえつつ、気負わず、自然の中を一緒に歩く。それが、ファミリートレッキングを楽しむ一番のコツです。
未就学児との初めての山歩きでも、きっと笑顔あふれる素敵な一日になりますよ。
未就学児を連れてのファミリートレッキングでは、「歩きやすさ」「安全性」「休憩のしやすさ」がとても大事。ここでは、関東近郊で小さな子どもと一緒に楽しめる、おすすめのやさしい低山を紹介します!
日本一有名な低山といっても過言ではない高尾山は、未就学児連れにもぴったりの場所です。標高は599mありますが、ケーブルカーやリフトを使えば山腹まで一気にアクセス可能。整備された道が多く、複数ある登山ルートから、初心者向けのゆるやかなコースを選べます。
道中には、小川のせせらぎや季節の花々、薬王院の境内など、見どころがたくさん。トイレも各ポイントに設置されており、安心して歩けます。頂上で広がる景色を眺めながら食べるお弁当は、特別な思い出になるでしょう。
【アクセス】
京王線「高尾山口駅」から徒歩5分でケーブルカー駅へ。
東京都青梅市にある御岳山は、標高929mですが、ケーブルカーを使えば標高差をカバーできるため、未就学児でも問題なく楽しめます。山頂付近には武蔵御嶽神社があり、参道もきれいに整備されているため、子ども連れでも安心。
ただし、「ロックガーデン」などの沢沿いのコースは滑りやすい箇所が多いため、今回は無理に挑戦せず、神社周辺の散策+軽いハイキング程度にとどめるのが安心です。自然豊かな雰囲気を味わうには十分です。
【アクセス】
JR青梅線「御嶽駅」からバス+ケーブルカー利用。
御岳山(東京都)
神奈川県二宮町にある吾妻山は、標高136mととても低く、未就学児でも無理なく登れるスポットです。登山というよりは、ちょっと坂道を登る延長のような感覚で楽しめます。
山頂には広々とした芝生広場が広がり、相模湾を一望できる絶景ポイントに。ピクニックをするのにも最適で、晴れた日にはレジャーシートを広げてのんびり過ごすのがおすすめ。春には菜の花が咲き乱れ、鮮やかな景色も楽しめます。
【アクセス】
JR東海道線「二宮駅」から徒歩20分。
小田急沿線の弘法山は、標高235mとこちらも手頃な高さ。登山口から山頂までの道も広く、未就学児でも安全に歩けます。ところどころにベンチや東屋があり、こまめに休憩できるので、子どもの体力に合わせたペース配分がしやすいのも魅力。
桜の名所としても知られており、春には満開の桜トンネルをくぐるような贅沢な体験もできます。疲れたら、鶴巻温泉駅周辺の温泉施設でさっぱり汗を流すのもおすすめです。
【アクセス】
小田急線「鶴巻温泉駅」または「秦野駅」からハイキングコースへ。
千葉県の房総半島にある鋸山(のこぎりやま)は、標高329m。インパクトのある「地獄のぞき」や大仏様で有名ですが、実は未就学児でも楽しめる穏やかなコースが整備されています。
おすすめは「車力道コース」や「観月台コース」。比較的ゆるやかな登りで、歩きやすく、自然豊かな道をのんびり散策できます。途中には大きな石切場跡があり、子どもたちも「すごい!」と大興奮間違いなし。岩場を避ければ、未就学児でも無理なく歩けるコース設計になっています。
また、体力に不安がある場合は、ロープウェーを利用して一気に山頂付近までアクセスすることも可能。ロープウェー自体が楽しいアトラクションになるので、往復利用もおすすめです。
注意点として、鋸山の「地獄のぞき」周辺は柵が低めな箇所もあるので、小さな子どもを近づけすぎないよう注意しましょう。安全な範囲で、雄大な景色を親子で楽しんでください!
【アクセス】
JR内房線「浜金谷駅」から徒歩約10分で鋸山登山口またはロープウェー駅へ。
ファミリートレッキングを成功させるカギは、「事前準備」にあります。特に未就学児を連れての山歩きでは、ちょっとした不便やトラブルが子どもの機嫌を左右することも。無理なく楽しく過ごすためにも、必要な持ち物をしっかり準備しておきましょう。
子どもは大人よりも喉が乾きやすいので、こまめな水分補給が大切。ペットボトルだけでなく、軽量な水筒があると便利です。夏場は特に熱中症対策を意識しましょう。
小腹がすいた時用に、すぐにエネルギー補給できるもの(ビスケット、ゼリー飲料、バナナなど)を。機嫌が悪くなった時のお助けアイテムにもなります。
山の天気は急変しやすいため、晴れていても必ず持参を。両手がふさがる傘より、レインウェアの方が安全で便利です。
汗をかいたり、転んだり、予想外に濡れることも。特に子ども用は多めに持っていくと安心。濡れたままでいると体温が奪われやすいので、こまめに着替えましょう。
標高が低い山でも、紫外線は油断できません。必ず帽子をかぶり、こまめに日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。
ばんそうこう、消毒液、虫刺され薬、体温計など、応急処置に必要なものをコンパクトにまとめて。子どもは転んだり、擦り傷を作ることが多いので必携です。
事前にコースを把握しておきましょう。スマホのナビだけに頼らず、簡単な紙地図も持参するとさらに安心です。バッテリー切れ対策も忘れずに。
手拭きや汚れたものの処理、ゴミ持ち帰り用に。特にウェットティッシュは子連れには何枚あっても助かります。
子どもが疲れたときや、長距離歩行が難しいときに活躍します。背負うタイプのキャリアが両手も空き、安全です。
リストバンド型や簡易GPSなど、持っておくと安心できるアイテム。特に人の多い山では、はぐれ防止になります。
休憩中や移動中に飽きてしまったときに、ぐずり防止として役立ちます。なるべく軽くてコンパクトなものを選びましょう。
ポイントは「軽量&最小限」だけど「想定できるトラブルに備えること」。
ちょっと荷物が多いと感じても、現地で「持ってきてよかった!」と思う場面は必ず訪れます。
子どもたちが笑顔で一日を過ごせるよう、しっかり準備しておきましょう!
ファミリートレッキングを楽しい思い出にするためには、何より「安全第一」が基本です。未就学児を連れて自然の中を歩くからこそ、事前の準備と当日の気配りがとても大切。ここでは、初心者ファミリーでもすぐに実践できる安全対策をまとめました。
体力に自信がある子でも、初めての山歩きでは想像以上に疲れるもの。はじめは標高差が少なく、1〜2時間で歩き切れる短いコースを選ぶのがおすすめです。「もっと歩きたかった!」くらいで終わる方が、次へのモチベーションにもつながります。
親のペースではなく、子どもの様子を見ながらゆっくり進みましょう。疲れていそうならすぐに休憩をとり、水分補給もこまめに。小さな「楽しい発見」にも立ち止まりながら歩くくらいの気持ちでいると、子どもも機嫌よく過ごせます。
山の上は思った以上に冷えることがあります。休憩中に体が冷えないように、ウインドブレーカーや長袖をすぐ羽織れるように準備しましょう。暑い日は熱中症対策として、帽子と水分補給を忘れずに。少しでも「おかしいな」と思ったら、無理せず引き返す勇気も大切です。
頂上まで行くことが目的ではありません。途中で疲れたら引き返してOK。「ここまで頑張ったね!」とほめてあげることで、子どもに達成感を持たせることができます。小さな成功体験の積み重ねが、次のチャレンジへの意欲になります。
山歩きは、単なる移動ではなく、自然を感じる体験そのもの。道ばたの草花や木の実、虫たちを一緒に観察する時間を大切にしましょう。双眼鏡や小さな図鑑を持っていくと、さらに自然への興味が深まります。
「楽しく・無理せず・安全に」が、未就学児とのトレッキングの合言葉。無理をさせてトレッキングが嫌いになってしまっては、子どもが可哀想です。
親も子も気負わず、自然の中でゆったり過ごすことを第一に考えましょう。
子どもたちの目がキラキラ輝くような、素敵な時間がきっと待っています!
せっかく家族で山歩きに出かけるなら、子どもたちが思わず「また行きたい!」と言ってくれるような楽しい時間にしたいですよね。未就学児とのトレッキングでは、歩くことだけを目的にするのではなく、自然の中での体験そのものを楽しむ工夫が大切です。
「山頂まで行くぞ!」というだけでなく、「途中のベンチまで頑張ろう」「次の分岐まで探検しよう」など、短い目標をいくつも設定して進むと、子どもも飽きずに楽しめます。達成したら、小さなごほうび(おやつタイムなど)を用意しておくと、モチベーションもアップ!
歩きながら、「どんな花が咲いているかな?」「鳥の声、聞こえるかな?」とクイズを出したり、落ち葉やどんぐりを集めたりするのもおすすめ。簡単なフィールドビンゴ(例:「赤い花」「大きな木」「小さな虫」など)を作っておくと、自然に興味を持ちながら歩けます。
「山で食べると特別に美味しい!」という体験は、子どもたちにとって大きな思い出になります。好きなキャラクターのお弁当箱にしたり、普段は食べないちょっと特別なおやつを用意したりすると、昼休憩がさらに楽しいイベントに。ピクニック感覚でリラックスしましょう。
歩いている姿、休憩している姿、自然の景色など、たくさん写真を撮っておくのもおすすめ。帰宅後に家族でアルバムを作ったり、写真を見返したりすることで、「また行きたいね」という自然な流れが生まれます。子ども自身がカメラを持って「撮る側」になるのも楽しい体験です。
途中で「この小道に行きたい!」と言ったり、「ここで石拾いたい!」と座り込んだりすることも。余裕のあるスケジュールにして、子どもの興味にできるだけ応じられると、満足度がぐんと高まります。「今日はのんびり旅」と割り切ることも、大事なポイントです。
「歩くこと」よりも「自然の中で何を楽しむか」を意識すると、ファミリートレッキングはもっと豊かな時間になります。
焦らず、競争せず、子どもたちの笑顔をたくさん引き出していきましょう!